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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ナヤ・オーラ:あれは……ターボナメクジ?(パイオニア)

岩SHOW
 

 君は“超速攻”という能力を知っているか?マジックの中でも飛びぬけてクレイジーなこの能力は、通常のフォーマットでは使えない銀枠セット『Unhinged』に収録されている《Rocket-Powered Turbo Slug》のみが持つオンリーワンのもの。ロケットで加速するナメクジという意味で、イラストには《ピット・ファイター、カマール》と《怒りの天使アクローマ》、当時の速攻クリーチャーの代表格が描かれている。両名が言い争っているそばを横切り、テキスト欄下部を突っ走るのがこのクリーチャーの本体である。速攻よりも早くて認識すらできていないってことだな。

 このナメクジの超速攻/Superhasteという能力……通常の速攻が「戦場に出たターンに攻撃できる」能力であるなら、超速攻は「唱えるより先に攻撃する」という、まるでとんちのような能力である。どういう意味?って感じだが、これは攻撃している状態で手札から戦場に直接出すことができる。そして次の自分のターンの間に、遅れてこれのマナコストを支払うことになる。もし支払わずにそのターンを終えるとゲームに敗北するという……いやぁ、色々ぶっ飛んだスピードの向こう側のカードだなぁ。

 登場から20年以上たった今見ても色褪せないこのデザイン!勿論こんなカードが通常のフォーマットでプレイ可能になると混乱を招いてしまうが、これをアイディアの源泉にしたであろうカードが後にいくつか見られることに。銀枠カードの紹介から始まる今回は、「黒枠のRocket-Powered Turbo Slug」とでも呼べるようなあのカードを中核に据えているデッキをご紹介……!

J.d. Emerick - 「ナヤ・オーラ」
Crew3 2026 Savior of Pioneer Qualifier トップ4 / パイオニア (2026年8月30日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
3 《マナの合流点
2 《聖なる鋳造所
2 《寺院の庭
2 《感動的な眺望所
2 《剃刀境の茂み
1 《皇国の地、永岩城
-土地(16)-

4 《奔放なる閃影、クイックシルバー
3 《離反ダニ、スクレルヴ
4 《皇の声、軽脚
3 《上級建設官、スラム
1 《ヒーロー達の癒し手、ナイト・ナース
-クリーチャー(15)-
4 《天上の鎧
3 《きらきらするすべて
3 《無鉄砲
1 《結束のカルトーシュ
1 《激情のカルトーシュ
1 《歩哨の目
4 《悪魔の大騒動
4 《幽霊による庇護
2 《破片魔道士の救出
1 《溶かし歩きの消散
1 《最上位権限
4 《モックス・アンバー
-呪文(29)-
2 《静寂をもたらすもの
2 《封じ込める僧侶
1 《ヒーロー達の癒し手、ナイト・ナース
2 《嵐の伝令
2 《安らかなる眠り
2 《摩耗 // 損耗
1 《轟音のクラリオン
1 《脱出速度
1 《ケイヤ式幽体化
1 《マナの合流点
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 そんなわけで取り上げるのはパイオニアのデッキ……赤緑白の3色。このデッキの1マナ域に4枚採用されているのが……《奔放なる閃影、クイックシルバー》!1マナ1/1速攻、これぞ赤の1マナ域というスペックの伝説のミュータント・英雄だ。彼が《Rocket-Powered Turbo Slug》を想起させる理由は、その特殊な処理を行うテキストにある……ゲームの開始時にこれが手札にあれば、それを戦場に出している状態でゲームを開始しても良いという……《虚空の力線》などの力線サイクルと同じく、条件付きで唱えずに戦場に出せるパーマネントになっている。超高速で移動するクイックシルバーのイメージも相まって、唱える前から戦場にいる……ターボナメクジの魂を受け継ぐデザインになっていると感じるぜ。

 そんなクイックシルバーを採用しているデッキが……まさかのオーラデッキというのに度肝を抜かれたぜ。オーラデッキはクリーチャーにオーラを貼り付けて殴る!以上!というシンプル過ぎるアーキタイプ。パイオニアには《天上の鎧》《きらきらするすべて》と、エンチャントの枚数を参照してクリーチャーを強化するオーラが存在する。これらと共に《無鉄砲》や《幽霊による庇護》など、クリーチャーのサイズ修整およびトランプルや絆魂などのキーワード能力を付与したり、他の効果も作用するオーラをたっぷりと採用。これらをべたべたと貼り付けて強化、最強クリーチャーを作り上げるのがこのアーキタイプの狙いである。

 数々の1マナクリーチャーがその強化先候補として採用されてきたが……2026年夏、遂にマナが要らないクリーチャーを採用するに至ったわけだ。これにより1ターン目からオーラを付けて殴ることが可能に。《モックス・アンバー》からマナも加えられて1ターン目から2マナのアクションも行えるし、オーラをつけるクリーチャーを除去から守る《離反ダニ、スクレルヴ》と共に並べることも可能と、開幕を濃密なものにしてくれる……それでいて、力線などと違ってクイックシルバーはそれ自身が1マナと軽い!なので後から引いてきても、素出しが苦痛ではないという点が、これをオーラデッキに採用するという大胆なチョイスに至った理由なのだろうな……ただでさえ早いオーラデッキが、ギアを一段階上げてきた。面白い進化だ!クイックシルバーがパワーアップで二段攻撃を持つというのも、ゲームが長引いた時に決め手になり得るね。

 

 オーラデッキの弱点、それはわかりやすい……クリーチャー除去1つで大きな打撃を受けるという点!普通のデッキはクリーチャーを出して攻め、それに対して相手が除去を使ってきたら1:1交換になる。オーラデッキはそのクリーチャーに何枚もオーラがついていたら、1枚の除去でこちらの複数のリソースを奪われて……その被害は甚大だ。なので《破片魔道士の救出》のような護法や呪禁といった除去耐性を与えるオーラは重宝される。

 また、オーラとシナジーを形成するカードの中でも、カードを引いたりといったアドバンテージに繋がるものも優先度は高い。《上級建設官、スラム》はオーラを唱えるたびにドローをもたらし、全力展開して返り討ちにあったとしても再びの展開を可能にしてくれるだろう。そして《皇の声、軽脚》!この狐は、オーラを唱えて戦場に出した際に能力が誘発。条件付きではあるが、追加のオーラをライブラリーから探して、軽脚に貼り付けた状態で戦場に出せる。かなりニッチな能力であるが、1枚のオーラが2枚に化けるのだから単純なアドバンテージは大きい。この軽脚とクイックシルバーなどの別のクリーチャーを並べて、そっちを強化すれば自動的に2体分の強化になる。対処されきらない2倍の猛攻で押し切りたいものだ。マナを払わずに唱えられる計画呪文である《悪魔の大騒動》はこの軽脚とスラムと相性抜群だ。

 パイオニアのオーラデッキのリストを眺めて、《Rocket-Powered Turbo Slug》を思い浮かべる日が来るとは。ゲーム開始時から戦場にいる、超スピードを誇る《奔放なる閃影、クイックシルバー》。オーラ連打からの大ダメージは、超速攻も顔負けだ!いやぁ、ここにきて『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』のカードを使ったデッキが色々と出てきているのは実に面白いね。

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