READING

戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第25回:『イクサランの相克』発売! 新環境ドラフト攻略

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第25回:『イクサランの相克』発売! 新環境ドラフト攻略

 皆さんこんにちは!

 本格的な冬の到来で日々寒さが増す今日この頃ですが、ついに『イクサランの相克』が発売ということもあり、しっかり着込んで寒さを跳ね返し、発売日は近くのカードショップでドラフト三昧したいですね!

 さて、今回もいつも通り「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。

 基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。

 それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!

1.新環境~『イクサランの相克』のドラフト

 『イクサランの相克』2パックと『イクサラン』1パックを使用します。開封順は『イクサランの相克』『イクサランの相克』『イクサラン』です。

ファーストインプレッション

 今回の『イクサランの相克』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。

  • イクサランのみの環境に比べてより部族が強調された
  • 多色化が容易になった
  • 膠着しにくい環境になりそう

 順番に解説していきます。

イクサランのみの環境に比べてより部族が強調された

 今回は《軍団の副官》などの、特定の部族のクリーチャーを全体強化する、いわゆる「ロード」と呼ばれるクリーチャーが吸血鬼とマーフォークに用意されており、他にも《川守りの先駆け》などの「先駆け」サイクルも非常に強力な部族シナジーを発揮するため、『イクサラン』だけの環境に比べて部族シナジーがより重要になりそうです。

多色化が容易になった

 どの色でも使える《進化する未開地》と《旅行者の護符》に加え、青と赤にはコモンで宝物を生み出す《財力ある船乗り》と《鉄面連合の掠め取り》が存在するため、2色からさらに色を増やす選択肢が容易になりました。

 また、多色化により採用した部族レアは、各種「先駆け」サイクルから強力なレアやアンコモンの部族カードをサーチできることもあり、強力なレアやアンコモンカードを以前より見かけるケースが増えそうです。

膠着しにくい環境になりそう

 『イクサランの相克』のクリーチャーはパワーよりタフネスが大きなクリーチャーが少なく、全体的に回避能力持ちが多いこともあり、膠着しにくい環境になりそうです。

 そのため、膠着させて重いカードに繋げるデッキを組む際は、いかに回避能力持ちに対処するかが重要になりそうです。

 

 ここまでがカードリストを見た最初の感想です。

 多色化が容易なため、強力なレアを引いたらマナサポートカードを適度にピックし、レアを使えるようにしつつ、流れてきた各種アンコモンの部族シナジーカードから部族に寄せていくのが、今回の基本戦略になりそうです。

 

 さて、次は『イクサランの相克』の新キーワード能力について見ていきましょう。

2.収録キーワード能力について

昇殿(あなたがパーマネントを10個以上コントロールしているなら、このゲームの間、あなたは都市の承認を得る。)

 昇殿は都市の承認を得た状態の時に効果を発揮するキーワード能力です。

 都市の承認は、自身がパーマネントを10個以上コントロールしている状態で、昇殿を持つインスタントかソーサリーを解決するか、昇殿を持つクリーチャーが戦場に出る、または昇殿を持つクリーチャーがすでに戦場にいる時に10個以上のパーマネントを戦場に出した時に得ることができます。

 これはスタックに置かれるものではないので、都市の承認を得るのに対応して行動することはできないので注意してください。

 普通にカードをプレイすると、カードが最低でも10枚は必要になるため、宝物や各種クリーチャー・トークンを生み出すカードを利用すると、昇殿を効率よく達成することができます。

 

3.『イクサランの相克』の注目のカード

 さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

白・アンコモン

軍団の先駆け》:吸血鬼専用カードではあるものの、強力な部族シナジーカードです。

空渡りの野心家》:1マナの吸血鬼としては破格の性能かつ、昇殿を達成したならば後半引いても活躍できる、強力な1マナクリーチャーです。

征服者の誇り》:昇殿を達成していない時は平均的なコンバットトリックですが、昇殿さえ達成すれば非常に強力な全体強化呪文になるため、トークンを生み出す術に長けている白において非常に重要なカードです。

