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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第14回:グランプリ・シンガポール
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.07.14
なかしゅー世界一周2011・第14回:グランプリ・シンガポール
By 中村 修平
今日も今日とて世界のどこか、みたいな生活をしていると、日本に恋焦がれているなんて程にはならないまでも、そういった気持ちにはなっていきます。
食べ物なんかは特にそうですね。
ですが記憶とは往々にして美化されていくもの、確かに3週間ぶりに食べる日本のご飯は感涙ものだったのですが、同時に厄介な季節に突入しているであろうということを忘れていました。
私が久しぶりに日本に帰ってきて感じたのは、見慣れた風景、嗅ぎ慣れたどこか懐かしい匂いに戻ってきたなんてステレオタイプなものではなく、ましてやお茶に砂糖が入っているのか気にせずに済むとか、周囲が日本語を話しているでもなく、
『とにかく暑い』
これに尽きます。思えば少し肌寒かった4月の春から1ヶ月という季節の移り変わりを他所で過ごすばかりか、緯度的には北海道あたりの場所にいた訳なのですから、当然と言えば当然です。
ピルゼンも暑くなったな、なんて感想をのたまっている時、日本ではその更に倍くらいのペースで気温が上がっていたのです。
そしてチェコから帰国した私の向かう先は日本よりも暑いであろうシンガポール。
いえ、暑かったシンガポールでした。
日本からは6時間程度。この程度なら哀しいかな、大したことはないといえてしまえる飛行時間なのですが方向が大問題、南も真南のマラッカ海峡の中継地点、平たく言えば赤道直下。
現地には深夜到着なのですが納得の暑さ、よく日本の暑さはジメジメとしたもので東南アジアはカラッとしているから、なんて俗説が説かれていますが暑いものは暑いのです。外にいるだけで汗が止まらないのは湿度のせいでは決してないのです。
そしてその暑さに追い討ちをかけてくるのが室内の寒さです。エコロジーでエコノミーなんて言葉が通じるのは日本だけ、どこもかしこもガンガンにクーラーをかけます。おかげで常夏の国は長袖の上着が必携の国であったりもするのです。
今回もそのあたりは抜かりなく、南国に行くというのに日本ですら厚着かもと思える格好で飛行機に乗ったので、空港を出た頃には予想通りテンションは最低調、外気は最高潮になってしまっていました。
その上でホテル難民になりかける事態。今回宿泊用に予約した施設は、チャンギ空港近くのシンガポール市街から見ればかなりの郊外、バーベキューコンロや複合プール施設といったのがあるリゾート村といった趣のところに会場がある関係で、そちらに近いところにしたのですが・・・
目的地と思われる場所に到着してみると、この近くのもう一つのところだとフロントに言われ、場所の説明も受けるには受けたのですがタクシーの運転手も途中で匙を投げる始末。
たぶんここだろうと降ろされたところがやっぱりよく解らないところで、かなり怪しいところで降ろされたので確認してくるからちょっと待ってと言ってる間に逃げられる午前0時過ぎ、外気は25度あたり。
この時はちょっと、いえ、かなり途方に暮れてしまいました。
まあ幸いというか、当たらずも遠からずだったようで、10分ほど迷子になった後、事務所らしきものに遭遇してチェックイン達成。長い長い一日でした。
翌日は金曜早朝着で同宿の日本人グループの到着をのんびりだらだらと待つつもりだったのですが、気がつけば何度目かの電話の呼び出しで叩き起されるというお約束の展開、早朝組には申し訳ないことをしました。
しかし思い返してみるとこの日は万事こんな感じ。既に何回か行ったことがあるシンガポール市内へも行く気力が沸かず、かといって直前トライアルにも参加する気力が起きずで、会場のシンガポール・エクスポ内の「ホーカー(Hawker)」へ。シンガポール式屋台村のことですが、法令によって食べ物系の屋台は衛生上の理由からこのような形式になるらしいです。
そこでシンガポールベストと銘打たれている怪しげな麺に挑戦して、5分後に口直しに激辛マレーシア風焼きそばに手を出すなんてことをしたのと大会の参加登録をしたくらいで、何かやる気がおきません。幸い翌日使用するデッキはかなり早い段階で決まっていたので問題はないといえばないのですが、それにしても駄目な一日でした。
ちなみにマジックジャンキーが8人集まれば、な練習ドラフトでも2連敗。ついでにアイスジャンケンをすれば惨敗という結果。
そんなバイオリズム的には絶不調で迎えたグランプリ・シンガポール(リンク先は英語カバレージ)ですが、会場を見渡せばどこもかしこも鷹に石鍛冶にジェイスと白青カウブレイドだらけ。
ご存知のように、これより2週間後にはジェイスと石鍛冶が禁止となってしまいデッキ自体が消滅する羽目へと繋がってしまう訳ですが、今考えると納得してしまうくらいの寡占率でした。
もちろん私の使用したデッキもカウブレイドです。
