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Savor the Flavor

デビルへの共感

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デビルへの共感

Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki / Translation-supervised by Yohei Mori

2012年2月15日


 我々の英雄、イニストラードの人間達にとって物事は上手く行っていない。何故なら......ああつまり、今はイニストラードブロックの第二エキスパンションだからだ。我々の英雄にとって毎年のこの時期、物事は決して上手く行くようには思えない。


扉に閂》 アート:Ryan Pancoast

 でも今回は上手くいく、そうだろ?

 何でそんな事を言う?

 ダグ、俺らは皆知ってるよ。次のセット名は「アヴァシンの帰還」だってことを。

 黙れ。私の片眼鏡を落とす気か! この記事は物語の速さで進む、そして今は闇の隆盛の時だ。今日、我々は恐ろしい怪物について話そう。具体的に言うと、今日のお題はイニストラード次元で最も悪名高いクリーチャーの一種、硫黄にむせる世界の底から這い出てきた悪意の種族だ。

 デーモン!

 いや、実のところデーモンじゃない! 君は私の巧妙な曖昧な表現の餌食になったな!

 はは、ちょっとふざけただけだ。デビルだろ、記事のタイトルから皆わかってるぞ。

 ......またしても君の勝ちだ、仮想読者の声くん。

 そう、その通り! デビルだ!

デビルの性質と役割


暴動の小悪魔》 アート:Svetlin Velinov

 デビルは悪意のあるいたずらの地獄的加害者だ。彼らは身長3?4フィート(約1メートル)、針のような歯が並ぶ口が顔面いっぱいに広がり、しばしば赤らんだ、もしくは濃い赤色の皮膚を持つ。彼らは通常一本か二本の後方へと湾曲する角と、そのほとんどが長い鞭のような尾を持つ。だが彼らの形態学は個体ごとに多様である。彼らは機敏でまずまずの戦士となりうるが、彼らは価値のあるものを破壊し、他者の暴力性をかき立てることによって、その最も有害な仕事を行う。


Richard Whittersによるコンセプト・アート

 デビル達はしばしばデーモン達のもとで働き、混沌と悲哀を焚きつける。使用人としての仕事を行うには、デビル達はとても頼りになる下僕ではない。彼らは壊れやすい物を取り戻したり、難所を監視するように覚えることは得意ではない。だがデビル達は苦々しい感情を生み出し、炊きつけるという用件に関しては専門家である。デーモンは彼ら自身の力を誇示し、拡大させるやり方に最も興味を抱く。定命の者をそそのかし、彼らにとって最も大切なものを諦めさせようと努める。その反面、デビル達はただ繰り返し「上々人生スコアボード」のトップにいるのは誰かを確認し、そしていくらかの自尊心を破壊しに行きたがる。このことは彼らの主人であるデーモンにとって上手く機能する。何故なら一度哀れな人間の意思が破壊され、デビルによって生活が破壊されたなら、その者はよりいっそう自暴自棄となり、身震いするほどに残酷な条件を伴う悪魔的な取引に同意しやすくなるためである。

デビル的ユーモア

 デビルの笑い声は純粋な悪意から鋳造された、脳へと突き刺さる針である。君は誰かがつまずいて、転んだり何かした時に笑うかもしれない。それは別に構わない。それは人間の行動様式のようなものだ。だがデビルのユーモアのセンスは誰かがつまずき、転び、足首を怪我し、仕事の能力を失い、農場を失い、一文無しになって死に、彼や彼女の飢えた後継者を絶望させるまで満たされない。大笑いだ。


やじる悪鬼》 アート:Clint Cearley

 デビル達は、歓喜によって呼び起こされる君の手の中の無害なくすくす笑いと、真のサディスト的で危害を施す甲高い笑い声とを分かつ、礼儀正しさなどという矮小な境界線を持ってはいない。悪ふざけが進行するごとにそれは更に悪化し、より多くの苦痛をもたらし、デビルの笑い声はさらに猛烈なものとなる。彼らは君の大切な、死んだ叔母の思い出を侮辱するだろう、彼女自身から切り取った手で手招きをしながら......君の顔に苦悶の表情を見てただ騒ぐために。彼らは、君が最も大切にしているものは何かを正確に嗅ぎつける、不自然なほどの技巧を持つ。ただそれを壊し、君が泣くのを見るために。彼らはそれを理由づけることなどできない。彼らは理性のクリーチャーではない。彼らと取引することなどできない。彼らは、君が敗北を認めること以外は何も望まない。


護符破りの小悪魔》 アート:Dan Scott

 だがしかし、彼らを殺すことはできる。イニストラード全土に闇が隆盛している今、デビル達は次元の深い裂け目から群れをなして現れ、彼らの甲高い笑い声はあらゆる村や荒野を貫くあらゆる道沿いに響いている。僧侶や聖戦士はできる限り彼らを見つけ次第殺している。彼らの聖なる力が減少する中、デビル達は破滅の先ぶれでしかないことを知りながらも。

