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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:第1回Cool Deck選手権優勝!スタイフルノート(レガシー)

岩SHOW

 皆がみんな、クールですよ。さあやってきたぞ特別な金曜日!Cool Deckの時間だぁ~ッ。このコーナーでは強さや実績はさておいて、私岩SHOWが「クール!」と感じたデッキを大紹介。今週は……当コラムもやりはじめてそこそこの月日が経ったが、初の試み!デッキ募集企画~!

 ということで、「プレイヤーズコンベンション横浜2023」の開催を記念して、皆が思う・考えた・実際に使っている、そんなクールなデッキを募集してみた。ステージイベントにてそれらのクールなデッキたちを眺めつつ、僭越ながらコメントさせていただくという企画を行わせていただいた。時間の関係で全てのデッキを紹介することはかなわず、折角登録していただいたのに取り上げられなかったデッキ投稿者には大変申し訳なかった……ごめんね!また投稿してくれたら嬉しいよ。

 そしてありがたいことに取り上げさせていただいたデッキの中から、最もクールに感じたデッキをこちらのコラムで紹介させていただくという形式で行っていたのだが……あったね、ここでぜひとも紹介したくなった素敵な……否、クールなデッキが。デッキに優劣というものはなく、すべてのデッキがそれぞれの思いが込められたクールなものである。それを前提に、タイムリーさやストーリー性など色んなものが感じられるデッキを一つ選んだ。それじゃあ……いくぜ。

Suzuna Kaneko - 「スタイフルノート」
Cool Deck選手権 Coolest Deck / レガシー (2023年3月5日)[MO] [ARENA]
2 《汚染された三角州
2 《沸騰する小湖
2 《霧深い雨林
4 《
4 《ウルザの物語
3 《不毛の大地
1 《マイコシンスの庭
-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者
4 《ファイレクシアン・ドレッドノート
2 《濁浪の執政
-クリーチャー(10)-
4 《思案
4 《渦まく知識
4 《目くらまし
4 《意志の力
4 《もみ消し
3 《組立分解
2 《幻視の魔除け
4 《倦怠の宝珠
1 《上天の呪文爆弾
1 《探検の地図
1 《改良式鋳造所
-呪文(32)-
2 《水流破
1 《否定の力
2 《外科的摘出
1 《トーモッドの墓所
1 《墓掘りの檻
1 《大祖始の遺産
2 《基本に帰れ
1 《仕組まれた爆薬
1 《真髄の針
1 《減衰球
1 《水没
1 《覆いを割く者、ナーセット
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

このクールなデッキは?

 「プレイヤーズコンベンション横浜2023」ステージイベントCool Deck選手権、Coolest Deckに選ばれた「スタイフルノート/Stiflenought」!これはレガシーにおける伝統的なデッキタイプであり、古くは2007年の時点でトーナメントで使用された形跡が残っている。

 スタイフルとは《もみ消し》のこと。起動型および誘発型の能力を打ち消すというニッチな打ち消しだ。最も知られている打ち消し先と言えば《汚染された三角州》などのフェッチランド。これらは生け贄に捧げて起動することで、ライブラリーから土地を探してくる。これを打ち消したならば、1マナで土地破壊をしたようなもの。そんなわけでレガシーではシブい打ち消しとして、フォーマット発足時から愛好家がいる1枚だ。

 この《もみ消し》と組み合わせるノートとは《ファイレクシアン・ドレッドノート》のこと。1マナ12/12トランプル、ぶっちぎりのマナ効率を誇る最強クラスの戦闘要員!であるものの、戦場に出たらパワー合計12になるようにクリーチャーを生け贄に捧げるというぶっ飛んだデメリットが。そう、この誘発型能力を《もみ消し》で打ち消すことでカード2枚、計2マナで12/12トランプルを戦場に降臨させて2回殴って勝つ!このドレッドノートに飛んでくる除去を弾く打ち消しを詰め込んだ、シンプルながらハマれば手の付けられないコンボとパーミッション(打ち消し主体デッキ)の要素を併せ持ったクールなデッキだ。このリストはクールすぎる2023年最新バージョンである!

