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EVENT COVERAGE
グランプリ・京都2016
チーム 齋藤/森/Leeのチームシールドデッキ構築
By Masashi Koyama
(この記事は第1回戦開始前に取材されたものとなります)
「(マジックプレイヤーにとって)マジックは世界の共通言語」......というのは使い古されてしまったフレーズかもしれない。
それでもその言葉通り、マジックのイベントは毎日のように世界中で行われていて、日本でのグランプリともなれば日本には海外から数多くの海外プレイヤーたちが訪れ、交流を楽しみ、そして自分の国へと帰っていく。
今回のグランプリ・京都2016でも、数多くの海外チームが来日しており、マジックを通しての交流が築かれていくことだろう。
そういった際にもちろん言語の壁というのは常に立ちはだかるのだが、簡単な意思疎通程度であれば意外と何とかなってしまうもので、ほとんど大きな問題ではないことが多い。
そう、簡単な意思疎通程度であれば。
「TOMORIEE」Lee, Shi Tian/齋藤友晴/森勝洋の3人は国境を超えたチームを結成しており、香港のプレイヤーであるリーは日本語を話すことはできない。
「マジックが共通言語」と言えど、さすがにカード名だけでデッキを作り上げることは不可能だ。
果たして彼らはどのようにコミュニケーションを取り、言語の壁を乗り越えるのか。
そのデッキ構築に注目しよう。
デッキ構築
筆者が彼らのもとに向かうと森が目をキラキラさせて「パックを開けるときにドラマがあったんだよね!」と話しかけてきた。
最後のブースターパックで神話レア2枚=《最後の望み、リリアナ》と《完成態の講師》を引き当て、それまで下がり気味だったテンションが一気に上がったという。
そのテンションのままパックチェックとフィーチャーテーブルへの移動を終えると、息をつく暇もなくデッキ構築が始まった。
前回のグランプリ・北京2015での齋藤チームのデッキ構築を紹介したが、メンバーが変わっても「Saito Method」は変わらずのようで、まずは各色のプレイアブルなカードを綺麗に盤上に並べていく。
一通りカードを並べ終えると、各色について3人が矢継ぎ早に所見を述べていく。森と齋藤が会話するときのみは日本語でそれ以外は英語で会話を行い、リーも積極的に議論に参加している。
そして、5色全てのレビューが終わったところで、各色について、メインカラーとして使用に耐えうるか、2つのデッキに分割して組み込むことができるかどうかを1枚の紙にまとめた。
まず3人は「黒には充分なカードが揃っており、2つのデッキに分けても機能しそうだ」ということを共有する。
そしてここから色の組み合わせについて、それぞれの意見のぶつかり合いが始まる。
齋藤「White Black? No finisher, GG(白黒はフィニッシャーがいないからダメだね)」
森「青白は勝てないかな」
リー「Separate Blue? Spell deck and the other(青を分ける? 呪文デッキとそうじゃないので)」
と日本語と英語が入り混じりながらそれぞれのアイディアを出し合っていく。
そして、緑黒、青赤、黒赤、青白などの色の組み合わせが俎上に乗り、そしてそこからどう組み合わせれば3つのデッキを上手く作ることができるか抽出していく。
そしてその議論が一段落したところで時間を確認し、メインプラン=青白・黒赤・黒緑とサブプラン=白赤・青赤・黒緑の2パターンの組み合わせが出揃い、まずはメインプランのデッキの仮組みを行う。
最初に仮組みするデッキはリーが「青白フライヤー」、森が「黒赤ビートダウン」齋藤が「緑黒昂揚」の組み合わせとなった。
ここでそれぞれのデッキについて10点満点で点数をつけていく......のだがここで森とリーが細かなカードの取捨選択について議論を始め、その脱線を齋藤がいさめながらひとまずメインプランの総括を行っていく。
各人が10点満点でデッキに点数をつけていき、3人の点数を平均化し、青白が7-、黒赤が8、緑黒が7-という点数に落ち着く。この時点で残り時間は30分。
ここから2つめのサブプラン仮組みに入り、3人の手つきが一気に加速していく。「サブプラン」は「白赤ビートダウン」「青赤スペル」「緑黒昂揚」だ。
わずか3分ほどで各々がデッキを仮組みすると、すぐに「白赤より青白の方が良い」と判断し、サブプランはすぐに解体される。
ここでリーが「カラーバランスを考えずに、一番強いと思われるデッキを作った場合にどうなるか」と提案したことで急遽サードプランが持ち上がり、急いでデッキ組みを始める。「青赤スペル」「黒赤ビートダウン」「緑黒昂揚」の組み合わせだ。
