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戦略記事

市川ユウキの「プロツアー参戦記」

ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 後編

市川 ユウキ

 こんにちは! チーム『武蔵』の市川です。

 今回は前回の続きとして、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019の大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。


0.ドラフト雑感

 恒例のドラフト雑感から。

 今回は前回の『ラヴニカのギルド』に引き続き5つのギルドで構成されるドラフト環境なので、それらの評価から始めます。

オルゾフ

 今回の最強ギルドはオルゾフで異論はないでしょう。

 環境トップコモンの呼び声高い《欲深いスラル》を筆頭に、オルゾフのマルチカラーのコモンはどれも優秀です。

 《最後の支払い》は優秀な万能除去、《傲慢な支配者》は場持ちの良い2マナ域として重宝します。

 コモンに2種類の接死クリーチャーが用意されているのは特徴的です。

 除去も強く、接死クリーチャーが2種類用意されているオルゾフはただでさえカードパワーが他のギルドと比べて高いのにも関わらず、それらの理由で緑系、グルールとシミックとの勝率が格段に上がっています。

 アンコモンまで見渡しても《屈辱》や《無慈悲な司教》など、優秀なカードでカードプールが埋め尽くされており、ぜひともやりたいギルドです。

 卓に2人までは余裕で、カードの出方や座り順によっては卓3でも2勝1敗は望める非常に強力なギルドとなっています。

シミック

 2番手からは混戦です。

 最上位と最下位ギルドだけは私の中では確定なのですが、それ以外はかなりの微差だと感じています。

 最大値を考えて2番手にはシミックを置くことにします。

 シミックの特徴は特定のアンコモンのカードパワーです。

 特に《ヒレバサミダコ》、《エリマキ神秘家》はゲームを決定付ける1枚で、緑嫌いを公言している周りのプレイヤーたちもこれらのカードが2手目以降に流れてきたら参入すると言っていました。

 シミックの難点はコモンでの参入のしやすさから来る卓での混み合いです。

 《エアロムンクルス》と《トカゲ体の混種》は非常に強力なコモンですが、反面3~6手目程度で流れやすいカードでもあるので、それらで参入するプレイヤーもちらほらいます。

 シミックはオルゾフほどカードが充実しているわけではなく、アンコモン以上の強力なカード、コモンでは《エアロムンクルス》と《トカゲ体の混種》などをある程度確保できると最強ギルド、といった印象で、卓でカードを取り合うことは許容しづらいギルドです。

 独占したら最強だが、卓で混み合うと必死。

 リターンはあるがリスクも高く、シミックのカードを取るにはある程度のルールを持っていくべきだと感じました。

ラクドス

 混み合うことがシミックよりも許容できないギルドがラクドスです。

 最強のCCDDサイクルである《ラクドスの火輪使い》だったり、ブロックのしづらさナンバー1の《ハックロバット》だったりとアンコモンのカードパワーは高く、そしてマナ・コストの低さが魅力的です。

 問題点としては、マルチカラーのコモンのカードパワーが不足していること。

 3マナ3/2に毛が生えただけの《ラクドスの人足》、絢爛してなぜコストが上がるのか不明な《垂木の悪魔》だったりと、アンプレイアブルなコモンが枠を埋めてしまっています。

 そこまで強くないのに、流れて来ると卓のプレイヤーがラクドスが空いていると勘違いしてしまいそうなアンコモンがあるのも問題です。

 流してしまうとラクドスに参入するプレイヤーが出てきてしまうかもしれないけれど、早い巡目で取りたいほどのカードではないのです。

 ラクドスは卓1が必須です。

アゾリウス

 アゾリウスは《厳戒態勢》を軸にしたタフネス偏重デッキもありますが、あまり有力なアーキタイプではないので《ドビンの鋭感》を軸にしたスペルコントロールが本命となります。

