EVENT COVERAGE

プロツアー『カラデシュ』

観戦記事

決勝:八十岡 翔太(日本) vs. Carlos Romao(ブラジル)

by Masami Kaneko

2016年10月16日


 一体誰が、この決勝戦の組み合わせを予想しただろうか。一体誰が、こんな結末を想定していただろうか。


 2016年、秋。プレインズウォーカーたちは、『カラデシュ』の世界を訪れた。人々は、そしてプレインズウォーカーたちは、さまざまな「発明」を行い、そしてこのスタンダードの世界の明日を発明ひらいた。

 多くのプレイヤーが、この新たなるスタンダードをこう形容していた。「まるで、モダンのようだ。」

 いわく、「攻めが多角的過ぎる。」 いわく、「やりたいこと押し付けたほうの勝ち。」 いわく、「受けるカードが弱すぎて、全部は受けきれない。」

 そして同じように口を揃えたのは、「この環境、コントロールは無理」。それが、彼らの結論だった。

 一面ではそれも間違っていなかっただろう。確かに、環境はアグロとコンボ、遅くともミッドレンジまでで埋め尽くされた。《霊気池の驚異》を中心に据えたコンボ系デッキ、機体を中心に据えたアグロ、さまざまなミッドレンジ。

 しかし、コントロールを、全てを受け切る覚悟を捨てなかったプレイヤーが、ごくわずかではあるが存在した。そして、このプロツアー『カラデシュ』の決勝戦。その席についた2人は、まさにそれを諦めなかった2人だった。

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 一人は、日本の八十岡翔太。昨年マジック・プロツアー殿堂入りした八十岡は、大のコントロール・フリークとして知られている。今回もまたオリジナルのグリクシス・コントロールを組み上げてプロツアーに参戦。その決意は、彼のTwitterでも語られていた。

 そして今、実際に彼は全てを受け止め、この決勝戦の席に座っている。

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 一人は、ブラジルのカルロス・ロマオ/Carlos Romao。2002年、《サイカトグ》全盛期の世界選手権覇者であり、コントロール使いの名手だ。このプロツアーの前の週のグランプリ・アトランタ2016も優勝し、そして今、2週連続でのトロフィー獲得を目前にしている。

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 2人の名手。お互いにコントロールの使い手。そんな彼らの攻防は、ライブラリーに手をかけるその前から始まった。

 先攻か?後攻か?マジックにおいて常に話題になる問いであり、その選択権があることはすなわち「有利」とされている部分だ。決勝ラウンドに2位で進出した八十岡は、この決勝戦という大一番で、先攻か後攻かを選択する権利がある。その分、少し有利である、といえるのだろう。

 そして、八十岡は宣言する。「後攻」、それが八十岡の選択だった。

ゲーム1

 お互いに土地を並べていく静かな立ち上がり。後攻2ターン目の《氷の中の存在》からゲームは動き出す。八十岡が《予期》を唱えたところで、ロマオは《霊気拠点》によるエネルギーも合わせて《蓄霊稲妻》で対処。盤面には静寂が訪れた。

 八十岡、しかしこの隙に《苦い真理》で3枚のカードを補充し、カード枚数で優位に立つ。2枚目の《氷の中の存在》から《精神背信》で仕掛けるが、これには《虚空の粉砕》。ロマオも負けじと《天才の片鱗》でカードを増やしにいくが、ここで八十岡の《秘密の解明者、ジェイス》が着地してしまう!

......が、ここまではロマオも織り込み済み。《隔離の場》がこの《秘密の解明者、ジェイス》と《氷の中の存在》を同時に対処した。

 ふたたび訪れた静寂。三度、八十岡の《氷の中の存在》。これに対しロマオは《天才の片鱗》で応え、《氷の中の存在》も《蓄霊稲妻》。盤面は動かない。

 次に動いたのはロマオだった。八十岡のターン終了時に、《奔流の機械巨人》。八十岡はこれを咎めず、《天才の片鱗》が墓地より再びロマオにカードをもたらす。この《奔流の機械巨人》には《蓄霊稲妻》と《流電砲撃》で対処。カードに関する攻防はあったが、結局盤面はイーブンのままだ。次のロマオの仕掛け、《大天使アヴァシン》もまた《蓄霊稲妻》が一蹴。お互いに勝ち手段を潰し合う、コントロール同型らしい対決。

 と、ここでロマオ、八十岡のライブラリーの枚数を確認。「コントロール同士なら、ライブラリーアウトは最初から視野に入れる」とは八十岡の弁だが、ロマオももちろんその点を抑えている。お互いに枚数を数えて、ここで八十岡は24枚、ロマオは30枚。

