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『神河:輝ける世界』のブースター・ファンをライトアップする

Clayton Kroh
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2022年1月27日

 

 『神河:輝ける世界』への日本の影響は強く、そしてこのセットは伝統と新しさの劇的な出会いを成立させています。『神河:輝ける世界』のブースター・ファンの仕様はそのテーマ的つながりを享受した結果、美しく、感情を揺さぶり、そして単純にすごいものになりました。

 『神河:輝ける世界』のブースター・ファンを作り出すことは大規模でチームを跨いだ試みでした。この記事のために手を貸してくれた人たちをご紹介します。

  • トム・ジェンコット/Tom Jenkotはアートのディレクション全体をリードし、外部のアーティストにアイデアを出すように依頼をしました。
  • ダニエル・ホルト/Daniel HoltはUXデザインの監修、アイデアの売り込み、資産のテストの指導、そしてゲームのすべての部品が正しくプレイされることの確認を行いました。
  • ジェームス・アーノルド/James Arnoldはグラフィック・デザイン、コンセプトの売り込み、そして後半に最終的に選ばれたものの改善を行いました。
  • リサ・ハンソン/Lisa Hansonは印刷革新チームと一緒に新しいフォイルと印刷の仕様を探求し、その一部が『神河:輝ける世界』でデビューしました。

 これらの努力の成果は、豊かでビジュアル的にエキサイティングな神河次元のほぼすべてのファンに何かを提供します。

ボーダーレス版と拡張アート版

 どのセットでも人気のあるボーダーレス版と拡張アート版カードは『神河:輝ける世界』にも存在します。実は、なんとこのセットのすべてのレアと神話レアに拡張アート版が存在します!

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 そしてボーダーレス版カードは? 「いつものように、このセットにはボーダーレス版があります」とダニエルは言っています。「『神河:輝ける世界』では、エキサイティングなサイクルだけでなく、前回の設定と繋がりのあるカードにも寄り添いました。ドラゴンの再登場はゲームデザインのかなり初期に、この次元のファンが見たいものとして決定されました。」

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 そしてもちろん、プレインズウォーカーも、カードの隅々まで光らせることができるボーダーレス仕様を施されました。

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基本なんてものじゃない土地

 『神河:輝ける世界』の「浮世絵」土地は息を飲むような美しさです。日本の伝統的木版画の作風をもとに、この基本土地の仕様は神河の景色を素晴らしいフルアートの眺めで見せてくれます。

 「我々は浮世絵のスタイルを使いたいとしばらく前から思っていて、神河が最適な場所であることは分かっていました」とクリエイティブ・マネージャーのトム・ジェンコットは語っています。

 「我々はいつも訪れる場所を見せる方法を推しています」とダニエルは言いました。「フルアートの土地は何度もテストされており、我々は前に調査したときからこのミニマルな木版画デザインを試してみたいというアイデアを持っていました。」 ジェームス・アーノルドはこの2つを組み合わせ、それはとてもうまくいきました!

 伝統的スタイルと現代的解釈を混ぜ合わせ、「浮世絵」土地のアートは、あなたを何時間も見ていたくなるような現実と幻想の混ざりあった広大な気分にしてくれます。

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 「このアートのためのアーティストの選考はとても重要でした」とトムは言いました。「選ばれたアーティストの多くはすでにマジックでアートを手掛けたことがあります。またこれは伝統的な神河――現在はネオンが灯っているにも関わらず、このセットの隅々にまで行き渡っています――への上手な肯定となりました。そして本物らしさを出したかったので文字を日本語のみにしたいとも考えました」

「淡光」仕様

 「未来」といえばなんと言ってもネオンで、そしてネオンは神河の都市の中で眩しく輝いています。これは「淡光」仕様のネオンのフレームに反映されています。

 「このフレーム自体はネオンの輝きがあらゆるところにある神河の景色から取られています」とダニエルは語っています。「我々は現実世界の日本のように古いものと新しいものを混ぜ合わせたかったので、このネオンに『神河物語』の隠れた引用として伝統的な鳥居のデザインをした名前行と組み合わせました」

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 「淡光」仕様のアートはアニメや漫画からインスピレーションを得ています。「マジックの通常のスタイルとは違ったものにしたいと思いました」とトムは言いました。「なので絵画的なスタイルではなくアニメや漫画のスタイルに寄せました。日本のアーティストたちはすでに自分たちの仕事でこれを行っていました。実際、このセットのアートディレクションの多くで彼らに自分のスタイルにこだわるように求めていました。」

 この中には有名な日本のアーティストも参加していて、「メタルギアソリッド」シリーズのキャラクターおよびメカデザインの新川洋司、「北斗の拳」の作画の原哲夫、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」のキャラクター・デザインで知られる寺田克也らが名を連ねています。

 彼ら3名のアーティストは才能にあふれていましたが、このセットに必要なアートの量からすると他にも才能あるアーティストが求められました。「我々は今回のプロジェクトで日本の工画堂スタジオと手を結ぶ素晴らしい機会を得ました」とダニエルは言いました。

 工画堂スタジオは日本のアート・エージェンシーで、200年――2世紀です!――の歴史があります。ウィザーズは過去に『ストリクスヘイヴン』の日本語版ミスティカルアーカイブや『灯争大戦』などで彼らと協力しています。

