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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:睡蓮式ジェスカイ~矛と盾~(ヒストリック)

岩SHOW

 何ものでも貫く最強の矛、何ものでも突き通すことのできない最強の盾。それらが同時に存在できないのはクールな故事成語の通り。

 でも例えば……矛であり盾であるもの、なんてのはあっても良いんじゃないだろうか。時に武器となり相手に損害を与え、時に防具となり自己を護る。ポジティブな意味での「矛盾」、そういうクールなアイテムが漫画なんかで出てくるとカッコイイ~クールだねぇとなるのが人情ってもんだ。

 で、我々マジックプレイヤーは自ずとそれをマジックに求めてしまう。武器であり防具である存在、1枚で攻防の両方を担うカード……時に《精神を刻む者、ジェイス》のようなはちゃめちゃに強い矛であり盾であるカードも出てくるが、そういったものには易々とお目にかかれない。

 ではどうするか、そこがデッキビルダーたちの見せ場、創意工夫でカードをその領域に押し上げるのである。カード単体で見るのでなく、デッキ内の他のカードとの組み合わせによってカード1枚に複数の役割をもたせる。これぞクールデッキの本懐だ。

 今回もそんなネクストレヴェルなデッキを取り上げよう。

Seth Manfield(使用者) - 「睡蓮式ジェスカイ」
ヒストリック (2021年11月2日)[MO] [ARENA]
1 《冠雪の島
4 《蒸気孔
4 《ラウグリンのトライオーム
4 《尖塔断の運河
4 《感動的な眺望所
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂
4 《睡蓮の原野
-土地(22)-

4 《厳しい試験官
2 《溺神の信奉者、リーア
-クリーチャー(6)-
4 《もみ消し
4 《邪悪な熱気
4 《表現の反復
2 《アズカンタの探索
2 《可能性の揺らぎ
1 《冷鉄の心臓
4 《栄光の好機
3 《神々の憤怒
1 《栄光の探索
1 《髑髏砕きの一撃
2 《試練に臨むギデオン
3 《日没を遅らせる者、テフェリー
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(32)-
2 《心悪しき隠遁者
3 《魂標ランタン
2 《霊気の疾風
2 《非実体化
2 《神秘の論争
2 《九つの命
1 《ウルザの殲滅破
1 《目覚めた猛火、チャンドラ
-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 フォーマットはヒストリック。白青赤のジェスカイカラー。あ~コントロールね、あるいは《不屈の独創力》とかのコンボ? そう思いがちだがきちんと目を通すと、その独創的すぎる構成にたまげることになる。SNS上を賑わせたこのリスト……一体どう形容したら良いのだろうか。「このクールなデッキは?」との問いに対するアンサーに全くなっていないが、一言「とにかくクールなジェスカイさ」と答えておこう。では細かく分析していこう。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:相手への妨害、自分へのご褒美

 早速だが矛であり盾であるカードを紹介しよう。《厳しい試験官》《もみ消し》の2枚だ。

 どちらも4枚ずつ採用されていることからキーカードというのが確認できる。起動型能力、および誘発型能力を打ち消す《もみ消し》と、誘発型能力に追加コストを要求する《厳しい試験官》。これらは対戦相手の動きを妨害、スローダウンさせるものとなる。《寓話の小道》の起動を打ち消して土地を得られなくさせたり、《憤怒の鍛冶工》《正義の戦乙女》の能力を好きなように使わせないという抑止力として、対戦相手に刺さる矛となる。

 そしてこれらのカードに共通する誘発型能力を打ち消すという部分に注目。これがこのデッキにとっての盾となるクールな要素だ。それは……《睡蓮の原野》が戦場に出た際の誘発型能力「土地を2つ生け贄に捧げる」をなかったことにするというもの。3マナ捻出できるものの土地を生け贄に捧げる必要があるため、普通に用いればそれほど旨味を得られない原野であるが、生け贄を無視できるとなるとただのぶっ壊れマナ加速と化す。試験官が出ている状態で原野を置いて、{2}支払うのを無視すればノーリスク。誘発を《もみ消し》で打ち消した場合手札を1枚消費することにはなるが、本来負うべきリスクに比べたらかわいいものだ。これらの盾で己を原野のデメリットから護る。

 そうやって2~3ターン目に原野を出して後は対戦相手と大きくマナの差をつけて圧倒する。なんともクールな贅沢を狙ってやがるぜ。

 《もみ消し》はまた、敗北という最大の脅威からプレイヤーを護る盾でもある。《栄光の好機》はたった3マナで追加ターンを得られるが、その追加ターンの終了時に敗北してしまうというマジックにおける最も重いデメリットを持つ。

 この敗北は遅延誘発型能力というものであるため、《もみ消し》で打ち消してしまうことができる。敗北する? 知らんなと言わんばかりにクールに打ち消し、文字通り好機を掴み取ろう。

 《もみ消し》とともにこの敗北を無視する役目を担うのが《試練に臨むギデオン》。

 ギデオンがいる限り負けないという紋章を得て敗北回避だ。[+1]能力も皆を危険から守護するものであり、そして自身が4/4になって攻撃しに行くという矛としても非常に優秀。これぞ矛であり盾であるカードの典型、クールなまでの教科書的1枚だ。栄光はギデオンにあり!

クールポイントその2:睡蓮大好きテフェリーさん

 《睡蓮の原野》のデメリットを盾で無視して美味しいところだけ享受する。それで満足していちゃまだまだクールじゃない。その先を目指してこそ、というわけで我々に力を貸してくれるのがテフェリーだ。

 ヒストリックお馴染みの《ドミナリアの英雄、テフェリー》もそうだが、このデッキの主役ポジションは《日没を遅らせる者、テフェリー》。

 土地をアンタップするという能力の重みは、このデッキにおいてクールさとバリューが桁違い。何せ3マナ得られるってことだからね。自分のターンで動くことの方が多いこのデッキにおいて、即効性のある日没テフェリーのアンタップの需要が高いってことだ。この能力で一緒に起こせるように《冷鉄の心臓》を忍ばせているのもニクいね。

 テフェリーでガンガンマナを伸ばして《栄光の好機》やギデオンなどのビッグアクション、そして対戦相手のクリーチャーの除去などを同時並行していこう。土地を2枚起こせる《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力は《水没遺跡、アズカンタ》と揃った時に対戦相手に絶望をもたらす。鬼!

さらなるクールのために

 『イニストラード:真紅の契り』にはこのデッキに噛み合う《錬金術師の計略》が収録されている。

 《栄光の好機》と比べると、まず切除メカニズムでマナさえ注げば敗北しない追加ターンとして使えるという点で勝っている。《栄光の好機》の「クリーチャーが破壊不能を得る」という効果があまりこのデッキでは有効ではないので、素直にこの新3マナ追加ターンと入れ替えて問題ないね。

 ダブルシンボルとは言え単色であるという点も《睡蓮の原野》1枚でスムーズにマナが支払えるためかなり評価できる。追放されるので《溺神の信奉者、リーア》でフラッシュバックできないという点をどれだけ重く見るかってとこだな。

クールなまとめ

 対戦相手にマイナスの効果を及ぼし、こちらにとってはホクホクなプラスとして働く《厳しい試験官》と《もみ消し》。これはカード単体でというよりも、構築によってそのような働きをさせられるということを忘れずに。すべてのプレイヤーに影響を及ぼすカードには可能性が秘められているので、思い当たるカードのテキストを再確認すればクールなデッキのアイディアが閃くかもしれない。それじゃ今週はここまで。Stay cool! Get the glory!!

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