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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第32回:『ラヴニカのギルド』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは!
今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。
今回もプロツアーに参戦してきたので、プロツアー後の振り返り、しっかりやらせていただきます。
1.プロツアーを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこちら。
- 基本的に色の組み合わせが5種類しかないため、いつも以上に上家と色が被らないことが重要。
- 多色のカードの強さに差が結構ある。ゴルガリは厳しそう。
- ボロスとイゼットの赤のギルドは環境を定義するビートダウンが組めるので、最初はこの2ギルドをどう捌くかが重要になりそう。
- ギルドのシナジーが偏っているのでアーキタイプ環境。
そして、その後の実際の練習過程やプロツアー『ラヴニカのギルド』で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
90点:基本的に色の組み合わせが5種類しかないため、いつも以上に上家と色が被らないことが重要。
ギルドが5種類しかない以上、2色とも上家と色が被るリスクは見逃せなく、序盤でピックした1~4枚を捨てる覚悟で色(ギルド)を変えるのは非常に重要です。
ただし、卓に自分と上家の2人だけしかそのギルドをやっている人がいない場合はその限りではありません。ほとんどのギルドが卓で2人までだと許容できるので、時には返しの流れ次第では上色と色が被っても強行するのも悪い選択肢ではありません。
80点:多色のカードの強さに差が結構ある。ゴルガリは厳しそう。
ゴルガリはマルチのアンコモン自体は他のギルドに見劣りはしないものの、コモンカードが弱く、他のギルドに比べて参入障壁が高いです。もちろん卓で1人になると他のギルドと同じく十分戦えるレベルのデッキとなるので、自分がゴルガリをやるべきかは常に考えてピックする必要があります。
60点:ボロスとイゼットの赤のギルドは環境を定義するビートダウンが組めるので、最初はこの2ギルドをどう捌くかが重要になりそう。
ボロスもイゼットもクリーチャーで対抗しようとすると、教導やコンバットトリック、除去で対応されてしまいがちです。どちらのギルドにも有効な対応として簡単なのはコンバットトリックや相手の除去を上手く使わせないために相手の脅威を徹底的に除去することです。
環境の速度を定義するのは赤系2種のギルドなのは間違いないですが、どのギルドも完成形は非常に強力で、環境の速度が一定ではないので、赤系のギルド以外にもまんべんなく戦える構成を目指す方が無難です。
100点:ギルドのシナジーが偏っているのでアーキタイプ環境。
この環境はさまざまなアーキタイプを熟知する必要があります。
例えばイゼットだけでも、
- 軽いクリーチャーを《音波攻撃》等の呪文でバックアップする「イゼット・アグロ」
- 《標の稲妻》などの再活除去を中心としたインスタント・ソーサリー主軸の「イゼット・コントロール」
- それに白を足して《轟音のクラリオン》などのタッチしやすいレアと複数枚のギルド門を採用して《駐屯地の兵長》を使う「ジェスカイ・コントロール」
などがあります。
1つのギルドだけでも多様なアーキタイプが存在し、単純にカードの点数で評価していってもデッキが強くならないことが多いので、今の自分のデッキに合ったカードを都度考えながらピックしていくことが非常に重要な環境です。
2.新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 2色被るとデッキが弱くなりがちなのでいつも以上に色替えは積極的にするべきですが、返しが良い時は上家と色が被っても強行することも考えましょう。
- ゴルガリをやる時は高レアリティのカードから参入し、卓に複数いると感じたら上家と色が被っていなくても色変えを検討しましょう。
- 赤系のギルドだけでなく、すべてのギルドに対しある程度戦えるようにデッキを組むよう意識しましょう。
- ギルドごとに複数のアーキタイプが存在するので、カードを点数順に取るのではなく、デッキの方向性に合ったカードを意識してピックするようにしましょう。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
3.各種注目アーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:ゴルガリ・アグロ
