By Hiroshi Okubo

　グランプリ・京都2016は早くも第８回戦を迎え、全勝チームもだいぶ絞られてきた。

　海外プレイヤーの活躍が目立つ本イベントで第８回戦のフィーチャーマッチテーブルに呼ばれたのは、グランプリ・神戸2015のファイナリストであるJoe Sohを中心としたマレーシアの強豪軍団。

　対する日本人チームはTeam Cygames所属プロ・山本 賢太郎、Dig.cards所属プロ・行弘 賢と、和歌山のリミテッダー・北原 寛章の３名。昨年開催されたグランプリ・北京2015出場時と同様の布陣だ。

　両チーム席に着くなり朗らかに挨拶を交わし、シャッフルを開始する。勝利の女神はどちらのチームに微笑むだろうか？

試合展開

Ａ卓 ゲーム１

　先攻のHeeが操るのは伝統的な「青白飛行ビート」だ。《刹那の器》、《夜明けのグリフ》と航空戦力を揃える。対する山本は《ぼろぼろの憑依者》と《書庫の霊》をプレイし、まずはと《ぼろぼろの憑依者》でクロックを刻む。

　Heeもまた《夜明けのグリフ》で１ターン遅れて攻撃を仕掛け、《刹那の器》を構えながらターン終了。これによって山本の《ぼろぼろの憑依者》の攻撃は止まってしまうかと思われたが......

　山本は《ぼろぼろの憑依者》で攻撃を仕掛ける。これに対してHeeが素直に《刹那の器》を起動し、ブロッククリーチャーを指定しようとしたところで山本が待ったをかける。

　手札から放たれたのは《粗暴な協力》！ 「増呪」によってスピリットトークンと《夜明けのグリフ》を一掃し、アドバンテージを稼ぐ。

　これにより攻め手を欠いたHeeは山本の飛行クロックを受け続けることになってしまう。《敬虔な福音者》をプレイし、続くターンに《州民を滅ぼすもの》を「現出」で唱えて巻き返しを図るが、ここぞとばかりに山本から《行方不明》が放たれて一気に苦しい展開を強いられる。

　望まぬドローゴーを強いられるHeeに、山本はHeeのライフが７であることを確認すると、《霊魂破》＋《焼夷流》＋《焼夷流》のコピーを本体に投げつけ勝利をもぎ取った。

Hee 0-1 山本

手前から行弘 賢/北原 寛章/山本 賢太郎

Ｂ卓 ゲーム１

　Ａ卓で山本が華麗に勝利を収めたところで、Ｂ卓を見ていこう。勝利請負人・北原に相対するのはグランプリ・神戸2015のファイナリストであるJoh Soh。今大会でも大量に《棚卸し》が入った青赤コントロールで勝利を重ねているようだ。

　北原のデッキカラーは青黒。盤面をコントロールしながら高コストのクリーチャーに繋いでゲームを《不気味なアンコウ》、《不憫なグリフ》、《改良された縫い翼》と驚異的なファッティ軍団を擁し、すぐにもJohを蹂躙しようという体勢だ。

　Sohは一足先に第１ゲームを終えてシャッフルしているHeeに助けを求め、「とりあえず《棚卸し》してみたら？」とアドバイスを受け２マナ３ドローという強烈なドロー呪文に望みを託す......

　が、この状況を打開するカードを引くことはできず、ゲームは決着を迎えた。

Soh 0-1 北原

手前からLiang Choong Poh/Joe Soh/Hee Chung Wye

Ａ卓 ゲーム２

　再び山本に注目する。

　Heeがプレイした《ケッシグをうろつくもの》を即座に《流電砲撃》で処理する山本。ならばとHeeがプレイしたのは《刹那の器》と《夜明けのグリフ》。第１ゲームを彷彿とさせる展開だ。

　山本はHeeのターン終了時に《鎖鳴らし》をプレイし、先行してクロックを刻みながら《猛々しい狼》を追加。

　Heeも《縫い師の移植》をプレイして反撃を開始するが、山本は構わず《鎖鳴らし》と《猛々しい狼》でダメージを蓄積させ、再び先ほどと同じ質問......「ライフは８点で合ってる？」と尋ねる。

　Heeのターン終了時に《霊魂破》。続くターンに《焼夷流》をコピーして２発とも本体へ。さすがに２人とも苦笑を浮かべ、Heeは山本へ握手を求めた。

Hee 0-2 山本

Ｂ卓 ゲーム２

　北原とSohは互いにクロックとスペルを交換し合い、生き残ったわずかなクロックが空中戦を繰り広げる。

　だが、長期戦ではクリーチャーの質で勝る北原に分がある。《研究室の粗暴者》によって墓地に落ちた《改良された縫い翼》を戦場に戻し、《ガヴォニーの不浄なるもの》、《親切な余所者》までもが戦場に追加されると、Sohの除去が追いつかない。

　北原が念のため山本に「これ行っていいと思う？ 相手３マナ立ってるけど」と尋ねると、「いいんじゃないかな」と一言。それを受けて、北原がゾンビの軍勢を一挙にレッドゾーンに送り込む。

　猛攻を受け、最後のドローとなるライブラリートップを確認したSohはいつまでたってもプレイできない手札の《炎の散布》を恨めしそうに見つめながら土地を片付け始めるのだった。

Soh 0-2 北原

Ｃ卓 ゲーム２

　山本の勝利報告に次いで北原が行弘の肩を叩くと、「勝った！？チーム勝ち！？ヤッター！」と誰よりも嬉しそうにチームの勝利を喜ぶ。

......そしてPohに突き付けられた《約束された終末、エムラクール》の前に「デッキ強すぎー！！！」と雄叫びを上げて散っていった行弘の姿を、決して忘れない。

Poh 2-0 行弘

チーム Hee/Soh/Poh 1-2 チーム 山本/北原/行弘

チーム 山本/北原/行弘 Win!