 「工画堂スタジオとは多くのプロジェクトで一緒に仕事をしています」とトムは言いました。「今回は工画堂スタジオとの最大のプロジェクトでした。『灯争大戦』では36枚のプレインズウォーカーを依頼し、ミスティカルアーカイブでは63枚のカードを依頼しました。『神河:輝ける世界』のブースター・ファンでは133枚を依頼しました――ものすごい数のジャパニーズ・アートです!」

ネオンインク・フォイル仕様

 碑出告(ひでつぐ)はすべてを貪る混沌の鬼と融合し自らがデーモンとなった、神河の密教信者の羨望の的である悪名高い大峨(おおが)です。彼の『神河:輝ける世界』での帰還は新旧の邂逅というテーマの体現であり、ある新しいインクを身にまとっています。

 「碑出告はメカニズム面とフレーバー面の両方で魅力的なカードであり、ネオンインク・フォイル仕様に選ばれました」とダニエルは語りました。「初代の神河の舞台から1200年が経過していますが、碑出告は両方の時代に登場する数少ないキャラクターの1人です」

 「私はこのセットのテーマを増幅させる印刷仕様を使いたいと考えました」と印刷仕様の監督を行ったシニア・クリエイティブ・アート・ディレクターのリサ・ハンソンは語っています。「ネオンインクは分かりやすい選択でした。最終的な仕様に落ち着く前に、いくらかの時間を費やしてネオンインクをフレームとアートに組み込む他の方法が試されました」

 「1色を選ぶのは難しかったので、4つの代表的な色にすることにしました」

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 年月は碑出告に味方しました。

 「このカードは最初、標準的な伝統的フォイル仕様の工程を用いて印刷されました」とリサは続けます。「ですがネオンインクの下に出る印刷されたすべての色を取り除かなければいけませんでした。それからシルクスクリーン捺染法で印刷されたカードの上にネオンインクを出すことになり、それによりカードの表面には微妙なマット加工が施されました」

 印刷工程の途中にも『神河:輝ける世界』らしく伝統と新しさが1つになっていました。

「忍者」フレームと「侍」フレーム

 忍者と侍は神河への最初の来訪において象徴的存在でした。そのどちらも『神河:輝ける世界』で独自の仕様を獲得しました。

 「内部的にも外部的にも、侍と忍者はオリジナルのブロックのファンと新規の人に大ヒットするのは明らかでした」とダニエルは言いました。「なので、これらのクリーチャー・タイプにブースター・ファンで焦点を当てたいとすぐに思いました。そしてこの2つはとても対照的でした。」

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 「侍の仕様はより柔らかく、その結ばれた縄と鎧に丸みと自然の要素がありました」とダニエルは言っています。「一方、忍者の仕様はより硬質で、鋭い角が冷たくテクノロジーを感じるコンセプトでついています。『神河:輝ける世界』には伝統と新しさの対比のテーマがあり、これらのブースター・ファンの仕様に反映されたヒントを見ることができます」

 「この2つの仕様は隣同士に並べて見栄えがするように意図的にデザインされています」とトム・ジェンコっとは語っています。「侍、忍者、そしてその他を、それぞれが輝く瞬間、もしくはネオンのように光る瞬間を与えることでわけたいと思いました」

ファイレクシアン仕様

 彼らの習性のように、ファイレクシアンはその技術的で不気味な方法で新しい場所へと潜り込むことを好みます。神河においては、彼らは大混乱を引き起こします。

 しかし待ってください、あなたはこの話をもう読みましたか? もしまだで、どんなネタバレも嫌だという方はここを読むのをいったん止めて、『神河:輝ける世界』の物語で何が起きているかを見に行ってください。

 もう戻った? 素晴らしい! これで「完成化」できるようになりました。

 「我々はファイレクシアンを昔から見てきました」とダニエルは言いました。「そしてその言語と美的感覚をカードに組み込むことも過去に少しやったことがあり《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》がカルドハイムに謎の出現を果たしたとき、その流れが始まりました」

 今回はファイレクシアン・フレームの《発展の暴君、ジン=ギタクシアス》と遭遇するという明確な絶望感があります。

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 「この仕様を神河で悪巧みをしているジン=ギタクシアスに再び使うことは納得がいきます」とダニエルは言いました。「しかし今回は初のファイレクシア化したプレインズウォーカーであるタミヨウがいます」

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 「ワイヤーのような背景や、ファイレクシア語への変更など、ファイレクシアンのプレインズウォーカーの仕様とオリジナルのファイレクシアンの仕様は多くの共通点があります。ボーダーレス版にでも、文章欄や名前行などにディティールを取り入れています。またタミヨウのためにファイレクシア混成マナ・シンボルさえも作らなくてはいけませんでした!」

 『神河:輝ける世界』のブースター・ファンのカードを垣間見たあなたが次に進むステップは、ハルレス・スナイダー/Harless Snyderの「『神河:輝ける世界』製品紹介」とマックス・マッコール/Max McCallの「『神河:輝ける世界』をコレクションする」の記事でこれらのしびれるようなカードがどこで手に入るのかをチェックすることです!

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