デビルの創造的役割と現実的用途

 デビルのクリーチャー・タイプは長い間マジックに存在していたとはいえ、これらサディステイックな小人たちの最新の外見デザインは比較的最近に端を発している。ディセンション、マット・カヴォッタによる《奇声の悪魔》のアートだ。《奇声の悪魔》はラヴニカブロックにおけるほんの一匹限りのデビルだったが、マットは性質の悪いそのにやにや笑いと大げさな悪意をよくとらえていた。以来、我々はそれをデビルというクリーチャー・タイプのスタート地点としている。アラーラの断片の《災いの悪魔》と骸骨のようなグリクシスの猟犬たちはその外見デザインからインスピレーションを得た。最終的にアート・ディレクターのジェレミー・ジャーヴィス、コンセプト・イラストレーターのリチャード・ウィッターズ、そして我々が擁するイニストラードのコンセプト・アーティスト達のチームは、イニストラードのデビルの外見を定義する別の道を行ったが、《奇声の悪魔》はそれでも立ち上げ地点として役立っている。


奇声の悪魔》 アート:Matt Cavotta

Steven Belledinによるコンセプト・アート

 我々がイニストラードの世界にどの種族が生息しているだろうかという事を決める時、ゴブリンについての疑問が持ち上がった。ゴブリンはゲームの大黒柱であり、我々はしばしば彼らをあらゆる舞台へ、彼らが登場する場所へと再解釈してきた。だが我々はゴシックホラーの舞台ではゴブリンのクリーチャー・タイプは休憩をとるべきだと決定した。それでも我々には、赤の小型クリーチャーとなるべき回答を示す必要があるという問題があった。赤に列する幾らかの人間、少数の赤の狼と狼男、赤の幾らかの吸血鬼、そして一体限りの獣たちが赤にいるだろうと我々は知っていたが、我々は経験から、赤のクリーチャーという回答がまだ、もっと必要だと知ってもいた。ブロック全体のカードには多くのクリーチャーがおり、クリエイティブ・チームが「この次元にゴブリンはいないよ」と言うのは簡単だ。だがそれと、足を踏み鳴らして「小型の、赤の、人間サイズのクリーチャーはこの次元に存在しない」と断言することとは全く別だ。世界が何であろうと、メカニズム的に、セットには赤の小型クリーチャーがいることになっている。そしてクリエイティブ・チームはアーティスト達へ、彼らの描き方の指示を用意する必要がある。彼らがフレイバーの表現においてどんな存在であるか、我々が何と決めようとも。


地獄乗り》 アート:Svetlin Velinov

 我々はまた別の方向からそこに至った。この世界を他の次元と別物にするクリーチャー・タイプは何であるべきだろう? この世界の人間達の心に怖れと苦悶をたたきつけるであろうモンスターの種族としては何が良いだろう? ゴシックホラーの物語の、他の古典的な象徴の中にいることが正しいような、心地よく感じるようなクリーチャーは何だろう?


炉の小悪魔》 アート:Austin Hsu

 そしてデビル達が乗ってきた。イニストラードの「クリーチャー格子」におけるゴブリンサイズの穴を埋めるためと、ナイスでお喋りでデーモンを補佐する、人類を苦しめる恐怖のフレイバーを供給するために。クリエイティブ・チームの決定がこのように働くのは珍しいことではない。カードセット製作における実際の必要と、我々クリエイティブ側が求める舞台の雰囲気の表現が、一つの調和した解決策としてまとまるというのは。

 ......クールじゃん。

 また君か、仮想読者の声くん?

 そうとも。悪くはない記事だね。イニストラードのフレイバーを少し、あんた達がどうやってこのゲームを作っているのか舞台裏の見苦しい話を少し、でもっていくつかのクールなアート......悪くないよ。

 君のためなら何だって。我が擬人化された読者成分の精神的構築物くん。

 で、ここで終わらせるつもり?

 そう考えていたよ、うん。他に何かあるのか?

 アヴァシンの帰還の早めのヒントくれない?

 何でだ、断る! 片眼鏡が目から落っこちたじゃないか! お前は空気読めない子供か!

 何でもいいよ。場合によっちゃ、君が考えていて俺らに聞く、ちょっとの証言をくれるだけでも。

 ああ、つまり君はこう言いたいわけか......


今週のお便り

 今日の我々を締めくくるべく、ヴィンスはプレインズウォーカー達と取っ組み合いについての素晴らしい質問をくれた。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 まず言わせて下さい、私はこのゲームをよりいっそう有意義にしてくれている、毎週のフレイバーの細かいニュアンスをまんべんなく楽しんでいます。質問に入りますが、貴方の記事「クリーチャーの戦い」についてです。

 私は黒に列する仲間プレインズウォーカーとの戦闘中であり、それは大規模な戦いにおける早期の小競り合いだとしましょう。相手である黒いプレインズウォーカーには彼の傍を心なくよろめき歩く、スケルトンの下僕がいます。そして私を攻撃することを決め、スケルトンへと意思で伝えます。私は強大な魔法を振るうプレインズウォーカーですし、パワー1タフネス1のちっぽけなスケルトンが卑劣なラフプレーのためにやって来るのを見て、私にはその小型クリーチャーとやり合うための多数の選択肢がある、違いますか?

