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マジックフェスト・名古屋2019

観戦記事

第9回戦:宇都宮 巧(埼玉) vs. タケイシ コウジ(埼玉) ~支配する者とされる者~

Hiroshi Okubo

 愛知県常滑市の地で開催されたグランプリ・名古屋2019。ここで、その初日の最終戦が幕を開ける。

 この決戦の地となったAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)は、今年8月にできたばかりの非常に新しい会場だ。第9回戦のフィーチャーマッチテーブルに着いたところで、試合前のデッキチェックが入った2人の間では、会場の綺麗さや広さ、空港からのアクセスの良さなど、会場に関する話題に盛り上がっていた。ここを勝ち上がれば全勝で初日突破というラインだが、いい意味で肩の力が抜けているようである。

 だが、その余裕こそ2人が強者たる証拠にほかならない。このマッチで争う2人のうちの1人、宇都宮 巧と言えば、カードショップ晴れる屋のスポンサー契約プレイヤー「Hareruya Hopes」の一員であり、草の根からPTQ、あるいはグランプリなどさまざまな大会に精力的に参加し、着実にその実績を積み上げている若手の強豪プレイヤーの1人だ。

 対するタケイシ コウジも昨年3月に開催されたグランプリ・京都2018のファイナリストであり、スタンダードのみならずレガシーでの実績もあるコアなマジックプレイヤーだ。大舞台での戦いにも動じない度量もあり、宇都宮と全勝対決を演じるのに十分な実力を備えているであろうことは想像に難くない。

 ジャッジからチェック済みのデッキを返却された2人は、手早くシャッフルを終え、マリガンチェックを行う。このときすでに、2人の表情は先ほどの朗らかさから一転して、強豪マジックプレイヤーの風格を漂わせる勝負師の顔つきへと変貌を遂げていた。

 果たして、ここで勝ってスイスラウンド2日目の戦いに弾みをつけるのはどちらになるのか?


 
宇都宮 巧(埼玉) vs. タケイシ コウジ(埼玉)
ゲーム1

 先攻を得た宇都宮は、土地を置くのみで第1ターンを終えるタケイシの前に《金のガチョウ》、《王冠泥棒、オーコ》を並べる黄金ムーブを決める!

 それにもタケイシは「どうぞー」と軽く応じ、お約束とばかりに《害悪な掌握》で《王冠泥棒、オーコ》を処理。その後は互いに《楽園のドルイド》を並べるが、宇都宮が続くターンに《世界を揺るがす者、ニッサ》を繰り出すと、タケイシも表情は崩さないまでも手をいったん止めることとなる。

 タケイシはあくまで冷静に《意地悪な狼》で宇都宮の《金のガチョウ》を除去し、アドバンテージ源を抑え込む。が、返す宇都宮も《意地悪な狼》でタケイシの《意地悪な狼》と格闘。食物・トークンを生け贄に捧げつつ、タケイシの《意地悪な狼》を破壊する。


 
タケイシ コウジ(埼玉)

 タケイシも遅れて《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイするのだが、宇都宮のそれと比べると着地までに2ターンのラグがあり、そしてその差を縮める手立てはない。

タケイシ「やっぱりか、2ターン目の《王冠泥棒、オーコ》の時点で嫌な予感したんですよねw」

 宇都宮の強烈なマウンティング。これを返すことができないことを認め、サイドボードに手を伸ばした。

宇都宮 1-0 タケイシ

ゲーム2

 1マリガン後の手札を手繰り、やはり第1ターンを土地を置くのみで終えたタケイシに対し、宇都宮は《むかしむかし》でライブラリーを5枚めくる。だが――

宇都宮「スカった、ワンマリだ……」

 この《むかしむかし》は不発に終わり、タケイシ同様実質的に1マリガンという状況になってしまった宇都宮。だが、これは単に手札を1枚失っただけではない。《むかしむかし》が不発に終わったということは、ライブラリートップ5枚はいずれもクリーチャーでも土地でもなかったということ。すなわち、このマッチの趨勢を決める可能性があった強力な呪文をライブラリーの一番下に送ることになってしまったということだ。

 その後はサイドボード後らしく互いにアクションを起こさず、7枚の土地が並ぶまで動き出すことのなかった両者。先に動き出したタケイシは《金のガチョウ》と《楽園のドルイド》を戦線に送り出すが、宇都宮はこの2枚を《害悪な掌握》でそれぞれ処理。


 
宇都宮 巧(埼玉)

 返す宇都宮が《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイすれば、タケイシはそこに《害悪な掌握》。だが、続くクリーチャー化した土地からの攻撃は食らうこととなり、さらにタケイシ自身が《ロークスワイン城》の能力を起動したことで一気にライフが13まで減ることとなる。

 そんなタケイシを前に、宇都宮は2枚目の《世界を揺るがす者、ニッサ》。クロックはすでに6点分、頼みの綱に送り出した《ハイドロイド混成体》も宇都宮の《害悪な掌握》に阻まれ、まずは盤面の優位を宇都宮に譲ることとなる。

 タケイシは《意地悪な狼》で宇都宮の土地・クリーチャーを1体除去しにかかるが、宇都宮はこれに《迅速な終わり》(《残忍な騎士》の出来事)。対応してタケイシが《夏の帳》をプレイし、《意地悪な狼》の能力が解決される。

 一見、タケイシがわずかながらも劣勢を返すプレイに思われたが、宇都宮はタケイシの手札から《夏の帳》が飛んでくるのを待っていたのだ。返すターン、宇都宮は満を持して手札にあった切り札、《戦争の犠牲》を解放し、アドバンテージ差を確固たるものにする。

 更地のタケイシの盤面の前に並ぶ軍勢は、《世界を揺るがす者、ニッサ》と3/3の土地2枚。そしてその隣に《王冠泥棒、オーコ》が添えられると、たまらずタケイシが投了を宣言した。

宇都宮 2-0 タケイシ

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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