これはデッキのバランスが良くないということで、最終的にメインプランのカラーコンビネーションでデッキを組むことを3人は決断する。
ここで残り時間は20分を切っており、急いで各デッキの使用者と決め、デッキの細部を詰める作業へと取りかかる。
森は早々にデッキの形を決めるが、齋藤とリーはスペルの取捨選択で最後の1枚まで悩み抜き、残り3分を切ってからデッキ記入用紙への記入を始めた。
何とかデッキリストをジャッジに提出し、各プレイヤーの使用デッキは以下の通りとなった。
9 《平地》 8 《島》 -土地(17)- 1 《霧歩き》 1 《シガルダ教の僧侶》 1 《夜明けのグリフ》 1 《ドラグスコルの盾仲間》 1 《ネベルガストの伝令》 1 《霊体の羊飼い》 1 《異端聖戦士、サリア》 2 《悟った狂人》 1 《溺墓の探検者》 1 《改良された縫い翼》 1 《完成態の講師》 1 《信仰持ちの聖騎士》 1 《不憫なグリフ》 1 《溺墓のビヒモス》 -クリーチャー(15)- |
1 《神聖な協力》 1 《遥かなる旅路》 1 《刺し込む光》 1 《信条の香炉》 1 《天使の粛清》 1 《引きずり込み》 1 《金縛り》 1 《霊体の予備兵》 -呪文(8)- |
2 《取り繕い》 1 《爆発性の機器》 1 《侵襲手術》 1 《合鍵》 1 《突発的変化》 1 《厳格な巡邏官》 1 《腕っぷし》 1 《倒し霊》 2 《刹那の器》 1 《有事対策》 1 《果敢な捜索者》 1 《霧歩き》 1 《孤独な夜番の霊》 1 《巡礼者の守護霊》 1 《月皇の外套》 1 《収まらぬ思い》 1 《騎乗追撃》 1 《健忘の器》 1 《目録》 1 《相変位》 1 《ドラグスコルの盾仲間》 1 《天上からの導き》 1 《罪からの解放者》 1 《死中に活》 1 《巧妙なスカーブ》 1 《鉄大工の浄化》 1 《処刑者の大包丁》 1 《今夜を生き延びる》 1 《血に飢えた斧》 1 《証拠の痕跡》 2 《悪鬼を縛る者》 2 《研究室の粗暴者》 1 《揺るぎない信仰》 1 《鼓舞する隊長》 1 《セルホフのランプ灯し》 1 《空翔る月銀の魂刈り》 -サイドボード(40)- |
8 《山》 8 《沼》 -土地(16)- 2 《熱錬金術師》 1 《オリヴィアの血誓い》 1 《オリヴィアの竜騎兵》 1 《流城の死刑囚》 3 《スカースダグの嘆願者》 1 《血の間の僧侶》 1 《性急な悪魔》 2 《マウアー地所の双子》 1 《マルコフの十字軍》 1 《ヴィルディン群れの除けもの》 -クリーチャー(14)- |
3 《流電砲撃》 2 《謎の石の断片》 2 《粗暴な協力》 3 《錬金術師の挨拶》 -呪文(10)- |
1 《獲物道》 1 《両手撃ち》 1 《ファルケンラスの過食者》 1 《甘やかす貴種》 1 《アドレナリン作用》 1 《よろめく帰還》 1 《ケッシグの鍛冶場主》 1 《無差別な怒り》 1 《血管の施し》 1 《遠沼の亡霊》 1 《無慈悲な決意》 1 《放たれた怒り》 1 《巨体の悪魔》 1 《構造のひずみ》 1 《ガツタフの放火魔》 -サイドボード(15)- |
9 《沼》 8 《森》 1 《溺墓の寺院》 1 《放棄された聖域》 -土地(19)- 1 《墓ネズミ》 1 《針毛の狼》 1 《ウルヴェンワルドに囚われしもの》 1 《嵐の伝導者》 1 《冷静な建築家》 1 《スレイベンの異血種》 1 《ガヴォニーの不浄なるもの》 1 《精神壊しの悪魔》 1 《孤独な狩人》 1 《夜深の死体あさり》 1 《絞墓の群衆》 1 《甚だしい大口》 1 《忌まわしい群れの存在》 -クリーチャー(13)- |
2 《過去との取り組み》 1 《墓地からの徴用》 2 《エムラクールの加護》 1 《蟻走感》 1 《最後の望み、リリアナ》 1 《殺害》 1 《ウルヴェンワルドの謎》 1 《無情な処分》 -呪文(10)- |
1 《岐路の聖別者》 1 《壌土のドライアド》 2 《嘆きのグール》 1 《狂気の一咬み》 1 《満ちゆく月》 1 《血茨》 1 《嘆き細工》 1 《根から絶つ》 2 《春の賢者の儀式》 1 《突き刺さる雨》 1 《剛胆な補給兵》 1 《見事な再生》 2 《狼族の絆》 -サイドボード(16)- |
さまざまな意見をまとめを紙に明示するというメソッドは、言語の壁がある中で明確な指標となり、コミュニケーションのまとめが非常にスムーズになっているように感じられた。
ぜひ一度、チームシールドの際には、この方法を一度試してみてはいかがだろうか。
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