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フューチャー・フューチャーの日々『タルキール覇王譚』編

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フューチャー・フューチャーの日々『タルキール覇王譚』編

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2014年10月10日


 フューチャー・フューチャーの日々へようこそ、今回は我々がフューチャー・フューチャー・リーグで作ったデッキをいくつかご紹介し、我々がスタンダードのバランスを取ろうとしているときに何を考えているかについての洞察をお伝えします。

 例によって、ご紹介するデッキの中のカードの多くは最終的に印刷されたバージョンとは異なることをお伝えしておきます――我々のデッキに入っているカードは完成品よりも強力なことも、より弱いこともあります。


僧院の速槍》 アート:Steve Argyle

 これらのデッキは数ヶ月に及ぶセットの微調整の体現であり、カードは絶えず流動的であなたが競技レベルのデッキリストで見かけないものかもしれません。だからといってこれらのデッキが強くないものばかりというわけではありません。これは単に、我々のメタゲームかデッキに入っているカードの作用が異なっているだけです。一見強すぎるようには見えないカードの中に、我々が将来最も後悔することになるカードがよくあるので、我々の目的は全てを試して把握することです。

 というわけで、始めていきましょう。

 我々が最初に試したデッキの1つは「変異」関連デッキでした。結局のところ、このメカニズムは多くの複雑な空間を取り上げ、そしてスタンダードで「物になる」いくつかの機会を得ていなかったならば、恐らくこれはこのセットに入れるに値しなかったでしょう。私はこれが最終的にどれぐらい強くなるかは分かりませんが、我々のテストでは多種多様なバージョンの変異デッキが、トップメタかそれに準ずるデッキになりました。

イアン・デュークの「変異デッキ」
FFL[MO] [ARENA]
14 《
4 《
4 《内陸の湾港
4 《精霊龍の墓

-土地(26)-

4 《エルフの神秘家
4 《爪鳴らしの神秘家
4 《頭巾被りのハイドラ
4 《霧炎の織り手
4 《松歩き
4 《サグのやっかいもの
4 〈Talon Shaman〉

-クリーチャー(28)-
4 《幽霊火の刃
4 《秘密の計画
2 《神秘の痕跡

-呪文(10)-

 言うまでもなくこれは楔のブロックで、我々の努力の多くはその3色デッキが適正なパワー・レベルで機能することに向けられました。その目標は、『タルキール覇王譚』が発売された時には人々がそれらをプレイする一方、それからの18ヶ月間のスタンダードで最強にはならないようにすることです。その自己矛盾や複雑なマナ基盤をプレイするという弱点にも関わらず、それらのデッキはプレイする価値があったので、我々は多くの時間を費やして調整を行いました。例えば、下のデッキは対アグロを意図したデッキに《嵐の神、ケラノス》のようなゲーム後半に強力なカードを少数入れた、初期のジェスカイ・コントロールです。

ベン・ヘイズの「ジェスカイ・コントロール」
FFL[MO] [ARENA]
3 《
3 《
3 《平地
3 《溢れかえる岸辺
4 《神秘の僧院
2 《シヴの浅瀬
2 《天啓の神殿
2 《啓蒙の神殿
3 《戦場の鍛冶場
1 《凱旋の神殿

-土地(26)-

3 《オレスコスの王、ブリマーズ
1 《賢いなりすまし
2 《嵐の神、ケラノス

-クリーチャー(6)-
2 《マグマのしぶき
3 《稲妻の一撃
2 《停止の場
4 《払拭の光
2 《神々の憤怒
2 《解消
3 《対立の終結
1 《啓示の解読
2 《時を越えた探索
2 《紅蓮の達人チャンドラ
2 《龍語りのサルカン
3 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(28)-

 テストして分かったことの1つは、《スフィンクスの啓示》がなければコントロール・デッキにはより多くの選択肢があるということです。我々が発見した人気のデッキの1つはマルドゥで、大量の除去をプレイしてからアドバンテージを得るためにプレインズウォーカーを用いる素晴らしい働きをしました。

