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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青緑変容(スタンダード)

岩SHOW

 昆虫にハマった幼少期を送った人、現在進行形で昆虫にドハマりしてる人は挙手。

 僕も子どものころは毎日のように虫取りに出かけていたくらいにはハマっていた。今でもカッコイイ虫をテレビやネットで目にすると、飼ってみたいなと思うことがある。

 昆虫はものを言わず表情もないが、だからといって何も読めないわけじゃやない。彼らの形態や行動からは学ぶことが無限にあると言って良いだろう。

 昆虫の中には、通常の生殖とは別に自身のクローンを生むという特殊な生殖方法に切り替えられる種類もいたりする。いざという時に種を絶やさぬようにという工夫なわけだが、一体どうやってそのような方法を身に着けたのか、どうやって切り替えているのか、謎が謎を呼ぶ昆虫の世界。誰にも解けなさそう秘密を無限に抱えつつ僕らのすぐ側で生活している小さな昆虫たち……ロマンがあるよなぁ。

 マジックの世界でも嬉しいことに、昆虫をモチーフとしたカードが多数ある。そして今、マニアに人気の昆虫がスタンダードにいる。先ほど触れたクローンを生み自己増殖する、その昆虫カードもそんな不思議な生態の持ち主だ。環境の変化で昆虫の行動に変化が起こるように、その昆虫カードのスイッチも周囲を取り巻く土地によるもの。《硬鎧の大群》だ。

 土地を戦場に出す、すなわち上陸させると1/1の昆虫・トークンを生成する。これだけでも十分な増殖力だが、土地が6つ以上コントロールしている状態だとそのトークンはただの1/1の昆虫ではなく、この《硬鎧の大群》自身のコピーとなる。どういうことか? コピーのトークンが出た後にまた上陸すると、各々の硬鎧がそれぞれ自分のコピーを生成する。2匹が4匹に。さらに上陸すると8匹、その次は16匹……爆発的な速度で増えていくことが分かってもらえただろう。

 つまりこのカードを強く使うには上陸を複数回行うこと。それを達成するデッキが……コレだ!

Tomáš Pokorný - 「青緑変容」
スタンダード (2020年10月22日)[MO] [ARENA]
10 《
6 《
2 《ギャレンブリグ城
4 《寓話の小道
2 《進化する未開地

-土地(24)-

4 《金のガチョウ
4 《両生共生体
2 《絡みつく花面晶体
1 《漁る軟泥
4 《硬鎧の大群
4 《渡る大角
4 《領獣
2 《水晶壊し
4 《恵みのスターリックス
2 《飛びかかる岸鮫
1 《夢尾の鷺

-クリーチャー(32)-
2 《怪物の代言者、ビビアン
2 《精霊龍、ウギン

-呪文(4)-
3 《鎖巣網のアラクニル
3 《漁る軟泥
2 《本質共生体
2 《飛びかかる岸鮫
4 《神秘の論争
1 《怪物の代言者、ビビアン

-サイドボード(15)-

 

 青緑の変容デッキだ! 『イコリア:巨獣の棲処』で登場した能力、人間でないクリーチャーたちが重なり、能力を共有した1つのクリーチャーとなる。そうやって1体の強力なクリーチャーを作り上げたり、そのクリーチャーが変容した時に誘発する能力を用いたりして、ゲームを有利に進めていくのを狙うデッキである。

 変容デッキの中でもこの青緑は登場時から人気であり、最も安定感のあるもの。緑にはパーマネントを増やすことに優れた変容能力が、青にはアドバンテージの獲得に繋がる変容能力と変容をサポートするカードがあり、これらが組み合わさることで強力かつ楽しいデッキとなるのだ。

 緑の変容持ちの主役は《渡る大角》と《恵みのスターリックス》。

 大角は変容するたびにライブラリーから土地を、スターリックスは変容するたびにそのクリーチャーが変容した回数分だけのパーマネントをライブラリーの上から、それぞれ戦場に出す。スターリックスでも土地は出せるので、どちらも同一ターンに複数回の上陸に繋げられる可能性がある。すなわち硬鎧が爆発的に増えることに。スターリックスはその硬鎧も戦場に出す可能性があり、どれだけ押されている状況からでも変容に次ぐ変容で戦場を昆虫で埋め尽くして逆転するチャンスがある。

 《領獣》は変容することで誘発する能力こそ持たないが、変容コストが非常に軽いので、大角 or スターリックスが変容しているクリーチャーを強く後押し。起動型能力も土地を出せるので、大群形成に抜かりなしだ。

 青の変容のメインは《飛びかかる岸鮫》。

 変容するたびに相手のクリーチャーを手札に戻す、この能力が変容のためクリーチャーで埋め尽くされたデッキにおける除去の役目を担っている。青には《両生共生体》もおり、これでコストを軽減しマナクリーチャーも併せて加速して序盤から変容を狙っていく。デッキのすべては変容のために!

 緑の変容クリーチャーは上陸を達成しやすいが、《硬鎧の大群》とこれら変容の相性が良い理由がもう1つある。硬鎧は自分のコピーを生成する。このコピーというものには、変容していることもしっかりと受け継がれるのだ。つまり《渡る大角》で硬鎧を変容させて上に置き、6つ目以降の土地を出すと……「《渡る大角》のテキストとパワー/タフネスを持った《硬鎧の大群》」のコピーが戦場に出てくる。つまり3/4。《夢尾の鷺》で変容したりすると飛行を持つ。戦場をうじゃうじゃと埋め尽くさなくとも、ある程度の数で相手のライフを削り切れるようなサイズや回避能力を持ったトークンが作れるのである。昆虫と他の怪物の要素を併せ持った怪物を生み出し、その昆虫から受け継いだ爆発的な増殖力でゲームを勝ち取るのだ!

 《硬鎧の大群》はかなりやんちゃなカードだ。変容軸の他にもスタンダードで土地を出すというアクションを行うデッキがあればそこに組み込まれるチャンスは広がっている。《水蓮のコブラ》とも絡めて、上陸を山ほどやっていくデッキというのも作ってみたいなぁ。もちろん昆虫好きにはぜひともオススメだ!

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