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木曜マジック・バラエティ

射場本正巳の「カジュアルマジックのススメ」・第1回:統率者「死体生まれのグリムグリン」

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木曜マジック・バラエティ

2011.10.13

射場本正巳の「カジュアルマジックのススメ」・第1回:統率者《死体生まれのグリムグリン

著者紹介:射場本 正巳


 日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。通称「しゃば」。
 異彩を放つそのデッキ構築能力から『宇宙忍者』の異名をもち、ライフと手札を循環させて勝負を決める白黒のコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。
 そのほか、プロツアー・シアトル2004(チーム「S.A.I.」)にてプロツアーサンデーも経験している。
 現在はシアトルのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わっている。


 こんにちは。ウィザーズR&Dの射場本です。

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 ウィザーズに入社してからというもの、トーナメントマジックをすることはなくなりましたが、今でもマジックジャンキーらしくカジュアルマジックを大いに楽しんでいます。
 社内だけでもプレリリースや社内リーグ、ドラフトや統率者戦とプレイする機会には困りませんし、真剣にトーナメントで上を目指すのとはまた違ってカジュアルに仲間とわいわいやるのは楽しいですね。

 そんなウィザーズ社内でも一番の人気はやっぱり統率者戦!

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昼休みに統率者戦!

 毎週金曜日にはカフェでみんなが集まったり、火曜の夜にシアトル市内のカードゲームショップに出かけたりと部活感覚で楽しんでいます。

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ときにはみんなで食事しながら...

 今回から、そんな統率者戦を中心にカジュアルマジックの楽しさを皆さんにもお届けできればと思います。よろしくお付き合いください。


 さて、統率者戦がなんだかよくわからない方のためにまずは簡単なルールから。

基本的なルール

・初期ライフは40。
・ゲーム開始時に「伝説のクリーチャー」1体を指定し、統率領域に置く。この「伝説のクリーチャー」を統率者と呼ぶ。
・デッキは統率者を含めて100枚。基本地形を除き、同名のカードをデッキに入れることはできない。
・統率者と同じマナ・シンボルを持つカード、または無色のカードのみデッキに入れることができる。
・統率者が統率領域にある場合、オーナーはそれをプレイすることができる。統率者が墓地に置かれた場合、オーナーは代わりにそれを統率領域に戻すことができる。

 詳しいルールや禁止カード(使うべきではないカード)の一覧については、こちらのページを参照してください。

 統率者戦(旧エルダードラゴン・ハイランダー) 公式ルール


 統率者戦は仲間とわいわい楽しむというカジュアルマジックの醍醐味を存分に味わえるフォーマットです。一度やってみると多人数戦ならではのかけひきや、ボードゲームのような独特のプレイ感覚が新鮮で面白いですよ。
 カードも1枚ずつあればよく、普段よりもゆっくりゲームが進むので思い思いのカードを集めてデッキにしてもそれなりに戦えます。それこそ好きなアーティストのカードで作ったデッキなんかでもOKですよ。

 僕の友達にも統率者戦をやりたくてマジックを始めたという人もいるくらいで、気軽にマジックを始めるにはもってこいですね。

 100枚のデッキに1枚ずつしかカードが入っていませんし、対戦相手によってさまざまに表情を変えるので一期一会のようにプレイするたび新しい発見があるのもうれしいです。
 自分のデッキなのに何が起こるかわからないドキドキ感は統率者戦ならでは!


 そしてなんといっても統率者戦の最大の醍醐味は多人数戦ならではの怪獣大決戦でしょう!

 普通のマジックでは体験できないようなド派手な一撃が飛び交うので、さながらショーを見ているような感覚で一度ハマると病み付きになること間違いなし。
 それというのも、統率者戦が「みんなでストーリーを紡ぐ」という、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)に近いところから出発しているからかもしれません。僕にとっては統率者戦はプロレス競技のようなもので、いかに相手の技を受けてさらに立っていられるかというところにカタルシスを感じるものだと思っています。あくまでソーシャルなゲームですし、毎回同じコンボで勝ちに行くよりも参加者全員のやりたいことをやって色々なパターンで勝ちに行ったほうが面白いですからね。

 もちろん仲間によって楽しみ方はそれぞれ。ガチガチに勝ちを目指しても、ゆる~く遊んでも全部オッケー。ルールだって自由に変えてかまいません。友達のところではモダン形式の統率者戦もはやっているそうですよ。