 このデッキリストに《ヴェールのリリアナ》が入っていることにお気づきかもしれません。彼女は『基本セット2015』に残りませんでしたが、我々は彼女をかなり長い間試し、そしてスタンダード全ての中で(当たり前ですが)最強のカードの1枚であると把握しました。《ヴェールのリリアナ》のテストを長い時間行った後、我々は彼女の対策カードを『タルキール覇王譚』に入れるか、『基本セット2015』で彼女を差し替えるかのどちらかをしなければならないと分かり、我々は後者を選択しました。

アダム・プロサックの「マルドゥ・コントロール」
FFL[MO] [ARENA]
4 《
1 《
1 《平地
4 《遊牧民の前哨地
4 《悪意の神殿
2 《コイロスの洞窟
4 《静寂の神殿
2 《戦場の鍛冶場
4 《凱旋の神殿

-土地(26)-

2 《灰雲のフェニックス

-クリーチャー(2)-
2 《稲妻の一撃
2 《マグマの噴流
2 《紅蓮地獄
3 《英雄の破滅
3 《骨読み
2 《マルドゥの魔除け
3 《完全なる終わり
3 《対立の終結
3 《残忍な切断
3 《ヴェールのリリアナ
3 《真面目な訪問者、ソリン
2 《龍語りのサルカン
2 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(33)-

 我々は各氏族でいくつかの異なるデッキを試しました。例えばアブザンはミッドレンジで最もうまく機能する傾向にあるので、我々はプロツアー『テーロス』で見たようなものに、『タルキール覇王譚』にあった最も効率的なクリーチャーを入れたデッキをプレイしました。

イアン・デュークの「アブザン・ミッドレンジ」
FFL[MO] [ARENA]
3 《
2 《平地
2 《
4 《砂草原の城塞
4 《豊潤の神殿
3 《ラノワールの荒原
2 《疾病の神殿
2 《コイロスの洞窟
3 《静寂の神殿

-土地(25)-

4 《羊毛鬣のライオン
4 《森の女人像
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ
4 《包囲サイ
4 《風番いのロック

-クリーチャー(19)-
2 《不動のアジャニ
3 《思考囲い
3 《停止の場
3 《アブザンの隆盛
3 《英雄の破滅
2 《アブザンの魔除け

-呪文(16)-

 スゥルタイのデッキは《血の暴君、シディシ》でトークンを作ったり《イニストラードの魂》でアドバンテージを得たりするために墓地ベースのデッキになる傾向がありました。長い間、《血の暴君、シディシ》は削れたクリーチャーと同じ数のトークンを出していましたが、《神々との融和》のようなカードと3体以上のゾンビ・トークンを作り出すのは振れ幅が大きすぎることを発見しました。

マックス・マッコールの「クイーン・シディシ」
FFL[MO] [ARENA]
5 《
2 《
1 《
4 《ヤヴィマヤの沿岸
1 《神秘の神殿
4 《ラノワールの荒原
1 《疾病の神殿
3 《欺瞞の神殿
2 《マナの合流点
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家
1 《ダクラの神秘家
4 《サテュロスの道探し
1 《脳蛆
1 《屍術士の助手
1 《苦悶の神、ファリカ
4 《血の暴君、シディシ
3 《イニストラードの魂
4 〈Mana Whisperer〉

-クリーチャー(23)-
4 《神々との融和
4 《スゥルタイの隆盛
3 《スゥルタイの魔除け
2 《ギルドパクトの体現者、ジェイス

-呪文(13)-

 最後に、ティムールのデッキは『テーロス』ブロックの基本的な赤緑怪物デッキとよく似た傾向にあり、《凶暴な拳刃》、《龍爪のスーラク》、《頑固な否認》のような青の追加を上手く利用しています。

ゲイリー・トンプソンの「ティムール・ファイアーズ」
FFL[MO] [ARENA]
4 《
3 《
1 《
4 《樹木茂る山麓
4 《ヤヴィマヤの沿岸
4 《シヴの浅瀬
3 《マナの合流点

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家
4 《爪鳴らしの神秘家
4 《加護のサテュロス
4 《凶暴な拳刃
4 《灰雲のフェニックス
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス
3 《龍爪のスーラク

-クリーチャー(27)-
3 《頑固な否認
3 《火口の爪
4 《ティムールの隆盛

-呪文(10)-

 これは各氏族にデッキを作る良い方法が1つだけしかないということではありません。例えばこのバージョンのジェスカイは、最初にご紹介したものとは信じられないぐらい別物です。コントロール・デッキではなく、バーンを交えたアグレッシブなデッキです。

