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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アブザン・レジェンズ:This is my deck!(スタンダード)

岩SHOW

 前回は名前が出てから16年越しのカード化となった《アーボーグのラタドラビック》を主役としたデッキを紹介させてもらった。

 僕もこの伝説を操るリッチには大層そそられており、スタンダードではこれを用いたデッキを模索中だ。今回は僕自身のラタドラビック調整録をお届けしよう。

 まずラタドラビックの振り返り。4マナ3/3警戒と護法持ち。《放浪皇》で除去されることを気にせずに攻撃できるところが評価できるね。

 そして伝説のクリーチャーが死亡すると、それを2/2の非伝説にしたトークンを生成する。2/2といえば《スケイズ・ゾンビ》より続くゾンビの基本サイズ。伝説じゃなくなるってところも面白いね、遺体を名無しのゾンビに化けさせるってことだな。

 サイズは固定になるが能力はしっかりと元になった伝説のコピーになるので、能力を多数持つものと組み合わせて使いたいところだ。『神河:輝ける世界』のドラゴン・スピリットたちや『ニューカペナの街角』の一家のボスなどは良き相棒となる。

 このラタドラビック、MTGアリーナで『団結のドミナリア』がリリースになった初日にパックを一気に剥いていると、真っ先に4枚集まった。これだけ揃ったらデッキを組むしかないよなと、そう思いつつも他のカードでデッキを組んでランク戦をやっていると……対戦相手がこのラタドラビック入りのデッキを使ってきた!

 その構成は白黒2色。《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》が重要な役割を担っていた。

 2マナで接死持ちなので、自身よりもマナ総量の大きい相手と相討ちが取れる。ラタドラビックがいれば2回も接死の壁を乗り越えなければならずブロック役として非常に優秀。

 さらに自身のライフ獲得&相手のライフ損失能力もキーポイント。《ネファリアのグール呼び、ジャダー》との組み合わせが特に素晴らしく、この2枚が揃うと腐乱持ちゾンビが毎ターン湧き出ては殴りかかって朽ちていくたびにライフ差が開いていくことに。小粒たちのくせにこれがなかなかねちねちといやらしい攻めをしてきやがるなと。

 さらに《甦りし悪夢、ブレイズ》もここに絡んでくる。

 毎ターン、対戦相手に生け贄を要求、拒否すればライフを削りつつドローという自分ルールを押し付けるやべぇヤツ。ジョダ―と組み合わされば毎ターンクリーチャーを生け贄に捧げ続けられ、またラタドラビックとの相性も良好。ゾンビとなれば伝説でなくなるので、2体並ぶなんてことも。えげつなさすぎる!

 そのデッキはかなりのインスピレーションを与えてくれた、リスペクトして似た構成のデッキにチャレンジしたものだ。

 伝説でデッキを組むのであれば、前回でも解説した《英雄の公有地》を使いたいところ。

 これがノーリスクの5色土地としてカウントできるので、せっかくだから3色以上のデッキにしても良いな……という欲が湧いてくる。青を加えたエスパー型は前回紹介したように最も目にするバリエーションだ。

 自分自身のマジックに対する姿勢として、良くも悪くもあるところだと思っているのが「あまり他の人が使っていないカードやデッキを使いたい」というのがある。エスパーも触ってみたが、なんとなく自分には馴染まなかったのもあり、オリジナリティを求めて他の組み合わせを目指すことにした。

 そうなるとマルドゥかアブザンか。2択になるわけだが……色の組み合わせとして好きなのは緑を加えたアブザンだ。伝説のカードの顔ぶれを見てみると……お、良いじゃないか。

 ラタドラビックと相性抜群の《夜明けの空、猗旺》は可能であればいっぱい採用して連打、伝説ルールで強引に墓地に送って能力を誘発させつつ、2/2のプチ猗旺を戦場に出していきたいところ。

 それをするには5マナという重さがネックになる。また全体的に伝説のカードは重めに作られているので、1ターンに2回行動など取るには多くのマナが必要になる。

 そこで緑の出番だ、アブザンに任せろ! 緑と言えばマナ加速の色だからね。3色目を緑にするための決め手となった伝説のマナ加速役、それが《ドーンハルトの主導者、カティルダ》!

