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グランプリ・京都2016
第6回戦:チーム 松原/福岡/生島 vs. チーム 廣澤/津村/藤本
By 宮川 貴浩
殿堂プレイヤーの津村、プロツアー経験者であり、押しも押されもせぬトッププレイヤーの廣澤と藤本。文句のつけようのないこの3人のチームは、当然のようにここまで全勝で勝ち上がってきた。
対するは松原/福岡/生島チーム。主に話を伺った生島によれば、普段は徳島でプレイをしているメンバーとのことだ。
生島は「大した戦績はないですよ」と謙遜していたが、前日の大乱闘戦で優勝したとのこと。やはり、ここまで来るプレイヤーがただ者のわけがない。それは松原、福岡も同じだろう。
廣澤/津村/藤本チームが貫録を見せつけるか、それとも松原/福岡/生島が大金星を挙げるか。いずれにせよ、このマッチただでは終わらない。その予感はしていた。そして事実その通りに、いや、それ以上の激戦が繰り広げられた。
リラックスした雰囲気の両チーム。試合後も笑っているのはどちらか
A卓 ゲーム1
A卓は、青白スピリットデッキを操る廣澤と黒緑昂揚デッキの松原のマッチアップとなった。
廣澤は《ぼろぼろの憑依者》、《魂の聖別者》と素晴らしい滑り出し。松原は《魂の聖別者》を即座に《ソンバーワルドの雄鹿》で除去しようとするが、廣澤からは2体目の《魂の聖別者》が。しかし、松原はこれを負けじと《ソンバーワルドの雄鹿》で除去。両者一歩も譲らない。
松原の地上クリーチャーはサイズこそ廣澤のスピリットたちよりも大きいが、廣澤は《ネベルガストの伝令》で松原のクリーチャーをタップし、攻撃を許さない。
そして、廣澤が《冷たいわしづかみ》で松原のクリーチャーを完璧に封じ込めながら飛行クリーチャーでクロックを刻むと、松原の口からは思わず「すげえ......」と言葉が。
ひりひりするようなすれ違いのダメージレースを廣澤が制すると、松原は「完璧だったんだけどな......」と未だ信じられない様子でサイドボーディングに取り掛かった。
松原 0-1 廣澤
B卓 ゲーム1
B卓でぶつかるのは、青黒デッキの津村と白単デッキを組み上げた福岡。
立ち上がりこそ《神聖な協力》でテンポを取ったかに思われた福岡だったが、《シガルダ教の僧侶》は即座に《金縛り》される。福岡のデッキに投入されている《ガラスの破片》は昂揚達成のためだろうか。
津村が飛行クリーチャーの中でも特に強力な《完成態の講師》を早々に戦場に送り込むと、試合の流れはそのまま決まってしまった。
これらのカードは、その強さはもちろんのこと、ぜひストーリー性を味わってほしい。
福岡 0-1 津村
C卓 ゲーム1
赤緑デッキの藤本は、ダブルマリガンの厳しいスタート。ここに青赤デッキを操る生島の《引きずり込み》を絡めた《集団的抵抗》が突き刺さってしまい、早くも万事休す。頼みの綱の《アーリン・コード》も、ほどなく落とされてしまう。
それでもさすがの粘りを見せる藤本だったが、《忘れられていた家宝》の装備先を生き残らせてもらえない。
そしてついに《縫い翼のスカーブ》が生島の戦場に現れると、生島は手堅く一本目を先取した。
生島 1-0 藤本
A卓 ゲーム2
先攻の松原は、《首絞め》でスタート。到達を持ち、手札を捨てるだけで何度でもパンプアップできる優秀な2マナクリーチャーだ。さらに、松原のデッキでは昂揚にも貢献する。
松原は廣澤の《ぼろぼろの憑依者》を《首絞め》でマッドネスしながら即除去するが、廣澤も《ドラグスコルの盾仲間》を出しつつ《揺るぎない信仰》をエンチャントして隙を見せない。
廣澤は次々と松原のクリーチャーを無力化していくが、松原は《ウルヴェンワルドに囚われしもの》を《ウルヴェンワルドの忌まわしきもの》に変身させることに成功すると、《闇告げカラス》で着実に墓地を肥やしていく。
そして、昂揚を達成しつつ満を持して送り出されたのは、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》! スタンダードでも屈指のパワーカードの登場に、廣澤は《冷たいわしづかみ》でぎりぎりまで持ちこたえるが、蜘蛛たちを散らすことはついぞかなわなかった。
松原 1-1 廣澤
B卓 ゲーム2
《シガルダ教の僧侶》でスタートした福岡に対し、津村は《無謀な識者》で相打ちをとることを選択した。明確なプランがありそうな交換だ。
福岡は《夜明けのグリフ》、《悪鬼を縛る者》、《偏執的な教区刃》、《戦闘的な審問官》と、どんどん戦線を強化していく。
ここで、津村は《老いたる深海鬼》をキャスト。