 コモンだと《略式判決》や《拘引者の忠告》が《ドビンの鋭感》とシナジーする有効なカードでしょう。

 特に《略式判決》は《スライム縛り》と合わせてアゾリウスで最も求められる2マナのカードです。

 アゾリウスはオルゾフと比べると《黄昏の豹》や《傲慢な支配者》などの低マナのクリーチャーに乏しいので、低マナはクリーチャーではなく極力呪文で埋めたいところです。

 そのアゾリウスの台所事情に《ドビンの鋭感》はマッチしており、《ドビンの鋭感》が初手なら全然アゾリウスに行っても良いなという感想に。

グルール

 最下位ギルドはグルールです。

 《激情のエイリンクス》は他のギルドと比べても非常に優秀なクリーチャーですが、逆に言うと《激情のエイリンクス》以外は至って並のスペックのクリーチャー陣が並びます。

 問題となるのは除去の性質です。

 《剛力の殴り合い》と《野蛮な一撃》は格闘系の除去であるため、前述したオルゾフの接死軍団、《黄昏の豹》と《有毒グルーディオン》に歯が立ちません。

 同じく緑主体のデッキであるシミックも接死軍団は厳しいと言えば厳しいですが、《エアロムンクルス》や《冷気をもたらす者》などの飛行クリーチャーがある程度いることと、《応用生術》などのバウンス呪文を持っていることを考えると、幾分その点は緩和されています。

 その他グルールはラクドスの《脚光の悪鬼》と《焼印刃》のお手軽コモンコンボを前に盤面が壊滅するなど、弱点だらけ。

 空前絶後の接死環境を前に《焦印》や《嵐の一撃》で対策したいところですが、《焦印》は赤を分け合うギルドであるラクドスでもオルゾフの死後対策として重要なため早い段階で取られてしまう点、《嵐の一撃》は一応先制攻撃で接死を討ち取ることができますが所詮1対1のコンバットトリックであることを考慮すると焼け石に水感が強く、効果的な対処法とは言えません。

 最強ギルドであるオルゾフに歯が立たない。とかくクリーチャーのスペックが高いわけではない。の二重苦でグルールはこの環境で最もドラフトしたくないギルドという評価に落ち着いています。

 最後にギルド以外のアーキタイプである門シナジーを主軸とした多色デッキです。

 《門破りの雄羊》と《燃え立つ門》はスタンダードでもお呼びが掛かるスペックで、どちらも上手くデッキを構築すればレア以上の働きを見せるカードです。

 その他《門の巨像》や《門道の密行者》、《アーチ道の天使》など、門シナジーを有するカードはすべてプレイアブル、かつ門が十分な枚数確保できていれば強力であり、ミシックチャンピオンシップ前からもアーキタイプとして認知されていました。


 これらを踏まえて私のピック方針は以下の通りになりました。

基本はエスパー(青白黒)軸のピック

 《欲深いスラル》や《アゾリウスの騎士判事》などのマナ域の高いクリーチャー、

 《最後の支払い》や《法魔道士の束縛》などの除去呪文は該当するギルドベースのデッキにならなかったとしても、《アゾリウスのギルド門》などの多色土地を確保できていればタッチすることが可能です。

 そのため、それらは序盤にピックしたとしてもギルドを決めることにならなく、非常に受けが広いカードと言えます。

 早い手順でマナ域の高いクリーチャー、タッチしうる除去などをピックしていき、一周してきた低マナのカード、具体的には《黄昏の豹》であればオルゾフベース、《スライム縛り》であればアゾリウスベースにするという方針です。

