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週刊デッキ構築劇場

第4回:鍛冶友浩のデッキ構築劇場・《激戦の戦域》

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週刊デッキ構築劇場

2011.02.24

第4回:鍛冶友浩のデッキ構築劇場・《激戦の戦域

演者紹介:鍛冶 友浩

 『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダー。主な戦績は、プロツアー・チャールストン優勝・世界選手権05トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州05優勝など。
 現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、現役時は多くの練習と、レベルの高い理論により、多くのプレイヤーから信頼されていた。特に、齋藤 友晴や森 勝洋との交流は有名であり、当時の彼らの成績に一役買っていた。
 スクラップ&ビルドを繰り返し、練習時に欠点を洗い出した上で、独創的な方法で克服した練度の高いデッキを構築することから、『欠点の破壊者(クラックスミス)』の二つ名がある。
 代表作は、Rage against the Machine・セプターチャント(北九州の形はモリカツ型と呼ばれるが、メインの構築者は鍛冶)・ストラクチャー&フォース他多数。
 現在、mtg-jp.comにて火曜日に『鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」』を週刊連載中。


 みなさんは新しいセットのリストが公開されたとき、まず何を探しますか?

 例えば、青が好きな人は打ち消し呪文や、ドローカードといったところに目が行ってしまったり、赤好きならば火力だったりするのでしょうか。

 そんな時に、僕は必ずリストから土地を探すことが多いです。

 なぜなら、マジックというゲームには「事故った」という言葉があるように、不運から十分なマナに恵まれないだけでゲームに敗北したりしてしまう要素があります。
 そんなことは当然誰だって嫌で、その確率を少しでも下げるためにデッキのマナ基盤を構築するものです。
 マナソースの基本が5つの基本土地から始まるというのは、このゲームを始めるにあたり皆さんが通ってきた道だと思いますが、それ以外の土地もまた非常に重要です。

 例えばゼンディカーブロックには、《精神を刻む者、ジェイス》とのシナジーも強烈な《霧深い雨林》を代表とする対抗色のフェッチランドサイクルに、それだけ単体でゲームに勝てるほどのパワーを持った《天界の列柱》といったミシュラランドサイクルがありました。

 もちろんこの2種だけではないですが、スタンダードの使用率からもわかる通り、2色マナの供給を安定させる効果に加え+αが付いてくるカードはとても魅力的ですね。

 そう、良い土地はデッキ構築の幅を広げるばかりか、プレイの選択肢まで与えてくれるのです。


 では、新セットのミラディン包囲戦にはどんな土地があったでしょうか?

 《墨蛾の生息地》と《激戦の戦域》です。
 これらは上に出てきたカード達とは違い、色マナ供給には貢献しませんが、逆に色マナを能力に必要としないのでどんなデッキにも入れることができます。

 《墨蛾の生息地》は《ちらつき蛾の生息地》の再来と言われ、感染を持っているために10点の毒でゲームに勝つことができます。

 これは本連載第1回「清水直樹のデッキ構築劇場」で紹介されていたように、スタンダードでは《ボーラスの工作員、テゼレット》、レガシーでは《行き詰まり》といったカードとのシナジーで構築環境にかなりの影響を与えたのではないでしょうか。


 それではもう一枚の土地、《激戦の戦域》はどうでしょうか?

 前回の第3回:伊藤敦のデッキ構築劇場・『喊声と英雄』で喊声がフィーチャーされていましたが、このカードをよく読めば『喊声』によく似た能力を持っていることがわかりますね!

 戦闘で相手にコントロールを奪われてしまうかもしれませんが、どうやったらうまく使えるんでしょうか?

{1},{T}:攻撃クリーチャーはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。

 この起動型能力を活かすために、とにかくアタッカーの数を増やすことが重要になってきます。

 もちろん、トークンを生み出すカードとの相性はいうまでも無いですが、《白の太陽の頂点》といったカードでは重過ぎ、そもそも2/2をX体では1枚のカードで勝ててしまうため《激戦の戦域》である必要が全くありません。

 そこで、より軽く、よりアグレッシブな前のめりのカード選択をしてみたいと思います。

 みなさんご存知の通り、《カルドーサの再誕》や《壊滅的な召喚》という複数のクリーチャーを生み出すカードに《ゴブリンの奇襲隊》が入った「ゴブナイト」というデッキがあります。

 このデッキに《激戦の戦域》を入れるだけも十分に活躍の場があると思いますし、そのコンセプトは「ミラディン包囲戦 イベントデッキ」の『突破口』で実現されています

 しかし、3ターン目に{R}{R}{R}が必要なシチュエーションがあることを考えると、十分な《》がデッキに入れられなくなることが少し気がかりではあります。

 そこで、今回は白くて軽いトークン製造クリーチャー、《マイア鍛冶》を中心にデッキを構築してみたいと思います。

 このカードは、アーティファクトを唱えた時に追加のマナを支払うことがのトークンを生み出す条件になっています。

 つまり、とにかく軽いアーティファクトを大量にデッキに入れなければ活躍を期待出来ないのですが、みんな大好き《メムナイト》に、親和デッキを思い出させる《羽ばたき飛行機械》が{0}マナなのでこの条件にぴったりあてはまるのではないでしょうか。《激戦の戦域》との相性も抜群にいいですしね。

