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週刊デッキ構築劇場

第19回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・塚本の臨死体験

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週刊デッキ構築劇場

2011.06.30

第19回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・塚本の臨死体験

演者紹介:塚本 樹詩

 関東の草の根を中心に独創的なデッキ構築で知られるデッキビルダー。2009年のプロツアー・ホノルルにて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられる。
 プレミアイベントでの大きな戦績は無いが、玉石混淆アイディア先行のデッキを数多く試す事や、多くの人に笑いか失笑を与える語り口から『試行落語(トライ&テーラー)』として、畏怖されている。
 2009年度Player of The Yearの渡辺 雄也は自宅アパートの二軒隣に住んでいる関係から非常に親交が深く、渡辺の三次元の嫁、《渡辺の信奉者》と呼ばれることも。
 代表作は、栗原 伸豪が危うくプロツアーで使う所だった《ルーン炎の罠》入り新型ハウリングオウルや、渡辺大絶賛の《山賊の頭の間》バーンなどだが、むしろ今後の代表作に期待したい逸材。


 ふぃーらーまー・・・りっどおおおおおおお!

 突然ですが私はミラディンに観光に来ています!

 綺麗な金属が特徴の清純なる次元だって聞いたんですが、つい最近うっかり《ファイレクシア化》してしまったらしくて、180度逆な世界でした。
 屋台では《ぎらつく油》で揚げた唐揚げなんかも売っていたのですが、僕にはとても食べられなさそうな代物でした。

 どうやら僕にはφ力が足りないようですね。
 でも僕はミラディン派なので問題ナッシング!

化膿獣 頭の悪そうな《化膿獣 「あぁん?ミラディン派?にーちゃんちょっと来いや。」

塚本 「え?あ・・・ちょっと!」

 なんてアンラッキーな事でしょう。裏路地に無理やり連れて来られました。

化膿獣 頭の悪そうな《化膿獣 「にーちゃん、あんたも《ファイレクシア化》しちゃおうぜ。」

塚本 「えっと、僕はワタナベ教なのでごめんなさい!」

 こういう時は逃げるに限ります。

毒の屍賊 筋肉隆々な《毒の屍賊 「オイ!ドコニイクンダ!」

 何ということでしょう。
 反対側の入り口を仲間が塞いでいたようです。

 これは挟み撃ちって奴ですね!
 俗に言わなくてもピンチ!どうなる構築劇場!

毒の屍賊 筋肉隆々な《毒の屍賊 「ゴチャゴチャウルセーゾ!」
化膿獣 頭の悪そうな《化膿獣 「おっし、やっちまうぞ!」

塚本 「あ~れ~」

 塚本は9個の毒カウンターを得た。

化膿獣 頭の悪そうな《化膿獣 「今日はコレ位にしといてやる。」

塚本 「メ・・・メリーラさん・・・バタ」

 塚本は目の前が真っ暗になった。


謎の声 「起きなさい・・・塚本・・・起きなさい?」

塚本「うぅ・・・メリーラさん・・・?」

謎の声 「いいえ、違うわ、《リサトグ》よ」

塚本「うぅ・・・こんな状態でそのビジュアルは辛いよ・・・」

リサトグ リサトグ 「失礼な!上半身だけ食べるわよ? そんな事はどうでもいいの、あなたはこの体験を機に新しいデッキを作ります。」

塚本「こんな状態で作れるのでしょうか?」

リサトグ リサトグ 「《胆液の鼠》連れてくるわよ?」

塚本 「あー!やります、作ります!作らさせていただきます!」

リサトグ リサトグ 「ご褒美にM12という素晴らしい基本セットをあげるわ。これで次回はもっと楽しいデッキが組めるはずよ。それでは頑張りなさいね。」

塚本 (これとは関係なく、発売されるからご褒美ではないのでは...)

 塚本は再び目の前が真っ暗になった。


 散々な目に遭いましたね。どんな治療を施しても毒カウンターは取れないし困りました。
 まさにミラディンでの体験は《臨死体験》でした。

 長い前置きがありましたが、今日のデッキはそう、《臨死体験》デッキです!

 実はエルドラージ発売当初に構築劇場用に《臨死体験》を使ったデッキを作ったのですが、あまりの弱さに絶望してお蔵入りになったというエピソードがありまして。

 しかし今回の新たなるファイレクシアがもたらしたあるメカニズムによって、それも激変しました!

 それではデッキレシピから。

「φなる・あぷろーち」[MO] [ARENA]
4 《平地
3 《
4 《セジーリの隠れ家
4 《金属海の沿岸
4 《氷河の城砦
4 《ファイレクシアの核

-土地(23)-

4 《呪詛の寄生虫

-クリーチャー(4)-
4 《永遠溢れの杯
1 《オパールのモックス
4 《定業
4 《胆液の水源
3 《マイコシンスの水源
2 《乱動への突入
4 《清純のタリスマン
3 《転倒の磁石
2 《予感
4 《臨死体験
2 《精神隷属器

-呪文(33)-
4 《前兆の壁
3 《刃砦の英雄
4 《神聖の力線
4 《審判の日

-サイドボード(15)-

 そうです、ファイレクシア・マナを沢山支払ってライフを1にして《臨死体験》で勝利!

 このデッキを使う時に気にして欲しいことは、現在の自分のライフが奇数か偶数か、ということです。
 ライフが偶数だと、いくらファイレクシア・マナを支払ってもライフは1にならないので、ライフを調整するカードを使いましょう。

 《清純のタリスマン》と《ファイレクシアの核》の2種類を運用していくのですが、後者はアーティーファクトが無いと使えないので《胆液の水源》や《マイコシンスの水源》で美味しく活用しちゃいましょう。

 カウンターの無くなった《転倒の磁石》に対しても使えるのでいい感じです。

 ライフを奇数にできなさそうな時は「相手の力も借りちゃおう」的に《精神隷属器》を活用しちゃいましょう。

 うっかり相手がファイレクシア・マナを支払えるパーマネントをコントロールしてる場合は、そのまま勝ってしまうこともあります。

 これらのカードをうまく駆使してギリギリの勝利、《臨死体験》を堪能しちゃいましょう!


 しかし、赤単系にはめっぽう弱いのでサイドボードの《神聖の力線》は必須。

 クロックの早いデッキには《前兆の壁》と《審判の日》。

 そして、みんな大好き?《刃砦の英雄》。

 《転倒の磁石》や《乱動への突入》を駆使して、英雄ビートをするのもいいでしょう。
 最近のマイブームがただ単に《刃砦の英雄》なので、ここは皆さんの好きなスロットに変えていただいても構いません!


 このデッキはあくまで《臨死体験》に勝ち手段を絞った形ですが、 黒を足して《ボーラスの工作員、テゼレット》を入れたり、

 緑を足して《シルヴォクののけ者、メリーラ》+《ファイレクシアの非生》のロックを決めたりするのもいいでしょう。


 新しいセットの発売によって、今まで使いたかったのに使えなかったカードが一気に日の目を見ることがあるのですが、《臨死体験》のように、自分だけのカードと言えるカードを新セット発売のたびに見つめ直すのも一つの楽しみ方なのではないでしょうか!

 そして、もうすぐその基本セット2012の発売とともにその機会がやってくるので、皆さんも自分だけのカードと再び対話してみるのはいかがでしょうか?

 それでは今回の構築劇場はここらへんで!

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