緑、ラクドスをやるのはルールを決めて

 私は緑に対して他のプレイヤーほどの抵抗感はありません。

 グランプリ・メンフィスから前乗りしていて、毎朝ドラフトをしていたことから緑は共通認識で不人気色、かつピックして来ないことを実感したためです。

 ただ、抵抗感がないだけで抵抗はあります。

 具体的なルールとしては初手で取って良いコモンアンコモンは《トロール種の守護者》、《激昂した角獣》、《ヒレバサミダコ》、《エリマキ神秘家》の4枚。

 2手目以降で流れてきたら取って舵を切る可能性のあるカードは上記の4枚プラス《ザル=ターのゴブリン》、《引き裂くシャーマン》の計6枚。

 コモンから参入することは卓上で混み合うリスクがあるので避ける事にしました。

 ラクドスは避ける路線がより顕著で、初手で取っても良いカードは基本的にゼロ。

 パックの状況次第で《ラクドスの火輪使い》、《ハックロバット》を初手に取ることもやぶさかではないですが、基本的にはそれらが流れて来てから参入したところです。

門はやらない

 今回は門デッキはピックしないことにしました。

 理由は以下。

  • 門の卓上での点数が不明

 門デッキにすることにしたら《グルールのギルド門》などを優先順位として高めにピックすることはもちろんですが、やはり8手目以内でなくなってしまうと手順を損してしまう可能性があり、完成度は下がる傾向にあります。

 ミシックチャンピオンシップはハイレベルなトーナメントですから、門デッキを十分に認知しているため他のプレイヤーと被る可能性がある、安定性を求めて他のトーナメントよりも門の評価が高くなる可能性があることが予想されました。

 卓上で混んだり、門が取れなかったりすると門デッキは一転して0-3デッキになり得るので、卓の傾向が掴めない今回はリスクの高さが目立ちます。

  • 自分自身の門デッキの経験値が足りていない

 それプラス、自分の門デッキへの造詣の浅さが門ピックをしない方針にさせた決め手です。

 練習段階でも門スキーなプレイヤーが卓に一人はいて、なかなか出来ず経験値が積めませんでした。

 門ピックを行ったプレイヤーにいろいろ話は聞いていたのですが、門を10枚前後ピックする関係上、手順、手損はデッキ構築に関わる大きな問題で、その細かいディテールを突き詰められていない状態で本番に挑むことは危険です。

 それと、門スキーがそのように存在し続けたことはイコール本番でもそういうプレイヤーがいても不思議ではない、最初の理由である門の卓上での点数が不明に繋がる要素だと考えました。

 以上3つの方針を携えてミシックチャンピオンシップに挑むことにしました。


1.初日

ドラフトラウンド
市川 ユウキ
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 1stドラフト / 『ラヴニカの献身』ブースタードラフト (2019年2月22日)[MO] [ARENA]
7 《
6 《
1 《
1 《グルールのギルド門
1 《シミックのギルド門

-土地(16)-

3 《縄張り持ちの猪
1 《一族のギルド魔道士
1 《砂利皮のゴブリン
1 《成長室の守護者
1 《ザル=ターのゴブリン
1 《尖塔に忍び寄るもの
2 《棘輪の曲芸
1 《短剣使い
1 《激情のエイリンクス
1 《ヒレバサミダコ
1 《引き裂くシャーマン
2 《瓦礫帯の世捨て人
1 《暴れ回る裂き角
1 《トロール種の守護者

-クリーチャー(18)-
1 《開門
1 《石のような強さ
1 《活力の贈り物
1 《剛力の殴り合い
1 《批判家刺殺
1 《猪の祟神の炎

-呪文(6)-
  • 第1回戦 白青 ○○
  • 第2回戦 バント ×○○
  • 第3回戦 白青 ○××

 1stドラフトはグルールで2勝1敗。

 極力やりたくはないと述べていたグルールですが、ルールに収まっていたのであればやらざるを得ません。

 初手は《トロール種の守護者》《組織のギルド魔道士》以外パッとしないパックでしたし、

 2手目は2手目以降なら取っても良い《引き裂くシャーマン》か、プレイしないことにした門デッキの核である《門の巨像》であれば、《引き裂くシャーマン》をピックすることになるでしょう。

