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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 龍王の世界から猛禽の世界へ
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 龍王の世界から猛禽の世界へ
こんにちは! 晴れる屋の津村 健志です。
今月は「グランプリ・パリ2015」、「グランプリ・上海2015」、「Magic Online Championship Series(以下MOCS)」とプレミアイベントが盛りだくさんの1ヶ月でした。『タルキール龍紀伝』が発売されてからかなりの月日が経過しましたが、まだまだスタンダードの変化は止まる様子がありません。
前回まで「エスパー・ドラゴン」が大勝を収めていた状況から、メタゲームがどう変わったのか。まずは両グランプリでトップ8に残ったデッキをご覧ください。
グランプリ・パリ2015 トップ8 (5月9日〜10日開催)
- 優勝・「アブザン・アグロ」
- 準優勝・「白緑《集合した中隊》」
- 3位・「アブザン・コントロール」
- 4位・「ビッグレッド」
- 5位・「赤単」
- 6位・「アブザン・アグロ」
- 7位・「アブザン・大変異」
- 8位・「緑信心タッチ赤」
グランプリ・上海2015 トップ8 (5月16日〜17日開催)
- 優勝・「アブザン・大変異」
- 準優勝・「赤緑ドラゴン」
- 3位・「アブザン・アグロ」
- 4位・「緑信心タッチ赤」
- 5位・「緑信心タッチ赤」
- 6位・「赤緑ドラゴン」
- 7位・「緑信心タッチ赤」
- 8位・「アブザン・コントロール」
このふたつの大会で印象的なのは、緑のデッキの大躍進と、青いデッキが完全に死滅してしまったことでしょう。少し前までは、スタンダード環境と言えば《龍王オジュタイ》ありきでしたが、今では《死霧の猛禽》がその座を奪ってしまいました。
不死身の肉体を持つこのトカゲは、瞬く間にスタンダード界を席巻しました。単体のスペックが高いこと、それに加え《棲み家の防御者》という最高のパートナーがいたことも、このカードがスタンダード界の主役にまで上り詰めた要因です。
《死霧の猛禽》と《棲み家の防御者》のコンビネーションは、多くのデッキにとって悪夢と言って差し支えありません。これに打ち勝つためには、(1)「追放除去」を使うこと、(2)軸の違う戦いを挑むこと、が得策とされています。
(1)「追放除去」を使う
ひとつめの「追放除去」の代表格は、《アブザンの魔除け》や《神々の憤怒》です。
こういったカードは《死霧の猛禽》に対して非常に有効ですし、《アブザンの魔除け》のような汎用性の高いものであったり、《神々の憤怒》のようにカードアドバンテージが得られやすいものだと、なおのこと採用しやすいですね。他には《信者の沈黙》や《危険な櫃》あたりのカードも、《死霧の猛禽》の増加に伴い少しずつ数を増やしています。
(2)軸の違う戦いを挑む
ふたつめの「軸が違う戦いを挑む」デッキの筆頭は、「緑信心」系のデッキです。《死霧の猛禽》は良くも悪くも真っ当なカードなので、膨大なマナ加速から呼び出される《女王スズメバチ》や《龍王アタルカ》の前には無力に等しいです。
「グランプリ・上海2015」では、「緑信心」デッキがトップ8に3名を送り込む活躍を見せていますが、このデッキが《死霧の猛禽》の入ったデッキに対して強いことは、「緑信心」の躍進を後押しした最大の理由でしょう。
また、《死霧の猛禽》で足が止まってしまうことがないように、飛行クリーチャーで攻め入るのも効果的です。《雷破の執政》や《嵐の息吹のドラゴン》、《風番いのロック》などがその好例です。
少し前置きが長くなってしまいましたが、今週は、そんな《死霧の猛禽》を取り巻く現在のメタゲームをお伝えしたいと思います。ほとんどのデッキが《死霧の猛禽》に対して何らかの対策を施している、または「緑信心」のように《死霧の猛禽》を苦にしない構築を行って結果を残しているので、そういった各デッキの工夫をお伝えできればと思います。
それでは、「グランプリ・パリ2015」と「グランプリ・上海2015」で活躍したデッキをご覧ください。
「アブザン・アグロ」
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《ラノワールの荒原》 3 《疾病の神殿》 2 《コイロスの洞窟》 3 《静寂の神殿》 1 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 2 《始まりの木の管理人》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 1 《狩猟の統率者、スーラク》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(21)- |
4 《思考囲い》 2 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(14)- |
