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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:Topdeck the Halls(特別企画)

岩SHOW

 メリークリスマス!! いや~いくつになってもクリスマスって、良いもんだねぇ。よい子の皆はサンタクロースからプレゼントをもらったことでしょう! それがお願いしていた通りのものでも、ちょっと違うものだったとしても、それらは君のためを思って届けられたプレゼントだ。大切にしような。

 ところで、マジック関係者にも毎年この時期にプレゼントが贈られているのを知っているかな。ホリデーギフトカードと呼ばれるそれらは、クリスマスと年末をひっくるめてホリデーシーズンと呼び、仕事は休んで家族とゆっくり過ごすアメリカ文化を体現したカードだ。

 ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの社員さんたちやビジネスパートナーなど、その年お世話になったプレイヤーへの感謝を込めて贈呈されている特別なカードで、それらすべて枠が銀色だ。すなわち、通常のゲームでは使用することはできない。完全にコレクション用のカードと言えるだろう。クールなギフトだと思わないかい?

 それらのカードは、たとえば美味しいごちそうを食べたり、お互いのカードをプレゼントし合ったり、おもちゃを作ったり、そり遊びをしたり、12月だったら効果が増幅したり……いずれもホリデーらしさを体現した、おもしろおかしいデザインが施されている。これらのきらきらかわいいカードを使って、デッキを作ってみたら……それはクールな予感がするな!

 そんなわけで、2020年最後のデイリー・デッキである今回はクールなデッキを追い求めて! ホリデーギフトカードなど銀枠カードでデッキを作ってみようという特別企画でクリスマスをお祝いしよう!

 さて、ホリデーギフトカードを取り上げるのであれば、この2020年のものをスルーするわけにはいかない。早速紹介しよう、《Topdeck the Halls》だ!

Topdeck_the_Halls.png

 イラスト、むちゃかわいい~。これは《ドリーム・ホール》というクールなカードのパロディだ。ヴォルラスが自身の要塞内の怪しげな広間で、天井から吊り下げられた不気味な牢獄のようなものを見つめているイラストがベースになっており、ロケーションがクリスマスツリーの枝の上、ヴォルラスがジンジャーブレッドマン、吊り下えられているものがオーナメント(飾り付け)に置き換わっている。

 カード名は「ひいらぎかざろう」というクリスマスソングの原題「Deck the Halls」のDeckの部分をマジックで言うところのデッキに見立てて、デッキから今引いてきたことを意味するトップデック/Topdeckと置き換えたアメリカンなダジャレだ。Deckには飾り付ける、即ちデコレーションと同じ意味もあるんだね。

 オールドファン的にはこのフレイバーだけで十分クールだが、能力も見てみよう。赤白のエンチャントであり、マナ・コストも《ドリーム・ホール》を意識したのか5マナ。呪文を唱える際に規定のマナ・コストを払うことが不要になる能力も先代によく似ている。

 「あなたの手札にある装飾されたカードはすべて奇跡 {S}を持つ」というのが1つめの能力。奇跡とは『アヴァシンの帰還』が初出の能力で、各ターンの最初に引いたカードが奇跡を持っている場合、それを公開することで奇跡コストにて唱えられるというもの。本来6マナのカードが1マナで唱えられたりして、まさにトップデックがゲームを大きく動かすという仕掛けだ。

 《Topdeck the Halls》が与える奇跡は《冠雪の平地》などの氷雪パーマネントから生み出されるマナ1つがコストに設定されているが、ではその奇跡を与えるカードの条件である「装飾されたカード」ってのは何なのか。

 これは「プレミアム・カード、プロモーション・カード、カード枠違いあるいはイラスト違いのカード」のことらしい。例えば《太陽の指輪》。このカードにはさまざまなバリエーションがある。

sol_ring_judge.png
ジャッジ褒賞プロモ

 

sol_ring_event.png
「コマンド・ゾーン」イベントプロモ

 

sol_ring_ki.png
「Kaladesh Inventions」版

 

sol_ring_cc1.png
『Commander Collection: Green』版

 などなど。

 これらの通常版と異なる特殊な《太陽の指輪》はすべて装飾されたカードってわけだ。

 こんな感じで、マナ・コストの高いプレミアム・カード(フォイルなどとも呼ばれる、光っているカードのことだ)など特別なカードたちを氷雪マナ{S}で唱えて得しよう、というデッキを作ればクールなものになりそうだ。

 これだけでも十分なのに《Topdeck the Halls》には勝利条件まで付いている。装飾されたパーマネントが12個以上あれば、アップキープにめでたく勝利! 素晴らしい。じゃあ奇跡で唱えるのはパーマネントが最優先だな。装飾カードを軽く唱え、それらを並べて勝利するデッキを考えてみたぞ!