 もしまだ未体験でこれから始めてみたいという方にはぜひ構築済みの「統率者」は試していただきたいです。

統率者

「マジック:ザ・ギャザリング―統率者」商品ページへ

 そのままでも十分遊べますし、統率者デッキを作る上で必須パーツといえるようなカードも入っているので土台にするにはもってこいです。
 興味があればぜひ手にとってみてください。


 さて、ではここからはデッキのお話をしましょう。

/

 ついにイニストラードも発売されて、統率者戦プレイヤーにとってはデッキをいじるのが一番楽しい時期になりました。
 100枚ハイランダーですので、入れ替えたカードがどのように機能するかを判断するのも何ゲームかやってみないとわからないということで、しばらくは試行錯誤の繰り返しです。

 その中でも新セットが出たときに真っ先に目が行くのが伝説のクリーチャー。
 伝説のクリーチャーは「コイツでどんなデッキを作ってやろうか」という意欲をわかせてくれますからね。

 そんなわけで今回はイニストラードの伝説のクリーチャーを使ってデッキを作ってみたいと思います。
 今回目をつけたのはデカくて悪そうなこいつ。

 デカくて悪そうな誰かさんを彷彿とさせますが、能力も「食っちまうぞ!」という感じで相当悪いですね。

 統率者戦でコストなしに何かやらかすのは大概悪さするものです。

 これはコストなしに生け贄にささげられるクリーチャーと言うことで、《堕天使》や《ゴブリンの砲撃》、《ファイレクシアの供犠台》のような役割を果たすことになるでしょう。

 この系統でよく組み合わせられるのは無限に墓地から帰ってくるコンボ。
 頑強などはその最たる例で、-1/-1カウンターを取り除くシステムさえあれば無限頑強が可能になります。

 基本は《シルヴォクののけ者、メリーラ》や《柏槙教団のレインジャー》を使うパターンが多いですが、

 それらの使えない青黒だと《寓話の賢人》を使って《くぐつ師の徒党》や《エレンドラ谷の大魔導師》を使いまわすことになりますね。
 これら統率者戦における無限頑強は基本テクニックともいえるものなのでぜひ抑えておきたいです。

 青黒であれば無理にコンボを狙いに行かなくても単純に好きなタイミングで頑強できるだけで十分ですし、《移ろいの門》や《水晶の破片》でも使い回しが利くのでサブであればいいくらいでしょう。
 そのほかにも《太陽のタイタン》+《サッフィー・エリクスドッター》、《目覚ましヒバリ》+《霊体の先達》などはお手軽無限コンボとなりえます。

 ただ、無限コンボは決まれば強力なのですが、超必殺技的な立ち位置なので簡単に決まりすぎると興ざめしてしまいます。あまり一発で決まってしまうようなサーチカードなど入れずに、ランダムで発生するのを楽しむのが統率者戦っぽくていいかもしれませんね。

 また、普通に活用するならトークンを生け贄にするのがいいでしょう。《苦花》だけでも十分ですし、うまく《墓石の階段》と組み合わせられればすごいことになりそうですね。

 今回はそんな中でもイニストラードからの期待の星《血統の守り手》を使ってみたいと思います。

 タップするだけで弾丸を補充してくれるのですが、唯一速効性がないのが悩みの種。

 ただ、この組み合わせのいいところはこれと《死体生まれのグリムグリン》が墓地にいる状態で《壊死のウーズ》を出すと無限カウンターが可能になるところ(統率者も墓地に置くことはできます)。追加で《トリスケリオン》さえあれば一撃必殺にもなりえます。
 終盤で発動する超必殺コンボは仕込んでおきたいものですからね。

 あとは、アンタップさせる効果を組み合わせてもいいかもしれません。

 《水辺の学舎、水面院》は伝説のクリーチャーならではですが、土地として置けるので信頼度は高いですね。起動方能力を使い倒すなら《千年霊薬》もあり。《パルンズの剣》や《暗黒のマントル》は無限コンボの臭いがしすぎて怪しいのと、単体でそこまで強くないのが問題なので今回はやめときましょう。

 そんなこんなで作り上げたのがこのデッキです。

フレッシュミート![MO] [ARENA]
12 《
11 《
1 《アカデミーの廃墟
1 《ボジューカの沼
1 《統率の塔
1 《水没した地下墓地
1 《高級市場
1 《水辺の学舎、水面院
1 《ネファリアの溺墓
1 《ファイレクシアの塔
1 《反射池
1 《聖遺の塔
1 《死の溜まる地、死蔵
1 《沈んだ廃墟
1 《邪神の寺院
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《ヴォルラスの要塞

