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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒を支える魔女と刷毛。黒単&オルゾフ・コントロール(アルケミー)

岩SHOW

 年末年始、個人的にハマった1枚がある。早速だがデッキリストを見ながらそれについて解説しよう。

Tlacaelel Campos - 「黒単コントロール」
The Pizza Box: Slice of Alchemy 準優勝 / アルケミー (2022年1月9日)[MO] [ARENA]
20 《冠雪の沼
2 《不詳の安息地
-土地(22)-

4 《よろめく怪異
4 《呪い縛りの魔女
2 《ヴォルダーレンの投血士
1 《ネファリアのグール呼び、ジャダー
4 《不吉なとげ刺し
-クリーチャー(15)-
4 《命取りの論争
3 《冥府の掌握
1 《グールの行進
4 《血塗られた刷毛
3 《雪上の血痕
3 《食肉鉤虐殺事件
2 《アガディームの覚醒
1 《不笑のソリン
2 《蜘蛛の女王、ロルス
-呪文(23)-
3 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント
2 《踊り食い
3 《強迫
2 《罠を探す
1 《冥府の掌握
3 《真っ白
1 《食肉鉤虐殺事件
-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

 アルケミーの「黒単コントロール」だ。黒には《雪上の血痕》《食肉鉤虐殺事件》と盤面のクリーチャーを一掃する手段があるので非常にコントロール向きだ。

 スタンダードの同アプローチのデッキと同じく、《よろめく怪異》や《ネファリアのグール呼び、ジャダー》のゾンビ・トークンなどの死亡しても損のない、むしろプラスに働くクリーチャーを《命取りの論争》《不吉なとげ刺し》などのカードで生け贄に捧げてカードを引いたりしつつ大きなアドバンテージを得ていく生け贄エンジンを備えている。

 これらで手札やマナ基盤を充実させて、大技で押し流した後に《不笑のソリン》《蜘蛛の女王、ロルス》で勝利に向かう……ざっとこんなストーリーをたどる、中~長期戦狙いのどっしりとしたデッキである。

 スタンダードとの違いはアルケミー専用カードが使えるところで、それが生け贄エンジンをさらに強固なものへと押し上げている。

 《呪い縛りの魔女》は魔女の呪いを連想させるカード15枚から3枚が選択肢に現れ、その中の1枚を手に入れる。

Cursebound_Witch.png

 《スカラベの責め苦》や《魔女のかまど》などなど、アルケミーのカードプール内には存在しないカードが手に入るのはなんともお得感があるし、《魔女の小屋》で堅実に土地を手に入れるという動きもコントロールとしては嬉しい。

 生け贄エンジン定番の《ひきつり目》の代わりにこの魔女を入れることで、サイドボードに講義を取らず15枚フルに対策カードを用意できるというのも利点だ。

 そして《血塗られた刷毛》、このエンチャントが強い、強い、超強い!

Sanguine_Brushstroke.png

 血・トークンと《血の芸術家》がカード1枚で戦場に並ぶお得なパッケージ。

 芸術家はトークンではなくカードを創出しているので、これが死亡するとしっかり墓地に落ちるというのも《アガディームの覚醒》の価値を引き出している。

回転

 クリーチャーを適当に生け贄に捧げ、対戦相手のクリーチャーを除去しているだけで芸術家がモリモリとライフを吸い取ってくれるので、一切攻めていないのにライフはこちらの方が多いというような状況を作り出せる。

 しかも《血塗られた刷毛》は芸術家だけでなく、このエンチャント自身も相手のライフを吸い取る能力を持つ。血を生け贄に捧げれば1点吸えるので、不要な土地や除去などを捨てカード引きつつライフを削っていこう。

 たかが1点と侮ることなかれ、これの積み重ねが勝負を分けるし、複数枚刷毛を並べればその効果は増していく。刷毛3枚で血3つ生け贄にして一気に9点削って勝ち、なんてこともザラにある。《ヴォルダーレンの投血士》の価値も大いに増すって寸法だ。

回転

 このアルケミーの黒を代表する1枚、《血塗られた刷毛》は他にも生け贄エンジンを活用するデッキ、吸血鬼を主体としたデッキなどで大いに活躍してくれる。

 さまざまなバリエーションの中でも最も安定していると思えるのがオルゾフ(白黒)型だ。

Felipe Landim (ManaFox) - 「オルゾフ・コントロール」
The Pizza Box: Slice of Alchemy 4位 / アルケミー (2022年1月9日)[MO] [ARENA]
4 《
2 《平地
4 《砕かれた聖域
4 《陽光昇りの小道
3 《目玉の暴君の住処
4 《見捨てられた交差路
-土地(21)-