岩SHOW - 「Topdeck the Halls」
銀枠カジュアル (2020年12月25日)[MO] [ARENA]
7 《冠雪の山》☆or★
7 《冠雪の平地》☆or★
4 《極北の干潟》☆
4 《高地の森林》☆
2 《霜歩き砦》☆
2 《ロノムの口》☆
-土地(26)-

1 《Windseeker Centaur》○
1 《幼獣守り》◆
1 《Fruitcake Elemental》◎
1 《永遠羽のフェニックス》◆
1 《ゴブリンの雪だるま》★
1 《Grimlock, Dinobot Leader》○
1 《Yule Ooze》◎
1 《Collector Protector》☆
1 《Fat Ass》☆
1 《Rules Lawyer》☆
1 《Three-Headed Goblin》☆
1 《世界を彫る者、ファイラス》◆
1 《霧氷鱗のドラゴン》☆
1 《ナラスニ・ドラゴン》○
1 《スラクジムンダール》★
1 《ダークスティールの巨像》★
1 《Ol' Buzzbark》☆
-クリーチャー(17)-
4 《Topdeck the Halls》◎
1 《Ashnod's Coupon》○
1 《魔力の墓所》○
1 《Water Gun Balloon Game》☆
4 《Super Secret Tech》☆
1 《Handy Dandy Clone Machine》☆
1 《Snow Mercy》◎
1 《不滅》☆
1 《Kindslaver》☆
1 《Yet Another Aether Vortex》☆
1 《"Ach! Hans, Run!"》☆
1 《Curse of the Fire Penguin》☆
-呪文(18)-

記号凡例:

  • ☆:プレミアム・カード
  • ★:「Secret Lair」収録カード
  • ◆:別アートカード(ゴジラシリーズなど)
  • ◎:ホリデーギフトカード
  • ○:その他プロモカード
このクールなデッキは?

 実際にこれらのプレミアムやプロモなど、装飾されたカードをすべて揃えるのは大変だろう。60枚揃っている時点でもうクールの頂点といっても過言ではない。色は白赤緑、いわゆるナヤカラーではあるが、もはや「装飾単」と形容しても差し支えないんじゃなかろうか。「装飾単トップデック」、マニアでもなければ何のことやらわからないデッキ名、クールじゃないかぁ。ちなみに奇跡コストの支払いのために土地はすべて氷雪であり、勝利条件のためにカードはすべてパーマネントである。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:装飾=プレミアム

 パックから入手できるという点でも最も身近な装飾カードであるプレミアム・カード。このデッキでも多くをそれに頼っている部分がある。だったらこのカードの出番、というわけで《Super Secret Tech》を投入だ。

 プレミアな呪文はすべてコストが{1}少なくなり、プレミアなクリーチャーは+1/+1修整を受ける。各種プロモを見てもらえばわかることだが、その多くはプロモであると同時にプレミアムでもある。光り輝くカードを束ねた装飾デッキのために作られたカード、それこそが《Super Secret Tech》だ。

 コストが5マナと少し重めな《Topdeck the Halls》をこれで早いターンに設置し、奇跡でさらに展開を加速させ、奇跡で唱えないカードの展開も早めて装飾パーマネント12個の条件をいち早く満たそう。

クールポイントその2:銀枠のアホさを味わえ

 装飾されたカードは各自の所持しているもので賄えばいいが、せっかくなので楽しい銀枠カードを用いたい。プレミアムが存在する『Unhinged』および『Unstable』から適当にチョイスしてみた。

 また『Unglued』にはプレミアム・カードは存在しないが、《Ashnod's Coupon》にはかつて行われた「アリーナ・リーグ」と呼ばれる店舗イベントにて配布されたプロモが存在する。

Ashnod_s_Coupon_promo.png

 このアーティファクトは対戦相手に飲み物を取りに・買いに行かせることができる。それに必要な経費はすべてこちらの負担になるのでおごってもらえるわけではない。ホリデーにてこたつでぬくぬく遊んでいる時に冷蔵庫までコーラを取ってきてもらう、なんてことができるのはカード1枚分の価値が十分ある(断言)。

 このように、通常のゲームでは味わえないマジックを超えたマジック。これぞ銀枠世界の凄まじさだ。緊張感漂う真剣勝負も、ネタに全フリしたアホアホなお遊びも、どちらも味わってこそ真のマジックプレイヤーである! 全力で遊ぶことはクールだ。

クールテクニック!

 《Yet Another Aether Vortex》に注目。

 いずれかのライブラリーの一番上にあり、インスタントでもソーサリーでもないカードは戦場に出ている、というとんでもない能力を持ったエンチャントだ。これがあればアップキープを迎えた時点で、戦場に出ていなくともトップに《Topdeck the Halls》があれば勝利することができてしまう。つまり《悟りの教示者》で乗っけてGood Game!……なのだが、銀枠世界なのでもっと派手に行こうぜ。

 《Split Screen》でライブラリーを4分割すれば、パーマネント4つが常に戦場に出ている状態に!

 効果4倍で、《Topdeck the Halls》がすでに戦場に出ている場合でもこれの勝利条件をグイッと引き寄せてくれるのが頼もしすぎる。クールすぎるだろうよ銀枠コンボよ……。

クールなまとめ

 2020年は試練の年だった。ここまでマジックのイベント会場に行くことができなかった1年間というのは随分久しぶりだった。家で過ごす時間が増えた分、MTGアリーナという安全な自室で世界中のプレイヤーと対戦できるツールの存在がとてもありがたかった。マジックがあって良かった、これまでマジックを何も気にせず遊べていたのは幸せなことだった……

 今年をまとめろと言われたらこんなところかな。当コラムでも今年は連載1000回目を迎えたり、Cool Deckのコーナーを開始したりと色々とあったね。ひとつ言えるのは、どれだけ書こうが何を書こうが、楽しくやってきたということ。2021年も楽しみ尽くす所存だ。

 それじゃあ、今年もお世話になりました。良いお年を! Stay cool, see you next year!! お正月に会いましょう。

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