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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑白上陸(スタンダード)

岩SHOW

 《エンバレスの宝剣》はなぜ強いのか。

 この装備品はダメージを対戦相手に叩き込むことに大きく特化している。装備しているクリーチャーのサイズこそ+1/+1と控えめにしか修整しないが、二段攻撃というパワーを実質倍にする能力を付与する。さらにトランプルも与えることで、二段攻撃の一撃目にブロックしてきたクリーチャーを破壊し、二撃目はタフネスを超える余剰のダメージ=対戦相手本体にすべて叩き込まれるという形で一気に形勢を有利にしてしまう。

 瞬速を持つことと、攻撃クリーチャーの数だけコストが軽くなることも大変に魅力的。大体は3マナくらいで唱えられてゲームを終わらせている。戦場に出た際に自動的に装備され、装備コストが不要な点も偉い。まとめると打点を押し上げる能力の付与・コストが重くない・装備コストが不要の3点盛りだから強い、と。

 ここまで書いて、あるカードも条件面では《エンバレスの宝剣》とよく似ているなと思った。上記の3要素すべてが当てはまる、そのカードの名は《スカイクレイブの大鎚》。

 +2/+2修整と先制攻撃と飛行を付与、飛行と言えばダメージを相手本体に叩き込むにはもってこいな能力であることは言うまでもない。そしてそのマナ・コストは{2}{W}で、戦場に出たらマナの支払いなくオート装備。たった3マナでこれだけの強化を与えるとはなかなかすごい。白いエンバレス、と呼べなくもない。

 これからはダメージを加速させるため、アグレッシブなデッキに白を足すという選択肢も浮上してくることだろう。今日はそんなデッキをピックアップ!

Nick Sobczak - 「緑白上陸」
スタンダード (2020年10月12日)[MO] [ARENA]
7 《
3 《平地
4 《枝重なる小道
4 《寓話の小道
4 《進化する未開地

-土地(22)-

4 《青銅皮ライオン
4 《恐れなき雛
4 《ムラーサの根食獣
4 《カザンドゥのマンモス
4 《水晶壊し
4 《石とぐろの海蛇

-クリーチャー(24)-
4 《フェリダーの撤退
2 《エメリアの呼び声
4 《原初の力
2 《スカイクレイブの大鎚
2 《怪物の代言者、ビビアン

-呪文(14)-
2 《巨人落とし
4 《漁る軟泥
4 《恋煩いの野獣
3 《ガラクの先触れ
2 《怪物の代言者、ビビアン

-サイドボード(15)-
Nick Sobczak氏のTwitter より引用)

 

 大鎚を担いで殴らせるなら、攻撃に特化したクリーチャーが良い。現行スタンダードであるなら……《カザンドゥのマンモス》は最適だ。

 3マナ3/3、土地を出すたびにサイズアップ。5/5になるところに大鎚が加わって7/7になれば、これだけで3回殴ればゲームに勝てる!

 マンモスによるイージーウィンを武器の1つにしたこのデッキは「緑白上陸」デッキだ。上陸により大きくなるマンモス、そして他の上陸能力持ちも採用し《寓話の小道》《進化する未開地》によりそれらを誘発させてゲームを優位に進めようというものだ。

 白には2種類の攻撃的な上陸カードがある。1つは《恐れなき雛》。

 初めてのフライトに目玉をひん剥いて驚くグリフィンの雛が印象的なイラストだが、ネタカードというわけではなく能力はシンプルに強い。土地を戦場に出すたびに+1/+1カウンターを得て、ターン終了時まで飛行も持つ。他の上陸持ちと違って、カウンター形式で永続的に強化されるという点がこの雛の強みだ。上記の2回上陸できる土地で序盤から育てて、気が付けば相手の頭上を飛び越えてゲームエンドという形に持っていきたい。

 もう1つの上陸カードは《フェリダーの撤退》。

 上陸するたびに2/2の猫・ビーストを生成するか、全クリーチャーに+1/+1カウンターを置いて警戒を与えるか選ぶ。猫軍団を揃えて強化して殴る、これと土地だけでゲームに勝てるという自己完結っぷりと、猫以外のクリーチャーもちゃんと強化できる柔軟さが強い。対クリーチャーデッキの殴り合いも、除去を連打してくるようなデッキにも対応できる上陸界のリーサルウェポンだ。

 で、マンモス含むこれら上陸カードをより強く使うために採用されているのが《ムラーサの根食獣》。

 基本土地を手札から出すことでマナ加速と上陸誘発を同時に行う。手札に土地がないという状況であれば、基本土地を手札に戻し、それを出し直すことで使えるマナを増やしつつ、上陸も途切れさせない。本人が2マナ2/3警戒と、攻撃しながらこれらの上陸サポートを行える点も頼もしい。2ターン目から出してガシャガシャ仕事させると楽しいぞ。

 デッキの残りの部分は優秀なクリーチャーやアグロに攻める戦略を進めるカードで固めてある。話題に挙げた《スカイクレイブの大鎚》は2枚採用だが、これがとにかく強いので3枚目もあっても良いかなと個人的には感じた。誰に付けてもフィニッシュまで持っていけるポテンシャルに化けるのが素晴らしいね。《原初の力》とこれでダメージを押し込んで、強引にゲームプランを推し進めたい。

 クリーチャーで特筆すべきは《青銅皮ライオン》。

 2マナ3/3とサイズで優れているので、色が合っているこのデッキには文句なく入ってくる。自身に、あるいは自身をオーラとしてつけているクリーチャーに破壊不能を与えられるので、大鎚を安心して装備させて確実なダメージを期待できる。ライオン、すなわち百獣の王であるので使っていてテンションが上がる点も評価大。

 アグロデッキを組みたいなと思った時、今後は《エンバレスの宝剣》か《スカイクレイブの大鎚》かを選択するところからデッキ構築がスタートするのかもしれない。アグロデッキの未来はどうなるのか。今後勢力を増してくるであろう古き良きどっしりと構えるコントロールデッキとどう戦っていけるかがカギになってきそうだ。

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