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コラム

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あなたの街のティーチングマイスター 第18回:スポーツカード&カードゲームショップ MINT名古屋店(愛知県) 大川晋平さん

原田 武

 

 「ティーチングマイスター」とは、初心者にマジックを教える認定資格を持つ人のこと。「あなたの街のティーチングマイスター」では、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』がリリースとなるこのタイミングに、全国各地にいる彼らの紹介インタビューをシリーズで掲載していきます。

 今回は広島県から愛知県に拠点を移し、レベル2ジャッジ兼ティーチングマイスターとして活躍中のこの方です。

 

はじまりはレジ前の憧れ

──本日はよろしくお願いいたします。まずはマジック歴について聞かせてください。

大川:小学生の頃、地域のおもちゃ屋さんに置いてあったのがきっかけでした。レジ前にドラゴンの絵が描かれた箱があって、お店の人に聞いたらこれ英語版なんだよ、と教えてもらって。ちょっとかっこいいなってずっと思っていたんです。

 とはいえなかなか買う機会は来なかったんですが、残念なことにそのお店が閉店することになりまして。売り尽くしセールでちょっと割引された『ウルザズ・サーガ』を買ったのがはじまりでしたね。その後すぐに発売した『ウルザズ・レガシー』や、少し前の『第5版』スターターデッキを買ったりしてカードを増やしていきました。

──はじめは雰囲気に惹かれた、ということですね。お一人で遊ばれていたのでしょうか?

大川:マジックをプレイしている小学校の友達がいたので、その子と遊んでいましたね。彼と知り合ったことも『ウルザズ・サーガ』を買った理由の一つでした。その子はすぐに遊ぶのをやめてしまったのですが、一つ忘れられない思い出があるんですよ。《ボール・ライトニング》ってクリーチャー、いますよね。

──3コスト6/1でトランプル・速攻。著名な速攻クリーチャーですね。

 

大川:強さに気づかずにその友達と交換しちゃったんです。レアリティのこともよく分かっていなくて、コモンの《根切りワーム》と。少し経ってから「やっぱり《ボール・ライトニング》強いじゃん!」って(笑)。

──それはなかなか忘れられないでしょうね。ご友人が遊ばなくなってしまったあとはどうされたのでしょうか。

大川:別の地域のおもちゃ屋さんに出向いてカードを買うようになって、『メルカディアン・マスクス』の頃にそこの常連のお兄さんと知り合って色々と教えてもらうようになりました。それを機に中学生から高校生にかけて本格的に対戦をやりこんでいくことになりましたね。お昼ご飯代を節約してパックを買ったり……みたいなこともしていました。

 一番遊んでいたのはラヴニカ・ブロックの頃でしょうか。《絶望の天使》をリアニメイトする「太陽拳」デッキが好きでずっと使っていました。今でも青を絡めたコントロールデッキが好きで、MTGアリーナではそういったデッキをよく回しています。

──今でもその頃のご友人とは連絡を取られたりするのでしょうか。

 

大川:地元の広島を離れたこともあって交流は途切れてしまったのですが、たまたまできた新しい友人が実は「常連のお兄さん」の弟だったことが分かった……なんてことがありました。「あれ、それ俺の兄ちゃんだよね」みたいな(笑)。

──凄い偶然じゃないですか!?

大川:当時は気づかなかったんですが、同じイベント会場にいたこともあったみたいです。世間は狭いですね。

向き合い方は一つじゃない

──そうして遊び続けられているマジックですが、今はショップ店員、ジャッジ、ティーチングマイスターと様々な切り口からも関わられておられますよね。それぞれどのようないきさつがあったのでしょうか。

大川:時系列的にはショップ店員になったところからですね。高校生の頃にアルバイトを探していたら、ちょうどオープンしたばかりのイエローサブマリン広島店さんの募集が目に留まったんです。実は高校生は不可だったのですが、色々とアピールして採用していただきました。

 6・7年ほど勤めたあとはいくつか仕事を転々として、2019年からMINT広島店で働き始めました。既にジャッジ資格は取得していましたし、過去の経験も活かすことができるということでアルバイトから始めた形です。

