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グランプリ・京都2016

観戦記事

準決勝1:チーム 松本/市川/瀧村 vs. チーム Matousek/Sochurek/Ristosky

by 宮川 貴浩

 決勝をかけた大一番で、優勝候補筆頭と言って問題ないであろうチーム 松本/市川/瀧村に襲い掛かるのは、チェコからの刺客チーム マトウセク/ソフーレク/リストスキー。

 松本、市川、瀧村の名前は国内外の大会で必ずと言っていいほど目にするが、相手チームの顔ぶれも豪華だ。

 ソフーレクは最近日本のプロチーム入りが発表されたプラチナ・レベル・プロプレイヤーだし、マトウセクは日本のグランプリにも度々参加し、グランプリ・神戸2015ではトップ8に入賞している。リストスキーもグランプリの舞台には慣れているプレイヤーだ。

 両チームの戦いは、ピック、デッキ構築の段階から垂涎ものの面白さだった。チームドラフトのピックやチームシールドの構築に関する記事は本イベントのカバレージページに掲載されているので、そちらもご覧いただきたい。

 そしてぜひチームでのリミテッドを遊んでその難しさ、面白さを肌で感じてほしい。

sf_team_ichikawa_deck.jpg

 流したカードからの相手のデッキ内容の予想、相手がそのデッキカラーを選択した理由、相手の好きそうなカード、自分たちは強く使えるが安く流れてくるであろうカード、警戒すべき見ていないカード、適切なカットなどなど......

 抜群のリーダーシップを発揮する瀧村を中心に、あらゆる角度から敵味方のデッキについて考察を展開するチーム 松本/市川/瀧村。

 実際彼らは対戦相手のデッキ内容をかなりの精度で当てており、そのやり込み度合にはただただ驚かされる。

sf_team_sochurek_deck.jpg

 対照的に、実は一度もチームドラフトをしたことがないというチーム マトウセク/ソフーレク/リストスキー。

 そして、ここは慣れない異国の地。確かに条件はかなり不利だろう。

 では、彼らは負けるのか?

 そんなに単純なゲームだったら、そもそも彼らはマジックをやっていない。


 メモ用紙がないソフーレク、リストスキーに市川がにこやかに自らのメモを分け与え、緊迫感がありながらも心温まる光景でいよいよ試合は開始された。

 本対戦の両チームのデッキはこちらからご覧いただける。

A卓 松本 vs. マトウセク ゲーム1

 赤デッキの常連《熱錬金術師》からスタートした松本。マトウセクは《不動の聖戦士》が先陣を切り、松本の後続のアタックは《ドラグスコルの盾仲間》で強化した《不動の聖戦士》で返り討ちにする。

 《熱錬金術師》を《エムラクールの加護》で除去された松本は、地上戦力に《無差別な怒り》をつけて攻めを継続しようとするが、マトウセクが送り出したのは、《折れた刃、ギセラ》!

まさに能力のバーゲンセール。これだけで勝負が決まりかねない1枚だ。

 実はデッキ構築の段階で、松本のチームメイトの瀧村が、「《折れた刃、ギセラ》や《消えゆく光、ブルーナ》なんかがもしかしたらあるかもしれない。気をつけてね」と松本にアドバイスしていた。驚くべき推察力だ。

 当然松本も、このことは頭にあっただろう。しかし、たとえ注意していたとしても、それと実際出てきたときに対処できるどうかはまた別問題だ。

 松本は、《血の間の僧侶》、《流城の導師》、《流城の密教信者》と通常であれば十分以上の戦力を追加するが、マトウセクに《揺るぎない信仰》で《折れた刃、ギセラ》を強化しつつクリーチャーを除去されると、もはや巻き返すことは不可能だった。

松本 0-1 マトウセク

B卓 市川 vs. ソフーレク ゲーム1

 B卓では、ソフーレクが《村の伝書士》で1マナから動き、《ウルヴェンワルドに囚われしもの》に続ける上々の立ち上がり。対する市川は、2枚の《嘆きのグール》で墓地を肥やしながら地上をがっちりと固めた。

 ソフーレクは《ウルヴェンワルドに囚われしもの》を《ウルヴェンワルドの忌まわしきもの》に変身させ、さらに《ウルヴェンワルドに囚われしもの》、《針毛の狼》、《節くれ木のドライアド》と矢継ぎ早に戦力を拡大させるが、市川は《研究室の粗暴者》、《憑依された死体》、《モークラットの屍蛞蝓》とソフーレクが攻勢に出ることを許さない。

 やがてソフーレクの戦場には2体の《ウルヴェンワルドの忌まわしきもの》、《しなやかな捕食者》とサイズの大きいエルドラージが並び、《巨体の悪魔》までもが追加されたが、市川のクリーチャーはさらにその上をゆくサイズを持っており、昂揚を達成していない状態では《節くれ木のドライアド》も戦力にならない。

 市川の側に《厄介な船沈め》が登場し、戦闘に《ジェイスの精査》を絡めて市川が巧みにアドバンテージを得ると、市川の生み出したスピリット・トークンたちが空から軽快にクロックを刻み始めた。

 そして、序盤に墓地に落ちていた《ギサとゲラルフ》(これが市川のファーストピックだった)が回収されたところで、ソフーレクは投了を選んだ。

市川 1-0 ソフーレク

C卓 瀧村 vs. リストスキー ゲーム1

 リストスキーは、白を中心としたビートダウンデッキを組み上げた。打点を上げる装備品として、《縫い師の移植》が採用されている。

 対する瀧村の黒緑デッキは《異界の進化》で状況に応じた優秀なクリーチャーを探すことができ、《ギトラグの怪物》で土地を生け贄に捧げると《血茨》がサイズアップするといったギミックも搭載されている。