「ゴルガリ・アグロ」は、《デヴカリンの造反者》や《背骨ムカデ》等のクリーチャーで積極的に攻撃を仕掛けて相手のライフを狙うとともに、積極的に相手のクリーチャーと相打ちを狙い、《よろめく根茎》を早期ターンに巨大なサイズで出すことを狙うアーキタイプです。
このアーキタイプで重要なのは、できるだけクリーチャー以外の呪文を少なくして、クリーチャーを多めに採用することです。少なくともクリーチャーが18枚以上は入れるようにしましょう。
また、《活胞子ワーム》と《感情化粧師》はクリーチャーでありながら攻めをバックアップすることができるので、可能なら各1枚ずつ以上採用するようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:セレズニア召集
「セレズニア召集」は、《刎頸の友》や《鋼胴の甲虫》などの戦闘で価値が薄いバックアップクリーチャーを召集のコストに充て、《薔薇たてがみのケンタウルス》などの強力な召集クリーチャーを早期ターンにプレイしていくアーキタイプです。
召集クリーチャーをたくさん入れすぎると召集クリーチャーばかり引いてしまい動けなくなってしまうことがあるので、出しやすい《薔薇たてがみのケンタウルス》以外の召集クリーチャーは1~3枚以内に抑えた方が良いです。
セレズニアは巨大なクリーチャーのサイズ、多様な回復手段により赤系のギルドに強いギルドですが、飛行に対しての干渉手段に乏しいギルドなので、《押し潰す梢》などの飛行対策カードはメインデッキから積極的に採用することを検討しましょう。
注目のアーキタイプ・その3:大剣グリーン
大剣グリーンとは、《ギルドパクトの大剣》を緑の回避能力が無いサイズの大きなクリーチャーに付けて攻めていくアーキタイプです。
緑である理由のもうひとつは、緑と白にタッチしたいカードが少ないため《セレズニアのギルド門》が安く取れやすく門の枚数を確保しやすい点にあります。
またセレズニアベースだと、ボロスだとタップインのもたつきが使いにくい《ボロスのギルド門》も安く取れやすく、《ギルドパクトの大剣》のベストパートナーである《駐屯地の兵長》をタッチしやすいという利点があります。
白の絆魂を持つトークンとも相性が良いため、基本的にはセレズニアベースで《ギルドパクトの大剣》デッキを目指すと良いでしょう。ゴルガリベースになった時は逆に白のトークン系カードをタッチすることを意識しましょう。
また、《ギルドパクトの大剣》は威迫が付くことから、《活胞子ワーム》に装備すると2体以上にはブロックされない能力と合わせて、相手はブロックできなくなるので、《ギルドパクトの大剣》をデッキに入れる際は1枚は採用したいカードです。
以上、3つの注目のアーキタイプでした。
この環境はギルドごとにさまざまなアーキタイプが存在するため、ドラフトする度に発見があると思います。ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。
4.『ラヴニカのギルド』のギルド別トップコモン&アンコモン
前回は『ラヴニカのギルド』の各色トップ3を挙げましたが、今回は各ギルドごとのトップ3を挙げていきます。
ボロス・アンコモン
《軍勢のギルド魔道士》:ボロスで重要な2マナ域を担いつつ、厄介なブロッカーを排除するタップ能力、盤面で突破できない時は3点ダメージと、ボロスに必要な要素をすべて兼ね揃えたエースクリーチャーです。
《突撃するロック鳥》:教導持ちクリーチャーとの相性がバツグンすぎる、ボロスの要とも言えるクリーチャー。ボロスをやる際は見たら取るレベルで意識してピックしましょう。
《ボロスの挑戦者》:2マナの教導持ちクリーチャーはアンコモン以上にしかおらず貴重な存在ですが、《ボロスの挑戦者》は中でも素のスペックが高い上にパンプアップ能力まで兼ね揃えた、文句の無い教導持ちクリーチャーの最高峰です。
ボロス・コモン
《ウォジェクの護衛》:ボロスの最重要コモンの一角です。《ウォジェクの護衛》でクリーチャーのサイズのベースを上げつつ、面で攻める動きはボロスが理想とするムーブなので、意識して複数枚ピックするようにしたいですね。
《空騎士の軍団兵》:速攻と飛行はダメージレースに大きく差を付けることができ、速攻持ちなので《ウォジェクの護衛》だけの盤面でもいきなり打点を稼ぐことができる、ボロスにおける重要な存在です。
《パルヘリオンの巡視兵》:飛行の教導持ちクリーチャーなので、攻めの継続性を担保してくれるゲームの中盤で頼もしい存在です。パワーを1上げると教導がしやすくなるので、教導などの何らかの手段でパワーを1上げることを意識しましょう。
イゼット・アンコモン
《つぶやく神秘家》:言うまでもなく再活との相性が良く、イゼット最強のフィニッシャーです。
《標の稲妻》:インスタント・ソーサリー中心のデッキでないと活躍させるのは難しいものの、イゼットが苦手な巨大サイズのクリーチャーに対抗できる貴重な除去です。