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:詰め込まれたもみ消しツール

 さあこのスタイフルノート、《もみ消し》4枚以外にもノートの誘発を「もみ消す」手段をたっぷり含んでいる。

 まずは《組立分解》!このインスタントは2マナと元祖《もみ消し》同様に起動型か誘発型の能力を打ち消すものであり、そこに加えてアーティファクトかエンチャントも打ち消せるモードが加えられている。レガシーでは《虚空の杯》《動く死体》などの呪文と遭遇する機会が多いので、これらへの妨害を兼ねるもみ消し要員は有難い。

 さらに誘発型能力という点で見れば《倦怠の宝珠》もクールな逸品だ。対戦相手の《石鍛冶の神秘家》や《偉大なる統一者、アトラクサ》などの能力の誘発をガッチリ抑えつつ、こちらのドレッドノートがなんのデメリットももたらさず静かにスッと戦場へ。よしよし、かわいいペットだ。特に現行のレガシーでは《孤独》《激情》《悲嘆》といったインカーネーションたちが横行しており、これらの能力を完封する宝珠はかなりの妨害になることが見込める。

 クールな1枚と言えば《幻視の魔除け》も見逃せない!昔の魔除けサイクルらしい、何が描かれているかよくわからないイラストがもうクールでたまらんぞ。

 この呪文は今の魔除けサイクルにもつながる、3つのモードから1つ選んで使用するインスタント。この魔除けの3つ目の能力はアーティファクトのフェイズ・アウト。これで対象にしたアーティファクトは次の自分のターンのアンタップ前まで、戦場にないものとして扱われる。つまりドレッドノートを戦場に出し、それをフェイズ・アウトすればこれ自身は戦場にいない状態でその能力を解決することに。ノート以外のクリーチャーは生け贄となってしまうが、何も展開していなければ問題なし。また、能力をもみ消すだけでなく除去を避けるための打ち消しとして用いることも出来るので、ノーとデッキには是非とも潜ませておきたいクールなお守りだ。

クールポイントその2:ドレッドでクールな物語

 もみ消し役は4枚以上採用出来るので、あとはドレッドノートを水増しできれば完璧!ということで《ウルザの物語》。やっぱりこれでしょう。

 Ⅱ章能力による構築物の生成で、これ1枚で勝てるパワフルなマシン軍団を作りだせる激ヤバでクールな英雄譚・土地である……ことは今更説明するまでもないか。この土地のⅢ能力はライブラリーからアーティファクトを探して戦場に出す。探せるカードはコストが{0}と{1}のもの。つまりこれでドレッドノートが戦場に飛び出してくる!そこを彼に揉み消せば、構築物とノートで超強力戦線を結成!ウルザと言えば、彼の生涯はファイレクシアとの戦いに明け暮れた物語である。その最終章でファイレクシア最大の兵器が飛び出すというのもなんだかクールだよなぁ。

 そして土地と言えば…《マイコシンスの庭》。このチョイスこそ、今回このデッキがクールすぎるものだと感じた最大の要因だ。

 この庭はアーティファクトのコピーになる。つまりドレッドノートのコピーになれて、しかもそのために必要なコストは{1}とこの土地自身のタップのみ。しかも戦場に既にある状態からコピーになるため、デメリット能力が誘発することはない!ノーリスクで美味しいところだけいただける、こりゃ唸ってしまうほどたまらんぜ。
ゲーム的にも最高なのに加えて、さらに背景ストーリー的にも新ファイレクシアの精力を拡げていく要素であるマイコシンスが、旧ファイレクシアの主戦力であったドレッドノートを殖やすという光景がこれまたグッとくるぜ。ファイレクシアの今と昔を繋ぐ、これぞクールなコンボである。

 これらの土地はそれらも噛み合っている点も見逃してはならない。Ⅲ章で引っ張ってきた《上天の呪文爆弾》など他のドレッドノート以外のアーティファクトのコピーになっても強いし、このⅢ章能力で《探検の地図》を持ってくれば、そこから《マイコシンスの庭》に繋げられるというのが美しすぎる。ウルザも最後にはファイレクシアの世界に魅了されることになるのだが、その再現とも言えるバトンタッチはぜひともこの手でプレイしてみたいゲーム体験だ。

クールなまとめ

 今回Coolest Deckとして紹介させてもらったこの「スタイフルノート」。いかにクールなデッキか皆に伝えられたのなら幸いだ。このデッキは実際に自分で回してみたいと思えたほどグッときたものだった。クールなデッキとその製作者に感謝だ。

 もちろん他の投稿者に、或いは日ごろからデッキを作り続けている職人の方々、すべてのクールデッキの生みの親に……改めてリスペクトを。今回この企画には手ごたえがあったので、またデッキリスト募集企画をやりたいなと考えているよ。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Respect all decks!!

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