4 《よろめく怪異
3 《呪い縛りの魔女
2 《街追いの鑑定人
2 《魅せられた花婿、エドガー
1 《軍団の天使
-クリーチャー(12)-
2 《討伐者の報奨
4 《命取りの論争
4 《忘却の儀式
2 《消失の詩句
4 《婚礼の発表
4 《血塗られた刷毛
2 《ハグラの噛み殺し
3 《食肉鉤虐殺事件
2 《不笑のソリン
-呪文(27)-
3 《軍団の天使
3 《パラディン・クラス
2 《消失の詩句
3 《危難の道
2 《真っ白
2 《蜘蛛の女王、ロルス
-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

 何と言っても白を足すことで万能除去《忘却の儀式》が使えるのが大きい。

 土地以外であればパーマネントのタイプも色も選ばないので、アグロからコントロールまで幅広い相手に有効だ。

 これで生け贄に捧げるクリーチャーは怪異と魔女、そして《魅せられた花婿、エドガー》《婚礼の発表》から得るトークンなど。そして、この儀式は生け贄に捧げるものをクリーチャーに限定していないことにも注目。宝物や血などのトークンでも構わないのだ。これにより血・トークンが生け贄に捧げられたことでもしっかりと《血塗られた刷毛》は誘発することをお忘れなく!

 これは儀式だけでなく《命取りの論争》にも言えるね。血は賢く使って大きなアドバンテージを得るべしだ。

 フラッシュバックもついた《忘却の儀式》の圧倒的な支配力、そして白を足したことによる《軍団の天使》などの別軸での勝ちパターン。腰を落ち着けて戦うデッキを求めるプレイヤーにオススメだ。

 最後に、僕が一時期ハマっていたオルゾフ生け贄デッキを紹介させてもらって終わりにしよう。

岩SHOW - 「オルゾフ・サクリファイス」
アルケミー (2022年1月)[MO] [ARENA]
5 《
2 《平地
4 《砕かれた聖域
4 《陽光昇りの小道
3 《目玉の暴君の住処
4 《見捨てられた交差路
-土地(22)-

4 《ひきつり目
4 《よろめく怪異
4 《ヴォルダーレンの投血士
2 《忠実な信奉者
4 《呪い縛りの魔女
2 《肉削ぎ屋
1 《ヘンリカ・ダムナティ
-クリーチャー(21)-
4 《血塗られた刷毛
4 《命取りの論争
4 《忘却の儀式
2 《食肉鉤虐殺事件
1 《アガディームの覚醒
2 《蜘蛛の女王、ロルス
-呪文(17)-
1 《街追いの鑑定人
1 《夜鷲のあさり屋
2 《強迫
2 《冥府の掌握
1 《消失の詩句
2 《真っ白
1 《食肉鉤虐殺事件
1 《不笑のソリン
1 《環境科学
1 《壊死放出法
1 《記憶留出法
1 《マスコット展示会
-サイドボード(15)-

 生け贄と言えばの《ひきつり目》は使いたい派。

 《環境科学》による土地詰まりの回避、追加の除去、フィニッシャー《マスコット展示会》と安心の講義陣のバックアップを受けたいからね。

 追加の生け贄役で入れてみた《忠実な信奉者》はドラフトできるカードがやたらと噛み合う時と、使い道が見たらない時の差が激しい、このデッキにとってはムラっ気が強い1枚。それもそれでアルケミーらしくて良いかなと楽しんでいる。

Faithful_Disciple.png

 個人的なお気に入りは《肉削ぎ屋》。

 ビジュアルがたまらなく好きなのもあるが、カードとしても生け贄エンジンの一角を担えて戦闘面でも頼もしい。ライフを得て占術する能力は自身の起動型能力ではもちろん、他の方法で生け贄に捧げた際にも誘発するのでこれまたじわじわと効いてくる。一気に大ダメージを引き起こせるポテンシャルもあるので、一度試してみてほしいね。

 《血塗られた刷毛》《呪い縛りの魔女》によりスタンダードのものよりも大幅に強化されている、アルケミーの黒の生け贄関連カード。このフォーマットだからこその挙動を、じっくりと味わおうじゃないか。

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