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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!トレンドからみる5色ランプとディミーア(スタンダード)

岩SHOW

跳ねて走ってイイ汗かいて……最高~ッ!

 先日、春フェスに行ってきた。久しぶりに大きなイベントで、爆音を浴びて大いに楽しんできたものだ。そんなわけで遠出も相まって、マジックにあまり触れない日々を送っていた。遠征から帰って余韻も落ち着いてきたところで、MTGアリーナを起動。スタンダードをプレイしてみると……面白いじゃないかよ。毎日のように向き合っているとお腹一杯になっていたことが、なんか新鮮味があったり違う一面も見えたりで、とことん楽しむことが出来た。他のことを楽しめば、自ずとマジックも楽しくなる。これは真理だな。というわけで今週もとことんスタンダードのデッキを紹介しよう!ついてきてくれよな!

とことん!トレン道ウォッチング!

 マジックのデッキには流行り廃りがある。特にスタンダードはそれが顕著で、いつの間にかこの構築が当たり前、あの構築はちょっと遅れている……という具合にトレンドを読み解くことが勝利への近道になる。トレンドを見極めること、これぞスタンダー道の真髄なり!

a.c.a.i_20006 - 「5色ランプ」
Magic Online Standard Preliminary 4-0 / スタンダード (2024年3月19日)[MO] [ARENA]
4《ジェトミアの庭
4《ジアトラの試練場
3《スパーラの本部
1《ラフィーンの塔
1《耐え抜くもの、母聖樹
4《魂の洞窟
3《平地
1《
1《
1《
3《
-土地(26)-

4《装飾庭園を踏み歩くもの
4《怒りの大天使
1《イモデーンの徴募兵
3《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(12)-
2《集団失踪
4《太陽降下
4《力線の束縛
4《豆の木をのぼれ
4《群れの渡り
1《洞窟探検
3《ゼンディカーへの侵攻
-呪文(22)-
1《機械の母、エリシュ・ノーン
3《クチルの側衛
3《長い別れ
3《一時的封鎖
3《否認
2《石の脳
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

回転

 今回トレンドを紹介するのは5色のランプデッキ!スタンダードではもう長いこと上位に君臨している、環境を定義するデッキの一つだ。ランプ、即ち土地を増やしてマナの量で勝負するコントロール系のデッキ。その中でも《装飾庭園を踏み歩くもの》《ゼンディカーへの侵攻》で基本土地を並べて、《力線の束縛》や《群れの渡り》といった版図呪文、そして多色のパワーカードの象徴《偉大なる統一者、アトラクサ》で勝負する5色デッキ……スタンダードをプレイしていてこれを見ない日はない、それぐらいに環境で広く使用されている、どっしり系デッキの最高峰だ。序盤こそ攻められると脆いものの、《太陽降下》《怒りの大天使》などが間に合って盤面を捌いた後は、マナの差を活かしてランプの独壇場。受け切ってから逆転するのが好きな人には持ってこいのデッキだな。

 さて、最近のランプにおけるトレンドは《イモデーンの徴募兵》1枚挿し!この徴募兵、どちらかというとランプとは対極のアグレッシブなデッキに採用されているイメージが強いはず。そんなカードが何故ランプに?答えは現行スタンダードが「まったりしてるとやられる」ゲームになっているからだ。X点火力で一気に大ダメージ、大量拙作でライブラリーアウト……そういったデッキに対してランプは比較的ノーガードなデッキである。コンボを防ぐにはどうすればいいか?それが決められる前に勝つ、というシンプルな答えに辿り着いたわけだ。コンボ以外にも同型だったり、その他のミッドレンジやアグロにも、アトラクサを出したらどうにかなるとボケーっとしているとやられてしまう。

 シビアな環境を勝ち残るために選んだ手段がイモデーンで、《群れの渡り》のトークンに速攻を付けて攻撃!3/3のビーストらが最大で5体生成され、それらにパワー+1と速攻を付与。徴募兵自信も加算すれば計23点分のダメージとなり、ブロック役や除去がなければそのまま即終了。ある意味、ランプ側も勝ち手段にコンボを選んだというわけだな。計10マナ必要だが、ランプなら問題ない値だ。徴募兵を出来事として唱えてそのまま本体、計8マナで9点叩き込むパターンも。プレインズウォーカーを巡る攻防でも役に立ち、速攻はランプデッキと意外に相性の良い能力である。戦場が空だからと油断していると一瞬で持っていかれる、今のランプには常に注意を怠るな。

トレンドを逆手に取れ!

