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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今こそ相棒デッキ? マルドゥ騎士・ラクドスかまど(スタンダード)
相棒のルールが変更された。
これにより実質「8枚目の手札」であったサイドボードの相棒は、一度手札に入れてから唱えなければならなくなった。それも{3}を支払う必要があり、以前のように気軽に扱えるものではなくなった。あらゆるデッキに相棒が採用されていた時代は終わりを告げる……と考えたプレイヤーが多かったことだろう。
{3}というのは決して軽いコストではない。最軽量の相棒だって、手札に加えてから唱えるまで合計で6マナ要するようになった。レガシーなどのフォーマットでは相棒を手札に加えてターンを返すという動作が致命的に隙だらけであるため、それを使用するデッキは激減した……ように思われたが。スタンダードではこれまであまりスポットが当たらなかった相棒が急に存在感を発揮し始めた。これだからマジックは面白いね。
それじゃあ早速リストを見ながら、その相棒を紹介しよう。
4 《沼》 2 《平地》 4 《神無き祭殿》 4 《血の墓所》 4 《聖なる鋳造所》 4 《試合場》 -土地(22)- 4 《熱烈な勇者》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《尊い騎士》 4 《鼓舞する古参》 4 《恋に落ちた剣士》 4 《嵐拳の聖戦士》 4 《立派な騎士》 3 《黒槍の模範》 2 《ドラニスのクードロ将軍》 -クリーチャー(33)- |
3 《一心同体》 2 《不吉な戦術》 -呪文(5)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒(1)- 2 《エンバレスの盾割り》 2 《魂標ランタン》 1 《墓掘りの檻》 3 《強迫》 2 《不吉な戦術》 1 《灯の燼滅》 3 《実験の狂乱》 -サイドボード(14)- |
「マルドゥ騎士」デッキだ。白黒赤の軽量の騎士クリーチャーを用いて、序盤から攻撃し続けるアグロデッキである。採用クリーチャーをなるべく騎士に統一することでシナジーを発生させ、1枚1枚ではやや非力な騎士たちを難攻不落の鉄騎兵へと成長させて勝利する。
騎士の多くは人間であり、騎士を唱えることで《立派な騎士》から出てくる人間・トークンとまとめて《ドラニスのクードロ将軍》で強化するという人間デッキとしての側面も持つ。
で、このアグレッシブなデッキが採用している相棒が……まさかの《湧き出る源、ジェガンサ》なのだ。
ジェガンサ、この5色のマナを生み出す大鹿をアグロデッキが用いるとはあまりイメージができなかった。ジェガンサの強みは、その構築制限の緩さにある。同じマナ・シンボルをコストに含まないカードのみでデッキを作るというその制限は、ダブルシンボルのカードが採用されがちな単色デッキであればかなり難しいものになるが、このリストのような多色デッキであれば問題なくデッキパワーを落とさずにデッキとして形にすることができる。
この手のビートダウンの弱点は、序盤に手札を使い切って展開して攻めるため、後半は毎ターンのドローに賭けて戦わねばならないところ。いわゆる息切れというやつで、攻めが途切れて時間が経てば立て直した相手に逆転されてしまいがち。そうならないように相棒を手札に加えて、有事の際には5/5のアタッカーとして繰り出そうというわけである。
《夢の巣のルールス》を同じく息切れ防止枠として採用している騎士デッキもまだ見かけることがあり、そちらはデッキ内の騎士のコストが2マナ以下に制限される代わりにより頭数でリカバリーする仕様になっている。
上記のリストがジェガンサを用いているのは、構築に無理を生じさせずに保険としての5/5を用意しておくという理由以外に、ミスリードを誘う側面もありそうだ。まさかあの大鹿の姿から「マルドゥ騎士」が出てくるとは読めまい。
ジェガンサは同時期に別のデッキでの相棒として頭角を現したのも、その読みを外させて予想の外からの奇襲をしかける手助けをしてくれそうだ。その別のデッキというのが以下のものだ。
4 《沼》 4 《山》 4 《血の墓所》 4 《悪意の神殿》 2 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(22)- 4 《大釜の使い魔》 3 《どぶ骨》 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《ぬかるみのトリトン》 4 《忘れられた神々の僧侶》 4 《波乱の悪魔》 2 《悲哀の徘徊者》 -クリーチャー(25)- |
4 《初子さらい》 4 《魔女のかまど》 4 《ティマレット、死者を呼び出す》 1 《死住まいの呼び声》 -呪文(13)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒(1)- 3 《エンバレスの盾割り》 2 《朽ちゆくレギサウルス》 3 《魂標ランタン》 4 《強迫》 1 《軍団の最期》 1 《害悪な掌握》 -サイドボード(14)- |
「ラクドスかまど」である。《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》を中心に生け贄に関するカードを集めた、こちらもシナジー重視のデッキである。
以前までは《夢の巣のルールス》を用いることが多かったかまどデッキも、実質コストアップしたルールスを用いるよりは3マナ以上のパーマネント、特に生け贄が勝利につながる《波乱の悪魔》を使う形にシフト。
そうやってできたリストが、たまたまなのかジェガンサの相棒条件を満たしているので「タダでもらえるものは」ということで相棒として設定されているのだろう。無から5/5が生まれるのであれば使わない手はない。
そんなわけで相棒条件が緩く、いざという時の戦闘要員として用いるために依存していないデッキが組める《湧き出る源、ジェガンサ》はスタンダードにおいて以前よりもその存在感を強めそうな予感だ。災い転じて福となすというか、この巡ってきた好機にイキイキしているように見える。
このエレメンタル・大鹿を見かけた際には、「一体相手のデッキはどんなものが出てくるのか」、その可能性を考えてマリガンorキープを考えてみると良いんじゃないかな。
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