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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!陰湿な根で大繁茂を狙う(スタンダード)

岩SHOW

プロツアー、アツかったなぁ!

 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』環境のスタンダードにて開催されたプロツアー。その週末の日曜日、プロツアーサンデーと呼ばれる決勝ラウンドを戦ったデッキは……「赤単アグロ」「イゼット(青赤)果敢」の2種類のみ。リストなどの違いはあれど、2強という印象が残る結果となった。しかしプロツアーは複合フォーマット、スタンダードの結果のみで競うわけではない。ドラフトラウンドの成績も併せての結果であるため、スタンダードラウンドで好成績を残してもトップ8に残れなかった、というデッキもあるわけだ。

 とことんスタンダードを突き詰める、当コーナーの読者的には単純に上位8名のリストを見るだけでなく、スタンダードラウンドの成績優秀なリストもチェックしてみて欲しいところ。もちろん、惜しくも良い結果にはつながらなかったリストだって宝の山だったりする。そんなわけでプロツアー、全10回戦のスタンダードラウンドにて8勝と大きく勝ち越したリストをピックアップしてご紹介!イーライ・カシス/Eli Kassis選手の「ゴルガリ(黒緑)陰湿な根」デッキだ!

Eli Kassis - 「Golgari Roots」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』 / スタンダード(2025年6月20~22日)[MO] [ARENA]
4 《花盛りの湿地
6 《
1 《偉大なるアラシンの都
4 《ラノワールの荒原
1 《
4 《ウェイストウッドの境界
-土地(20)-

1 《コアトルのあさり屋
2 《破壊の嵐孵り
2 《龍を狙い撃つ者
4 《機能不全ダニ
2 《ラノワールのエルフ
4 《脱皮の世話人
2 《骨術師の達人
4 《ベイルマークの大主
2 《瓦礫帯の異端者
2 《漁る軟泥
2 《町の歓迎者
-クリーチャー(27)-
1 《アガサの魂の大釜
2 《蓄え放題
2 《浚渫機の洞察
4 《陰湿な根
4 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
-呪文(13)-
1 《腐れ花
1 《コアトルのあさり屋
3 《闇の腹心
2 《龍を狙い撃つ者
1 《ガスタルの略奪者
1 《除霊用掃除機
2 《喉首狙い
1 《空漁師の蜘蛛
2 《迷いし者の魂
1 《ヴォルダーレンの興奮探し
-サイドボード(15)-
 

 キーカードはアーキタイプ名通り《陰湿な根》。このエンチャントは、クリーチャーが墓地を離れるというイベントで能力が誘発、0/1の植物を生成する。これだけではブロックするくらいしか使い道がないが、トークン生成後にすべての植物に+1/+1カウンターがばら撒かれるので、何度も誘発させれば尋常ではないサイズの植物が戦場を覆い尽くすことに。またこのエンチャントはトークン達にタップすることで好きな色マナを加えるという能力も持たせる。アンコモンとは思えない能力の詰め込みっぷりがすごい《陰湿な根》はそれを主役としたデッキを組む価値が十二分にある1枚だ。重要なのはクリーチャーカードが墓地に落ちること、そしてそれらが墓地から離れること。切削や諜報などで埋めて、手札に加えたり戦場に戻すなどのアクションを行って植物を繁茂させていくのがこのデッキの基本アクションとなる。

 最も噛み合った1枚は《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》。彼は切削した後に2マナ以下のクリーチャーを墓地から戦場に戻すという能力を持ち、根を複数かい誘発させることが期待できる。またクリーチャーをアンタップも出来るため、トークンを起こして再びマナを出すというようなムーブも可能。そしてタイヴァーが居れば、クリーチャーらは速攻を持つかのように戦場に出たターンにタップ能力を起動できるようになる!つまり根から出た植物がすぐさまマナを出し、次のアクションを促してさらに植物を生やして……という強烈な展開力を披露することになる。わしゃわしゃ生えた蔦で対戦相手をノックアウト!それがこの墓地利用デッキの狙いだ。

 

 タイヴァー以外にもどうやって墓地からクリーチャーを離れさせるのか、それはこのデッキの重要なファクターだ。クリーチャーを参照することから、それらもなるべくクリーチャーを用いて行いたいところ。《脱皮の世話人》はまさしくうってつけのカードで、これは切削を行い、また墓地からカードを追放してマナを加えるという能力も併せ持っている。1枚で両方の役目を、しかも継続して担ってくれるのがこの世話人の頼もしいところ。1マナという軽さも最高だ。

 またこのリストには面白いチョイスとして《骨術師の達人》も見られる。このリスは墓地のクリーチャー呪文を唱えられるようにするという他に類似するカードがあまり見られない大盤振る舞いな墓地利用をさせてくれる。そのクリーチャーを唱えるコストにはそれ自身のものに追加で給餌を行う必要がある。給餌とは食物を生け贄に捧げるか、あるいは墓地からカードを3枚追放するアクションである。そのため、この達人は単に唱えたクリーチャーが墓地を離れるのみでなく、給餌によっても根を誘発させてくれるのだ。これらのクリーチャーのタップ能力をタイヴァーで疑似速攻を持たせることでラグなく利用、一気に怒涛の展開に持ち込むことができれこのデッキの思うつぼってやつだ。

Corey Burkhart - 「Jund Roots」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』 / スタンダード(2025年6月20~22日)[MO] [ARENA]
2 《黒割れの崖
4 《花盛りの湿地
4 《銅線の地溝
2 《
3 《カープルーザンの森
4 《ラノワールの荒原
2 《始まりの町
-土地(21)-

1 《腐れ花
1 《好奇心旺盛な餌あさり
2 《機能不全ダニ
1 《鋭い目の管理者
4 《ラノワールのエルフ
4 《脱皮の世話人
1 《骨術師の達人
4 《ベイルマークの大主
4 《瓦礫帯の異端者
4 《魔導戦士、ティナ
-クリーチャー(26)-
1 《アガサの魂の大釜
4 《浚渫機の洞察
4 《陰湿な根
4 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
-呪文(13)-
2 《アガサの魂の大釜
3 《苦痛ある選定
2 《大洞窟のコウモリ
1 《荒らされた地下室 // 解剖室
2 《破壊の嵐孵り
1 《ヨーグモスの法務官、ギックス
1 《グリッサ・サンスレイヤー
1 《機能不全ダニ
1 《鋭い目の管理者
1 《空漁師の蜘蛛
-サイドボード(15)-

回転

 こちらは同じくプロツアーにて使用された根デッキの1つ、赤を足したジャンドカラーのもの。赤を用いる理由は《魔導戦士、ティナ》!彼女は戦場に出た時にライブラリーを切削し、その中からエンチャントを1枚手札に加えるという墓地肥やし兼アドバンテージ源となる。《陰湿な根》はもちろん、墓地を作りそこからクリーチャーを離れさせるための《浚渫機の洞察》《ベイルマークの大主》といった具合に、このアーキタイプはエンチャントがデッキの重要な役目を担っている。そのため、墓地からそれを拾えるティナはキーカード集めの優秀な一手になるという寸法だ。トランスで変身しても強く、墓地対策をされても殴り勝つ手段になってくれるのも嬉しい。

 プロツアーの結果はサンデー進出デッキのみで語られがちだが、スタンダードという道を進んでいくにはそれ以外の情報にも目を凝らすことが重要だ。とことん学び、とことん遊ぶ。そしてとことん楽しむ!僕からは以上ッ!

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