さらに、《縫い翼のスカーブ》、《ドルナウの死体あさり》、《戦墓の巨人》と追加して、福岡の怒濤の攻めを食い止めようとする。
しかし、福岡の展開力はそれすらも上回っていた。残りライフ1で飛行クリーチャーに対処したものの、続くフルアタックに解答はなく、勝負はラストゲームにもつれ込むことになった。
福岡 1-1 津村
C卓 ゲーム2
今回は7枚の手札で始められた藤本。《針毛の狼》は即座に除去されるが、すぐに《薄暮見の徴募兵》を戦場に送り出す。《嵐の伝導者》、《銀毛の援護者》と後続も充実している。
しかし、受ける生島は《引きずり込み》で展開を遅らせたところで、再度《集団的抵抗》を炸裂させ、素出しの《不憫なグリフ》、《完成態の講師》と飛行戦力で一気に押し返す。
しばしにらみ合いが続いたが、生島が《冷たいわしづかみ》を唱えてからじっくり考えてアタックすると、藤本は投了。生島が一番乗りでチームに白星をもたらした。
生島 2-0 藤本
B卓 ゲーム3
福岡の《不動の聖戦士》を、津村は《邪悪借用》で即座に除去。返しに《戦墓の巨人》を展開し、次なる《魂の聖別者》にも《エムラクールの加護》で対処。完璧な受けを見せる。
ところが、いくら戦力を削いでも、福岡はクリーチャーを並べ続ける。ついに《勇敢な先導》と《信仰持ちの聖騎士》が場に残ると、数の暴力の前に、津村はライフを守り切ることができなかった。
福岡 2-1 津村
ここで、チーム 松原/福岡/生島の勝利が決定したが、A卓でも最後まで壮絶な試合が行われたので、ぜひお届けしたい。
A卓 ゲーム3
ここまでの2戦、常に一進一退の攻防を見せてくれている廣澤と松原。最後も壮絶な戦いが繰り広げられることは間違いないだろう。なお、試合開始の時点ではB卓の結果がわかっていない。まさに大一番だ。
廣澤は再び《ぼろぼろの憑依者》からスタート。松原も《過去との取り組み》から《邪悪の使者》を拾い、着々と戦力を整えていく。
《ぼろぼろの憑依者》の生存は《殺人衝動》で許さない松原だが、廣澤は《敬虔な福音者》、《魂の聖別者》と展開。突如現れる《ネベルガストの伝令》は、松原のクリーチャーをタップする。
ここからが廣澤のデッキの真骨頂だ。墓地にあるクリーチャーは《魂の聖別者》の能力でスピリットに変わり、スピリットは《ネベルガストの伝令》でタップ効果を、《魂の聖別者》で打点アップを、《敬虔な福音者》でライフをもたらす。構築デッキでも見ているかのようなあまりにも美しい動きだ。
回りだした廣澤のエンジンに対して、松原は《絞首束縛》をつけられた《首絞め》の能力で昂揚を達成させ、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を着地させる。だが、繰り返しのタップ能力でなかなか戦闘をさせてもらえず、松原は徐々にライフを削られていく。
ここで、なんと松原はもう1枚持っていた《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を贅沢にキャスト。1体を戦場に残し、さらに蜘蛛・トークンを追加した。
さすがにこれでがっちりと戦場が固まったかに思われたが、廣澤は戦闘に合わせて絶妙なタイミングで《敬虔な福音者》を《むら気な信奉者》へと変身させ、ライフドレイン。いつの間にか松原のライフは1になっていた。
2枚の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で盤石かと思われた状況から一転、何か引かないと負けというところに追い込まれた松原。最後のドローで松原が引いたのは――
《州民を滅ぼすもの》!
2枚の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》にとどまらず、このカードが入っているというデッキの強さ!
それをここで引くカリスマ性!
廣澤のターンエンドにしっかり《墓後家蜘蛛、イシュカナ》の能力を起動していたこともあり、20点以上あった廣澤のライフは一瞬で消し飛ぶ。廣澤は対戦相手やチームメイトとともに何度か計算し、信じられないといった顔でカードを片付けた。
本対戦は、どの卓も非常に見ごたえがあった。特に、A卓のゲーム3は、この目で見ることができてよかったと心から思うほどだった。明日も両チームが活躍し、ひとりでも多くの方にこの感動を届けられることを祈る。
チーム 松原/福岡/生島 Win!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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