白・コモン

光明の縛め》:1マナ重くなった《平和な心》ではあるものの、使いやすい除去カードです。

歓喜する空渡り》:3マナ2/3飛行とマナレシオに優れた飛行クリーチャーです。

従者の献身》:お手軽フィニッシャー製造機。回避能力持ちクリーチャーとのダメージレースを簡単にひっくり返す、強力な強化エンチャントです。また、トークンを生み出すことができるので昇殿を達成する際にも有効です。

青・アンコモン

執着的探訪》:クリーチャーを強化しつつ、一度でも攻撃を通せばそれだけで元が取れてしまう、強力なオーラです。

セイレーンの略奪者》:強襲を達成できれば3マナの強力な飛行持ちクリーチャーとしてプレイでき、もし4マナでプレイしたとしても問題ない、強力な飛行クリーチャーです。

銀エラの達人》:マーフォーク専用カードではあるものの、安定感のある強力な2マナクリーチャーです。

青・コモン

帆凧の海賊》:攻撃時のみではありますが、2マナのパワー2の飛行クリーチャーは非常に強力です。

尖塔這い》:昇殿達成の際はもちろん強力な飛行クリーチャーとなり、素のサイズも文句無い、強力な飛行クリーチャーです。

霧まといの川守り》:1マナで継続的に攻撃できるクリーチャーなので強襲や強化オーラと相性が良く、マーフォークなので部族シナジーも期待できる、強力な1マナクリーチャーです。

黒・アンコモン

貪欲なチュパカブラ》:確定除去付きクリーチャーが4マナで!? と驚きたくなるほどに、ただただ強力なクリーチャーです。

サディストの空渡り》:吸血鬼専用カードではあるものの、3マナ2/2飛行に絆魂とダメージレースを非常に有利に進めることができる、強力な飛行クリーチャーです。

黄金の死》:普通にプレイしても全体除去として非常に強力なのですが、昇殿を達成するとなんと相手だけ全体除去になる、あまりにも強力な除去です。修整が付与されたターンは優位に戦闘を進めることができるため、疑似的な全体強化のような使い方もできます。

黒・コモン

刺突》:4マナの確定除去はコモンにしては破格ですね。強力な除去です。

渇望の時》:除去としての使い方だけではなく、コンバットトリックとしても使える優秀な除去です。ライフ回復もライフを失うことで能力を発揮するカードが多い黒としては嬉しいですね。

薄暮の軍馬》:素のサイズは他のクリーチャーと比べて平均的ですが、昇殿を達成した際は群を抜いて強力になるため、後半引いても嬉しい強力な4マナクリーチャーです。

赤・アンコモン

帝国の先駆け》:戦場に出たときに最適な恐竜をサーチできるだけでなく、その後で激昂を誘発させるのに最適な能力かつ、相手の低タフネスクリーチャーを一掃することができる、環境屈指のシステムクリーチャーです。

針歯の猛竜》:いざクリーチャーと衝突すると他のクリーチャーに5点ダメージを与える、非常に厄介なクリーチャー。能動的に1点ダメージを与えることで、繰り返し使える除去としても機能する、強力な除去内蔵クリーチャーです。

無謀な怒り》:1マナの除去としては破格な性能なだけでなく、激昂とも相性が良い強力な除去です。

赤・コモン

砲撃》:3マナ4点をインスタントで与えられるのは破格の性能です。

ゴブリンの先駆者》:2マナのパワー2の威迫クリーチャーはかなりマナレシオが良いですね。

反逆》:状況こそ選ぶものの、1マナで相手のクリーチャーを除去できる強力な1枚です。

緑・アンコモン

冠羽の群れ使い》:5マナで6/6相当かつ、パーマネントを2つ増やすので昇殿とも相性が良い強力なクリーチャーです。

打ち壊すブロントドン》:3マナ3/4と非常に優秀なマナレシオを持つだけでなく、エンチャント・アーティファクトを破壊できる器用さも持ち合わせた、強力なクリーチャーです。

群れの力》:6マナと重いものの、圧倒的盤面を作り上げることができる、強力な全体強化呪文です。

緑・コモン

ジャングル生まれの開拓者》:3マナでパーマネントを2つ増やせるので昇殿と相性良好、おまけのトークンも呪禁なためエンチャントや+1/+1カウンターなどの強化とも同じく相性が良く、マーフォークであるため部族シナジーも期待できる、非常に優秀な3マナクリーチャーです。

弱者狩り》:格闘で除去できるだけでなく、クリーチャー強化も併せ持つ強力な除去です。

金林の追跡者》:回避能力を持つ優秀な2マナクリーチャーというだけでなく、マーフォークであるため部族シナジーも期待できる、優秀な2マナクリーチャーです。

 

 以上、各色のトップ3でした。

 さて次は、『イクサランの相克』の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!

