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グランプリ・京都2018
ジャッジインタビュー:若松さん 3人チーム構築戦におけるジャッジの仕事、役割
Text by Moriyasu Genki
「3フォーマットによる3人チーム構築戦」という初の環境での開催となったグランプリ・京都2018。
プレイヤー間でも初体験に緊張や不安を覚えるといった話もあったが、普段と変わらず、もしかしたら普段以上にスムースな運営で、大きなトラブルなく閉幕した。
それはジャッジスタッフの方々の尽力によるところが大きい。
2日間にわたってフィーチャーエリアでの進行をとりまとめた若松さんに、代表して今回のお話をうかがった。
若松さん |
――よろしくお願いいたします。今日はもうジャッジとしてのお仕事はひと段落されたのでしょうか?(日曜夕方、17時ごろ)
若松「はい。先ほど、反省会も終わってすべて終わりました。」
――お疲れ様でした。それでは、今回のお話を伺えればと思います。若松さん自身は今回どのような内容のお仕事をされたのでしょうか?
若松「フィーチャーエリアに関することを中心にしていました。
フィーチャーチームとして、1日目はフィーチャーエリアに関することをしました。
2日目はフィーチャーとフロアを担当するチームのリーダーとして活動しました。」
――「フィーチャーチーム」という表現ですが、いろいろなチーム・役割があったのでしょうか?
若松「ペーパー、デッキチェック、フロアと、フィーチャーチームがありました。
ペーパーはイベント進行上の紙の張り出しや記入用紙の配布などに関わることをやっています。これは規模が大きくなるとさらに2つのチームに分かれていますね。
デッキチェックは言葉のとおりのデッキチェックです。
フロアはプレイヤーのジャッジコールの対応などですね」
※補足:デッキチェック(事前提出されているデッキリストと実際のデッキと照らし合わせて、差異や異常がないかをチェックする。イカサマや事故の防止。)
――今回の3人チーム構築戦というところで、業務内容に変更があったジャッジチームはあったんでしょうか?
若松「ペーパーの仕事は、楽になりますね。個人戦に比べて、張り出しや配布の紙の枚数は3分の1になっているからですね。
デッキチェックは総数自体は変わらないんですが、3フォーマットが混ざってるので、大変になったと思います。
いろんなデッキを知っていないと対応しにくいので、内部担当の決め方などにも変わりがあったと思います。」
――ジャッジコールに対応するフロアチームの方々は、3フォーマットを同時に対応する点で大変だったりしたんでしょうか?
若松「普段よりも幅広いカードを見るようになりますからね。
スタン(スタンダード)が得意なジャッジや、モダンやレガシーに詳しいジャッジがいるんですが、今回は同時に3フォーマットを触らないといけないので、大変です。
前もってジャッジ用のサイトなどで気をつけるべきルール集などをチェックするようにしていますね。
ただ、ジャッジコール自体は普段よりも少なかったんです。当事者2チーム(6人)のなかでルールの問題などは解決されやすいからかなと。
もちろん、デッキをこぼしたりといった『過剰なカードを見る』ことは必ず起きることですし、プレイヤー間で解決しないように勧めているので、よく呼ばれました。」
――同じトラブルに対してフォーマットごとに違う裁定が出る、などといったことはあるのでしょうか?
若松「基本的には、ありません。ただ(今回のフォーマットの中では)レガシーは『自分の墓地の順序を入れ替えてはいけない』(マジック総合ルール 3.14 墓地の順序)といったルールがあります。
他のフォーマットで単独でそうしたルールは......ないはずですが、読者の方で知っている方がいたら教えてください(笑)。
あとはイリーガル(禁止裁定)のところぐらいですかね、そこは今回は特にはありませんでした。」
※補足:対戦相手の墓地の順序はいずれのフォーマットでも入れ替えてはならない。
――フィーチャーエリアではいかがだったでしょうか?
