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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

マルドゥ・トークン(レガシー)

岩SHOW

 凄いデッキを発見した。どうのこうの言うのはリストを見てからだ。

Yves Bogaerts - 「マルドゥ・トークン」
Weekly Event @ Demospel Leuven 3位 / レガシー (2021年4月11日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《
1 《平地
1 《Badlands
2 《Plateau
1 《サヴァイのトライオーム
4 《血染めのぬかるみ
1 《カラカス
4 《不毛の大地
-土地(20)-

4 《若き紅蓮術士
4 《僧院の導師
1 《グルマグのアンコウ
2 《騒乱の歓楽者
-クリーチャー(11)-
4 《陰謀団式療法
4 《信仰無き物あさり
3 《剣を鍬に
2 《思考囲い
2 《発掘
1 《致命的な一押し
1 《稲妻
2 《トーラックへの賛歌
1 《削剥
1 《無形の美徳
1 《リリアナの勝利
1 《コラガンの命令
1 《未練ある魂
1 《屈辱
1 《セヴィンの再利用
1 《機を見た援軍
1 《火炙り
1 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(29)-
2 《封じ込める僧侶
1 《聖域の僧院長
1 《剣を鍬に
1 《削剥
1 《湿地での被災
1 《四肢切断
1 《予期せぬ不在
2 《神聖の力線
2 《虚空の力線
1 《仕組まれた爆薬
1 《正義の命令
1 《摩耗 // 損耗
-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)

 

 レガシーのオンラインイベントで使われたデッキなのだが、リストがむっちゃ長い! 80枚デッキなどでもないのにこの長さ、1枚挿しのオンパレード。このクセの強さは、それだけデッキをやり込んでいる使用者の専用機といった雰囲気。

 色は白黒赤、通称マルドゥ。3色以上の多色デッキはマナ基盤が豊富なレガシーではよく見るものだが、青と緑の両方を含まないこのカラーリングは珍しい。

 デッキの方向性として、マルドゥは中速デッキになる傾向にある。黒の手札破壊で対戦相手のキーカードを捨てさせ、3色それぞれの優秀な除去でクリーチャーに対処。そして白と赤の優秀なクリーチャーで戦闘と、このような三拍子を売りにした構成がよく見られる。

 このデッキもそれに則っている。クリーチャーの枚数自体は11枚と少なめだが、イコール攻め手が少ないというわけではない。その答えは《若き紅蓮術士》と《僧院の導師》にあり。

 このデッキにたっぷりと採用されたインスタントとソーサリーを主とした非クリーチャー呪文。この2種のクリーチャーがいる状態で唱えて、トークンを複数生成して盤面に並べるのだ。

 トークンを強化する《無形の美徳》まで入っているこのデッキ、言うなれば「マルドゥ・パイロマンサー」? それとも「マルドゥ・メンター」? う~ん、間を取って「マルドゥ・トークン」で!

 トークン戦術を主としたこのデッキは、レガシーにおいて「理論上最強」の呼び声も高い手札破壊を用いることが出来るので大きなセールスポイントだ。そのカードとは《陰謀団式療法》!

 対戦相手の手札を見る前にカード名を指定し、その後公開してその指定したカードをすべて捨てさせるというものだ。《剣を鍬に》を指定したとして、対戦相手が複数枚持っていたら1対2以上の交換で大きなアドバンテージを得られる。

 まあ、手札を見ずにカードを指定するというのは簡単なことではない。土地やすでにプレイされたカードから相手のデッキを判断して唱えるが、それでも外れることもある。

 ただしこの呪文にはおかわりがある。クリーチャーを生け贄に捧げることで、もう一度墓地から唱えられるのだ。そう、《若き紅蓮術士》か《僧院の導師》がいれば、まず唱えた際にトークンが生成される。で、カード名を指定して当たれば万歳、外してもトークンをコストにもう一度唱えて、今度は見たカードを指定して捨てさせる。結果としてこちらはトークンが1体増え、相手は手札が減る。

 また除去なども本来は1対1交換だが、これにもトークンが付けば微々たるものと言えど差はついている。本来手札が減って損するはずの《信仰無き物あさり》も、トークンを得ながらの手札入れ替えであれば損はない。

 これを積み重ねれば、微差は大差となり、その埋められぬ差が勝敗を分ける。コツコツと有利になっていく、そんなゲーム展開が好きなプレイヤーに向いているデッキだね。

 このリストには《屈辱》《削剥》《コラガンの命令》などパーマネントを種類を問わず対処できるカードが採用されているのも一つの特徴だ。

 そして『ストリクスヘイヴン:魔法学院』には《削剥》よりも多くのものを対処可能な《引き裂き》や、これまでにはなかった対処可能範囲を持つ《断割》、単色キラー《消失の詩句》と、このデッキでも採用できそうな優秀な除去が多数登場する。これらは試してみる価値が十分にあるね。

 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の新カード、クリーチャーに目を移せば《尊い戦歌い》なんかも面白そうだ。《発掘》《セヴィンの再利用》に続く、紅蓮術士&導師の復活手段として戦力になるかもしれない。

 《シルバークイルの口封じ》もシブいね。相手の手札を前もって《陰謀団式療法》で見ておけば「おいおいそれはただじゃプレイさせないぜ」と手札の使用を躊躇わせることができてしまうかも。

 《セッジムーアの魔女》を《僧院の導師》の代わりとして、黒赤の2色でデッキをまとめてしまうという選択肢もある。

 導師と彼が呼び出すモンクたちは果敢持ちで、ゆえに大ダメージを生み出せるという魅力はあるので色を足すリスクは十分許容できるが、2色で同様にトークンを生み出せるようになればそれはそれで選択肢が拡がるというもの。これはちょっとプレイしたいカードが増えたなぁ。《罰する火》と《燃え柳の木立ち》でグルグル回しながら邪魔者・トークンを並べるって、その光景がまずなんか良いね。

 最後に、このデッキの一番ヤベー1枚は《火炙り》、これに尽きるね。トークンを並べてタップしてこれ1枚で15点とかそれ以上の大ダメージ、叩き込んでやろうぜ。

 新カードでデッキが進化する可能性のある「マルドゥ・トークン」。一見地味だが、なかなか骨太だぞ!

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