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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
Niv to Light:少数採用カードは何故に(パイオニア)
マジックのデッキリストを眺めていると、「なぜこのような採用枚数になっているんだろう?」と感じることがあると思う。あのカードやっぱり入ってるんだ~ってなんでこんな枚数なんだ?と。構築ルールの最大値である4枚採用されている、これはまあわかりやすい。本当に必要なのだろう。初手の7枚にあってほしいし、ゲーム中にもう1枚引いても嬉しい。そんな大きな存在は4積みが基本だ。
では1、2枚採用されているようなカードは、なぜそんな枚数になっているのだろうか。これを考えることは、そのデッキを作った人・使った人の意図を探る行為であり、なかなかに有意義である。初手にはあってほしくない、ゲーム中に複数引いても邪魔になる、でもデッキには採用しておきたい……そんなカードって一体なんなんだろうな。
そんな疑問の答えはデッキとユーザーによって違うので、これという答えが全てに当てはまるわけではない。しかしアーキタイプによっては、その意図を説明できるものもある。海外で「Niv to Light」と呼ばれるデッキがある。パイオニアにおける5色デッキの一つだ。これは《ニヴ=ミゼット再誕》をデッキの主軸として、他に2色の多色呪文をたっぷりと搭載。ニヴの能力で手札を補充し、対戦相手の行動を妨害しつつ、このドラゴンや他のクリーチャーで殴り勝つ……というのが大まかなストーリーだ。
このデッキにはその2色の呪文を中心に、1・2枚挿しのカードが多く見られる傾向がある。これはもう一つのキーカードに起因する。《白日の下に》というソーサリーだ。これを唱えると、そのマナの支払いに用いたマナの種類をカウントし、その数以下のマナ総量のインスタント・ソーサリー・あるいはクリーチャーを探す。そしてその呪文をマナの支払いなく唱えられる…平たく言えば、5色のマナを注げば5マナ以下の色んな呪文に化ける便利カードである。特定の相手や状況に効果的なニッチなカードを少数採用しておいて、その上で《白日の下に》をフル搭載しておけば、そういったカード達がデッキ内に実質的に4枚以上存在することになる。無駄ドローにならない、究極のワイルドカードである白日で……時にニヴを引っ張ってきて、あるいはもっと特殊なカードを呼び出して、ゲームを支配する。そんな「Niv to Light」の特徴を伝えるため、今回はケース別にどんなカードを持ってくるのか、デッキリストと共にそのサンプルを紹介しよう!
4《寓話の小道》 2《ラフィーンの塔》 3《ザンダーの居室》 3《インダサのトライオーム》 4《ゼイゴスのトライオーム》 4《踏み鳴らされる地》 4《寺院の庭》 3《聖なる鋳造所》 1《森林の墓地》 1《マナの合流点》 1《平地》 1《島》 1《沼》 1《山》 1《森》 -土地(34)- 4《森の女人像》 1《嘘の神、ヴァルキー》 1《さまよう心》 3《創造の座、オムナス》 1《クレンコの轟音砕き》 2《ニヴ=ミゼット再誕》 1《至高の者、ニヴ=ミゼット》 1《狼の友、トルシミール》 -クリーチャー(14)- |
3《稲妻のらせん》 1《轟音のクラリオン》 1《太陽降下》 1《死人に口無し》 4《力線の束縛》 3《消失の詩句》 1《溶鉄の崩壊》 2《泥沼の略奪》 1《コラガンの命令》 1《漂流自我》 2《古のヤギ角》 4《豆の木をのぼれ》 4《鏡割りの寓話》 4《白日の下に》 -呪文(32)- |
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒) 3《致命的な一押し》 1《巻き添え》 1《轟音のクラリオン》 1《毒を選べ》 1《戦争の犠牲》 1《昇華 // 消耗》 1《夢を引き裂く者、アショク》 1《ドビンの拒否権》 2《神秘の論争》 1《長老ガーガロス》 1《配分の領事、カンバール》 -サイドボード(15)- |
「クリーチャーに攻められて大変!」
ライフが危ない時には、何はともあれクリーチャー除去。《太陽降下》で一掃し、培養したファイレクシアンでブロック役も用意するのが手っ取り早いが……相手に唱えられたくないクリーチャーがいたりするなら《死人に口無し》で墓地からまとめて引っこ抜くのも効果的だ。
それから相手のクリーチャーが低タフネスのみ、こちらにオムナスなどがいる状況下であれば、《轟音のクラリオン》もかなり良いチョイスに。2つのモードを両方選び、あいてのクリーチャーをどかしながら絆魂のついたクリーチャーで殴って回復!《稲妻のらせん》や《狼の友、トルシミール》も用いて、除去しつつライフを安全圏に戻して、充実した後半戦に繋ぐのだ。
「相手はコンボデッキみたいだ……」
特定のカードに依存したコンボであれば、《漂流自我》が牙をむく。コンボを成立させるキーカードを追放し、機能不全に陥れろ。メインのプランが崩れ去った相手など襲るるに足らず。時にはコンボ以外にも「次のターン相手に○○されなければ勝ち」という状況でその憂いを抜き去り、勝ち確定の状況に持っていこう。
非クリーチャー呪文の連打でアクションを重ねに重ねて勝つようなチェーン系コンボには《配分の領事、カンバール》で牽制だ。土地コンボ相手には《クレンコの轟音砕き》で木っ端みじんに……などなどメインは勿論サイド後も、特定の相手にクリティカルな1枚挿しを機能させる。それが白日というカードだ!
「コントロールやミッドレンジにはどうすればいい?」
自身と同じような速度間の中速デッキ(所謂ミッドレンジ)や、どっしり構えたコントロール相手には……それこそニヴからアドバンテージを得て、リソース(資源)勝負に負けないようにするのが肝要だ。ニヴといっても再誕のみではなく、《至高の者、ニヴ=ミゼット》という選択肢も最近人気だ。その能力は墓地から2色のインスタントorソーサリー呪文を再利用、《漂流自我》や《コラガンの命令》を拾って好き放題!さらには単色への呪禁という強力な除去耐性の持ち主でもある。サイズでは再誕に劣っても、確実に生きて次のターンまで戦場に居座るこちらを優先する、という場面もあるはず。もちろん白日で連れてきたのなら、その白日も再活で唱えて圧倒すべし。
また《嘘の神、ヴァルキー》を白日の下にさらすと……ヴァルキーで唱えるか、あるいは第2面の《星界の騙し屋、ティボルト》で唱えるかを選ぶことができる。この裏技で、本来7マナのプレインズウォーカーを計5マナで唱えて戦場へと送り出せる。ティボルトは相手を選ぶカードではあるが、これが相手のクリーチャーなどを除去し、ライブラリーを追放し、それらのカードを唱えられる……この速度間が噛み合う相手にとってはまさに地獄の伝道師。パイオニアを遊ぶ上で忘れちゃならないテクニックだ。
以上、《白日の下に》からサーチしてくる選択肢をまとめてみた。これだけの引き出しを備えたデッキというのはそうそうあるものではない。なんでもできる・できないことがない、そんなデッキを追求しているのであれば……それは決してワガママじゃない。《ニヴ=ミゼット再誕》デッキ、皆も一度はプレイしてみてね!《古のヤギ角》が加わったおかげで、白日やニヴからライフの回復が容易になり、以前よりもデッキのタフさが上昇。今まさにパイオニアの注目アーキタイプなのであるッ!
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