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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドメイン、ランプのみにあらず(スタンダード)
「第29回マジック世界選手権」、今朝(日本時間9月25日)無事終了ッ!1年前の世界選手権から今日まで、なんか一瞬だったなと。そんなことを考えながら始まったこのトーナメント、今回は予選ラウンド2日間を実況として携わらせていただいた。1年前の世界選手権を思い出す……そんな感慨にふける暇もないくらい、今回のフィーチャーマッチはどれもエキサイティングで、釘付けになる面白いものだったね。
スタンダード・ラウンドでは『エルドレインの森』が加わったことで様々なアーキタイプが恩恵を受けていることが伝わり、プロモーションとしても最高のものになったんじゃないかな。視聴者からも「今のスタンダードは本当に面白い」と好反応で、スタンダードを応援し続けてきた身としても何よりも嬉しかったなぁ。
4 《ジアトラの試練場》 4 《ジェトミアの庭》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 3 《沼》 2 《ミレックス》 1 《島》 2 《平地》 4 《スパーラの本部》 4 《森》 -土地(25)- 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 4 《怒りの大天使》 4 《装飾庭園を踏み歩くもの》 -クリーチャー(11)- |
4 《ゼンディカーへの侵攻》 4 《群れの渡り》 3 《執念の徳目》 4 《太陽降下》 1 《喉首狙い》 2 《急使の手提げ鞄》 4 《力線の束縛》 2 《豆の木をのぼれ》 -呪文(24)- |
1 《強情なベイロス》 1 《金属の徒党の種子鮫》 2 《強迫》 2 《痛烈な一撃》 3 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《邪悪を打ち砕く》 2 《苦痛ある選定》 1 《エルズペスの強打》 1 《豆の木をのぼれ》 -サイドボード(15)- |
今回の予選ラウンドは2日間のトータルで10勝すればトップ8が確定し、トーナメントから抜けていくシステム。真っ先にこの条件を満たしたのは……リード・デューク/Reid Duke!今年は念願のプロツアー王者にも輝いた、アメリカを、いや世界を代表するプロプレイヤーだ。彼は世界選手権2013にて準優勝という経験があり、そこから10年経って今大会で決勝ラウンド進出というのはなんだか物語性もあって、テンションが上がってしまったのだった。
デュークが今大会で使用したデッキは「ドメイン・ランプ」。ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nasiffなど付き合いの長い調整チームで持ち込んだリストだ。ランプは緑という色を象徴する戦い方をするアーキタイプ。ライブラリーや手札から土地を戦場に出すカードを用いて、本来なら唱えるのにかなりのターンを要するマナ総量の重いカードを、少しでも早いターンに用いることによってそのカードパワーで圧殺するというものだ。現スタンダードではすっかり定番、定番中のド定番デッキである。《装飾庭園を踏み歩くもの》《ゼンディカーへの侵攻》を用いて土地を増やす動きがシンプルに強い。1枚当たりのカードパワーでも、増えたマナでの手数の勝負でもなんでもござれだ。マナさえあればなんでもできる!