アダム・プロサックの「ジェスカイ・バーン」
FFL[MO] [ARENA]
3 《
2 《
2 《平地
3 《溢れかえる岸辺
3 《シヴの浅瀬
4 《天啓の神殿
4 《凱旋の神殿
3 《戦場の鍛冶場

-土地(24)-

4 《カマキリの乗り手
4 《魔心のキマイラ
2 《灰雲のフェニックス
2 《予知するスフィンクス
1 《嵐の息吹のドラゴン

-クリーチャー(13)-
2 《神々の思し召し
4 《稲妻の一撃
4 《灼熱の血
3 《マグマの噴流
2 《跳ね返す掌
4 《ジェスカイの魔除け
1 《精神振り
3 《蒸気占い

-呪文(23)-

 次に、こちらは勝ち手段としてバーン要素を減らし、果敢メカニズム(カンフーと呼ばれていました)により焦点を当てた別のデッキです。

アダム・プロサックの「ジェスカイ・カンフー」
FFL[MO] [ARENA]
4 《
3 《
2 《平地
4 《溢れかえる岸辺
4 《神秘の僧院
4 《シヴの浅瀬
2 《戦場の鍛冶場
1 《凱旋の神殿

-土地(24)-

4 《僧院の速槍
4 《道の探求者
4 《カマキリの乗り手
2 《灰雲のフェニックス
2 《嵐の神、ケラノス
1 《悟った達人、ナーセット

-クリーチャー(17)-
2 《モーギスの悪意
3 《稲妻の一撃
1 《跳ね返す掌
4 《ジェスカイの魔除け
4 《冬の炎
2 《ジェスカイの隆盛
1 《精神振り
2 《蒸気占い

-呪文(19)-

 我々の別のティムールのデッキは最終的にコントロールの領域に近づき、このデッキのクリーチャーのほとんどがタフネス4を持ち《神々の憤怒》を生き残ることを上手く活かしています。

ゲイリー・トンプソンの「ティムール・ミッドレンジ」
FFL[MO] [ARENA]
3 《
2 《
2 《
4 《樹木茂る山麓
1 《開拓地の野営地
4 《奔放の神殿
4 《ヤヴィマヤの沿岸
4 《神秘の神殿
2 《シヴの浅瀬

-土地(26)-

4 《森の女人像
4 《クルフィックスの狩猟者
4 《凶暴な拳刃
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス
3 《龍爪のスーラク
2 《嵐の神、ケラノス

-クリーチャー(21)-
2 《豊穣の泉
4 《火口の爪
3 《神々の憤怒
4 《荒ぶる波濤、キオーラ

-呪文(13)-

 我々が作ったアブザンのデッキもまた色々な種類がありました。このデッキはそれ以前のアブザンのデッキにヒントを得ていますが、プレインズウォーカーでゲームを決めることにより焦点を当てています。

アダム・プロサックの「アブザン・コントロール」
FFL[MO] [ARENA]
3 《
3 《平地
4 《吹きさらしの荒野
3 《豊潤の神殿
2 《ラノワールの荒原
4 《疾病の神殿
2 《コイロスの洞窟
4 《静寂の神殿

-土地(25)-

4 《森の女人像
4 《オレスコスの王、ブリマーズ
4 《クルフィックスの狩猟者
4 《包囲サイ

-クリーチャー(16)-
4 《アブザンの魔除け
2 《払拭の光
4 《完全なる終わり
3 《英雄の導師、アジャニ
4 《太陽の勇者、エルズペス
2 《頂点捕食者、ガラク

-呪文(19)-

 楔を越えて、我々はそのパターンの外側に存在するいくつかのデッキを発見しました。このゲイリー・トンプソンによるデッキは、色んな意味でプロツアー『ニクスへの旅』のジェイソン・エリス/Jason Ellisのデッキと似ています。

ゲイリー・トンプソンの「黒単アグロ」
FFL[MO] [ARENA]
13 《
4 《血染めのぬかるみ
4 《汚染された三角州
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(22)-