 1パック目の7手目で《一族のギルド魔道士》、2パック目の6手目で《ザル=ターのゴブリン》が流れて来るなど、どうにもグルールは卓に私以外いなさそうです。

 ただ、見ての通り数手分カードが足りていない、《棘輪の曲芸》などはやはり極力入れたくないものです。

 私の予想では、マルチカラーの流れ方的にグルールは私だけだが、緑と赤は卓で取り合っている。

 逆に最強ギルドたるオルゾフは恐ろしい流れ方をしていました。

 1パック目の9手目に《組織のギルド魔道士》、10手目にもう一回《組織のギルド魔道士》。

 その後も2パック目の9手目で《昇華 // 消耗》や、一周以上で《最後の支払い》や《傲慢な支配者》などがビュンビュン流れてきます。

 その流れは3パック目も変わらずで、2パック目まではその流れ方に恐怖していましたが、逆にここまで一貫して流れているのであれば、もしかしてオルゾフは卓にいないのではないかと考えるようになりました。信じ難いことではありますが。

 予想(願望とも言えます)通り、オルゾフとは当たらず青白系に3連戦。

 《協約のペガサス》や《評議会の急使》などのタフネス偏重クリーチャーばかりプレイされたので《棘輪の曲芸》が頼もしく見えました。

 3ラウンド目で当たったウィリアム・ジェンセン/William Jensenさんは、《天上の赦免》と並ぶ環境トップレアである《集団強制》を《精神純化》で使いまわす、ヘビーコントロール。

 《集団強制》以外は勝つカードは入っておらず、《ドビンの鋭感》や《スフィンクスの眼識》などのドロー呪文や、《空の縛め》、《スライム縛り》などの除去呪文。あとは《ごみ引きずり》などの壁クリーチャーで固めていました。

 これはウィリアム・ジェンセンさんの所属する「Ultimate Guard Pro Team」の戦略、シークレットテクだったようです。

 リード・デューク/Reid Dukeさんも《精神純化》をフィーチャーした青白で3勝を収めていました。

 発売してからしばらく経ったあとのミシックチャンピオンシップですから、このような隠れたアーキタイプがあったことに驚くとともに、対戦していてついつい感心してしまいました。

 またこれは余談ですが、ウィリアム・ジェンセンさんとはトーナメントでよく当たります。

 そしていつも接戦で、彼の紳士的な態度も含めて非常に楽しいゲームになります。

 彼はとても強いので、よく負けてしまうのですが、次に当たったら勝ちたいですね!

構築ラウンド

 使用デッキは「シミック・ネクサス」。

市川 ユウキ - 「シミック・ネクサス」
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 / スタンダード (2019年2月22~24日)[MO] [ARENA]
6 《
6 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
4 《天才の記念像

-土地(24)-

2 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(2)-
4 《選択
4 《成長のらせん
4 《根の罠
3 《一瞬
3 《アズカンタの探索
3 《悪意ある妨害
4 《薬術師の眼識
4 《荒野の再生
1 《予知覚
4 《運命のきずな

-呪文(34)-
4 《培養ドルイド
3 《イクサーリの卜占師
2 《アゾカンの射手
2 《生体性軟泥
2 《否認
2 《押し潰す梢

-サイドボード(15)-

 基本的に前の週に使用したグランプリ・メンフィスのリストがベースになっています。

 メインデッキに関して言えばグランプリからの変更点はマナベースのみとなります。

 メンフィスで原根さんとシミック・ネクサスをプレイしてみた感想は、6枚の確定タップインは多すぎるというものでした。

 調整のベースとなったリストに《シミックのギルド門》が2枚入っていたので、そのまま調整していたのですが、《選択》を入れることによって土地の総数を切り詰めていてタップインの土地の割合が相対的に上がっていますし、《エリマキ神秘家》を採用していない関係で色マナはそこまでタイトではなくなっていたのです。

 青マナ源は初手をキープするには必須である点、《悪意ある妨害》を適切なターンにプレイするために必要という観点から、18枚から動かせないなという印象。

 《天才の記念像》は《荒野の再生》しか引けておらずループが止まりそうなタイミングで重宝しますし、サイドボード後《予知覚》などを減らすマッチアップなどではコンボ達成の原動力となるため減らせないと判断。

