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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第36回:『基本セット2020』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! ついに梅雨も明け、夏も真っ盛り! 自転車移動の多い僕からしたら嬉しい季節が到来しました!
今週末には待ちに待ったマジックフェスト・千葉2019も開催と、熱気高まる週末になりそうですね。熱中症にはご注意を!
さて、今回はそんなMF千葉内のグランプリ・千葉2019の対戦フォーマットでもある『基本セット2020』のドラフト記事をお送りするのですが、いつもと記事の形式が変わります。
というのも、今回は僕が直前で参加したミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)のドラフトが『基本セット2020』でのドラフトではなかったため、環境初期に練習できず記事の掲載タイミングを逃してしまったからです。
いつもの記事を楽しみにしていただいている方には大変申し訳ないですが、今回はいつもの前編・後編の形ではなく、大ボリューム1回でお送りする形とさせていただきます!
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『基本セット2020』ドラフト環境のポイント
『基本セット2020』ドラフトは、『基本セット2020』3パックを使用します。
環境のポイント1:高レアリティと除去が基本
『基本セット2020』はその名の通り、従来の基本セットの流れを汲んだエキスパンションなだけあり、単純な能力が多いです。カード間の組み合わせで爆発的に強力になる、いわゆるシナジーも全体的に少ないです。
そのためゲームに明確に差を付けることができる高レアリティのカードが単純に強く、必然的にそれを除去できる呪文も非常に重要です。
環境のポイント2:攻めは飛行とトランプル
高レアリティカードが上手く取れない時は、コモンを中心に戦うことになります。その際気を付けなければいけないことは、1~3マナ域の地上クリーチャーで攻める形にしないことです。
というのも、コモンの地上クリーチャーを除去やコンバットトリックでバックアップするには限界があり、カードを一方的に多く引かない限りは上手くいきにくいからです。
ではどうすればいいかというと、回避能力持ちのクリーチャーや、サイズに長けたクリーチャーで攻めれば良いのです。
飛行持ちクリーチャーならば相手の飛行・到達持ちのブロッカーだけを排除すれば攻めを継続できますし、基本のサイズが相手を上回れば、脅威になる一部のクリーチャーだけを排除すればおのずと有利になっていきます。特にトランプル持ちの地上クリーチャーはサイズに長けていることが多く、チャンプブロックも許さないため地上ビートになる際は意識してデッキに採用しましょう。
環境のポイント3:目指すべきは全部で勝つこと
高レアリティ・除去・飛行とサイズの3つの要素が重要といいましたが、これに加え強いデッキはカードアドバンテージの要素も重要となります。
というのも、『基本セット2020』は複雑なシステムやキーワード能力によるシナジーが無いため、どうしてもカード1枚ずつのトレードを繰り返すゲームになりがちだからです。それを繰り返していくといわゆる土地も多く引きすぎるマナフラッドを起こした方が不利になりやすく、そういった状況を想定してデッキを組む必要があります。
例えば単純にドロー呪文を入れて相手とカードの枚数差を付けても良し、墓地から複数クリーチャーを回収するカードで優秀なクリーチャーを繰り返し使いまわしても良し、繰り返し起動型能力を使えるいわゆるシステムを盤面に定着させても良し。手段はたくさんありますが、ただ愚直に攻めるだけでは相手にいいようにやられてしまいます。
また、土地を多く引くという長期戦になる前にゲームを決めてしまうという手段もあります。その際は前述した高レアリティ・除去・飛行とサイズの3つの要素を兼ねそろえていればある程度そういったゲーム展開に持ち込むことも可能です。アドバンテージはあくまでゲームを優位に進めるための保険のようなものなので、高レアリティ・除去・飛行とサイズの3つの要素が疎かにならないように気を付けてバランス良くデッキを作っていきましょう!