 長期戦になればなるほど、瀧村が有利になっていくだろう。リストスキーは序盤で試合を決められるか。

 注目の試合は、《不動の聖戦士》、《縫い師の移植》とリストスキーが速攻を仕掛けようとしたところに、瀧村が《死天狗茸の栽培者》経由で早々に《ギトラグの怪物》をキャストし、すぐに主導権を取り返した。

 リストスキーも《霊体の予備兵》で一息つきつつ装備先を用意し、《不憫なグリフ》に《縫い師の移植》を装備して空から大ダメージを与えようとするが、これは瀧村の《金縛り》で押さえ込まれてしまう。

 クリーチャーの数、質ともに上回る瀧村は、勢いそのままにあっという間に勝負を決めた。

瀧村 1-0 リストスキー

A卓 松本 vs. マトウセク ゲーム2

 《折れた刃、ギセラ》が出てくる前に試合を決めてしまいたい松本は、《貪欲な求血者》、《流城の密教信者》とマッドネスを絡めながら優秀な吸血鬼を綺麗に展開してゆく。

 さらに《血の間の僧侶》、《呪われた魔女》と強力なムーブの松本に対して、マトウセクは《神聖な協力》、《絞首》と落ち着いて対処すると、《揺るぎない信仰》が一気に攻守を逆転させた。

エンチャント先が必要とはいえ、除去と打点アップを兼ね備えるそのコストパフォーマンスは、アンコモンの中でもトップクラスだろう。

 《信仰持ちの聖騎士》でライフの確保も万全なマトウセクがここで満を持して戦場に送り出したのは、《折れた刃、ギセラ》......ではなく、《消えゆく光、ブルーナ》!

こちらも、リアニメイト能力の活用や《折れた刃、ギセラ》との合体ができなくても、単体で十分フィニッシャー級の性能。

 もしかしたら相手に《折れた刃、ギセラ》や《消えゆく光、ブルーナ》のようなボムがあるかもしれない。そこまではケアしたとしても、まさかこの2人の天使がドラフトデッキに共存しているとは、誰が予想できただろうか。

 惜しくも《悪夢の声、ブリセラ》の降臨は見られなかったが、マトウセクが試合を決めるには彼女一人で十分だった。

松本 0-2 マトウセク

C卓 瀧村 vs. リストスキー ゲーム2

 C卓の2ゲーム目は、非常にスピーディーな展開となった。

 《節くれ木のドライアド》、《裏道の急使》と順調な展開の瀧村に対し、リストスキーは《平地》が引けず、手札に白いカードが溜まってしまう。

 この隙を、瀧村が見逃すわけがなかった。リストスキーの手札が8枚になって捨てる前に、唯一彼の戦場に出ていた《嵐の伝導者》を《非実体化》で手札に戻し、2枚捨てを強要する。

 こうなると、もうリストスキーが挽回しようとしても間に合わない。そのまま瀧村のクリーチャー陣に押し込まれ、リストスキーは渋い顔でカードを片付けた。

瀧村 2-0 リストスキー

sf_team_sochurek.jpg

 はるばるチェコからやってきた3人。未経験のチームドラフトで、どこまで連携がとれるか。勝負の行方は中央のソフーレクに託される。

B卓 市川 vs. ソフーレク ゲーム2

 1マリガンのソフーレクは、《ケッシグをうろつくもの》、《けたたましく吠えるもの》とマリガンにしては悪くないスタート。

 ソフーレクの戦力にサイズ負けしない盤面を作りたい市川は、《グール呼びの共犯者》に《聖戦士の盾》を装備。高いタフネスと警戒を得て、これで悠々とアタックに行けるようになる。

強豪プレイヤーの中でも評価が分かれるこのカード。あなたならどう使いこなすだろうか。

 狼男たちを変身させてガンガンアタックしてくるソフーレクに対して、市川はコントロールするゾンビたちに《ドルナウの死体あさり》で接死を付与して相打ちをとっていく。

sf_team_ichikawa.jpg
チームの運命が決する勝負に、全メンバーの頭脳を結集するチーム 松本/市川/瀧村

 ここで、ターニングポイントが訪れた。

 市川の唱えた《甚だしい大口》が、そのドレイン効果でソフーレクのライフにプレッシャーをかけ、盤面にも大きな影響を与える。

 ソフーレクは、今こそ最初から持っていた《邪悪な囁き》の使い時と判断し、《甚だしい大口》のコントロールを奪いアタックを敢行。しかし、市川のライフにはまだまだ余裕があり、脅威には至らない。

 そして、ソフーレクはターンを返した。そう、返してしまったのだ。

 実はこの時、ソフーレクの手札には《忌まわしい群れの存在》があり、市川の《甚だしい大口》を現出の種とすることで、膨大なアドバンテージを得ることができたのだ。

 絶好の機会を逃したソフーレクは、試合後に頭を抱えながらこのミスを振り返っていた。

 最大の危機を乗り切った市川は、《憑依された死体》でスピリット・トークンを生み出し、《聖戦士の盾》を装備して6/7警戒となった《甚だしい大口》とともに空から殴る必勝パターン。

 ソフーレクは《甚だしい大口》をほぼ全クリーチャーでブロックして倒しにかかるが、墓地に落ちた《甚だしい大口》を市川が待ってましたとばかりに回収すると、ソフーレクのわずかに残ったライフは再び《甚だしい大口》によって吸い取られた。

市川 2-0 ソフーレク

 市川は《墓地からの徴用》と《死の円舞曲》を1枚ずつデッキに投入しており、これが2ゲームとも見事に活きる結果となった。これらのカードの採用についても事前に松本、瀧村と相談しており、まさに完勝と言えるだろう。

チーム 松本/市川/瀧村 決勝進出!
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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