3 《棲み家の防御者》 2 《強迫》 2 《異端の輝き》 2 《自傷疵》 1 《ドロモカの命令》 3 《悲哀まみれ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 2 《コイロスの洞窟》 3 《静寂の神殿》 1 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 2 《始まりの木の管理人》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(20)- |
4 《思考囲い》 3 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(14)- |
2 《霧裂きのハイドラ》 1 《風番いのロック》 2 《強迫》 3 《自傷疵》 2 《異端の輝き》 1 《ドロモカの命令》 2 《悲哀まみれ》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
どれだけ環境が変わろうとも、常勝軍団としてスタンダードに君臨し続ける「アブザン・アグロ」。「グランプリ・パリ2015」、「MOCS」と、今月だけでもふたつのビッグイベントで栄冠を掴み取っています。
ここに注目
ここ最近の「アブザン・アグロ」のトレンドは、《風番いのロック》を採用していることです。
このクリーチャーを使うにあたって、「強襲」しやすい環境かどうか、「強襲」に成功した際にどれだけのリターンがあるのかが重要になります。例えば「エスパー・ドラゴン」ばかりの環境だと、「強襲」条件を満たすことは難しいですし、仮に達成できても《龍王オジュタイ》を前に立ち往生してしまったり、《命運の核心》で一掃されたりと、5マナに見合う価値を見出しづらくなります。
しかし、《死霧の猛禽》に溢れた今の環境ならば事情は異なります。《死霧の猛禽》に対して飛行クリーチャーはとても効果的ですし、そのダメージ量が6点ともなればなおさらです。
また、《風番いのロック》以外でも、「大変異」デッキを意識したカード選択が目を引きます。4枚採用された《アブザンの魔除け》や、サイドボードに潜む《太陽の勇者、エルズペス》などは、《死霧の猛禽》に対して非常に効果的なカードです。もちろん、「アブザン・アグロ」の特権である《先頭に立つもの、アナフェンザ》も優秀な《死霧の猛禽》対策として機能しますし、各大会の結果を見るに、「大変異」デッキを意識した「アブザン・アグロ」は、今のメタゲームでかなり良い位置につけていると言っていいでしょう。
「ビッグ・レッド」
21 《山》 -土地(21)- 4 《稲妻の狂戦士》 4 《僧院の速槍》 3 《鐘突きのズルゴ》 4 《大歓楽の幻霊》 3 《炎跡のフェニックス》 4 《雷破の執政》 -クリーチャー(22)- |
3 《タイタンの力》 3 《乱撃斬》 4 《稲妻の一撃》 3 《灼熱の血》 4 《かき立てる炎》 -呪文(17)- |
3 《焙り焼き》 3 《洗い流す砂》 3 《弧状の稲妻》 3 《龍火浴びせ》 3 《前哨地の包囲》 -サイドボード(15)- |
「アブザン・アグロ」と同様に、環境が変われど根強い人気を誇る「赤単」。《アラシンの僧侶》や《悲哀まみれ》が象徴するように、「赤単」への風当たりは日に日に強くなっていますが、このリストはそんな中でもきっちりと勝ちきれるように工夫されています。
ここに注目
この2種類は、一般的な「赤単」に効果的とされるカードの多くを乗り越える術として重宝します。《ドラゴンの餌》や《軍族童の突発》といったカードの代わりにこれらを採用したこのリストならば、《悲哀まみれ》に苦しむ展開も少ないですし、このデッキは「赤単」対策を乗り越えるために構築された実に画期的なものです。前述の通り飛行クリーチャーは《死霧の猛禽》に対しても効果的なので、そういった意味でもメタゲームに合致した良い戦略だと思います。
上記2種類のカードの起用だけでも十分に特筆に値しますが、《タイタンの力》や《灼熱の血》といったカードの採用も目を引きます。
《タイタンの力》は基本的には本体火力のような使い方が多いですが、「占術」付きの《巨大化》として、実に多くの役割を担ってくれます。例えば《悲哀まみれ》からクリーチャーを守ったり、《雷破の執政》のぶつかり合いを制したり、時には《炎跡のフェニックス》の復活条件達成にも貢献してくれます。最近はあまり使われていなかったために奇襲性は抜群で、これだけで有利になる展開も多々あります。
もう1枚の《灼熱の血》は、メタゲームに強弱が左右されるカードです。マナクリーチャーやミラーマッチの多い今のメタゲームであれば、期待通りの活躍を見せてくれることでしょう。
サイドボード
サイドボードの《龍火浴びせ》は、《焙り焼き》では対処することができない《雷破の執政》や《嵐の息吹のドラゴン》対策。前回ご紹介した「マルドゥ・ドラゴン」対策として重宝します。
《前哨地の包囲》は恒久的なアドバンテージエンジンとして、《ドロモカの命令》の入っていないデッキに対してはかなりの頻度でサイドインします。サイドボードには除去呪文が大量に含まれているので、サイド後はコントロールデッキのような形にシフトすることも可能となっています。特に後手の際には、そのプランを実行することが多いですね。
「緑信心タッチ赤」