以上の3つのポイントを意識してデッキを作るようにすると、地上の膠着で攻め筋が無くなったり、マナフラッドに陥って不利なゲームになったりといった展開が減ると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
2.『基本セット2020』のトップコモン&アンコモン
色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《祖先の刃》:2ターン目にプレイすれば2/2相当の働きをし、その後は付け替えやすい装備品として活躍する、非常に使い勝手の良い1枚です。
《練達の接合者》:4マナで合計5/5相当となる、マナレシオに優れた優秀なクリーチャーです。《送還》などで本体をバウンスすれば繰り返し使えるのも良いですね。
《神々の思し召し》:プロテクションを1マナで付与は破格のスペック。占術もついて疑似アドバンテージも確保できる、優秀なコンバットトリックです。
白・コモン
《平和な心》:いわずもがなの白の除去の代名詞が帰ってきた! システムクリーチャー以外には問答無用のほぼ完全除去として機能する優秀な1枚です。
《庇護のグリフィン》:パンプアップ能力を持った飛行クリーチャー。《急報》との組み合わせはコンバットトリックにもなるため、意識して組み合わせてみましょう。
《不動の哨兵》:警戒かつ相打ちすると得する、まさに攻撃し得なクリーチャー。横に飛行クリーチャーがいると相手は非常に嫌がるでしょう。
青・アンコモン
《大気の精霊》:いつだって5マナ4/4飛行は強い! 安心安定の強力スペックです。
《幽体の船乗り》:序盤からコツコツ攻撃し隙を見てドロー能力を起動してもよし、中盤以降いきなり出てきてドローしだしても良しと、1マナながらほぼマスト除去の性能を持つ、環境屈指のシステムクリーチャーです。
《名高い武器職人》:《心臓貫きの弓》も《龍火の薬瓶》もどちらも単体で使える性能なので、これらをサーチできるのは非常に優秀ですね。
青・コモン
《北方の精霊》:簡易的とはいえ除去耐性のある5マナ3/4飛行はコモンとしては破格の性能ですね。
《雲族の予見者》:コモン歴代最強クラスのキャントリップ内蔵飛行クリーチャー。出して絶対損しない飛行クリーチャーは流石に強すぎます。
《翼ある言葉》:飛行クリーチャーがいると2マナでプレイできるようになる《予言》。《予言》も過去の基本セットでは貴重なアドバンテージカードとして重宝していたので、それより強いなら手放しにデッキに入れたいカードです。
黒・アンコモン
《見栄え損ない》:軽い除去としても使えますし、コンバットトリックとしても使える優秀な1枚です。
《グレイブディガー》:基本セット定番ともいえる黒の代名詞的カード。墓地のクリーチャー回収に2/2が付いてくる優れものです。
《血に飢えた曲芸師》:3マナ2/3飛行と優秀なスペック、かつライフを得る度にサイズが大きくなるおまけはかなり嬉しいですね。コモンの2色土地も1色合っていたらライフ回復のシナジーを期待してデッキに入れてもよさそうです。
黒・コモン
《殺害》:正直ほとんどのアンコモンよりも強力な、使い勝手の良すぎる除去です。レアリティに騙されないように気を付けましょう!
《貪る禿鷹》:墓地からクリーチャーを回収するカードとの相性が良く、地上クリーチャーとのダメージレースになりがちな飛行とライフ回復の相性も良い優秀な飛行クリーチャーです。ライブラリーがガッツリ削れるので、複数採用する場合はライブラリーアウトにご注意を。
《大胆な盗人》:攻撃するたびにドローできる、相手にすると厄介極まりないクリーチャーですね。本体のスペックは3マナ2/2と平均より下なので、できるだけ攻撃を通せるようにバックアップする呪文はたくさん採用して使うようにしましょう。
赤・アンコモン
《新米紅蓮術師、チャンドラ》:赤だけ優遇されてアンコモンにプレインズウォーカーが! 繰り返し使える除去、マナ加速、エレメンタル・シナジーとレア並みに普通に強いです。
《供犠の仮面》:さまざまなシナジーを期待できる装備品。特に赤黒系のアーキタイプだと縦横無尽の活躍を期待できます!
《燃えさし運び》:いざとなったら《ショック》になるゴブリン。いつ引いても腐りにくい2マナクリーチャーは、それだけで嬉しいですね。
赤・コモン
《ショック》:安心安定の1マナ除去。この環境だと大体3マナクリーチャーまで除去できるので使い勝手が非常に良いですね。
《チャンドラの憤慨》:インスタントかつ4点はほぼ完全除去のレベルで機能する非常に優秀な1枚ですね。おまけの本体2点は%に直すとライフの10%相当になります。おまけで10%削るの凄くないすか!?