 そうなって来ると緑マナ源を何枚減らせるかという考察になっていきます。

 幸いこの構成だと緑マナ源は1枚引ければ十分で、ダブルシンボルを要求して来ないので15枚ないし14枚まで減らせそうです。

 その検討の中で参考にしたのは上記のサイトです。

 このサイトは殿堂プレイヤーであるフランク・カーステン/Frank Karstenさんが推奨するマナベースの計算式(参考記事:リンク先は英語)を基に作られたサイトで、デッキリストを入れると100万回シミュレートを行って確率を出してくれます。

simic.jpg island.jpg

※画像は上記MTG On Curve Calculatorより引用

 上が《シミックのギルド門》が1枚、《》が5枚入っている時の確率で、下が《シミックのギルド門》が0枚で《》が6枚の場合の確率です。

 左から、

  • P mana|cmc:そのマナ・コストのカード分の土地をドローしている時にそのカードをプレイできる色マナがある確率
  • P mana:マナ・コスト通りの規定ターンのそのカードをプレイできる色マナがある確率
  • P play:P manaプラスそのカード自体を引けているかを考慮した確率

 となります。

 注目してほしいのは「P mana」、《成長のらせん》の確率で、なんと《シミックのギルド門》が入っている時よりも《》が6枚の方が確率が上昇しています。

 とても信じ難いことではありますが、これはつまり緑マナの総数が減るデメリットより、《内陸の湾港》が《》の増加によりアンタップインで出る可能性が上がるメリットの方が高いのではないかと考察。

 基本的にタップインを消化するターンは1ターン目と3ターン目、あと5ターン目以降とまぁまぁあるのですが、2ターン目と4ターン目にタップインをセットすることによって《荒野の再生》などがプレイできないことは致命的になります。

 そのため、《》を6枚にすると《成長のらせん》をプレイできる確率がどれくらい下がるかな~と考えて計算式に入れてみたので、ポイントが上がることに本当に驚きましたし、これなら《シミックのギルド門》は間違いなく要らないだろうと、確信を持って不採用に踏み切れました。

 ちなみにこの話には後日談があって、フランク・カーステンさんと同じくらい計算が大好きな同じく殿堂プレイヤー、三原槙仁さんに会場でこの話を振ったところ、再計算していただけました。

 どうにも上記のサイトでは《シミックのギルド門》と《繁殖池》のような手札のタイミングの時に《繁殖池》から置くアルゴリズムだったらしく、《シミックのギルド門》の価値を不当に下げていたようです。

 確率が間違っていたことは問題ですが、実際に三原さんが出した確率を見ても《》6枚の方が優れているマナベースに見えます。

 初手の土地が2枚、3枚いずれかの場合でも0.5%も変動せず、前述した4ターン目以降のアンタップインの確率が上がるわけですから、トータルで見ると《》6枚の方が優れたマナベースに感じます。

 話が脱線しましたが、本題です。

 そう、メインデッキはマナベース以外変更したいと思わないくらい満足していました。

 問題はサイドボードなのです。

 《培養ドルイド》は基本的にミッドレンジ以降のデッキに対してサイドインするアグレッシブサイドカードとして運用していましたが、テストプレイの結果、対「青単テンポ」に対しても優れているカードであることがわかりました。

 サイドボード後は《否認》などのカウンターが増え、よりこちらの呪文が通りづらくなります。

 《培養ドルイド》でマナ差を出し、こちらの呪文の方が重いながらも相手のターンエンド、こちらのメインとアクション数をしっかり取れれば、「青単テンポ」も何枚もカウンターを構えることは容易ではないため勝機が出てきます。

 そこまではすんなり決まったのですが、問題は対アグロ。

 具体的に言うと「白単アグロ」「赤単アグロ」への対策カードです。

 青と緑と絞るとプールも狭くなるため、思いつくものは片っ端から試していきました。

 《群棲する猛竜》や《高地の獲物》など、リミテッドかな?と勘違いするカードまで。

 さまざまなカードを試しに試して、すべてのカードが有効的でないと気付いたのは前日の夜。デッキリスト提出のタイミングです。

 そりゃあ当たり前と言えば当たり前なんですが、対戦相手は《アダントの先兵》や《遁走する蒸気族》など、選りすぐりの構築級カードを繰り出しているのに、こちらがリミテッドカードをプレイしていて、抑え込めるわけがないんです。