 ライブラリーの枚数が多く、勝ち手段さえ抑えきればいいロマオ。何か動かなくてはいけない八十岡。ロマオのターンエンドに、《奔流の機械巨人》から仕掛けていく。この《奔流の機械巨人》は通り、《天才の片鱗》がふたたび唱えられるが、この《奔流の機械巨人》は《鑽火の輝き》が存在する以上攻撃には行けない。いつの日か、攻撃できる時を待ち、盤面ににらみを利かせる。

 ふたたび八十岡のライブラリーを数えるロマオ。残り18枚。一方のロマオは25枚を保持しており、それを確認のうえ《予期》を唱える。ドロー強化呪文はまさに命を削る呪文になったのだ。

 そしてロマオが、貴重な勝ち手段である《奔流の機械巨人》に対処するべく《燻蒸》を唱える。現状脅威なわけではないが、徹底的に勝ち手段を潰していく構えだ。それに対して、これを維持しなくてはいずれ負けてしまう八十岡。《虚空の粉砕》で打ち消したうえで、さらに《奔流の機械巨人》を唱えプレッシャーをかけようとする。

 もちろん、ここまで手札を貯めたロマオに対処手段が無いわけがない。さまざまな選択肢の中から何で対処するのが一番か検討したうえで、これに対して《即時却下》。八十岡は《虚空の粉砕》で応戦。ロマオもまた、それに《虚空の粉砕》を打ち返す。

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 だが、ここで八十岡の《儀礼的拒否》が炸裂! 《停滞の罠》で片方の巨人こそ対処されるが、この攻防でロマオのマナはほとんど残っていない。

 そして八十岡が、ついに攻撃に移った。あの八十岡翔太が。

 こと攻撃と防御の切り替え、という点において、八十岡翔太の判断力は世界最高といって差し支えないだろう。《さまよう噴気孔》2体と機械の巨人が突撃。一挙に13点のライフを削り取る。八十岡翔太が、コントロール同型対決で攻撃に移った。それはすなわち、ゲームの着地点が見えているということだ。

 一転して、盤面への対処を迫られるロマオ。まずは《ドビン・バーン》が《奔流の機械巨人》の力を弱めるが、八十岡は《天才の片鱗》、さらには《苦い真理》で手札を強化。ライブラリーではなくロマオのライフに照準を合わせ、それに必要なカードを集めていく。

 そして八十岡は《奔流の機械巨人》とともに《さまよう噴気孔》2体をクリーチャーにし、ふたたびロマオに攻撃。盤面に存在するプレインズウォーカーには目もくれず、ひたすらにロマオのそのライフを狙っていく。

 この攻撃に対して、期待通り《大天使アヴァシン》で応えるロマオ。八十岡は既に4点を超える《流電砲撃》で撃ち落とそうとするが、ロマオは《即時却下》でこれに応えた。いや、これに対して応えてしまった。

 見事にカウンターをあぶり出した八十岡。本命の《無許可の分解》が、イニストラードの空を舞うはずだった天使を撃ち落とし、その攻撃はロマオのライフをも削り落としたのだった。

八十岡 1-0 ロマオ

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 八十岡翔太は練習しない。

「このイベントに向けてどんな練習をしてきたか?」 定番ともいえるこの質問に対して、八十岡の回答は常に「していない」だ。だがしかし、それは一般的な「自分のデッキを使って、それを回して、調整する。」といった練習をしないという話だ。確かに、八十岡がデッキを作るのは決まってイベントの直前であり、それならば、上のような一般的な「練習」をしないというのも必然である。

 八十岡翔太は直前までデッキを作らない。

 それは、直前まで環境の他のデッキのことを考え、どのような対戦相手が存在するかを想定する、環境把握に時間を割くからだ。ギリギリまで対戦相手のデッキを想定し、そして全てのデッキに勝てるように、全てのデッキの攻勢を受けきれるように、デッキを組み上げる。不利な相手が出るようでは二流。それが、八十岡のデッキ構築の美学だ。

 必然的にデッキができあがるのはイベントの直前となり、当然そのイベントの専用ともいえるデッキとなる。八十岡のデッキが「専用機」と呼ばれる所以だ。

 そんな独特の美学が、八十岡が考える「かっこいい」であり、どんな舞台でも、自身の考える「かっこいい」を崩さない。それこそがまさに、「かっこいい」ということだ。

ゲーム2

 ゲーム1で敗北したロマオには、ここで先攻か後攻かを選ぶ権利がある。ここでの選択は当然のように「後攻」。コントロールの名手同士の、当たり前の選択だった。

 お互いに土地を置き、そしてドロー強化呪文で手札を整理していく、コントロール同士の立ち上がり。長い長い準備期間を経て、ターンエンドに《奔流の機械巨人》からロマオが仕掛けた。

