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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

最強カードとは何か?フィリアが溌剌に暴れ回るアゾリウス!(レガシー)

岩SHOW


 最強のカードを決めるのは、容易なことではない。まずマジックには3万種類を超えるカードが存在する。それぞれに相互作用があり、フォーマットやゲーム状況においても強いカードは異なる。そもそもこのカードゲームにおいて何が最強か、何をもって最強かを定義すること自体が難しい。なので結論、確実各々の最強カードを決めたら良い!最後は好みの話になる、皆んな自分が好き好んで使うカードの最強っぷりを語れば良い。

 これで終わったら何のためのフリだという話。なので本題……先日、レガシーの大会の実況のお仕事があった。それは400名近い参加者が集った大規模トーナメントであり……日本におけるレガシー人気の高さを改めて実感した。大盛り上がりのトーナメントは、7勝1敗1分けの成績でも決勝ラウンドに進めないような、えげつなく厳しい競技の舞台となった。予選が終盤に差し掛かるにつれ、その熱は上昇していき、フィーチャーマッチにもそれが反映された。

 そして決勝ラウンドに突入……激闘が繰り広げられる中、存在感をバキバキに発揮するデッキが。このデッキの試合を見るたびに「このカード最強か?」と思わせられる1枚があった。そしてそのカードを携えたデッキは、優勝の栄冠を手にしたのだった。

潘禹錚 - 「アゾリウス・テンポ」
BIG MAGIC OPEN Legacy#1 優勝 / レガシー (2026年9月7日)[MO] [ARENA]
4 《溢れかえる岸辺
3 《汚染された三角州
3 《Tundra
1 《行き届いた書庫
1 《カラカス
1 《神秘の聖域
4 《不毛の大地
1 《平地
2 《
-土地(20)-

4 《知りたがりの学徒、タミヨウ
4 《溌剌の牧羊犬、フィリア
4 《量子の謎かけ屋
2 《濁浪の執政
-クリーチャー(14)-
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《剣を鍬に
4 《意志の力
3 《目くらまし
2 《否定の力
4 《もみ消し
1 《記憶への放逐
-呪文(26)-
2 《水流破
2 《空の怒り
1 《虹色の終焉
1 《天界の粛清
1 《外科的摘出
1 《安らかなる眠り
2 《記憶への放逐
1 《無のロッド
2 《アゾリウスの造反者、ラヴィニア
2 《封じ込める僧侶
-サイドボード(15)-
BIGWEB より引用)

 

 

 というわけで375名の頂点に輝いたこちらのリスト……色は青をメインに白を足した形。これらの組み合わせは古より、青が得意とする打ち消し……《意志の力》《目くらまし》などによる相手の行動妨害、そして《剣を鍬に》を用いたクリーチャー除去という2つの要素によりゲームをコントロールするデッキの象徴的なカラーリングである。

 このデッキが備える、その最強に思えるカードこそ……《溌剌の牧羊犬、フィリア》!このワンコ……かわいいだけじゃない、マジで最強生物と思える暴れっぷりを披露してくれた。2マナ2/2と標準サイズであるが、瞬速を持っているので相手の隙を見て戦場に繰り出しやすい。そしてフィリアは攻撃することで能力が誘発。土地とフィリア自身を除くパーマネントをその対象にすることができ、それを戦場から追放。ターン終了時にそれが戦場に戻るという……これは対戦相手のパーマネントに対しても、自分のそれに対しても働く。自分のものを出し入れした場合、フィリアのサイズも上昇するというおまけがついている……相手のクリーチャーを強引にどかして攻撃を通す、あるいは自身のパーマネントを出し入れして得をすることを狙うカードとしてデザインされているわけだ。

 フィリア最高のパートナーであるのが《量子の謎かけ屋》。本来5マナのクリーチャーであるが、ワープコストであれば2マナと手頃なコストで戦場に出せる。ワープはターン終了時に追放されてしまうため戦場に留まれないという能力であるが、このワープした謎かけ屋をフィリアの能力の対象にし、追放してから戦場に戻すと……それはワープで唱えたものとは、別の物として扱われる。そのため、追放されずに戦場に居座ることになるのだ。4/6飛行という優秀すぎるスペックの戦力が軽いコストで繰り出せて……そして謎かけ屋は戦場に出ればカードが引けるため、合計2ドローがもたらされる!

 謎かけ屋定着後はこれと共に攻撃して相手のブロッカーを追放して、問答無用でゲームを終わらせる……この溌剌っぷりには、フィーチャーマッチを見ていて圧倒されたね。現レガシーの最強2マナクリーチャーはこのフィリアなのかもしれないと、そう思わされたのだった。

 

 フィリア以外に謎かけ屋を戦場に残す手段として《もみ消し》《記憶への放逐》も採用されている。これらでワープの追放するという誘発型能力を打ち消すわけだが……《もみ消し》は特にシブい!こちらは起動型能力も打ち消せるのが特徴で……このレガシー環境における起動型能力といえば、土地!《溢れかえる岸辺》《汚染された三角州》などの通称フェッチランドはレガシーの大半のデッキが採用している。生け贄に捧げてライブラリーから他の土地を探して戦場に出すという、多色デッキにおいて便利な能力……これを起動してきたところに《もみ消し》を投げつけるのはレガシーでも古くから用いられてきた戦術だ。これにより実質1マナの土地破壊が行える!

 相手の《不毛の大地》の起動に対してこれで打ち消すことも可能で、これらによりこちらの《不毛の大地》の威力を高め、《目くらまし》が効果的に働く時間を延長させる……という、テンポ面で優位に立つ仕組みがこのデッキには内蔵されている。相手の動きに合わせてマナを縛ったり、謎かけ屋を繰り出したり……テクニカルに立ち回るのがこのデッキの真骨頂だ!

 

 白を採用したデッキはサイドボードが強くなる傾向にある。このリストでも《安らかなる眠り》《虹色の終焉》《空の怒り》などなど、対戦相手のデッキタイプに合わせてクリティカルに機能したり、パーマネントへの対応力が上がるカードが並んでいる。

 それらの中に《封じ込める僧侶》の姿もある。これは《再活性》や《実物提示教育》など、クリーチャーを唱えずに戦場に出す手段を備えたデッキへの妨害手段であるが...フィリアとの組み合わせで、別の働きも見せる。僧侶がいる状態でフィリアで攻撃し、対戦相手のクリーチャーを追放。ターン終了時にそれは……戦場に戻る誘発が起こるが、僧侶はそれを許さず代わりに追放してしまう……つまり、追放されっぱなしで戻ってこなくなってしまうのだ。このコンボ、クリーチャーを用いるデッキ全般に効果あり……えげつないハメ技に、フィリアに戦慄を覚えたものだ。

 かわいいだけじゃない、最強クリーチャーの候補にも上がる1枚である《溌剌の牧羊犬、フィリア》。最強クラスのこのクリーチャーで大暴れするレガシーの青白デッキ、どんな相手にも戦える王者の風格を備えていると感じたね。今後も相性の良いカードが見つかっていく可能性もあるし、今最も注目するべきレガシーのアーキタイプであることは間違いないね!

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