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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ラフィーン以外の可能性、エスパー・メンター!(スタンダード)

岩SHOW

 改めまして、2024年もデイリー・デッキをよろしくお願いします!マジックの構築フォーマットのデッキを紹介し、皆にマジックの楽しさ・奥深さ・色々湧きおこる感情を知ってもらえたらなと。2024年も4つのスタンダードセットに加えて、各種特殊セットがリリースを控えている。デッキの変化・進化は留まることを知らない1年となるだろう。今年が終わる頃、どんなデッキやカードが活躍しているかはまだ誰にもわからないのだ。

 新年通常更新一発目は、最も変化を受けることになるスタンダードのデッキを紹介しよう!

Zendikatt - 「エスパー・メンター」
Magic Online Standard Challenge 準優勝 / スタンダード (2023年12月29日)[MO] [ARENA]
1 《ラフィーンの塔
2 《アダーカー荒原
3 《地底の大河
4 《金属海の沿岸
4 《闇滑りの岸
2 《さびれた浜
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
2 《
-土地(20)-

4 《錠前破りのいたずら屋
4 《傲慢なジン
4 《僧院の導師
2 《光素を漁る者
-クリーチャー(14)-
4 《考慮
4 《手練
3 《航路の作成
2 《異世界の凝視
2 《切り崩し
2 《苦々しい勝利
1 《渦巻く霧の行進
1 《かき消し
1 《強迫
4 《救いの手
2 《再稼働
-呪文(26)-
1 《苦々しい勝利
1 《邪悪を打ち砕く
3 《一時的封鎖
3 《軽蔑的な一撃
1 《否認
2 《強迫
2 《帳簿裂き
1 《分派の説教者
1 《黄昏の享楽
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 


 白青黒、エスパーと呼ばれるカラーリング。このカラーのアーキタイプは2023年も各種トーナメントで活躍しまくっていた。《策謀の予見者、ラフィーン》を軸にカードを引くこと・手札を捨てることと相性の良いカード、あるいは様々な伝説で固めたアーキタイプをおさらい……するわけではなく、それらとは全くコンセプトが異なるデッキの登場だ。何せ、ノー・ラフィーン!この3色はスフィンクスを親玉とする以外にも楽しみ方があるのだよと言わんばかりの構成だ。


 ではラフィーンではなく何がキーカードなのか?1つは《傲慢なジン》。インスタントとソーサリーのコスト軽減、そしてそれらが墓地にある枚数分だけのパワーを持つ青い飛行クリーチャーだ。主に青単色、ないし青赤などで活躍するクリーチャーが3色デッキに採用されているという、その事実だけで「おっ」となるではないか。

 そしてもう1つのキーカードが《僧院の導師》。クリーチャー出ない呪文を唱えると果敢を持ったトークンを生成、自身も果敢を持つためクリーチャー以外を唱えて強烈な打点に繋げる往年の名カードだ。この導師は昨年、突然の再録でサプライズをもたらしてくれたが、その後中々レギュラーとして定着するデッキが現れなかった。ジンと導師を組み合わせた白青は昨秋にチラホラと見られたが、他のデッキのインパクトにかき消された感があった。

 そうした流れを経て、年末に登場したこのリスト。インスタントとソーサリーを計26枚とデッキの大半を占める形で搭載し、ジンと導師の恩恵を受けようという構成。白青2色だと物足りない部分を黒で補う、というちょっと欲張りな、それでいてスマートにまとめられたデザインが施されている。ドローや切削などでライブラリーと手札、そして墓地を操作するカード。そして除去を始めとする対戦相手への妨害。これらをインスタントとソーサリーで行いながら、導師でトークンを生成し、ジンのパワーを上げていく。これがこのデッキの基本戦術だ。


 上記の3マナクリーチャーらが軸になっている、ということは逆に言うとこれらを失うとデッキパワーがガクンと下がるという弱点でもある。このような構成だと対戦相手は一目で「こいつらを優先して除去しなくては」と見抜いてくる。そこでジンと導師をどうやって守るのか?というところが重要なポイントとなってくる。《かき消し》や《渦巻く霧の行進》で除去時代を弾いてやるのも良いだろう。だがこのリストではそれらよりも、一度除去を受け入れて破壊されてからの逆転を優先している。墓地から戦場に戻す、所謂リアニメイト呪文だ。

 中でも現スタンダードには白い軽量のリアニメイト呪文が揃っている。《救いの手》、そして《再稼働》だ。1マナでキーカードをリアニメイトできる《救いの手》は特に強力、すぐさまモンクを生成したり、ジンで軽減した呪文でドローなどを狙える。タップ状態で戦場に出るのですぐさまブロック役にとはいかないのが難点と言えば難点だが、それ以外においては完璧とさえ言えるだろう。《再稼働》は2マナではあるが、リアニメイトしたクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せられる点が地味にエライ。2マナとは言え、ジンで軽減も出来るしね。これらのおかげで単なる破壊除去だけでなく、打ち消しや手札破壊などを受けても貴重な戦力を完全に失わずに済むのが嬉しいところだ。むしろ《考慮》や《異世界の凝視》で上手く墓地に落とせたら、2ターン目に釣り上げる高速展開も狙えてしまう。これは「ターボ・メンター(導師)」と呼びたくなる超強力ムーブ!一気に戦場を支配してしまえるぞ。


 このリストのさらに紹介しておきたい特徴は、ささやかなフェアリー・シナジー(相互作用)が潜んでいるところ。《錠前破りのいたずら屋》は墓地の枚数を増やしてジンのパワーを伸ばしつつ、インスタント化ソーサリーを手に入れて次の展開に繋げる扱いやすいドロー操作だ。そして、このいたずら屋はフェアリーも手札に加えることができる。ゲーム展開によっては《光素を漁る者》を手札に加えることもあるだろう。この青黒のフェアリーは墓地のインスタントorソーサリー呪文を唱えることが可能なアドバンテージ獲得能力を持っている。対象に取る呪文は自身でも対戦相手の墓地でもOKという器用さで、いたずら屋や《異世界の凝視》で墓地を膨れ上がらせていればそれだけ選択肢が増えるということ。この絶妙に噛み合っているフェアリーのタッグ、テクニカルなマジックを味わうには極上の組み合わせだ。リアニメイト呪文を使いまわすお得感、一度お試しあれ。

 スタンダードには早くも2月に新セットが加わり、環境変化が約束されている。現在のスタンダードを遊べる時間は限られているというわけだ。お正月、冬休みも終わって日常が始まる中、このエスパーのように現行スタンダードの可能性を探るデッキを探求してみるのはいかがかな?2024年のマジック、皆が楽しいスタートを切れることを願っているよ!

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