若松「実は、今回はビデオ・フィーチャーの進行が変わっています。『できるだけ1ゲームの開始から最後までを映そう』。という形で動くようになりました。
スタンダードのゲームが終わったら、すぐモダンのゲームが始まるシーンから映せるように、多少ゲームの開始をモダンプレイヤーに待ってもらう、などが動きとしてはありました。
途中からだと、どうしてもその場にいる人たち以外がゲームの状況を把握するのに時間がかかってしまうということからの、リクエストが撮影班側からありました。
多少時間がかかったときもありましたが、その上でもおおむねスムースに進行できました。」
――そうした「フロアチーム」や「デッキチェックチーム」、「フィーチャーチーム」などはどのように決まるのですか? 向き不向きなども出てくるところなのかなと思うのですが。
若松「最近のグランプリは希望制になっています。時期的に少し早い時期にヘッドジャッジから連絡をもらって、やりたいチームを選んで申告します。
これは本戦をやりたい、サイドイベントをやりたい。といった希望の出し方もあります。通るかどうかは、もちろん希望人数によるんですが」
――ちなみに若松さんは今回はどのような申告をしたんですか?
若松「今回はフィーチャーエリアを担当したい、と伝えていました。ただ、実は僕がフィーチャーエリア嫌いだったんです。
恥ずかしがり屋で、映りたくない気持ちも強かったので。でも先日のThe Finals 2017開催のときに、上手くできなかったことが心残りだったんです。
それで友人でもあるジャッジの伊東太郎さんが今回はフィーチャーをやりなよ、って背中を押してくれたんです。
僕自身も、このまま苦手なままじゃいられないのかなと、自分から希望を出しました。その伊東さんとも日曜日は同じチームで活動しました。」
――日によってチーム構成が変わるというお話が出ていました。各チームは何人ほどで構成されているのでしょうか?
若松「役割によって6人前後で活動することになることが多いですかね。
チームの中の役割ごとのチームがそのくらいなので、今回は11の役割があって、全体で約70人ほどのジャッジが今回参加しています。」
――ちなみに3人チーム構築戦での開催という点以外にも、主催がChannelFireball Eventsに変更になった初めてのグランプリという形でもあります。その点では、何かジャッジの運営に変更がありましたか?
若松「ジャッジ的には、あまり変わっていないというところが正直な感想です。
わたしたちは変わることを心配していたんですけれど、運営自体は慣れているBIG MAGICさんが行なったので、安心して動けました。」
――全国各地からグランプリに慣れたジャッジが集まるわけですね。若松さんは普段はどのあたりで活動されているのですか? また、他の地域の方々と一緒に仕事をする中で、気をつけられている点はありますか?
若松「普段は名古屋を中心に活動しています。こうしたグランプリでは普段接さない人も多いので、『オアシス運動』は欠かさないように意識しています。
オはようございます、アりがとうございます、シつれいします、スみませんでした。をハッキリ言おうというものですね。
僕は顔がこわいので(笑)、おっきな声で挨拶するように意識的に気をつけるようにしています。」
――ジャッジの交友関係については、スコアキーパーについてのお話を大竹さんから伺ったときにも話題になりました。若松さんは普段はどのようなジャッジの方と交流があるのでしょうか。
若松「基本的にジャッジには『メンター』と呼ぶ先生がいるのですが、自分の場合はレベル3ジャッジの中村さんですね。
ルールに関することだけでなく、いろんなことを教わっています。
他にも梅咲さん(レベル3ジャッジ)を中心に、ですかね、頻繁に関わらせていただいて、いろんな方から学ばせてもらってます。
自身もレベル2ジャッジなので、メンターとしてレベル1認定したり、その中からレベル2認定を受けた人も出てきたので嬉しいですね。」
――ジャッジが「自分が教わったことを自分が教える」場所としてもグランプリは象徴的な場所なんですね。本日はとても分かりやすくお話していただき、ありがとうございました。
......グランプリの形はこれからも少しづつ変わりつづけるかもしれない。
しかしその中でもジャッジには先生から弟子へ、その弟子が先生となってまたその弟子へと変わらず伝えるものがある。
3人チーム構築戦におけるジャッジの仕事、役割へのイタンビューを通してみえた若松さんの思い。
それは、ジャッジ全体としての想いでもあるのかもしれない。
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