4 《血に染まりし勇者
4 《節くれの傷皮持ち
4 《苛まれし英雄
4 《マルドゥの頭蓋狩り
4 《苦痛の予見者
4 《責め苦の伝令
4 《モーギスの匪賊

-クリーチャー(28)-
4 《潰瘍化
3 《凱旋の間
1 《英雄の破滅
2 《残忍な切断

-呪文(10)-

 赤単デッキは複雑なマナ基盤のデッキを狩る性質を持っているので、我々の挑戦の大部分を占めていました。

 例えば、このデッキは「Magic Online」のブロック構築で活躍した赤単デッキとかなりよく似ています。

アダム・プロサックの「赤単英雄的」
FFL[MO] [ARENA]
19 《

-土地(19)-

4 《アクロスの十字軍
4 《火飲みのサテュロス
4 《鋳造所通りの住人
3 《サテュロスの重装歩兵
4 《戦名を望む者
3 《闘技場の競技者
2 《モーギスの軍用犬
4 《予言の炎語り

-クリーチャー(28)-
4 《タイタンの力
3 《ドラゴンのマントル
2 《統率の取れた突撃
4 《灼熱の血

-呪文(13)-

 もう1つの本命は赤白でした。特にこのリストは、上記のマルドゥのデッキの強力な除去という観点から多くのアドバンテージを得ていますが、戦場にタップ状態で出る土地の数が少なくなっています。

ベン・ヘイズの「赤白ミッドレンジ」
FFL[MO] [ARENA]
8 《
6 《平地
4 《戦場の鍛冶場
4 《凱旋の神殿
4 《風に削られた岩山

-土地(26)-

4 《予言の炎語り
3 《オレスコスの王、ブリマーズ
4 《灰雲のフェニックス
4 《風番いのロック

-クリーチャー(15)-
4 《稲妻の一撃
4 《停止の場
3 《灼熱の血
2 《払拭の光
2 《紅蓮の達人チャンドラ
2 《龍語りのサルカン
2 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(19)-

 コントロール・デッキもまた我々の挑戦の大きな部分を占めています。4マナの《神の怒り》枠のカードが存在しないので、クリーチャー・デッキに対策するためにどのような手段を使うかによって多様化していきました。もちろん、ほとんどの白のバリエーションは《対立の終結》をプレイしましたが、青黒は強力な1対1除去を打ち、そしてカード・アドバンテージの組み合わせと、ゲームを決めるための巨大な《奈落の総ざらい》を使うことで成功を収めました。

アダム・プロサックの「青黒コントロール」
FFL[MO] [ARENA]
6 《
4 《
4 《汚染された三角州
2 《血染めのぬかるみ
1 《溢れかえる岸辺
4 《欺瞞の神殿
4 《陰鬱な僻地
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(26)-

2 《予知するスフィンクス
1 《真珠湖の古きもの

-クリーチャー(3)-
2 《思考囲い
2 《胆汁病
2 《軽蔑的な一撃
4 《英雄の破滅
3 《解消
3 《予言
2 《悲哀まみれ
3 《残忍な切断
2 《奈落の総ざらい
4 《時を越えた探索
4 《ギルドパクトの体現者、ジェイス

-呪文(31)-

 また我々はこの現実世界で上手く動いていたデッキを見て、それらを移植するようにしました。プロツアー『テーロス』は緑単信心がどれぐらい現実の脅威であったかを我々に知らせてくれたので、我々は全ての強力なX呪文を活かした、新しいスタンダードでのバージョンのデッキを作りました――この場合は《頭巾被りのハイドラ》と《火口の爪》です。

ゲイリー・トンプソンの「赤緑信心」
FFL[MO] [ARENA]
11 《
1 《
4 《樹木茂る山麓
4 《奔放の神殿
4 《ニクスの祭殿、ニクソス

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家
4 《森の女人像
4 《旅するサテュロス
4 《クルフィックスの狩猟者
4 《頭巾被りのハイドラ
2 《再利用の賢者
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス
2 〈Mana Whisperer〉

-クリーチャー(28)-
4 《火口の爪
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ

-呪文(8)-

 今週はここまでです。他にもFFLのデッキリストは山ほどありますが、今すぐ全てをご紹介する準備はまだできていません。我々はプロツアー『タルキール覇王譚』を見て、そしてメタゲーム分析がどれぐらい近いものかを見るでしょう。そのデータを用いて、我々は『Blood』以降のセットを調整し、失敗したカードのバランスを取っていくでしょう。

 ではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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