 そして白といえば《十字軍》《栄光の頌歌》。その系譜を継ぐ《鍛えられた鋼》でクリーチャーを強化する戦略を忘れてはなりません。


 このカードの存在からデッキの方針は固めるのは簡単です。

 というストーリーは、容易に想像できると思います。


 この動きをもっと滑らかにするためにはどんなカードが必要でしょうか?
一番気になるのは、高速のビートダウンを作りたいのに1ターン目の動きが決まっていないことですね。
 初動《メムナイト》でも仕方ないですが、せっかくのマナを有効に使えないのは問題です。

 一般的な白いクリーチャーデッキ、《聖なる秘宝の探索》を中心に構築したものの場合では、「探索」を進めるため《きらめく鷹》や、《コーの空漁師》といったカードで《メムナイト》などの軽量クリーチャーを回収し、再プレイするテクが採用されています。

 今回はデッキのマナ域を出来るだけ下げたいという観点から、《きらめく鷹》のアイディアだけをここから流用したいと思います。

 このカードで《マイア鍛冶》の能力を誘発させるタイミングを増やすだけでなく、0マナアーティファクトを組み合わせれば第1ターン目の動きもよくなり、ダメージクロックも高く最良の選択ではないでしょうか。

 さらに、自分の注目しているカードの1枚である生体武器の《皮剥ぎの鞘》のテキストをよく読んでみてください。

 これは、1マナの装備品でありつつ0/0トークンを生み出します。

 つまり、少なくとも1マナ1/1の働きはしてくれるわけで、《マイア鍛冶》と《きらめく鷹》とのシナジーのことを考えれば最低限の活躍は安定して期待できるのではないでしょうか?

 さらに、先日のプロツアー・パリで大活躍だった《石鍛冶の神秘家》でも《皮剥ぎの鞘》でこの装備をサーチできるので、これはコストもサイズも、能力も半分になった《イーオスのレインジャー》のような動きですね。

 もちろん、《肉体と精神の剣》もデッキに1枚入れることは忘れてはいけません。

 また、もう1枚のMBS注目カードである《信号の邪魔者》は、自身のパワーこそ0なものの1マナで『喊声』をもっており、かつ低マナのアーティファクトなので《マイア鍛冶》とのシナジーは抜群です!

 ただ、これも1マナのカードなのに1ターン目に唱えたいカードではないので、金属術で《野生のナカティル》と同じスペックになる《献身的な補充兵》を入れてみましょう。

 追加の1マナ圏としてはまだアーティファクト採用枚数でパワー不足な気がしますが、まだ枠は余っていますので、これから増やして行きましょう。

 そこで、アーティファクトの追加として、盤面が膠着してしまった時に状況を打開擦る可能性を秘めた《鋼の監視者》を使ってみてはどうでしょうか。
自身は1/1ですが、一度アクティブになれば、2/2,3/3とあっという間にサイズが膨れ上がっていきますし、周りにアーティファクトクリーチャーがいればさらに強力になります。

 そして最後に、土地を少し切り詰めての《オパールのモックス》!

 普通のデッキの場合、こうやって土地を切り詰めることは不可能ですが、既に大量に軽量アーティファクトを採用しているので、3枚目として場に出すことはかなりの確率になると思います。

 《マイア鍛冶》用の0マナアーティファクトはこれで11枚になりますし、トークンで金属術を達成することもあります。


 では、デッキをみてみましょう。

「白兵戦の戦域」[MO]
14 《平地
4 《激戦の戦域

-土地(18)-

4 《メムナイト
4 《羽ばたき飛行機械
4 《献身的な補充兵
4 《きらめく鷹
4 《信号の邪魔者
4 《マイア鍛冶
4 《鋼の監視者
2 《石鍛冶の神秘家

-クリーチャー(30)-
3 《オパールのモックス
4 《皮剥ぎの鞘
1 《肉体と精神の剣
4 《鍛えられた鋼

-呪文(12)-
4 《コーの火歩き
4 《レオニンの裁き人
3 《凶運の彫像
3 《転倒の磁石
1 《饗宴と飢餓の剣

-サイドボード(15)-


 サイドボードのプランですが、今回は単色ということもあり無難なカードが15枚採用しました。

 メインのカードが前のめりのクリーチャーばかりなため、中途半端なカードの選択や大量のカード変更はデッキのバランスが崩れてしまうのが難点です。

 そのため、対赤に《コーの火歩き》、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》には《レオニンの裁き人》といった分かりやすいカードを選択してみました。

 また、《オパールのモックス》を使ったデッキということで、SOMの《金属海の沿岸》や《剃刀境の茂み》、ZENの《乾燥台地》か《湿地の干潟》での2色をスプラッシュするプランもあります。

 例えば、《金属海の沿岸》からサイドボードに《統一された意思》をタッチするという構築になります。


 以上で僕のデッキ構築劇場はおしまいです。

 出来るだけ新しいカードを使うことを意識しましたが、みなさんは《激戦の戦域》からどんなデッキを構築しますか?

 それではまた、週刊連載で!

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