By Hiroshi Okubo

　先のプロツアー『異界月』でもトップ８入賞を果たした行弘 賢。今、波に乗っている彼がこのグランプリ・京都2016でチームを率いて決勝の舞台に立つというのはごく自然なことのように思える。

　抜群のセンスに不断の努力が合わさって、向かうところ敵なしのゴールドレベル・プロ、行弘 賢。本記事では、そんな行弘のドラフトを追う。

１パック目

• 1-1　《ネベルガストの伝令》（《無害な申し出》/《流城の死刑囚》/《ぼろぼろの憑依者》）
• 1-2　《歓喜する信者》（《リリアナの誓い》/《捕食》）
• 1-3　《引きずり込み》（《サリアの槍騎兵》）
• 1-4　《ウルヴェンワルドに囚われしもの》（《霧歩き》）
• 1-5　《ケッシグをうろつくもの》
• 1-6　《霊動カカシ》
• 1-7　《ぼろぼろの憑依者》
• 1-8　《捕食》
• 1-9　《ステンシアの亭主》
• 1-10　《霧歩き》
• 1-11　《処刑者の大包丁》
• 1-12　《有事対策》
• 1-13　《棚卸し》
• 1-14　《血の不穏》

　１パック目は《流城の死刑囚》フォイルと《無害な申し出》が入ったレア２枚のパック。ここで《ネベルガストの伝令》と《流城の死刑囚》を時間ギリギリまで悩むが、よりアーキタイプの核として活躍に期待できる《ネベルガストの伝令》をピック。

　その後も手堅く青い軽量クリーチャーをピックしていき、４手目で緑のトップ３に入るコモンである《ウルヴェンワルドに囚われしもの》が取れたことで、青緑に参入できる可能性が見えてくる。

　また、パックが１巡してきた1-7で《ネベルガストの伝令》とシナジーを形成する《ぼろぼろの憑依者》が帰ってきたことも位置取りの良さを裏付けており、今後の展望にも期待が持てる。

２パック目

• 2-1　《縫い師の移植》（《厄介な船沈め》/《エムラクールの加護》）
• 2-2　《厄介な船沈め》（《歓喜する信者》/《首絞め》/《白髪交じりの釣り人》/《過去との取り組み》）
• 2-3　《ぼろぼろの憑依者》（《捕食》）
• 2-4　《血茨》（《蔓延するもの》）
• 2-5　《信仰持ちの聖騎士》（《錬金術師の挨拶》）
• 2-6　《ぼろぼろの憑依者》（《悟った狂人》、《研究室の粗暴者》）
• 2-7　《聖戦士の盾》
• 2-8　《歓喜する信者》
• 2-9　《捕食》
• 2-10　《蔓延するもの》
• 2-11　《有事対策》
• 2-12　《相変位》
• 2-13　《予言的妄語》
• 2-14　《詮索》

　《縫い師の移植》のような装備品は対戦相手の計算を狂わせる。回避能力持ちのクリーチャーで押すスピリットデッキでは特に有効な選択肢であり、まずまずの当たりと言えるだろう。

　２パック目はよりどりみどりの中から１パック目でもピックを迷っていた《厄介な船沈め》をピック。その後も《ぼろぼろの憑依者》や《血茨》、《捕食》といったカードが流れてきており、ポジション取りはうまくいっているようだ。

　しかし、ここまでのピックで全体的にカードパワーが低くなってしまっていることが気にかかる。３パック目でボムが出てきてくれるとよいのだが......

３パック目

• 3-1　《アーリン・コード》
• 3-2　《群れの守護獣》（《魂を飲み込むもの》/《孤独な狩人》/《嵐乗りの精霊》）
• 3-3　《ただの風》
• 3-4　《招かれざる霊》（《死の重み》/《荒原のカカシ》）
• 3-5　《金縛り》
• 3-6　《狙いは高く》
• 3-7　《収まらぬ思い》
• 3-8　《嵐乗りの精霊》
• 3-9　《アドレナリン作用》
• 3-10　《トロスタッドの死騎手》
• 3-11　《療養所の骸骨》
• 3-12　《血統の呼び出し》
• 3-13　《天上からの導き》
• 3-14　《天上からの導き》

　お前じゃねえっ......！

　たしかにボム級レアは出たが、パックからこんにちはしたのは色が合わない《アーリン・コード》。せめてこれまでに《原初のドルイド》や《テラリオン》が取れていればタッチでの採用も視野に入れられたかもしれないが、このタイミングでこのためだけに多色化するのはリスキーと言えるだろう。他にめぼしいカードもなく、やむなくカットする。

　しかし、ポジション取りに成功しているためか相変わらずコモンやアンコモンは景気よく流れてくる。2-2の《群れの守護獣》は地味にスピリットでもあるので、《ネベルガストの伝令》とのシナジーにも期待できる。

　その後も《ただの風》や《金縛り》といった除去をピックできたことで、飛行によってすれ違いのライフレースを行いながら除去やコンバットトリック、装備品で計算を狂わせるというデッキの方向性が見えてきた。

　行弘の思惑ははたして「The Sun」に届くのか？ 実際の試合に期待が高まる。