 白単、赤単にどうやっても勝てない。と気付いた頃には時すでに遅し。

 こういう時に乗り換える船が用意されているのがチーム調整のメリットなのですが、今回は私たち「シミック・ネクサス」班が苦しんでいたのと同じように、チーム全員大苦戦。

 どれも突出しておらず、チーム内で優れた成績を収めているデッキは存在しませんでした。

 下した決断は「シミック・ネクサス」の使用。

 ネガティブな決断になってしまいましたが、白単、赤単が少ないのであれば、もしくはマッチングしなければとても優れた決断にもなり得ます。

 最終的に0/3キャントリップか1/4諜報1、どちらのモードでもアグロには強そうな《イクサーリの卜占師》に思いを乗せて、決戦の地クリーブランドに出発することにしました。

  • 第4回戦 エスパー・コントロール ○○
  • 第5回戦 グリクシス・ミッドレンジ ○×○
  • 第6回戦 青単テンポ ××
  • 第7回戦 赤単アグロ ××
  • 第8回戦 スゥルタイ・ミッドレンジ ○××

 構築2勝3敗、トータル4勝4敗で2日目へ。

 2ラウンド続いて得意な3色デッキとマッチングして連勝するも、そこから単色デッキに順当に負け、最後「スゥルタイ・ミッドレンジ」に不運も重なり、3連敗してしまいました。


2.2日目

ドラフトラウンド
市川 ユウキ
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 2ndドラフト / 『ラヴニカの献身』ブースタードラフト (2019年2月23日)[MO] [ARENA]
7 《
5 《平地
1 《
1 《アゾリウスのギルド門
1 《オルゾフのギルド門
1 《ギルド門通りの公有地

-土地(16)-

2 《プテラマンダー
1 《フェアリーの決闘者
1 《評議会のギルド魔道士
1 《評議会の急使
1 《速足ウツボ
1 《予見のスフィンクス
1 《尖塔の霊
1 《アゾリウスの騎士判事
1 《冷気をもたらす者
1 《アゾリウスの空護衛
1 《債務者の輸送

-クリーチャー(12)-
1 《最後の支払い
1 《大司法官の扉
1 《火消し
1 《可能性の揺らぎ
1 《スライム縛り
1 《ドビンの鋭感
1 《オルゾフのロケット
1 《思考崩壊
2 《スフィンクスの眼識
1 《解任 // 開展

-呪文(11)-
  • 第9回戦 5色 ○××
  • 第10回戦 白黒 ○○
  • 第11回戦 白青 ××

 2ndドラフトは1勝2敗。

 2ndドラフトは、1パック目の2手目が最大のターニングポイントだったように思えます。

 初手は文句なしのグッドカード《予見のスフィンクス》で良かったのですが、2手目でその青の流れを引き継ぐ《プテラマンダー》か、ラクドスに入っても良いカードとルール設定している《ラクドスの火輪使い》か。

 ここでの問題点だったのは《プテラマンダー》のリミテッドでのカードパワーを測りかねていたこと。

 《ラクドスの火輪使い》の方がリミテッドで優れたカードなのは間違いないですが、それと比べてどれくらいの差があるのかこのタイミングでわかっていませんでした。

 そのため青の流れを引き継ぐことを加点として《プテラマンダー》をピックしたのですが、ここは間違いだったかなと感じています。

 その後3パック目でも2枚目の《ラクドスの火輪使い》が流れて来るなど、ラクドスの流れは良く、逆に青の流れは悪く、非常に中途半端なデッキになってしまいました。

構築ラウンド
  • 第12回戦 スゥルタイ・ミッドレンジ ○××
  • 第13回戦 赤単 ××

 気を取り直して構築ラウンド~と行きたいところでしたが、立て続けに2連敗。トータルで8敗してしまい、プロポイントの加点がなくなってしまったため、あえなくドロップ。

 2日間合わせて単色デッキに0勝3敗、スゥルタイ・ミッドレンジに2敗してしまった部分に関しては不運もあったなと感じていますが、それ以外の負けに関して言えば練習通りの結果と言えます。