9 《森》 1 《山》 4 《樹木茂る山麓》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《奔放の神殿》 1 《岩だらけの高地》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《起源のハイドラ》 3 《死霧の猛禽》 3 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《囁きの森の精霊》 3 《龍王アタルカ》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(34)- |
2 《歓楽者ゼナゴス》 -呪文(2)- |
2 《スズメバチの巣》 2 《棲み家の防御者》 4 《ナイレアの信奉者》 2 《灰雲のフェニックス》 1 《歓楽者ゼナゴス》 1 《高木の巨人》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
「エスパー・ドラゴン」の減少、そして「大変異」デッキの増加に伴い、再びチャンスが巡ってきた「緑信心」デッキ。《死霧の猛禽》の入ったデッキへのアンチテーゼとして、かつてないほどに注目度が高まっています。
ここに注目
《龍王アタルカ》はクリーチャーデッキに対して無類の強さを発揮するため、このデッキは「大変異」デッキに対して非常に強くできています。そのため、環境に《死霧の猛禽》が増えれば増えるほどこのデッキにとっては追い風となります。
また、《自傷疵》や《忌呪の発動》のような《悪魔の布告》系の除去カードの増加も、このデッキにとっては追い風です。《命運の核心》などの全体除去と併用されると苦しいものの、そうでなければマナクリーチャーを生け贄に捧げればいいだけなので、《究極の価格》なんかと比べると非常に楽ですね。
「エスパー・ドラゴン」を乗り越えるために
このデッキの課題は、青いデッキをどう克服するかです。以前からお伝えしているように、「プレインズウォーカー」を多用するのは当然として、このリストはさらに《死霧の猛禽》を筆頭とした「変異」戦略を採用しています。
一見メインデッキの《死霧の猛禽》は不要に見えますが、この枠が何であれ、このデッキが「大変異」などの中速デッキに強いことに変わりはありませんし、メインデッキに「エスパー・ドラゴン」用に枠を割いておくのは理に叶っている戦略だと思います。
メインデッキに《死霧の猛禽》を搭載してあるおかげで、サイドボードの《棲み家の防御者》と《灰雲のフェニックス》は、単純にコントロールに対して強いカードとしてのみならず、《死霧の猛禽》の復活条件を達成するという役割も期待できます。
ミラーマッチを意識するのであれば、《起源のハイドラ》よりも《書かれざるものの視認》を優先すべきでしょうが、まだまだ「エスパー・ドラゴン」に当たる回数も多いので、今のところ《起源のハイドラ》で問題ないように思います。ただし、今後さらに青いデッキが減少するようであれば、《書かれざるものの視認》型にも要注目です。
ここまでは、《死霧の猛禽》対策を試みたデッキをご紹介させていただきましたが、ここからは《死霧の猛禽》を使いつつ、《死霧の猛禽》対決で優位に立てる構築が施されたデッキをご覧いただきましょう。
まずは、見事にグランプリ・上海2015で優勝を果たしたこのデッキから。
「大変異」
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 3 《静寂の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《棲み家の防御者》 4 《サテュロスの道探し》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《死霧の猛禽》 4 《包囲サイ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(22)- |
4 《思考囲い》 4 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 2 《命運の核心》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(15)- |
3 《アラシンの僧侶》 1 《強迫》 3 《究極の価格》 2 《ドロモカの命令》 3 《悲哀まみれ》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
昨年度から絶好調の市川 ユウキさんが選んだのは、《棲み家の防御者》と《死霧の猛禽》を取り入れた「アブザン」でした。
ここに注目
「大変異」コンビは、それだけでも十分な強さを発揮するカードですが、市川さんは《サテュロスの道探し》を採用することで、それらのカードのポテンシャルをより引き出しやすくしています。
《サテュロスの道探し》は「大変異」カード以外にも、《黄金牙、タシグル》を素早く召喚できたり、「赤単」に対するブロッカーとしての役割が期待できます。メインデッキはミッドレンジやコントロールに強い構成になっているので、こういったデッキの潤滑油になりつつ「赤単」へのガードが上がるカードは頼もしい限りです。
《命運の核心》は、「エスパー・ドラゴン」や「赤緑ドラゴン」のような「ドラゴン・クリーチャー」を多用したデッキから、クリーチャーカードばかりで構成された「緑信心」デッキまで、多くのデッキに対して幅広く活躍する1枚。《棲み家の防御者》と《死霧の猛禽》を軸にしたこのデッキであれば、「すべてのドラゴンでないクリーチャーを破壊する」モードからのリカバリーも容易ですし、「大変異」デッキを倒すべく数を増やしている「緑信心」デッキへの対策にもうってつけのカードです。