 この機械巨人は本体こそ《蓄霊稲妻》と《流電砲撃》の力で退けられるが、その能力が《天才の片鱗》をロマオにもたらす。そしてこの隙にメインで《ドビン・バーン》を展開し、盤面を先に作ったのはロマオ。が、返しの《さまよう噴気孔》による攻撃を防ぎきれず、ふたたび盤面はまっさらに。

 次の一手もロマオからだった。改めて《奔流の機械巨人》。これを許可した八十岡。《天才の片鱗》も意に介さず、しかし勝ち手段である機械巨人だけは再び《流電砲撃》から《蓄霊稲妻》。この《蓄霊稲妻》こそ《虚空の粉砕》するロマオだが、結局八十岡の《無許可の分解》で盤面にクロックは残せない。

 が、《ドビン・バーン》でふたたび脅威を展開するロマオ。八十岡も《氷の中の存在》で応えるが、現状では脅威とならないこの怪物を前に、《ドビン・バーン》が着々と忠誠度をあげていく。

 この《ドビン・バーン》の上のダイスが六面体の限界値を指し示したところで、八十岡は動いた。ターンエンドの《予期》からドロー強化呪文を重ね、メインの《苦い真理》も合わせ7枚を超える手札を手に入れ、氷が溶け切るまであと1つとなった《氷の中の存在》が睨みを利かせる。

 が、この《氷の中の存在》は《停滞の罠》で次元の彼方へ。そして《ドビン・バーン》が身を挺してその紋章をロマオにもたらす。これにより、八十岡の動きは大幅に侵害されてしまった。

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 しかしここで八十岡のゲームプラン力、未来を見通す力が光る。ライブラリーの枚数をチェックしてみれば、八十岡が24枚、ロマオが20枚。すなわち、どうにかして勝ちに向かわなくてはならないのはロマオだったのだ。あとはロマオの勝ち手段を抑えきれるのか、が勝負の分かれ目。来るべき決戦に向けて、お互いに手札を整え始める。

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 決戦の時は来た。八十岡が《精神背信》で、まずは前方確認。

 ここで勝ち手段を失うわけにはいかないロマオ、まずは《奔流の機械巨人》。が、これは八十岡によって打ち消される。だがロマオは《大天使アヴァシン》を重ね、今度は無事に着地。が、こちらもすぐに《流電砲撃》で対処されてしまった。

 《精神背信》がロマオの《燻蒸》を叩き落とし、そして除去だらけの手札を確認した。無理に攻める必要のない八十岡。この除去カードの束を実質手札で腐らせている状態といえる。

 逆に攻めに行かなくてはならないロマオ。3体の《さまよう噴気孔》を攻撃に向かわせ、合わせられた《奔流の機械巨人》からの《蓄霊稲妻》を《大天使アヴァシン》でかわそうとするが、これは打ち消されてしまい成立せず。さらに手札からも《蓄霊稲妻》も重ねられ、《さまよう噴気孔》のうち3体を対処されてしまった。ついにロマオの勝ち手段、残るは《さまよう噴気孔》1枚。

 そしてついに最後の《さまよう噴気孔》をめぐる攻防を八十岡の《否認》が制し、全ての勝ち手段が失われたロマオ。お互いにデッキの内容を理解している戦い。潔く負けを認め、カードを片付けた。

 後に、どの時点でライブラリーアウトで勝つことを決めたのか?という質問に対して、はっきりと「2枚目の《奔流の機械巨人》に対処した時」と回答した八十岡。確かにそれなら《ドビン・バーン》の紋章も意に介さずゲームを進めたのも納得だ。鋭い攻撃で勝利したゲーム1とは打って変わって、最後まで守り抜いての勝利を獲得したゲーム2だった。

八十岡 2-0 ロマオ

 昨年、殿堂入りを果たした八十岡にインタビューを行なった時のことだ。内容と尺の都合でカットしてしまった言葉がある。彼の殿堂入りの原動力になったプロツアー『タルキール龍紀伝』での準優勝について話をした時のことだ。

八十岡「個人でのプロツアーでの入賞は、続けてればどこかでできると思ってたし、そうすれば殿堂に選ばれるとも思ってた。だから、まだここは通過点。プロツアー優勝に関しても、どっかですると思うよ。」