-土地(38)-

1 《死体生まれのグリムグリン

-統率者(1)-

1 《恐血鬼
1 《無神経な抑圧者
1 《ジェイスの文書管理人
1 《鼠の墓荒らし
1 《幻影の像
1 《血統の守り手
1 《骨砕き
1 《棺の女王
1 《肉袋の匪賊
1 《墓生まれの詩神
1 《壊死のウーズ
1 《誘惑蒔き
1 《全能なる者アルカニス
1 《モリオックの模造品
1 《ファイレクシアの変形者
1 《巡礼者の目
1 《くぐつ師の徒党
1 《アンデッドの錬金術師
1 《目覚めし深海、レクシャル
1 《影武者
1 《尖塔の大長
1 《練達の育種師、エンドレク・サール
1 《大霊堂の王、ゲス
1 《墓所のタイタン
1 《鬼の下僕、墨目
1 《愚鈍な自動人形
1 《熟考漂い
1 《叫び大口
1 《真面目な身代わり
1 《囁く者、シェオルドレッド
1 《トリスケリオン

-クリーチャー(31)-
1 《黒の太陽の頂点
1 《殺戮の契約
1 《動く死体
1 《苦花
1 《ファイレクシアの闘技場
1 《師範の占い独楽
1 《頭蓋骨絞め
1 《太陽のリング
1 《狂気の祭壇
1 《滅び
1 《ディミーアの印鑑
1 《稲妻のすね当て
1 《催眠の宝珠
1 《ネクロマンシー
1 《速足のブーツ
1 《墓石の階段
1 《ダークスティールの鋳塊
1 《骸骨の破片
1 《肉体と精神の剣
1 《饗宴と飢餓の剣
1 《光と影の剣
1 《千年霊薬
1 《ヴィダルケンの枷
1 《生命の終焉
1 《金粉の水蓮
1 《記憶の壺
1 《ヴェンセールの日誌
1 《苦痛の命令
1 《求道者テゼレット
1 《解放された者、カーン

-呪文(30)-


 新弾発売後でしたのでお試しもこめてイニストラードのカードを散らしてみました。
 万能サーチカードはコンボが完成しやすすぎて好きではないので、今回はライブラリー破壊からの擬似サーチ的な方法を取っています。

 無限コンボについては前述した《壊死のウーズ》コンボのみ取り入れていますが、後はその場その場を楽しめたらいいですね。

 《ネクロマンシー》or《動く死体》+《幻影の像》の2枚があれば、相手の場や墓地の《太陽のタイタン》と友情コンボを生み出すので、ライブラリー破壊で墓地に落ちたら狙ってみましょう。その気になれば《生命の終焉》で仕込んでおくこともできますしね。

 また、《目覚めし深海、レクシャル》や《尖塔の大長》で何が使えるかワクワクするのもライブラリー破壊の面白いところ。相手の《複製の儀式》があれば無限に《尖塔の大長》も可能です。

 もちろんグリムグリンそのものを統率者にするとコンボ臭がしすぎてイヤだという場合は、いっそ1色足してしまうのもありですね。

 《裏切り者の王、セドリス》や《スラクジムンダール》などのコストの高いゾンビを統率者にして《屋根の上の嵐》でただ出しするのも面白そうです。

 アンタップの効果を活かすなら《メリーキ・リ・ベリット》を統率者にしてもよいかも。


 いかがでしたか?

 統率者戦のデッキは100枚の中に無限の可能性が広がっています。今まで見向きもしなかったようなカードが意外に強かったりしてうれしい発見の連続です。どんどん移り変わるデッキを楽しむのもまた一興。皆さんもよろしければ統率者デッキつくりにチャレンジしてみてはいかがでしょう?
 チャレンジっていってもカジュアルなので、最初は本当に好きなカードの詰め合わせでも全然OKですよ。とりあえずやってみて、他の人の使っているカードを見ながら「あ、あれ入れたい!」と思ったら、もうすでに統率者戦の海にダイブしたも同然。

 やってもやってもやり飽きない奥の深さを持った統率者戦。
 ぜひ一度お試しください。

 ではまた次回お会いしましょう!

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