《小柄な竜装者》:攻めるイゼットだと大活躍間違いなしの1枚。受けるイゼットではいまいち活躍しないので、デッキによって評価を変えるようにしましょう。
イゼット・コモン
《ゴブリンの電術師》:イゼットのどのアーキタイプでも複数枚欲しい、核となる2マナ域です。
《高熱仮説》:除去性能付きドロー呪文。デッキに入れることに裏目が無い、非常に強力なカードです。
《音波攻撃》:攻めるイゼットにおける重要な再活カード。これがあるかどうかでダメージレースを制することができるゲームの数が大きく変わります。
ディミーア・アンコモン
《夜帷の捕食者》:呪禁と飛行はフィニッシャーとしての性能として最高クラスの能力です。いざ防御に回った時は接死で対応に回れる裏目の無さも素晴らしいですね。
《虚報活動》:安定してアドバンテージ差を広げることのできる、「ディミーア・コントロール」の最重要カードです。
《つぶやく神秘家》:1枚で盤面を掌握する環境最強のアンコモン。黒には再活が無いので、《つぶやく神秘家》がピックできた時は青の再活カードは優先するようにしましょう。
ディミーア・コモン
《霧から見張るもの》:サイズ・能力ともに申し分ないだけでなく、諜報のシナジーが期待できる、ディミーアの最重要コモンです。
《巧みな叩き伏せ》:攻める時はブロッカーを、守る時はアタッカーをタップできる、攻守に渡って優れた優秀な除去です。
《闇刃の工作員》:攻めつつリソースを確保できる、諜報のリターンを大きくする、デッキを作りやすくする、ディミーアの核となるクリーチャーです。
ゴルガリ・アンコモン
《群集のギルド魔道士》:膠着を打破するのが苦手なゴルガリにおいて回避能力付与は貴重な存在です。2点ライフゲインで飛行クリーチャーとのダメージレースにも対応できるのもポイントが高いですね。
《席次 // 石像》:コンバットトリック・除去どちらで使っても非常に強力な1枚。除去できる幅が広いのも嬉しいですね。
《優しいインドリク》:クリーチャー以外の呪文をあまり採用したくないゴルガリにおいて、除去性能持ちクリーチャーは非常に貴重です。
ゴルガリ・コモン
《死の重み》:テンポよく攻める除去としてゴルガリでは重宝します。
《デヴカリンの造反者》:2マナ域からしっかり攻める必要があるゴルガリにおいてコモンの中では一番重要なクリーチャーです。パンプアップ能力があるので、いつ引いても嬉しいのもポイントが高いです。
《背骨ムカデ》:ゴルガリは3マナ域が弱くなりやすいので、意識してピックしましょう。相打ちが望ましいゴルガリにおいて相打ちした上にボーナスがある貴重な存在です。
セレズニア・アンコモン
《議事会の騎兵》:追放除去以外ほぼ裏目がないスーパークリーチャー。盤面に降り立てば最後、地上戦はこちらのものです。
《ギルドパクトの大剣》:回避能力が少ないセレズニアは接死等のカードで簡単に対策されがちですが、《ギルドパクトの大剣》さえあれば容易に突破可能なので、セレズニアをやる際は意識してピックしたいカードです。
《議事会の裁き》:セレズニアは除去手段に乏しいため、ほぼ完全除去である《議事会の裁き》は貴重な除去として優先度が高いです。
セレズニア・コモン
《薔薇たてがみのケンタウルス》:コモンの招集クリーチャーの中ではダントツでスペックが高く、コストも軽いので早期ターンからプレッシャーもかけやすい、セレズニアの核となるクリーチャーです。
《鋼胴の甲虫》:盤面を強くしつつ、自身は召集のコストに充てられる、攻守を兼ねそろえた優秀な2マナ域です。
《パルヘリオンの巡視兵》:飛行が少ないセレズニアで貴重な飛行枠。1/1のトークンを採用しやすいセレズニアでは教導も上手く使いやすいです。
以上、各ギルドトップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
5.最後に
『ドミナリア』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想をいただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
直近の国内グランプリ、グランプリ・名古屋2018ではチームメイトの活躍もあり優勝することこそできましたが、今回のプロツアーは今までのプロツアーで組んだ中でも見たことが無いクラスの強力なデッキを組んだにも関わらずプレイミスなどが響き1-2という結果に終わってしまい、そのまま初日落ちしてしまいました。
今回の結果は応援していただいた皆様の期待を裏切る結果となってしまいましたが、引き続き応援していただけるよう一層頑張ってまいりますので、今後とも応援していただけますと幸いです。
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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