──その後、こちらの名古屋店に移ってこられたのですね。

大川:ちょうど一年前のオープンに合わせてですね。このお店はトレーディングカードゲームだけでなくスポーツ系のトレーディングカード、あとは選手のサイン入りグッズなども扱っているんですが、僕はマジックをメインに他のカードゲームも広く担当している感じです。

──それまではずっと広島におられたと伺いましたが、異動にあたって大変だったことはありますか。

大川:いや、もう一年目は体調崩しまくりでしたね……広島はあまり寒暖差に波がないんですが、名古屋は変動がものすごく激しくて。夏は暑いし冬は寒いし、今年も心配です。

──それは辛い……どうかお気をつけて。では、ジャッジ資格はいつ頃取得されたのですか?

 

大川:ジャッジになったのは広島時代ですね、かれこれ10年前くらいでしょうか。ショップの仕事を通じて知り合いが増えていく中で、ジャッジ褒賞の《ミシュラの工廠》の存在を知って衝撃を受けたんですよ。これ欲しいなと(笑)。

 せっかくマジックで遊んでいるならジャッジになってみるのもアリだなとは考えていましたし、それを機に取得に至りました。当時はまだグランプリもやっていたので、そこから活動開始という形でしたね。

 最近の大型イベントではオンデマンドエリアで8人イベントを担当していることが多いです。ブースタードラフトなどを人数が揃い次第どんどん回していく感じのところですね。本戦の真剣勝負をジャッジするのもやりがいがあるんですが、こっちの方がちょっと牧歌的なところもあって性に合っていると思います。

──大型イベントのオンデマンドエリアと聞くとどことなく回転率が高そうと言いますか、忙しそうな印象です。

大川:実は昔に比べると落ち着いていますね。物価高もあるとは思うのですが、コロナ禍の影響も大きかったんじゃないでしょうか。あのタイミングでシールド戦やドラフト系のイベントは断絶してしまったようなところがあって、それ以降に入ってこられた方には浸透していない気がするんですよね。

──なるほど、そもそもやったことがないという方も増えているのかもしれません。

大川:確かにハードルはありますが、構築戦とはまた違った技術が求められるのがリミテッドですので、ここならではの面白さはあると思います。是非一度楽しんでみて頂きたいですね。

──仰る通りです。最後に、ティーチングマイスターについてお聞かせください。既に店員さんとして、そしてジャッジとしても活躍される中、マイスター資格を取得されたのは何故なのでしょうか?

大川:新しくマジックを始めたい方にとってはジャッジよりもマイスターの肩書が取っ掛かりやすいんじゃないか、というのが理由ですね。

 ジャッジは仕事柄プレイヤーに対して裁定を出したり、時にはペナルティを与えなければならないこともあります。審判です、と名乗るとどうしても少し身構えられてしまう感じもあったんですよ。

 

 なのでティーチングマイスターとしてしっかり教えます、と案内できた方が軽い気持ちで入ってきてもらえるかなと思いました。あとは折角ジャッジを持っているし、取れる資格は抑えておこうかなというのもありましたね。上手く使い分けられればいいなと。

──確かに初めの一歩を踏み出してもらう時、気軽さは大切そうです。どのような方々がティーチングに来られるのでしょうか?

大川:ご友人同士だったり、親子だったり、本当に色々ですね。はじめからティーチングを受けに来てくださる方もいらっしゃいますし、ホームページなどでウェルカム・デッキの存在をご存知で「無料で始められるって聞いたんですけど……」とお越しになる方も多いです。

 そういった方にも「よかったらティーチングを受けていきませんか」とお声掛けをするようにしていますね。お客様の様子を見ながらアプローチを工夫して、結果その場で手ごたえを感じられるのはとても嬉しいですし、しばらく経った後に再来店してくださったりすると何より喜ばしいです。

見えてきた「役目」

──先程コロナ禍のお話もありましたが、時の流れとともにマジックを取り巻く環境は変わり続けているように思います。業界やトレンド、あるいはプレイヤーさん達の変化を感じることはありましたか?