 人間・クリーチャーがマナクリーチャー化するという派手な加速能力持ちだ。伝説は自ずと人間が多く、ジャダーに《輝かしい聖戦士、エーデリン》と優秀なものが揃っている。

 エーデリンの生成するトークンもマナを出せるようになるので、安定してマナを準備することが見込める。

岩SHOW - 「アブザン・レジェンズ」
スタンダード (2022年10月)[MO] [ARENA]
1 《平地
2 《
1 《
4 《コイロスの洞窟
3 《砕かれた聖域
4 《草茂る農地
3 《死天狗茸の林間地
2 《皇国の地、永岩城
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《耐え抜くもの、母聖樹
4 《英雄の公有地

-土地(26)-

4 《ドーンハルトの主導者、カティルダ
3 《残忍な巡礼者、コー追われのエラス
3 《ネファリアのグール呼び、ジャダー
4 《輝かしい聖戦士、エーデリン
1 《堕落した司教、ジェレン
1 《国王ダリアン四十八世
1 《ルアダッハの女王オーリナル
4 《アーボーグのラタドラビック
2 《黙示録、シェオルドレッド
1 《魅せられた花婿、エドガー
1 《太古の番人、ネマタ
2 《夜明けの空、猗旺
1 《忘れられた大天使、リーサ

-クリーチャー(28)-
2 《伝説の秘宝
2 《潜伏工作員、アジャニ
2 《不笑のソリン

-呪文(6)-
2 《甦りし悪夢、ブレイズ
1 《蝕むもの、トクスリル
2 《切り崩し
2 《羅利骨灰
1 《運命的不在
2 《用心棒の荒事
2 《告別
2 《未認可霊柩車
1 《放浪皇

-サイドボード(15)-

 というわけでカティルダをからスタートした「アブザン・レジェンズ」。マイデッキの最新の姿だ。

 2ターン目カティルダ→3ターン目にラタドラビックや《黙示録、シェオルドレッド》といった主軸を出せるように、思い切ってカティルダの枚数は4枚。2枚や3枚も試したのだが、やっぱりマナは得られて損することがないという結論に達したのでここは妥協なしだ。

 そしてマナ加速でもうひとつ、このデッキにおける伝説でも土地でもないカードを紹介しよう。《伝説の秘宝》だ。

 このアーティファクト、正直使ってみるまではその本当の力を分かっていなかった。これ自身から好きな色マナが1つ、伝説のクリーチャーをタップすればもう1つ得られると。3マナで2マナ得られるかもしれない置き物かぁと、悪くはないんだろうなと採用してみると……全然違った。この伝説をタップしてマナを加える能力、1ターンに何回でも使えるんだなと驚かされたよ。

 マナが必要であれば戦闘には参加しないジャダーなんかのクリーチャーをどんどんタップしてマナを得るべしだ。このカードは伝説に対するカティルダみたいな働きをする1枚である!ということで、ビックリするぐらい使い勝手が良かったので2枚採用してマナが確実に伸びていくように調整している。マナが余るような状況になっても、カティルダの能力でクリーチャーの強化に注ぎ込めるので、躊躇なく構築できるのがアブザンは嬉しいね。

 クリーチャー陣はカティルダがいる関係もあって人間多め。トークン生成&あふれるマナの使い道でもある《堕落した司教、ジェレン》、同じくマナの使い道としてトークンを展開する《国王ダリアン四十八世》といった具合にデッキパーツとしても噛み合うものをチョイスしている。

回転

 《ルアダッハの女王オーリナル》は人間ではないが、前述のカードやその他のトークン生成カードと相性が良いので採用。

 兵士もワラワラ出てきて盤面をガッチリ固める。戦場に並びに並んだクリーチャーの圧力で押し切る! それがこのデッキの勝ちパターンだ。トークンが多いのでサイド後に《甦りし悪夢、ブレイズ》でねっちり締め上げるプランも狙えるのだ。

 物量勝負と言っても、この戦い方は《告別》には弱い。

 《集団失踪》のような他の全体除去であれば《アーボーグのラタドラビック》で耐性を持たせられるのだが、追放する《告別》だけはどうにもならない。なので、このソーサリーを避けられるプレインズウォーカーを採用するというのも重要なことだと考えている。

 《不笑のソリン》と《潜伏工作員、アジャニ》、どちらも手札を増やせるもので、消耗戦にも強いメンツだ。

 トークン生成で盤面を固めるソリンと、クリーチャーのサイズアップと警戒付与が攻守を入れ替えるアジャニ。どちらも大変に魅力的で、使えば使うほど好きになっていく実感がある。特にアジャニは完成化によって3マナで出せるし、[-6]能力で毒殺も狙える。絆魂持ちで攻撃され続け、50点を超えるライフにまで膨れ上がった対戦相手を毒で倒した時には感動さえ覚えた。

 逆転ファイトを演出するプレインズウォーカーたち、伝説なので《英雄の公有地》でマナを支払えるのでぜひ使ってみてね。

 今回は僕自身が調整したデッキなので、たくさん書けるというのもあって長いものになってしまった。最後まで読んでくれてありがとう! 皆も《アーボーグのラタドラビック》と《英雄の公有地》でレジェンド系デッキ、組んでみてね!

 まだまだ書き切れなかった小テクもあるので、気になったプレイヤーはぜひアブザンの世界へ歩み出て、自身の感覚でどんなデッキか味わってみて!

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