 ですが、私がその顔面......ではなく頭蓋骨に古き良きノックアウトパンチをまさに浴びせるのを止めているのは何なのでしょうか? 結局私は、下僕達を傍に立たせ、その攻撃がいかにして行われるかを見せようと決めます。私はそう書きましたが、この意味では、プレインズウォーカー達は彼ら自身にダメージを与える何らかの方法を持っているのが当然でしょう、もし彼らが攻撃を通させると決めたのであれば。そしてあらゆるプレイヤーは、プレインズウォーカーが攻撃クリーチャーへと行える肉体的な行動の表現として、少なくともパワー1の攻撃ができるべきではないでしょうか。パンチや盾での強打や、酸の唾を目に向けて吐くなんてのも!  ちっ、私は《スカーブの大巨人》から6点を食らう前に蹴りを入れたいんだ、気晴らしでもさ。どう考えますか?

――ヴィンスより


墓所這い》 アート:Steven Belledin
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 君達の中にXboxの「Magic: The Gathering ― Battlegrounds」をプレイした者はいるだろうか? この質問から、明白に思い浮かぶ......そのゲームでは二人のプレインズウォーカーが対峙し、クリーチャーを召喚して互いへと呪文を放つ、君が予想したかもしれないように。だがまた、君のプレインズウォーカーのキャラクターを攻撃中の《陽光尾の鷹》や何かへと向かわせ、それを君の杖で強打するという選択肢があった。べちゃっと潰れて死んでしまった鳥さん(《巨大化》されない限り......痛っ)。ほとんどの場合、君自身のクリーチャーが彼らと喧嘩し、ほとんどの矛先を引き受ける。だがもし君の対戦相手が攻撃を通すことができて、君がマナを集めたり呪文を唱えるのに忙しいなら、君は強打の機会という時機を逃し、顔面で戦闘ダメージを受けるかもしれない。だけど少なくとも君には選択肢がある。ヴィンス、君の言う通り、君自身で唾を吐いて少々のダメージを与えることだ。

 フレイバーと物語の状況の中では、この物事の類はもしかしたらカードゲーム内よりもずっと頻繁に起こるかもしれない。ガラクのグレートアックスと鉤爪の篭手は全くもってただの飾り物ではない。彼でなくとも、例えば、額がある、きっと。ふんぬぬぬ......ガツン! だがほとんどの状況下で、我々は根本的に魔法からなるゲームで遊ぶのを好む。そのゲームは既に、君の呪文やクリーチャーを兵器として使うようにできている。だがそれどころかカードゲームの外でも、我々はプレインズウォーカー達へと彼らの魔法的兵器庫を常に所持していることを望んでいる。ジェイスとチャンドラは出会い、互いに取っ組み合いを始めることもできるだろう......もしくは肉体的に互いのクリーチャーの鼻づらへと肘打ちをすることも......だがそれはマジックの物語だという感じを妨げてしまう所まで、長くはかからない。


炎に注ぐ油 第二部」より アート:Andrew Robinson

 そのように、我々はあらゆるプレインズウォーカー達が主に彼らの呪文術をもって戦うことを好むとはいえ、彼らがどれほどの肉体的パンチを入れるだろうかを決定づける、異なるプレインズウォーカーのキャラクターごとの「肉体的連続性」が恐らくある。例えば、戦闘と勇猛な肉体のプレインズウォーカーとして《ギデオン・ジュラ》を考えよう。ほとんどのプレインズウォーカーよりも複雑な存在となっている人物だ。幸いにも、これは彼のカードのメカニズムで表現されている。彼は文字通りに起き上がり、戦闘フェイズに加わる(また多くのトーナメントプレイヤーが証言できるように、一度にわずかな名目上の1点ダメージを与えるよりもずっと多くのことを実行しながら)。

 ヴィンス、君はこれを試してみるべきだ。プレイヤーは、戦闘毎にマナ不要の1点のダメージポイントを攻撃クリーチャー1体へと与えてもよい、というハウスルールを用いてプレイする。自由に使えるアンタップ状態の《砂漠》のようなものだ。それは君が描写するシナリオの複製のようなものとなるだろう。少なくともスケルトンには再生を強要させ、もしくはその《スカーブの大巨人》に悪意を込めた蹴りを入れる! そのルールはウィニーの戦略に狼藉を働くかもしれない。だがたまには厄介な《陽光尾の鷹》と額をぶつけるのは、面白いことかもしれない。

 また来週、生と死の問題を投げ散らかす時に。

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