《短剣帆の飛空士》:地上が主戦場になりがちの赤にとって貴重な飛行枠のクリーチャー。パワーが3あるのも攻める側になりやすい赤にとって嬉しいですね。
緑・アンコモン
《成長の季節》:デッキこそ選ぶものの、一度定着してしまえば無尽蔵のアドバンテージを得ることができる、優秀なシステムエンチャントです。
《狼乗りの鞍》:4マナ3/3と普通のスペックと侮るなかれ。複数ブロックを許さない緑のサイズ差を活かす優秀な装備品です。
《打ち壊すブロントドン》:『イクサランの相克』からお早い再録で! 3マナ3/4は単純に優秀なスペックで安心できますね。もちろん、いざとなったら《帰化》にもなる使い勝手が良いクリーチャーです。
緑・コモン
《シルバーバックの巫師》:5マナ5/4トランプルになんの不満も無いのですが、おまけで死亡時ドローが付いてきたら不満どころか大満足です。
《狂気の一咬み》:緑の安定除去枠ですね。格闘ではなく一方的にダメージを与えるので、使ってからそのまま戦闘に参加しやすかったり、接死持ちが自身より上のサイズのクリーチャーを打ち取れたりします。
《枝葉族のドルイド》:マナ・クリーチャーとしてただ優秀なだけでなく、エレメンタルのシナジーも期待できる非常に優秀な2マナクリーチャーです。
3.各色の組み合わせの特長
ここからは、『基本セット2020』リミテッド環境での2色の組み合わせ10種類のそれぞれの特長を解説します。
白青
白青は白と青の特徴である飛行クリーチャーを主軸に戦う色の組み合わせです。
飛行クリーチャーと《空からの突撃》や《翼ある言葉》などの飛行クリーチャーと相性が良いカードを組み合わせてダメージレースを制していきましょう!
マルチカラーの《天穹の鷲》は周りりの飛行クリーチャーを強力にバックアップするだけでなく、自身も3マナ2/3飛行と強力な飛行クリーチャーなので、見かけたら必ずピックするようにしましょう。
白黒
白黒は優秀な除去を中心に盤面を安定させ、飛行やシステムクリーチャーでじわじわ戦況を有利にしていく色の組み合わせです。
白黒のメリットはなんといっても最強格の除去である《平和な心》と《殺害》を同時に使えることです。
相手の脅威をこれらの除去で排除しつつ、飛行でじわじわ攻めて行きましょう。また、黒は墓地からクリーチャーを回収することにも長けているので、長期戦をするのに向いています。
マルチカラーである《死体騎士》は即座にインパクトある働きはしませんが、長期戦をする白黒にとってはフィニッシャーのようなダメージを稼ぐことができる貴重なシステムクリーチャーです。
白赤
白赤は飛行クリーチャーを主軸に攻めを継続し続ける色の組み合わせです。
今回の赤は珍しく飛行と相性が良い《ゴブリンの鳥掴み》がいる都合上、赤白だと飛行軸のデッキを組むことができます。
白の飛行クリーチャーをを中心に、赤の《ゴブリンの鳥掴み》、《短剣帆の飛空士》を組み合わせて飛行軸で攻めるデッキを組んでいきましょう。《天使の贈り物》で飛行をつけるのも良いですね。
また、マルチカラーである《空騎士の先兵》も飛行クリーチャーなので、飛行軸のデッキと相性が良いです。
白緑
白緑はクリーチャーを呪文で強化して一気に押し切る色の組み合わせです。
白緑はパターンが2つあり、《急報》や《獰猛な仔狼》などのトークンカードで横に並べ、《鼓舞する突撃》や《超克》等の呪文で一気に押し切る形と、
《成長の季節》から《成長周期》などの単体をバックアップするカードで攻めを継続していく形です。
どちらも一緒にしてしまうと上手く噛み合いが悪くなってしまうので、意識してどちらかに寄せた方が強いデッキになりやすいです。
マルチカラーである《鉄根の大将軍》はトークン型のほうが相性は良いですが、どちらで使っても強力なので見かけたらぜひピックしましょう。
青黒
青黒は除去呪文で盤面を安定させ、各種アドバンテージカードで相手とリソース差をつけて相手をコントロールする色の組み合わせです。
青黒はクリーチャーのサイズが乏しいため短期決戦には向いていません。逆に《殺害》や《翼ある言葉》のような優秀な除去やドロー呪文は青黒だけに許された特権であるため、長期戦を目指した呪文中心のデッキだと強力なデッキになりやすいです。
マルチカラーである《秘本綴じのリッチ》はカード枚数こそ増えないものの、疑似的なアドバンテージを内包した接死クリーチャーなため、非常に青黒にマッチしています。見かけたらぜひピックしましょう。
青赤