大川:そういった機会は結構多いですね。ゲーム自体のトレンドもどんどん移り変わっていますし、ショップ周りの事情も移り変わりつつあると感じています。

 カードゲーム全体の人気が高まってゲームの種類も多様になり取り扱うお店も増えていく中で、これまで以上に大会景品の豪華さであったり、あとはお店の常連さんがどのくらいいらっしゃるか、という事が重要になってきている。そのお店でこのゲームを遊びたい、と思う方を集められるかどうかが肝心なのだと思います。

 そして、その大前提になるのがプレイヤーの数です。ユーザーの数をどんどん増やしていくことでゲームはもっと元気になっていくはずなので、しっかりアピールして初心者の方を引き込んでいきたいですね。そういう意味でも今回の『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』はどんどん推し出していきたいです。

──では、これからマジックを始める方に伝えたいアピールポイント、「これはマジックならでは!」という魅力を教えていただけますか。

 

大川:しっかりした基盤のあるルールが魅力の一つだと思います。マジックのルールは基礎の部分が非常に強固に創り上げられていて、新しいカードや能力が出てきたとしても、ルールの中できちんと解決できるようになっている。基本的なようで、これは非常に凄いことじゃないでしょうか。

 それから競技要素の充実ですね。世界大会をはじめとしたハイレベルな舞台があって、高みを目指して競い合うプロプレイヤー制度も実施されています。憧れの的でもありますしそこに向かって努力する目標にもなるので、燃える人も多いんじゃないかな、と。

 あとは手ぶらでお店に来ても遊べるリミテッドの存在でしょうか。遊びたいなという気持ちがあればいつでも飛びこめる、そんな遊び方が想定されているというのはマジックの強みだと思いますね。

──ルール、競技制度、リミテッド……いずれもどこかジャッジやマイスターの役割に関わってくるポイントであるように感じます。

大川:そうですね。我々の役目の一側面だと思います。例えばルールが難しいんじゃないかとか、遊び続けるのにコストがかかるんじゃないかとか、そういう不安があってマジックを始められずにいる方もいらっしゃると思うんです。

 それに対して「そんなことないですよ」と伝えていく。意外とルールは簡単ですよとティーチングしたり、フォーマット次第ではハードル控えめですよと提案したりと、お客様の懸念点を払ってあげると言いますか。ゲームでもイラストでもコレクションでも、どんな動機からでも入ってきてもらえるようにサポートしていくことが必要だなと考えています。

──頼もしいお言葉、ありがとうございます。最後に、この記事を読んでお店に行ってみようと考えている皆様に一言お願いします。

大川:僕自身もFFシリーズのファンで、4以降の作品はオンラインメインのものを除いて全部遊んできました。なのでとてもワクワクしているんです。一度は夢見たこのコラボ、とうとう来たかと(笑)。特に何度も遊んだ4・5・6のキャラクターは印象深くて、カインやセシル、バッツをマジックで使えると思うと凄く楽しみで……。

回転

 ですので、ここから始める皆さんにも是非マジックを楽しんでいただきたいと思っています。不安なことがあればなんでもお声掛けください!

 それから僕自身名古屋に来てからまだ日が浅いので、この街でもっと友人を増やしていきたいと思っています。遊び場所を探している人にも是非お越しいただいて、一緒にこの場所で盛り上がっていけると嬉しいです。

──お客様にとっても大川さんにとっても、素敵な出会いがあることを祈っています。本日はありがとうございました。


 

スポーツカード&カードゲームショップ MINT名古屋店
住所:〒460-0008 名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク アルペンナゴヤ 6F
公式サイト:https://mint-web.jp/

「スポーツカード&カードゲームショップ MINT名古屋店」は名古屋・栄にあるカードショップ。ショーケースにはカードゲームのみならず、サイン入りユニフォームなどスポーツ関連の品物も多数展示されています。42席のプレイスペースは全席ハイチェアで、スタイリッシュな世界観の中でマジックが楽しめます。


過去の「あなたの街のティーチングマイスター」連載記事はこちらから

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