4 《島》 4 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 4 《地盤の際》 2 《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(9)- |
4 《定業》 3 《マナ漏出》 3 《呪文貫き》 2 《神への捧げ物》 2 《四肢切断》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《戦争と平和の剣》 2 《殴打頭蓋》 1 《ジェイス・ベレレン》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(24)- |
1 《太陽のタイタン》 3 《糾弾》 2 《天界の粛清》 2 《神への捧げ物》 2 《瞬間凍結》 3 《審判の日》 1 《決断の手綱》 1 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
シンガポール前には、
「メインからカウブレイドが同系を意識してメインから《神への捧げ物》を入れだすようになってしまえば、もうこのデッキは終わり、だから違うデッキを使う」
なんて言ってましたが、結果はそんな事は問題なくのカウブレイドです。メタられようがなんだろうが抜けて強いのだから仕方ありません。
他の多くの日本人と同じように、同系をメインボードから強く意識した構成です。
もともとそれほどには習熟度が高くなかったので、初めの数マッチは経験を実地で取りながらの戦いとなりました。もちろん会場の比率からカウブレイド同系です。
私のプレイ速度はかなり速い方なのですが、通常のゲームでは練習段階で終えているべきな手筋の再検討といった細々とした考える要素があるので、どうしても通常より余計に時間がかかってしまいます。
そもそもカウブレイド同系は選択肢が多い分岐点が何個もあるので、ゲームを理解している今でも時間がかかるものなのです。
道中で青黒金属術という全くの想定外にあたり、勝てるゲームを引き分けてしまうと次の対戦相手は三原槙仁。もちろん使用デッキはカウブレイド。
2本をほとんどフルタイムでシーソーゲームを繰り広げた結果、3本目に残された時間は僅か4分強。勝つ可能性が僅かに高い先手を選べれた私でしたが7枚の手札はマリガン、この時点でどちらと言わず、これ以上は無駄と引き分けを選択することにして気がつけばスコアは6勝2分の勝ち点20点。
そして最終戦の対戦相手も同じく6勝2分、2日目進出の条件は勝ち点21点以上、もしくは上位64名に残ること。
つまり合意の上で引き分けを選択すれば両者の2日目進出が確定し、対戦するとなると敗者は64位以内に滑り込むという可能性は無くはないですが、高確率で初日落ちという結果になってしまいます。
私たちの選択は引き分けを選択、長いグランプリ連戦生活ではじめての初日無敗、しかし3分けでの2日目進出が決まりました。
ちなみに直前のラウンドで引き分けた三原はポイント的に下の1敗1分と戦わされた挙句、同系対決に負けてしまい初日落ち。
私の対戦相手もやはりカウブレイド。というより対戦席の近辺でカウブレイド以外を探すのが一苦労という有様でした。
《戦隊の鷹》まみれの初日を終えて時間は10時過ぎ、宿近くのホーカーでマレーシア式焼き鳥、ソテーを食べながらビール・・・は残念ながら飲めず。
マレーシアはイスラム教徒が多いのでこの店はアルコールを扱っていない&ホーカー内持込み禁止というコンボにより健全な夜になりながら翌日へ。
昨日がカウブレイドまみれだったのだから、今日はどうなるのか。
なんてのは愚問でした。やはりカウブレイドまみれです。
土曜日は実に5/6でカウブレイドとの対戦でしたが、日曜日はそれよりかほんのわずかに少ない4/6での同系対決。
2日目ともなると要所での理解が進んで引き分けに陥ることも少なくなり、何よりも同系を強く意識しているメイン戦を取れることで同系に対しては有利に戦えます。
この日は私も含めてカウブレイドに勝てるカウブレイド、そしてカウブレイドを食う為の中島さんのボロスデッキやヤソの青黒テゼレットと日本勢のデッキが一番優れていたと思います。
ですがこの日唯一の、そしてシンガポールで唯一の敗北もやはりカウブレイドでした。
ここで勝てばトップ8というところで対戦したのはオーウェン・ツァーテンウェルドのカウブレイド。この天王山を1-2で落としてしまい、次の対ヴァラクートには勝ったものの、結果はトップ8まで同点内でのタイブレーカー争いに負けて10位。プロポイント4点の獲得でした。
これで折り返し地点となる名古屋でのプロポイント25点以上が確定。
それはそれですごく嬉しいのですが、決勝ラウンドに残れていたらと考えると少し残念のような複雑なような。と当時の走り書きには書かれています。
このあたりは連続入賞を続けていて調子が良かったので少し欲をかいてますね。
まあ予想通り、このあとしっぺ返しを食らう訳なのですが・・・
さて次回はプロツアー・名古屋、そしてグランプリ・カンザスシティの予定です。
それではまた世界のどこかでお会いしましょう。
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