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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

中隊、集合ッッ(ヒストリック)

岩SHOW

 『アモンケットリマスター』は真夏の衝撃だった。

 てっきりね、『アモンケット』『破滅の刻』から構築およびリミテッドで活躍した名カードが再録されたセットになると思い込んでいた。いや、この思い込み自体は別に間違いではない。間違っていたのはこの2セットからの再録カードだけになると思っていたことだ。まさかまさかの、特別再録枠があるなんて。

 当時「Amonkhet Invocations」という特別な再録枠でパックより登場した《思考囲い》《否定の契約》などはそのイラストをそのまま用いたものとして再録! 《女王スズメバチ》《安らかなる眠り》などのアモンケットとまったく関係のなかったカードにも、その次元のフレイバーに富んだイラストが与えられて再録! 各色に2、3枚こういった特別な再録カードが与えられることとなった。

 『アモンケットリマスター』が使用可能なヒストリックにおいては、単に1セット増える以上の変化が起きることが予想される。そして早くも、台風の目になりつつある特別再録カードが…その名は《集合した中隊》ッッ!

 {3}{G}のインスタントで、ライブラリーの上から6枚見て、その中から点数で見たマナ・コストが3以下のクリーチャーを最大2体戦場に出す。

 ライブラリーの上からカードを探すというその特性上、どうしても運の要素は絡んでくる。だがよっぽど非クリーチャー呪文や土地が多い構成にしない限りは、クリーチャー2体が飛び出してアドバンテージが得られることだろう。最大効率で扱えた場合、3マナクリーチャー2体で計6マナ分の働きをする。カード1枚で2枚分、2マナお得と良いところしかない強力なカードだ。

 クリーチャーを展開するという点ではアグロデッキにおいて堅実な働きぶりを見せることがイメージできるだろうが、ライブラリーから6枚見て選べるという点ではコンボデッキでのキーカード探しに用いることも可能だ。今日は2種類の中隊デッキを紹介しよう。まずはアグロから。

Lexi Steyer - 「緑単アグロ」
ヒストリック (2020年8月14日)[MO] [ARENA]
20 《
4 《ハシェプのオアシス

-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《生皮収集家
4 《茨の副官
3 《漁る軟泥
2 《立て直しのケンラ
4 《恋煩いの野獣
4 《鉄葉のチャンピオン
2 《ガラクの先触れ
2 《不屈の神ロナス

-クリーチャー(29)-
4 《集合した中隊
3 《グレートヘンジ

-呪文(7)-
3 《クロールの銛撃ち
1 《漁る軟泥
2 《ガラクの先触れ
2 《再利用の賢者
1 《不屈の神ロナス
2 《英雄的介入
4 《原初の力

-サイドボード(15)-
Lexi Steyer氏のTwitter より引用)

 

 緑単色でマナ効率に優れたクリーチャーを毎ターン展開し、早い段階で相手のライフを削り切るために十分な盤面を作って押し切る、「ストンピィ」とも呼ばれるデッキだ。最後の一押しとして、相手のターン終了時にデカいのを2体投下!という動きの強さといったら。インスタントなのを活かして、ソーサリー除去を受けずに自分のターンを迎えさせて攻撃できるというのが最高に偉い。また、対アグロでの殴り合いでは向こうの攻撃を突然降ってきたヘビー級がキャッチして一方的に討ち取るという無慈悲なコンバットトリックとして用いることも可能だ。

 1ターン目《ラノワールのエルフ》からの2ターン目《鉄葉のチャンピオン》というのが必殺ムーブであるが、『アモンケットリマスター』以後は2ターン目《不屈の神ロナス》というパターンも。

 3ターン目に3マナのパワー4以上のクリーチャーを展開し、それにより行動可能となった5/5破壊不能が猛攻撃を仕掛ける! 自身の能力で小さいクリーチャーを無理やりパワー4

以上に仕立て上げてから殴りに行く動きもできる。余ったマナを打点に変えるのはこの手のアグロデッキでは重要な仕事だ。

 ロナス同様に余ったマナを打点に変換するものとして、土地でありながらその仕事が可能な《ハシェプのオアシス》もやりよる1枚。

 トランプルを持った《生皮収集家》や、パワー2以下に止められない《鉄葉のチャンピオン》などをこれで+3/+3することで勝ち確定という状況に持っていきたい。

Stephen Croke - 「ジャンド中隊」
ヒストリック (2020年8月14日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
4 《草むした墓
2 《森林の墓地
4 《血の墓所
2 《竜髑髏の山頂
4 《踏み鳴らされる地

-土地(20)-

4 《金のガチョウ
4 《ラノワールのエルフ
4 《血の芸術家
4 《楽園のドルイド
4 《忘れられた神々の僧侶
4 《波乱の悪魔
4 《悲哀の徘徊者

-クリーチャー(28)-
2 《初子さらい
2 《思考囲い
4 《集合した中隊
4 《ボーラスの城塞

-呪文(12)-
4 《漁る軟泥
3 《再利用の賢者
2 《砕骨の巨人
2 《運命の神、クローティス
2 《初子さらい
2 《思考囲い

-サイドボード(15)-
Stephen Croke氏のTwitter より引用)

 

 こちらは中隊をコンボパーツを探すカードとして利用するサンプル。「ジャンド城塞」に非常によく似た形のデッキだが、《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》の定番コンビを採用せず、マナクリーチャーを多く採用したリストとなっている。

 《金のガチョウ》《ラノワールのエルフ》《楽園のドルイド》で序盤から使えるマナを増やし、3ターン目には中隊を唱える。そこからさらなるマナクリーチャーを出して、最速で《ボーラスの城塞》の設置を狙う。

 あるいは《波乱の悪魔》《悲哀の徘徊者》といった重要なパーツを並べるのも良い。

 《忘れられた神々の僧侶》もマナを生み出すので、とにかくこれらを使っていち早く城塞を戦場に出し、ライブラリーの上から呪文を唱えられる状態に持っていく。

 《悲哀の徘徊者》の占術でライブラリーを操作しつつガンガンとクリーチャーなどをライブラリーから盤面に投下し、土地以外のパーマネントが10枚以上並んだら城塞の能力を起動しそれらを生け贄に→《波乱の悪魔》の能力で10点、城塞で10点と一気に相手のライフを削り切る。豪快な主砲をぶっ放す、気持ちの良いコンボだ。

 ヒストリック版だと《血の芸術家》が使えるのがスタンダードのものとの大きな違い。

 クリーチャーが死亡するたびに相手のライフを1点吸い取る能力を持ち、《波乱の悪魔》の代役としてクリーチャーが生け贄に捧げられるたびに能力を誘発してライフを削る。《波乱の悪魔》の能力を除去として割り振って相手のライフは芸術家で攻めるといった役割を分けて運用するのも強い。そして何より、ライフを回復できるので城塞をノンストップで掘り進めるのを後押ししてくれるのが偉い! これらのカードにアクセスできる《集合した中隊》は超偉い、ということになるのだ。

 緑が絡んで、3マナ以下のクリーチャーの比率が高いデッキであればかなり強く運用できる《集合した中隊》。かつてのスタンダードや現モダン、パイオニアで使ってその強さを知り尽くしている人はもちろん、まだこのカードを未体験という人も含めて、多くの人にヒストリックでこのカードを使ってほしいね。

 アモンケットに住まう多種族がまさしく集合したシーンを描いたアートも素晴らしい。『アモンケットリマスター』、ヒストリックを大きく変える爆弾であることは間違いないね!

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