EVENT COVERAGE

マジックフェスト・横浜2019

観戦記事

第4回戦:佐藤 レイ(東京) vs. 中村 祐矢(東京) ~ 強い!デカい!人間よ、巨人を超えろ~

Moriyasu Genki

 中村「同姓同名の別人を期待していたんですけど(笑)」

 佐藤の前に座った中村の開口一番。佐藤も「あんまりいないですね」と笑い返した。

R4_sato_vs_nakamura.jpg

 日本に数少ないマジック・プロリーグ参加プレイヤー、佐藤 レイ。佐藤はマジック・プレイヤー専門のオンラインサロンの開催をするなど後進の支援にも熱心であり、かつ自らも最前線で戦い続けるトップ・プロプレイヤーだ。

 チームシリーズではチーム「Kusemono」の一員でもあり、世界選手権出場という目標を掲げてミシックチャンピオンシップやグランプリの出場を続けている。

 燦然たるトップ・プロを目の前にしてなお、中村 祐矢も驚きこそあった様子だが、動じていない。グランプリには継続的に参加しているようで、先月開催されたグランプリ・京都2019も参加している。その後は今回に向けての練習を積んできたとのことだ。

 中村、佐藤。互いにスタンスも練習環境も大きく異なるであろう2人がたどり着いたデッキは、同じ「5色人間ビートダウン」。サイドを含めて多少の細かい差はあれど、《教区の勇者》と《サリアの副官》による人間・クリーチャー支援を主体にしたビートダウンデッキ同士の戦いとなった。

Game 1

 先手の佐藤が《魂の洞窟》、指定「人間」でのプレイから《貴族の教主》でゲームを始める。中村もそれまでのやりとりと比べ少し声を張り上げて、《手付かずの領土》を置いて「人間!」と宣言して、《霊気の薬瓶》を設置した。ミラーマッチによる殴り合いの開始だ。

 2ターン目には《カマキリの乗り手》をプレイし、速攻、賛美、飛行による「4点アタック」で急速にゲームスピードを速める佐藤。中村は2枚目の《霊気の薬瓶》を置き、一見するとゆるやかなスタートを切った。序盤で攻めているのは明確に佐藤だ。

 しかし状況は一瞬にして変化する。佐藤が2体目の《貴族の教主》を追加するに留まった3ターン目のターン終了時から、中村の猛反撃がはじまった。まずは《教区の勇者》を《霊気の薬瓶》から着地させると、続く4ターン目には《カマキリの乗り手》をプレイ。さらにカウンター2個の《霊気の薬瓶》起動で《幻影の像》を追加して2体の《カマキリの乗り手》を用意し、成長した《教区の勇者》と合わせて3/3サイズのクリーチャーを3体を用意した。

 
佐藤 レイ

 佐藤は中村の猛追を振り払うべく、2体の《反射魔道士》で中村の2体の《カマキリの乗り手》を対象とし戦場から退けた(1体は《幻影の像》の能力により生け贄に捧げられた)。しかし《霊気の薬瓶》から速やかに再展開される。

 《貴族の教主》がいる都合上、賛美によって「殴る側」である佐藤が若干有利となるが、受ける側の中村も途切れずブロックに回れるクリーチャーを展開し、堅強な守備陣を敷いていく。

 攻めあぐねていた佐藤だったが、2枚目の《カマキリの乗り手》が膠着を打破する決まり手となった。

佐藤 1-0 中村

Game 2

 ゲームのはじまりはお互いに2ターン目。中村は《サリアの副官》、佐藤は《オーリオックのチャンピオン》をプレイした。中村はさらに《教区の勇者》《幻影の像》(《サリアの副官》をコピー)と続けて、一瞬にして強大な戦線を築きあげていく。

 一方の佐藤もこれを受ける手が用意できている。《反射魔道士》で《幻影の像》を落とし、さらに自らの《幻影の像》で《反射魔道士》をコピーして一気に劣勢を返上……しようとしたが、この《幻影の像》のプレイに対応して、中村は《四肢切断》を佐藤の《反射魔道士》に差し向ける。

 これによって佐藤は戦場にいた唯一の《反射魔道士》が死亡したあとに《幻影の像》のコピー先を選ぶこととなり、やむなく《サリアの副官》を選択するものの、サイズアップのスピード勝負ではすでに二歩も三歩も先を行く中村の後を追い切れない。

 中村は初速の差を守り続けるために展開を続け、7/7の《教区の勇者》と8/8の《サリアの副官》で殴り切った。

佐藤 1-1 中村

Game 3

 ゲームを互いに取って取られての三本目。

 再び《貴族の教主》からゲームをはじめた佐藤。2ターン目には《サリアの副官》、3ターン目には《反射魔道士》と続け、中村のプレイした《教区の勇者》を戻す。

 中村は《サリアの副官》、《教区の勇者》と展開。育てた《教区の勇者》は手札に戻されたものの、そのターン中に《霊気の薬瓶》で再展開できており、テンポ面のロスはない。

 佐藤目線であれば《反射魔道士》で戻したいクリーチャーと《霊気の薬瓶》のカウンター数が噛み合っている展開が続き、中村からすれば相手の《反射魔道士》も含めた展開も受け入れられるように動けている。

 
中村 祐矢

 実際、ゲーム2とゲーム3は中村に主導権があり続けていたようにも見えた。佐藤の《サリアの副官》が育ち切る前に《四肢切断》で撃ち落としつつ、自らの《教区の勇者》はしっかりと育てていく。さらには佐藤が劣勢挽回の一手として示した《拘留代理人》にも2枚目の《四肢切断》を当てると、中村の《教区の勇者》の進む道を止められるクリーチャーはいなくなった。

佐藤 1-2 中村

 メインデッキでのゲームを落とした中村がサイドボード後の2本を取り返した。人間をコピーする《幻影の像》と除去枠で採用されている《拘留代理人》という例外を除けば、人間・クリーチャーばかりが戦場を埋め尽くした「人間ビートダウン」ミラーマッチ。

 巨人のサイズをも超えるほどに成長しあった人間同士の殴り合いは、きっと街の1つや2つ吹き飛ばしてしまうほど豪快な殴り合いなのではないだろうか。

 盤面に再現された熾烈な戦いの様子に、「人間ビートダウン」の真価を知ることとなった。

中村 Win!

 トッププロとの熱戦を制した中村が、全勝で次戦に挑む。

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索