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企画記事
『ゲートウォッチの誓い』 みんなが選ぶトップ3!
『ゲートウォッチの誓い』 みんなが選ぶトップ3!
by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)
皆さんこんにちは!
年も明け気分一新!寒い季節ですが、『ゲートウォッチの誓い』発売からグランプリ・名古屋2016と、マジック界隈は盛り上がっていきますよ~!
ウラモグだけでなく復活してしまったコジレック、この2体の強大なエルドラージを打ち倒すべく集結する4人のプレインズウォーカー......映画みたいな素晴らしい展開ですよね!この物語がどう決着するのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
さて、そんな物語も気になるところですが、今一番気になるのは間もなく発売される『ゲートウォッチの誓い』のカード評価ではないでしょうか? そこで今回もまた、あの3人に期待のカードをピックアップしてもらいました!
鍛冶 友浩の場合
通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。
最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。
1位 《作り変えるもの》
『ダークスティール』がリリースされた時、《電結の荒廃者》が(今なおモダンで活躍している)「親和」というデッキタイプのポテンシャルに大きく影響を与えました。そして今回は、エルドラージ界にも構築で活躍へ可能性を感じさせる《作り変えるもの》という新たな高スペック・クリーチャーが登場しました。
唱えるのには無色マナシンボルが必要となっており、構築時に未知の制約があるものの、3マナ3/2という基本サイズに死亡時のおまけが付いています。何も考えずとも追加のカード1枚分の期待ができますが、3マナ以下のパーマネントを戦場に出すことが当然最も効率が良いですね。
エルドラージといえば《絶え間ない飢餓、ウラモグ》らデカブツばかりが日の目を見ていましたが、このセットには《エルドラージのミミック》や《現実を砕くもの》というビートダウンで期待できそうなカードもありますので、今後のスタンダードでは無色デッキを見かけることがあるのでしょうか。
もちろん、時間稼ぎ用のブロッカーという立ち位置で《作り変えるもの》を使い捨てていくデッキも考えられますし、何らかの手段で何度も戦場に出しては生け贄に捧げるコンボが見つかるかもしれません。とても料理のしがいのあるカードでしょう。
2位 《歪める嘆き》
『マジック・オリジン』がリリースされてから、青ければどんなデッキにも入ってしまうのではないかとすら思わせる《ヴリンの神童、ジェイス》の活躍は皆さんご存知だと思います。そんな彼をせっかく除去しても、《オジュタイの命令》や《コラガンの命令》で再利用するシステムがデッキに組み込まれている場合もあり、一筋縄ではいかない場合も多々ありました。
しかし、この《歪める嘆き》は3つの選択肢の1つでジェイスを追放し、この連鎖を断ち切ることができてしまうのです。さらに、このカードは過去にも多々あった「魔除け」サイクルと同様に、合計3つのモードを持っています。2つ目は《被覆》のリメイク版であるソーサリー限定打ち消しモードで、これはスタンダードよりもモダンやレガシーへの影響が強そうですね。3つ目の末裔・トークンに関して言えば、追加の1マナを一時的に用意したり、緊急のブロッカーとすることもできますが、積極的に使うものではないでしょう。
《次元の歪曲》もそうですが、果たして無色のインスタントはどのように使われていくのでしょうか。
3位 《保護者、リンヴァーラ》
《スラーグ牙》、《機を見た援軍》と言えば、アグロなデッキを使い対戦相手のライフへプレッシャーを与えていても、それを回復された挙句にブロッカーまで出てきてしまうという最悪なカードでしたが、《保護者、リンヴァーラ》はまさにその流れをくんでいます。
6マナ5/5飛行と、それ自体でフィニッシャーとしての性能は十分ですが、戦場に出た時にライフとクリーチャーの数でそれぞれ不利だとボーナスで5点回復、3/3飛行のトークンが出てきてしまうのです。
現在のスタンダードでは、《ドラゴンの餌》や《軍族童の突発》を使ったトークン戦略を組み込んだビートダウンがありますが、それらを咎めるには持ってこいなカードですね。
逆に、対コントロールでは能力を誘発させるのが難しい場合もあり、能動的に動くには良いカードとは言えません。少なくとも、サイドボードには居場所はありそうですが、それ以上に昇格はあるのでしょうか。
『ゲートウォッチの誓い』総評
呪文や能力に無色マナが必要、という今までにありそうでなかったコンセプトのおかげでこのセットへの期待はかなり大きく、発売がとても待ち遠しいですね。『タルキール覇王譚』から続く氏族、多色化といった流れに逆らい、欠色の無色デッキが果たして登場するのでしょうか。発売後に開催されるプロツアー『ゲートウォッチの誓い』の構築部門はモダンとなっていますが、現時点でエルドラージに注目したデッキがオンラインでも活躍しており、少なくともこのデッキのアップグレード版を大会で見かけることができるでしょう。
また、リミテッドについて触れておくと、「怒濤」を代表にチーム戦で特に活躍するカードが多数登場しています。プレリリーストーナメントでは是非、双頭巨人戦を楽しんでください。普段は気にならなかったカードのテキストの細かいところ、例えば《ムラーサの胎動》などの表記に気がつくはずです。ただ、そのイベントの参加前には「Zendikar Expeditions」が出た時のカードの分配について、チームメイトと相談しておくことをおすすめします!