 ともすれば自信過剰なようにも見えるこの言葉。しかし彼は実際にプロツアーで入賞し、そして殿堂に選出された。

 そして今、個人戦での優勝を、あとたったの1ゲームを取れば達成できるところにいる。

 有言実行。つまり「かっこいい」ということなんだろう。

 そして八十岡は、目前まで来たこの「プロツアー優勝」というタイトルを取るべく、ゲーム3に挑む。

ゲーム3

 ゲーム2を落としたロマオ。ここでの選択は「先攻」。お互いに後攻を取り合ったメインデッキでの戦いから打って変わって、サイドボード後のロマオのプランは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》による対処しにくいビートダウン、ということなのだろう。

 しかしロマオの先攻5ターン目。5枚目の土地が置けない。4枚の土地から《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》こそ唱えられるものの、打ち消し呪文を恐れてターンを返す。そして、そこに八十岡の狙いすました《精神背信》が突き刺さる!

 これを《即時却下》してみるロマオ、しかしながら《虚空の粉砕》で返され、手札は丸裸に。さらに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も落とされてしまった。

 次に仕掛けたのはロマオ。《奔流の機械巨人》からの《天才の片鱗》でドローを進めるが、八十岡は《無許可の分解》で機械巨人自身には対処する。

 そしてふたたび、八十岡の《精神背信》。これに《奔流の機械巨人》を合わせたロマオ。ここはこの機械巨人という脅威に対処することを優先した八十岡、《即時却下》で自身の《精神背信》ともども吹き飛ばす。

 さらにロマオの仕掛けが続く。《大天使アヴァシン》が空を舞い、そしてなんと、八十岡はこの天使に対処することができない。手札が潤沢にあるが、このほとんどが土地。そして、ロマオもこの《大天使アヴァシン》が通り、攻撃が成就したことによりそれを理解しただろう。

 八十岡の《奔流の機械巨人》に対しても《虚空の粉砕》を唱え、攻勢を維持する構え。八十岡もこれに《否認》で応えるが、ロマオは《呪文捕らえ》。ここにも《虚空の粉砕》を合わせた八十岡だが、これがロマオの《儀礼的拒否》に引っかかる。

 サイドボードプラン通り、攻勢に出たロマオ。そしてそれを受けきれなかった八十岡。無念そうな顔で盤面を片付けた。

八十岡 2-1 ロマオ

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 カルロス・ロマオという選手をご存知だろうか。近年のマジックシーンにはあまり登場していなかった人物だが、その実績は誰もが認める元世界チャンプだ。2002年。世は《サイカトグ》全盛期。多くのプレイヤーが《サイカトグ》を使用し、そしてこの年の世界選手権もまた、《サイカトグ》だらけの世界選手権となった。

 ここで光ったのが、彼が、そして彼のチームが作り上げた同型対決でのメソッドだ。サイカトグの同型対決、コントロール同士での戦いは、カードアドバンテージ合戦になる。すなわち、1枚で3枚のカードを手札に加えられる強力な《嘘か真か》は打ち消すべきだ――そのプロプレイヤーの間で常識とされていた固定観念を、彼らは否定したのだ。

 ドロー強化呪文にカウンターは使わない。あくまで、《激動》と、それに関わるカウンター合戦で勝負を決める。このプレイングを手に彼は世界の王者に輝き、そしてチームメイトのうちの1人であるディエゴ・オストロビッチ/Diego Ostrovichもまた3位に入賞させたのだった。

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 そして14年経ち、時は2016年。このプロツアー『カラデシュ』で、またもコントロールデッキを操り、彼は世界の頂点を決める席についた。

ゲーム4

 八十岡、「後攻」を選択。ロマオが先のゲームで先攻を選択し、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》による攻勢というプランを見てもなお、後攻を選択する。そこに込められているのは、ゲームプランの選択への自信か。はたまた、カードカウントさえ負けなければ勝つという考えの現れか。

 お互いにマリガンし、6枚からとなった4ゲーム目。八十岡が後手で《氷の中の存在》を唱え、未来への布石を作る。お互いに《天才の片鱗》を唱え、手札を整理していく。土地を伸ばすだけのターンが続き、八十岡が《奔流の機械巨人》から仕掛けていく。

 この《奔流の機械巨人》が成就し、《天才の片鱗》がふたたび唱えられるが、これには《否認》が合わせられる。そして、メインで仕掛けた《精神背信》により《氷の中の存在》が変身、《目覚めた恐怖》の能力により《奔流の機械巨人》が手札に戻り、さらなるアドバンテージを稼ぎ出す。