「アブザン」はデッキの軸である《アブザンの魔除け》や《太陽の勇者、エルズペス》が、《死霧の猛禽》にナチュラルに強いという長所があるので、今後も「大変異」が幅を利かす限り、有効な選択肢であり続けるでしょう。
2 《森》 1 《平地》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《華やかな宮殿》 1 《砂草原の城塞》 3 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 1 《欺瞞の神殿》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《精霊龍の安息地》 -土地(25)- 4 《棲み家の防御者》 4 《サテュロスの道探し》 4 《森の女人像》 4 《死霧の猛禽》 3 《クルフィックスの狩猟者》 3 《龍王オジュタイ》 2 《龍王ドロモカ》 2 《龍王シルムガル》 1 《龍王アタルカ》 -クリーチャー(27)- |
3 《思考囲い》 2 《忌呪の発動》 2 《英雄の破滅》 1 《残忍な切断》 -呪文(8)- |
1 《クルフィックスの狩猟者》 1 《龍王ドロモカ》 1 《漂う死、シルムガル》 1 《強迫》 2 《胆汁病》 2 《究極の価格》 1 《自傷疵》 2 《悲哀まみれ》 2 《忌呪の発動》 1 《完全なる終わり》 1 《命運の核心》 -サイドボード(15)- |
三原(槙仁)さんと金川(俊哉)さんが組み上げた「ドラゴン・大変異」。前回掲載した「青単ドラゴンコントロール」に勝るとも劣らない意欲作に仕上がっています。こちらのデッキテク記事にもあるように、このデッキもまた、《サテュロスの道探し》を有効活用したデッキのひとつです。
《精霊龍の安息地》が4枚採用されたこのデッキであれば、《サテュロスの道探し》は実質「ドラゴン・クリーチャー」をサーチできるようなものです。《精霊龍の安息地》経由だと、「ドラゴン・クリーチャー」をキャストするまでに多少の時間がかかってしまいますが、《サテュロスの道探し》や「大変異」軍団がその時間を稼いでくれます。
惜しくもトップ8入賞とはいきませんでしたが、三原さんが10位に、なべ君(渡辺 雄也)が11位に入賞を果たしており、その完成度の高さを知らしめる結果となりました。
今となっては、「大変異」デッキが強いことは周知の事実ですが、市川さんのようにデッキ全体として《死霧の猛禽》に強くしたり、三原さんたちのように軸の違う攻め方をしたりと、「大変異」対決で優位に立てる構築は非常に参考になりますね。
それでは、最後にみんな大好き八十岡(翔太)さんのデッキをご覧いただいてお別れしましょう。
「猛禽の隆盛」
1 《森》 1 《平地》 1 《島》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《開拓地の野営地》 1 《豊潤の神殿》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《奔放の神殿》 1 《戦場の鍛冶場》 4 《マナの合流点》 -土地(21)- 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 3 《棲み家の防御者》 4 《死霧の猛禽》 -クリーチャー(15)- |
3 《トーモッドの墓所》 4 《撤回のらせん》 1 《群の祭壇》 3 《予期》 3 《神々との融和》 2 《テイガムの策謀》 4 《ジェスカイの隆盛》 4 《時を越えた探索》 -呪文(24)- |
3 《アラシンの僧侶》 2 《層雲の踊り手》 1 《棲み家の防御者》 1 《予知するスフィンクス》 1 《白鳥の歌》 2 《勇敢な姿勢》 1 《否認》 3 《大地の断裂》 1 《揺るぎないサルカン》 -サイドボード(15)- |
「《ジェスカイの隆盛》コンボ」デッキに、「大変異」パッケージを仕込んだこのリスト。凡人には思い付きもしないその発想力、そしてそれを実現する構築能力はさすがの一言に尽きます。
このコンボは『タルキール覇王譚』発売直後から結果を残していたデッキですが、コンボに《ドラゴンのマントル》ではなく、0マナアーティファクトを採用するようになったことで、マナクリーチャー以外のクリーチャーでもコンボが決まるようになりました。
「大変異」軍団はそれを上手く利用したギミックで、《神々との融和》で《棲み家の防御者》を探しつつ、《死霧の猛禽》を墓地に落としておく、なんて動きは極悪そのものですね。
「エンチャント」対策も兼ねる《ドロモカの命令》が環境に多いことだけは気がかりですが、デッキテクでインタビュアーに「これが天才か」と言わしめた力作を、ぜひ一度お試しください!
今週の「スタンダード・アナライズ」は以上です。今のスタンダード環境は、多くのデッキにチャンスがあり、工夫のし甲斐がある面白い環境ですね。「大変異」デッキがさらなる進化を見せるのか。それとも、新たなデッキがこの「大変異」環境を打ち破るのか。今後の行く末に要注目です!
それでは、また次回の連載でお会いしましょう。
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