 トレンドを逆手に取った構築というものもある。デッキを形成する定番のカードをいくつか見せれば、対戦相手があるアーキタイプだと勝手に思い込んでくれる。その実、全く異なる戦い方をするデッキだと判明したころには……勝負あり。そんな情報戦での騙しのテクニック、スタンダードで炸裂させてみよう。

Felipe Pinheiro - 「ディミーア・ミッドレンジ?」
MTG Arena Metagame Challenge 5-0 / スタンダード (2024年3月10日)[MO] [ARENA]
3《地底の大河
3《闇滑りの岸
4《難破船の湿地
2《不穏な浅瀬
2《地底街の下水道
2《ミレックス
1《天上都市、大田原
1《見捨てられたぬかるみ、竹沼
3《
3《
-土地(24)-

4《大洞窟のコウモリ
4《フェアリーの黒幕
4《分派の説教者
2《黙示録、シェオルドレッド
4《碑出告と開璃
1《ファイレクシアの肉体喰らい
-クリーチャー(19)-
3《かき消し
2《切り崩し
3《喉首狙い
4《押し出し // 引き抜き
2《多元宇宙の突破
3《地底のスクーナー船
-呪文(17)-
1《切り崩し
1《長い別れ
3《危難の道
1《軽蔑的な一撃
2《否認
2《強迫
2《ティシャーナの潮縛り
1《眼識の収集
1《極悪非道の盗人
1《謎めいた外套
-サイドボード(15)-
X より引用)

 

 対戦相手が青黒の土地を置き、《大洞窟のコウモリ》《フェアリーの黒幕》と展開してきたら……「ディミーア(青黒)ミッドレンジ」だと思い込むのは自然な反応だ。ちょっと広く考えて、白い土地が引けてないエスパ―(白青黒)か?と過るくらいか。ディミーアだったら《黙示録、シェオルドレッド》でフィニッシュ、《復活したアーテイ》に気を付けないとな、《謎めいた外套》が手ごわいからアレが機能する前に……みたいなことを想定する。

 このリストはそうしたゲーム展開の予想を裏切るものだ。主役は《碑出告と開璃》!これの死亡した時の能力、ライブラリーの一番上のカードを公開して、それのマナ総量分ライフを失わせる。そしてインスタントかソーサリーならそのまま唱えられる。これで《爆発的特異性》を公開するコンボがちょっとしたブームを起こしたが……特異性の扱いにくさがネックで、環境に定着はしなかった。

 その重い呪文の枠に《押し出し》が加わった。2マナでありながら、唱えられていない時のマナ総量はもう一つのモードである《引き抜き》を合わせたものになり、8点。これを碑出告で公開すれば対戦相手のライフを大きく失わせることができるし、唱える時はどちらのモードでもOK。《引き抜き》でクリーチャーを2体リアニメイトして、そのまま攻撃で大ダメージの追い打ちも!これで死亡した《碑出告と開璃》を即吊り上げ、ターン終了時にはこれが生け贄に。するとまた能力が誘発するので、そこから捲れたカード次第ではライフを0にすることも……と、なかなかに夢溢れるコンボだ。普通のディミーアと思っていたらいきなりライフを持っていかれるぞ。特殊なデッキはいかに普通のデッキのふりをするか、皆も意識してデッキを組んでみよう。《押し出し》は高コストなのに2マナの除去として使えるのがよくできてるんだよなぁ。

 さあ、トレンドに乗り遅れないようにしっかり準備して、春のスタンダードに繰り出そう。新たな出会い、新たなゲーム体験……春こそがっつりとことんスタンダード!デュエルスペースで仲間が待ってるぜ、遅れるなよ~。

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