 この《精神背信》こそ《呪文捕らえ》されるが、反転した怪物の攻撃を咎めようとする《神聖な協力》を、先ほど戻ってきた《奔流の機械巨人》からの《否認》が防ぎ、盤面に合計12点のクロックを作り上げた。

 どうにかしなくてはいけないロマオ。《ドビン・バーン》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という2体のプレインズウォーカーに助けを求めるが、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は怪物たちの攻撃で為す術もなく退場。逆に八十岡を助けるべく《秘密の解明者、ジェイス》が登場し、《精神背信》を捕らえた《呪文捕らえ》を退場させる。解き放たれた《精神背信》はロマオの手札を丸裸にし、そして《呪文捕らえ》を追放した。

 《大天使アヴァシン》こそ手札を見て確認したが、従えているのは5/6の機械巨人と、7/8のホラーという怪物たち。八十岡は意に介さず、怪物たちをロマオへの攻撃に向かわせる。《奔流の機械巨人》がロマオの身を守るべく登場しようとするが、これを《即時却下》。あっという間にライフは危険域。

 《餌食》がロマオの《ドビン・バーン》とクリーチャーを奪い、そして――

 静かに八十岡は、心なしかいつもよりも早い手つきでクリーチャーを攻撃に向かわせた。

 ロマオはその攻撃を防ぐべく唱えた《鑽火の輝き》が《否認》により成就しなかったのを見届けると、プロツアー『カラデシュ』のチャンピオンを称えるべく、その右手を差し出した。

八十岡 3-1 ロマオ

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「一番のライバルは他の人が望んでいる自分。」

 世界選手権2016出場時のプロフィールでそう語った八十岡翔太。誰もが望んだ、彼の活躍。誰もが期待した、彼のプロツアー優勝。そしてついに彼は、みんなに望まれた通りに優勝のトロフィーを手にした。

 世界選手権への出場を確定させ、次期シーズンのプラチナレベルをも確定させた八十岡。一度勝てば、2回目も期待される。劇的に勝てば、次はさらに劇的な内容を望まれる。八十岡が闘うライバルは、そんな自分自身。

「今年1年、暇になっちゃうな。」

 優勝したあと漏らしたそんな憎まれ口もまた、八十岡の美学であり、「かっこいい」ということなんだろう。これからもまた、八十岡は闘い続ける。一番のライバルである、自分自信の姿を画きながら、その美学を手に。

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 おめでとう八十岡翔太、プロツアー『カラデシュ』チャンピオン!


八十岡 翔太 - 「グリクシス・コントロール」
プロツアー『カラデシュ』 優勝 / スタンダード (2016年10月14~16日)[MO]
5 《
2 《
2 《
4 《窪み渓谷
3 《燻る湿地
4 《尖塔断の運河
2 《さまよう噴気孔
4 《進化する未開地

-土地(26)-

4 《氷の中の存在
2 《奔流の機械巨人

-クリーチャー(6)-
4 《流電砲撃
1 《儀礼的拒否
3 《予期
3 《蓄霊稲妻
2 《否認
1 《精神背信
3 《苦い真理
3 《虚空の粉砕
2 《光輝の炎
2 《無許可の分解
1 《本質の摘出
2 《天才の片鱗
1 《秘密の解明者、ジェイス

-呪文(28)-
3 《稲妻織り
2 《儀礼的拒否
1 《否認
1 《精神背信
2 《餌食
1 《光輝の炎
2 《即時却下
2 《慮外な押収
1 《秘密の解明者、ジェイス

-サイドボード(15)-
Carlos Romao - 「ジェスカイ・コントロール」
プロツアー『カラデシュ』 準優勝 / スタンダード (2016年10月14~16日)[MO]
6 《平地
4 《
4 《港町
3 《感動的な眺望所
1 《尖塔断の運河
4 《さまよう噴気孔
4 《霊気拠点

-土地(26)-

2 《大天使アヴァシン
3 《奔流の機械巨人

-クリーチャー(5)-
4 《蓄霊稲妻
3 《予期
3 《鑽火の輝き
1 《神聖な協力
3 《光輝の炎
3 《虚空の粉砕
1 《停滞の罠
4 《天才の片鱗
2 《即時却下
1 《隔離の場
2 《燻蒸
2 《ドビン・バーン

-呪文(29)-
3 《呪文捕らえ
1 《保護者、リンヴァーラ
3 《儀礼的拒否
3 《否認
1 《神聖な協力
1 《燻蒸
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-サイドボード(15)-
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