射場本 正巳の場合
通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。
彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。
1位 《世界を壊すもの》
なんてったって名前がいいね!ワールドブレイカーっていうとあれですよ、デュエルマスターズならすべてのシールドを一発で持っていけてしまうボスクラスが持つ能力なわけですよ。言うなれば相手はもう虫の息。そんな名前を持つクリーチャーがマジックでも弱いわけがない!
そんな妄想を抱きつつ実際のカードを見たらまあ強い!思ってたのと違うけどいい仕事してる。打ち消されない汎用除去で、さらに自己回収能力まで付いているとあっては、緑の統率者デッキに必ずほしいレベル。7マナとコストは重いけど、緑であればそんなに気にすることではないし、《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》があるので実は見た目以上に早く出てきたりする。逆にコジレックの帰還を誘発してくれる7マナ以上を満たしているのが嬉しい。
これはに関しては英語名がカッコいいからぜひ英語版でそろえておきたいね。
2位 《炎呼び、チャンドラ》
今回のチャンドラはいつにも増してイキイキとしている!ヒーローチームに入ったのが嬉しかったのかなー?
なんてったって[+1]能力でクリーチャー・トークンを出せるようになったのはすごい! これがチャンドラ流チームプレイってやつですかね? しかも3/1エレメンタルを2体も出しちゃうって太っ腹じゃないですか!! これはさすがに《無限の日時計》で時間を止めたくなるね。あ!あれか、ボードゲームのチャンドラがやたらでかい犬のエレメンタル2匹を連れてたのはこれを意味してたのか!? さすがに気づかなかったー。
あと単純に忠誠度下げずに手札入れ替えられるのはイイよね。手札入れ替え能力があったおかげで、歴代チャンドラの中でも《燃え立つチャンドラ》はお気に入りだったんだけど、さすがに抜いたかも。やっぱゼンディカー次元でコスト重くなってるチャンドラさん素敵です。
山札掘り進めて墓地肥やししやすくなったので、《屑鉄の学者、ダレッティ》とか《ミジックスの熟達》とかもまた強くなりそうだなー。
3位 《押し潰す触手》
土地以外をすべて手札に戻す青お得意のリセット呪文、新メカニズムの「怒濤」で使うことによって8/8のタコを生み出せるとあって、軟体動物マニアにはたまらない。統率者で使うと《ファイレクシアの再誕》みたいな感じになるんだろうね。あれより多く触れて、安定して8/8出せるのでこっちのほうが強そう。
基本的に「怒濤」は足かせとしてデザインされているけど、カードプールが広がると逆にメリット能力になるのが面白い。《魔力の櫃》などマナ加速アーティファクト経由であればむしろ軽く使えるのでお得。特にこの能力は狙って《ハーキルの召還術》のようにも使えるので、一人だけ爆展開してウニャウニャーってやってブワーってすると楽しそう。
ぜひ、みなさんの海洋生物デッキに入れてあげてください。
『ゲートウォッチの誓い』総評
コジレックによって時空の歪められた世界と、ゼンディカーに住む人々の今を見せてくれるこのセット。ゲートウォッチを結成した記念すべき回だけあって、メンバー一人ひとりも今まで以上に詳しくドラマティックに描かれているような気がする。
元凶である《大いなる歪み、コジレック》本人も以前と同じ10マナかつドロー能力を残しつつ、手札を捨てて呪文を相殺するあたり、時空を歪めるというフレーバーが良く表現されている。個人的には以前の《真実の解体者、コジレック》はデカくてカードを引けるストレートさが大好きだったのだが、今回のはなんか小賢しくなってる感じがしてあまり好きではない。とはいえ《荒地》という基本土地が増えたことで無色統率者デッキを組みやすくなったことには拍手を送りたい、惜しむらくはせっかくの《コジレックの帰還》がコジレック統率者デッキで使えないことくらいかな?
しかし欠色関係のカードはとにかく強い! 特に《歪める嘆き》は何ナノ?っていうくらい強力で、今後どの統率者デッキにも入ることになりそう。あと《変位エルドラージ》と《深水潜み》は早速手持ちのデッキに入れようかと思っている。
また、同盟者ファン待望の5色の色指標を持つ伝説のクリーチャー、《タズリ将軍》がついに登場! 『戦乱のゼンディカー』になって急激に強化された同盟者のデッキを組むなら必須の1枚だ。他には「誓い」サイクルもプレインズウォーカーデッキにすんなり入るデザインで、(主に同僚の)統率者デッキは強化されそうだ。
浅原 晃の場合
通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。
デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。
1位 《大いなる歪み、コジレック》
将棋の勝負の鉄則に「固い攻めてる切れない、勝ち」というのがある。自分の陣地が固く、攻めていて、攻めが途切れなければ勝ちというものだ。この「固い攻めてる切れない」理論、実はマジックでも適用できるのはご存じだろうか?