Michael Bonde - 「シミック・ネクサス」
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 6位 / スタンダード (2019年2月22~24日)[MO] [ARENA]
6 《
4 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
2 《シミックのギルド門
4 《天才の記念像

-土地(24)-

2 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(2)-
4 《選択
4 《成長のらせん
4 《根の罠
3 《一瞬
3 《アズカンタの探索
3 《悪意ある妨害
4 《薬術師の眼識
4 《荒野の再生
1 《予知覚
4 《運命のきずな

-呪文(34)-
3 《培養ドルイド
1 《僧帽地帯のドルイド
3 《アゾカンの射手
1 《ハイドロイド混成体
2 《生体性軟泥
1 《原初の潮流、ネザール
2 《否認
2 《押し潰す梢

-サイドボード(15)-

 結果が出てみると、メインデッキはグランプリ・メンフィスの私たちの60枚コピーであるリストがトップ8に入賞していたり、

Hosokawa, Yuya - 「シミック・ネクサス」
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 スタンダード部門 9勝1敗 (2019年2月22~24日)[MO] [ARENA]
6 《
4 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
2 《シミックのギルド門
4 《天才の記念像

-土地(24)-

3 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(3)-
4 《選択
4 《成長のらせん
4 《根の罠
3 《アズカンタの探索
2 《一瞬
4 《悪意ある妨害
4 《薬術師の眼識
4 《荒野の再生
4 《運命のきずな

-呪文(33)-
2 《僧帽地帯のドルイド
3 《アゾカンの射手
3 《生体性軟泥
2 《否認
3 《押し潰す梢
2 《原初の呪物

-サイドボード(15)-

 メインデッキは2枚の変更、サイドボードも概ね私たちのリストを踏襲しているリストが9勝1敗だったりと、ことリストに関して言えば私たちが調整した「シミック・ネクサス」はそれの完成系として世界に受け入れられたように感じます。

 問題点として、前の週のグランプリで使用者2人ともそこそこに勝ってしまい、世の中にリストが出てしまったこと。

 それによって使用者も増えますし、それを予想してクリティカルなサイドカードが増加します。

 こういうコンボデッキだとそういうカードがサイドに3枚なのか、それとも4枚なのかは大きく勝率に関わってきますからね。メタゲームに非常に敏感なのです。

 かと言ってグランプリ・メンフィス2019に出ずにこのデッキでミシックチャンピオンシップに出られたかというとそれもまた疑問です。

 私たちはグランプリ・メンフィスで好成績を残したからこそこのデッキに手応えを感じたのであって、それまで正直良くわからない状態でプレイしていたに過ぎず、グランプリに出ずにミシックネクサスをプレイできたかと言われると否だからです。

 そのためにはより密度の濃い、精度の高いチーム練習が必要になってきますが……これ以上は話が長くなるため割愛することにします。


3.まとめ

 今回は8敗ドロップによりプロポイントの加点なしと、最低の結果となってしまいました。

 次回のミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019はシルバー権利を行使して出場できるとはいえ、次々回のミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019への出場権利を現在有していないため、暗雲が立ち込めます。

 今回は私含むチーム『武蔵』は大ゴケで、プロポイントの加点をできたのは八十岡翔太さんの6点のみと、惨憺たる結果となりました。

 次のミシックチャンピオンシップ終了時にチームシリーズリーダーボードで上位8チームだとバルセロナの権利をもらえるのですが、大ゴケした武蔵は大きく順位を落とし現在7位と、次の結果次第ではトップ8から落ちてしまいます。

 チームメイトに甘えるな!と天からの声も聞こえてきそうですし、次の記事の時にはバルセロナまでの権利を確定させておきたいところです!


 今回の記事、いかがだったでしょうか。

 それでは次回の記事でお会いしましょう。

 ではまた~

市川

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