青赤はエレメンタル・シナジーを軸に、青と赤の優秀な呪文でバックアップし短期決戦を目指す色の組み合わせです。
青と赤はエレメンタルの数が多く、エレメンタル・シナジーを軸にすることができます。コモンだと《溶岩族の喧嘩屋》が、アンコモンだと《新米紅蓮術師、チャンドラ》がシナジーの軸となります。マナの余裕があるならば《発現する浅瀬》や《這い絡む火跡》もタッチすることも検討しましょう。
《ショック》や《チャンドラの憤慨》といった優秀な除去で倒せないサイズの大きなクリーチャーは《送還》や《霜のオオヤマネコ》で疑似的に除去して攻めを継続できるため、短期決戦を目指すならば赤青は一番良い色の組み合わせといえるでしょう。
マルチカラーである《稲妻の嵐族》はエレメンタルでありながら単体スペックが非常に高いため、見かけたら優先してピックしましょう。
青緑
青緑は《発現する浅瀬》を中心としたエレメンタルシナジーを軸に多色化を目指し、カードパワーの差で圧倒することを目指す色の組み合わせです。
基本的には《枝葉族のドルイド》や《楽園の贈り物》でマナ加速し緑の重いクリーチャーを軸に戦っていきます。その過程で《発現する浅瀬》でアドバンテージを取っていける展開が理想ですね。
青緑は除去が弱いので、多色化して他の色から除去を借りてくると弱点が補えて、1枚のカードに負けるといった展開も無くなります。《楽園の贈り物》や《進化する未開地》が複数取れてマナベースに余裕がある時は、赤のエレメンタルもピックして《発現する浅瀬》を強力に使えるようにしましょう。
黒赤
黒赤は生け贄シナジーを軸に攻めを継続していく色の組み合わせです。
主な生け贄シナジーとしては、《反逆の行動》で相手のクリーチャーを奪い、《骨の粉砕》や《供犠の仮面》で生け贄に捧げて除去とダメージを稼ぐことができます。基本的には赤黒ではこれを狙ってドラフトしていきます。
他にも《焼印刃》を《燃えさし運び》や《供犠の仮面》にプレイして接死ダメージを飛ばしたりすることもできます。
マルチカラーである《オーガの包囲破り》は攻めを継続しやすくなるだけでなく、《供犠の仮面》と組み合わせるとある程度自由に除去できるようになるため、非常に強力です。
黒緑
黒緑は黒の優秀な除去と緑の優秀なクリーチャーで長期戦を戦っていく色の組み合わせです。
色の特性上飛行クリーチャーが少ないため、どうしても勝負は中盤以降の緑のサイズが優秀なクリーチャーに頼る展開になります。そのため、そこに繋げる《枝葉族のドルイド》などのマナ・クリーチャーや、《殺害》などの除去が重要になってきます。
お互いの弱点を補った色の組み合わせではありますが、特筆できるシナジーは特に無いのでカードパワーで勝負する必要があります。まずはレアリティの高いカードから参入するようにしましょう。
マルチカラーである《腐れ蔦の再生》は非常に強力なシステムエンチャントで、優位な状況あるいは膠着状態で張れればほぼゲームをものにしたと言っても過言ではないでしょう。黒緑をやる理由の1つでもあるので優先してピックしましょう。
赤緑
赤緑はエレメンタル軸で攻めていく色の組み合わせです。
赤緑は2マナ域に《チャンドラの火炎猫》と《枝葉族のドルイド》と2種のマナ・クリーチャーを採用できる色の組み合わせであるため、エレメンタル軸でデッキを作るのに適しています。4マナ域の《茂み壊し》や《溶岩族の喧嘩屋》もエレメンタルと相性が良く、2→4の動きを意識してピックしてデッキを作ると強力になりやすいです。
マルチカラーである《這い絡む火跡》はエレメンタル・シナジーの主軸を担う全体強化能力持ちのクリーチャーなので、赤緑をやる際は絶対にピックするようにしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが『基本セット2020』のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回はいつもと違う形でお送りさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。感想をいただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
今週末はグランプリ・千葉2019も開催されます。ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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