実はマジックのカードには固いポイント、攻めてるポイント、切れないポイントがある。そして、これらをバランス良く獲得しているデッキがいいデッキと言えるのだ。例えば、エルドラージデッキの《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の場合、盤面に触りつつフィニッシュ能力が高いため、固いと攻めてるがともに70ポイントだ。また、《精霊龍、ウギン》は盤面除去能力が高いがフィニッシュ力はそこまで高くないので、固い100、攻めてる20ポイントとなる。そう、こいつらは固いと攻めてるにパラメーターを振っているカードなのだ。
そう考えると、エルドラージデッキの負けパターンの1つが見えてくる、フィニッシャーをキッチリ対処されて、手札のマナ加速を見つめながら、あ、負けましたというパターンだ。しかし、それも『戦乱のゼンディカー』までの話、これからは《大いなる歪み、コジレック》がその弱点を完全に補ってしまう可能性大。何故ならこいつは、切れないポイント150を持つ、アドバンテージ野郎だからである。この手から繰り出される圧倒的な力......面晶体、耐えてくれよ......!
2位 《ゴブリンの闇住まい》
ゴブリンと言えば、基本的に殴るか自爆して何かやらかすかやることが無いと思っている人も結構いるかもしれない。しかし、突然変異体のように変なのが生まれたりすることがたびたびあり、この《ゴブリンの闇住まい》もその一種としか考えられないスペックで登場している。
何がおかしいかというとゴブリンなのにまず強い。書いてあることが大体強い。個人的にはゴブリンの5マナと言えば《ゴブリンの暗殺者》が思い出されてしまうくらいの世代であるので、とりあえず、ゴブリンは集まってナンボのアベンジャーズ的な認識だったのだが、こいつは完全に1人でできるもん。《コラガンの命令》など、相性のいいカードもあるため、何となく組み合わせを考えて入れるだけでも、役に立ってくれそうだ。自身のスペックも4/4の威迫とプレイヤーやプレインズウォーカーにプレッシャーを与えられるのも好感触、ネックは5マナというマナ域くらいで、ゴブリンにここまでの力を持たせた闇の力、恐るべしという他ないだろう。こうなったら、面晶体の力で貫くしかない!
3位 《永代巡礼者、アイリ》
近年、評価を上げている能力に接死とサクリ台(他のクリーチャーを生け贄に捧げる能力)がある。
接死は最近のクリーチャーのスペックアップによってデカ強な奴が増えており、そいつらに対して、小粒でもピリリと辛いぜ!と最低でも相討ちという仕事を果たせるのは偉く、格闘関連でも役に立つ。また、サクリ台の能力の方は《先祖の結集》デッキで《ナントゥーコの鞘虫》が使われているように、死亡誘発を能動的に使ったり、追放除去をかわしたりと、好きなときに死ねるのが強みとなりやすくなっている。しかし、それぞれの能力が強力な分、それらの能力を持つものはスペックが悪かったり、ちょっと重かったりが多かった。
だが、今回、何とそれらがセットになった《永代巡礼者、アイリ》が登場。能力の起動コストの{1}が弱点にはなるが、接死とライフ回復を持ち合わせ、さらに2マナであるため《オジュタイの命令》で出てこれたり、《集合した中隊》で飛び出してきたりと、インスタントタイミングで出せるのも追い風。やはり、白と黒を併せ持つのは最強なのか。そして、岩Show、私はお前の父だ!
『ゲートウォッチの誓い』総評
『ゲートウォッチの誓い』はあまりにも注目するカードが多すぎて、トップ3の選択にとても困ったセット。特に無色マナ・シンボルを作り無色を実質6色目として機能させるデザインが素晴らしく、実際にプレイしてみても、ゲームを格段に面白くしていると感じた。さらに、無色マナ・シンボルのカードは強力なものも多いため、リミテッド、構築の両面で大きな影響がありそうだ。また、《ニッサの誓い》などを代表とする「誓い」サイクルや、ナメクジだけでなく植物にも造詣が深くなった《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》なども絶対に使っていきたいカード。そして、個人的な好みを挙げるなら《面晶体の連結》という特殊勝利カードがあるのもうれしい、せっかくなのでよーし連結しちゃうぞという、やる気に満ち溢れたデッキを構築したいと思う。
プレリリースに行こう!
皆さん、お楽しみいただけましたか? 今週末は『ゲートウォッチの誓い』プレリリース!さらに、双頭巨人戦のイベントも多数開催されます!ぜひ参加してみてください!双頭巨人戦に参加して、みんなで仲間と共にエルドラージに立ち向かおう!
おわりに
今回はまた3人の選択カードに被りなし!3人とも見る視点が全然違いますね!はたして新たなカードはスタンダード環境にどんな影響を及ぼすのか......!? と気になるところですが、今回のプロツアー『ゲートウォッチの誓い』はモダン!果たしてモダンという広大な環境に、一石を投じることができるのでしょうか???
リミテッドも「嚥下」などの数が減って新たな「無色マナ」のメカニズムなどが加わり、環境が一新されそうです。早くドラフトがしたい......!
そんな楽しみな『ゲートウォッチの誓い』、1月22日発売です!みなさんご一緒に、「Crack-a-Pack!」
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