デッキ名のドメインとは「版図」という能力のこと。自分がコントロールしている基本土地タイプ1つにつき何かボーナスを得られるという能力の相称だ。《スパーラの本部》などの3つのタイプを持つもの、そして上記の基本土地を出すマナ加速でタイプを増やし、この恩恵を得る。《力線の束縛》を低コストの追放除去として利用し、《群れの渡り》は3/3が5体並ぶフィニッシャーに。
このリストはドメインではあるが、《山》が採用されていないのが一つの特徴だ。山タイプは《ジアトラの試練場》と《ジェトミアの庭》で十分に用意出来るという判断で、使い道の少ない《山》を引いてしまうことでのトラブルを回避するという構築だ。ランプでは採用されることの多い《原初の征服者、エターリ》は不採用で、版図のため以外には山は不要という構成にまとまっているのだ。このランプは5色ではなく4色デッキとして仕上げられているということだな。
ランプの弱点はアグロ。重いカードでぶちかます前に、ライフが0になってしまっては意味がない。赤や白などのライフ一直線デッキに対して、無防備というわけではないがどうしてもボコボコにされがちなランプ。その弱点を埋め得るのが《執念の徳目》だ。出来事モードの《ロークスワインの嘲笑》はタフネス3以下のクリーチャーを除去した上に2点のライフを提供してくれる。たかが2点、されど2点。この回復が命を繋ぎ、《怒りの大天使》や《偉大なる統一者、アトラクサ》の絆魂が機能するターンを迎えられるのだ。徳目本体も7マナと重いが、毎ターン墓地からクリーチャーを戦場に戻すリアニメイト系カードの中でもかなり強力なもの。相手の墓地からも拾えるので、除去って除去って徳目という形でゲームに勝てるのが嬉しい。
また軽い除去で言えば《エルズペスの強打》は《苔森の戦慄騎士》を意識してのチョイスだろう。追放が付いているので、墓地から唱えられる能力を無視して1枚でシャットアウトできる。あんまり枚数は取れないが、1枚あればちょっと安心。今回のトーナメント、ゴルガリ(黒緑)を持ち込むプレイヤーが一定数いることを見越しての選択だ。
4 《ラフィーンの塔》 1 《低木林地》 1 《ミレックス》 1 《島》 1 《天上都市、大田原》 1 《ラノワールの荒原》 2 《平地》 1 《森》 4 《スパーラの本部》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《ジェトミアの庭》 4 《ジアトラの試練場》 3 《沼》 -土地(27)- 3 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《金属の徒党の種子鮫》 -クリーチャー(7)- |
2 《放浪皇》 4 《群れの渡り》 2 《執念の徳目》 3 《太陽降下》 1 《シェオルドレッドの勅令》 2 《喉首狙い》 1 《冥途灯りの行進》 1 《切り崩し》 1 《エルズペスの強打》 1 《セレスタス》 4 《力線の束縛》 4 《豆の木をのぼれ》 -呪文(26)- |
2 《機械の母、エリシュ・ノーン》 1 《強情なベイロス》 1 《グリッサ・サンスレイヤー》 1 《フェアリーの黒幕》 1 《底への引き込み》 1 《強迫》 1 《一巻の終わり》 1 《痛烈な一撃》 1 《邪悪を打ち砕く》 1 《寄生性掌握》 1 《シェオルドレッドの勅令》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《一時的封鎖》 -サイドボード(15)- |
最終的にトップ8まであと1勝という、良いラインに居たためフィーチャーに呼ばれる機会も多く、印象に残っているイーライ・カシス/Eli Kasis。マジック歴30年、マジックと共に歩んできた彼が使っていたのはドメイン……ではあるものの、ランプではない。このリストにはマナを伸ばす手段が《セレスタス》のみであり、アーキタイプとしては「ドメイン・コントロール」に分けられている。独自チューンの構成がカッコいいぜ。
先のランプとはかなり被るカードも多いのだが、マナ加速を抜いてその分よりコントロール要素を水増ししてある。アトラクサのような大振りのカードに頼らずとも十分に戦えると判断しての構築だが、それを促したのは《豆の木をのぼれ》。これを4枚投入して、力線や渡りなどの版図呪文を唱えてドローし、常に手札を満たし続ける。このドローと《黙示録、シェオルドレッド》が合わさればライフも瞬く間に回復するので、アトラクサの絆魂に頼らずとも問題なくライフを保てるという寸法だ。《太陽降下》《冥途灯りの行進》などで盤面を捌きつつドローを繰り返し、対戦相手との手札差がつけば勝負あり!
世界選手権のフィーチャーマッチで躍動したドメイン系デッキ。定番のランプか、一捻り加えたノン・ランプなコントロールか。君の心に響くものであれば、是非プレイしてみて欲しい。次にあの舞台でライトを浴びるのは、君かもしれないからね!
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