4.『イクサランの相克』ドラフトの注目のアーキタイプ

青緑昇殿

 青緑昇殿は、《財力ある船乗り》や《ジャングル生まれの開拓者》などの複数パーマネントを展開できるカードで昇殿を達成し、《黄金都市の秘密》や《尖塔這い》などの昇殿を持つカードを最大限に活かすアーキタイプです。

 青緑はマーフォークの色でもあるので、マーフォークを中心にピックできた場合はマーフォークシナジーも積極的に取り入れると、安定して強力なデッキが作れそうです。

青赤強襲

 青赤強襲は、《霧まといの川守り》や《ゴブリンの先駆者》などの低マナ域の回避能力持ちクリーチャーで継続的に攻撃し続けることで常に強襲を達成させ、《意気がった海賊》や《巧射艦隊の帆綱引き》などの強襲持ちクリーチャーで押し込むアーキタイプです。

 2マナ以下の低コストクリーチャーが非常に重要なため、優先してピックするようにしましょう。また、『イクサラン』の《海賊のカットラス》はほとんどのレアカードよりも優先してピックしましょう。

赤緑激昂

 赤緑激昂は、激昂持ちクリーチャーを《ティロナーリの冠》などの能動的にダメージを与えるカードや、《弱者狩り》のような格闘カードでバックアップするアーキタイプです。

 最重要カードは《帝国の先駆け》で、繰り返し激昂を誘発させることができます。

 また、激昂とは関係がありませんが《屈強な古参兵》に《ティロナーリの冠》をエンチャントするとお手軽なフィニッシャーを作り上げることができるので、激昂カードが上手くピックできない時に逃げ道として覚えておくと良さそうです。

赤黒海賊

 赤黒海賊は、マルチカラーの《凶兆艦隊の首折り》で海賊をバックアップして早期ターンの決着を狙うアーキタイプです。

 各種海賊クリーチャーを中心にピックするのはもちろんのこと、海賊にプレイすることで強力なコンバットトリックになる《海賊の示威》は優先してピックしましょう。

 

5.既存アーキタイプの『イクサランの相克』参入による変化

 『イクサラン』3パックの環境で活躍したアーキタイプは、『イクサランの相克』参入によってどう変化したのでしょうか? ここでは、前環境で活躍したアーキタイプの変化について予想していきます。

  • 青赤海賊:《海賊のカットラス》をピックできる機会こそ減ったものの、回避持ちや強襲持ちの強力な海賊が増えたため、以前より強力になった印象です。
  • 赤白恐竜:白の優秀な恐竜が減少したため、恐竜ではなく純粋なビートダウンへの変化が必要になりそうです。
  • 青緑マーフォーク:ロードの登場と低マナ域のマーフォークが優秀になったため強化されました。
  • 白黒吸血鬼:ロードこそ増えましたが、単体で強力な吸血鬼が減少したため《軍団の先駆け》やロードがピックできない限りは目指してもリターンが少なそうです。
  • 緑白恐竜:白と緑どちらも恐竜シナジーが見込めないため、赤緑へと役割がシフトしそうです。
  • 青緑多色:《新たな地平》がピックできる見込みが減ったので、宝物を出す青軸で《進化する未開地》や《旅行者の護符》をピックする形ならばどの色でも多色のアーキタイプが組めそうです。
  • 青黒海賊:《海賊のカットラス》がピックできる機会が減ったのが非常に厳しいですね。海賊は基本的に黒軸になりがちなので、赤にいけない時の逃げ道になりそうです。
 

6.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 プロツアー『イクサランの相克』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。

 前回のプロツアーは1勝2敗かつ初日落ちと不甲斐ない結果を出してしまったので、プロツアー『イクサランの相克』では最低でも4勝2敗以上の成績で、胸を張って次回の記事で皆様とまた会えるように頑張ってまいりますので、応援していただけますと幸いです。

 それでは皆さん、また次回の連載の記事でお会いしましょう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索