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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ティムール再生(スタンダード)

岩SHOW

「壁は割れ、建物は崩れる。いつでも自然が帰ってくる。」

 

 上記はドムリ・ラーデの台詞だ。都市に埋め尽くされた次元であるラヴニカだが、郊外にはまだ自然が、ワイルドな世界が残っている。その自然が都市を飲み込むように、廃墟に植物が生い茂る光景がそこかしこで展開されているようだ。

 この台詞は《荒野の再生》のフレイバーテキストだ。マナを出し切って枯れてしまった土地に、再び活力が蘇るというニュアンスなのだろうね。

 ターン終了時に自身の土地をすべてアンタップするこのエンチャントは、スタンダードにおける最良のマナ加速の1つである。単純に使えるマナが倍になるんだから、そりゃあ強い。しかしながらターン終了時に土地が起きるということは、インスタントのタイミングで行動できるデッキでなければこれを活かせない。

 そのためにインスタントに優れた青と赤と組み合わせた、「ティムール再生」が誕生した。このデッキは永らくスタンダードの有力デッキの1つとして存在し続けているが、流行りのデッキによっては苦しい状況に立たされたりして、浮き沈みのあるデッキでもある。

 6月の環境変化により、この度「ティムール再生」、再浮上。そのフレイバー通りに自然の力がスタンダードの最有力ポジションに帰ってきたのだ。

malseman - 「ティムール再生」
Players Tour Online Last Chance Qualifiers (2020年6月6日) 権利獲得 / スタンダード[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
4 《踏み鳴らされる地
4 《蒸気孔
4 《ケトリアのトライオーム
3 《ヴァントレス城
1 《爆発域
4 《寓話の小道
-土地(29)-

4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《厚かましい借り手
-クリーチャー(6)-
4 《成長のらせん
3 《否認
2 《萎れ
2 《炎の一掃
2 《神秘の論争
4 《荒野の再生
4 《サメ台風
4 《発展 // 発破
-呪文(25)-
2 《運命の神、クローティス
3 《夜群れの伏兵
2 《神秘の撤回
4 《焦熱の竜火
2 《霊気の疾風
2 《炎の一掃
-サイドボード(15)-
 

 基本コンボは《荒野の再生》×《発破》。

 土地を並べて再生を置いて、ターン終了時に能力が誘発したところで解決前に土地を全てタップしてマナを得て、その後解決アンタップでまたマナを得る。大量のマナを《発破》の{X}に注ぎ込んで、大量ダメージと大量ドロー。

 いかにマナを大量に得ると言ってもこのコンボ1回で20点のライフを削り切ることは難しいが、8枚とか10枚引けば、2枚目3枚目の《発展 // 発破》は見つかるだろうと。状況によっては《発破》でクリーチャーやプレインズウォーカーを除去してもよい。とにかくいっぱいマナを得ていっぱい引いていっぱい叩き込む! マジックプレイヤーのわがままを形にしたようなデッキなのだ。

 《荒野の再生》を使う以上、重要になってくるのは土地だ。土地が並ばなければいくら再生でアンタップしようとも大したマナは得られない。なので土地の枚数は多めに、毎ターン確実にセットしていく。

 それに加えて《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で追加のセットも行い、相手よりも使えるマナを多くしつつ、1ターンでも早く再生を置いてそこから受ける恩恵を大きくしようというのが序盤の狙いだ。手札に来た土地を吐き出すために《成長のらせん》を《発展》でコピーするという場面もある。

 また、並ぶ土地の方もマナの使い道になるように設定されている。占術を行える《ヴァントレス城》は非常に頼もしく、再生設置後に速やかに勝つために必要なカードを探し当てる。

 もうこれ以上土地は置かなくてもいいという状況であれば《ケトリアのトライオーム》をサイクリングしてカードを引き込もう。《爆発域》は苦手な《時を解す者、テフェリー》などのパーマネント対策で、再生があればすぐさま蓄積カウンターを増やして爆破へと持っていける。

 土地を伸ばす役目のウーロは勝ち手段でもある。再生は非常に強力なエンチャントなので、対戦相手もこれを易々と許してはくれない。打ち消されたり破壊されたりと対策が飛んでくることは避けられない。うまく再生が置けなかった時にはウーロを脱出させ、毎ターン回復しながらカードを引いて殴り勝つというプランも選択する。また再生自体とも相性が良く、メインで4マナ払って脱出し、エンドに土地が起きて引いてきた打ち消しを構えるというパーフェクトな動きも可能だ。これをやっている時には大変に気分が良くなる。

 勝ち手段と言えば、もうひとつ。《サメ台風》だ。

 これも《発破》同様に、サイクリングする際に{X}に大量のマナを注ぎ込んで巨大ザメを降臨させ、それで勝負を決めに行ける。このサイクリングであればテフェリーがいて呪文が唱えられないという状況になっても機能する点が評価が高い。勝ち手段でありながら、相手の攻撃クリーチャーに合わせてサイクリングして受け止める実質的な除去としても用いることができるので無駄にならない。今や荒野にはサメがつきものだ。

 しっかりと機能した際にはまさしく横綱相撲、圧倒的なデッキパワーで相手を粉砕できる「ティムール再生」。スタンダードの最強を決める戦いにおいて、このデッキの存在はまず無視できない。いつだって自然はそこにいて、他を覆いつくす繁殖力を秘めている。エンチャント破壊、行動抑制系能力、瞬殺狙いのアグロデッキ……それらの対抗馬を跳ねのけて勝てるのかという点には注目したいところだ。


追記:日付の上では本日6月15日に終了したばかりのプレイヤーズツアー・オンライン1、および2。そのどちらも優勝デッキはこの「ティムール再生」だった。

 その使用者数も圧倒的で、1に至っては40%のプレイヤーがこのデッキを選択していた。このデッキを対策するよりは、使う側に回った方が得策だと考えたプレイヤーが多かったのだろう。プレイングの幅が広く、かなりの難局も逆転できるため腕に自信があるプロを中心に大半のプレイヤーがこのデッキを選択したという形になった。

 重要なのはこの結果が招く次のステージ。さすがに2大会同時優勝は目立ち過ぎだ。プレイヤーズツアー・オンライン3、4までのわずかではあるが確かに存在する準備期間を活用して、アンチ再生デッキを仕上げてくるプレイヤー達が現れるかもしれない。戦いはまだまだ続いていくのだ。

Elias Watsfeldt - 「ティムール再生」
2020プレイヤーズツアー・オンライン1 優勝 / スタンダード (2020年6月13~14日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
1 《神秘の神殿
3 《踏み鳴らされる地
3 《蒸気孔
4 《ケトリアのトライオーム
2 《ヴァントレス城
2 《爆発域
4 《寓話の小道
-土地(28)-

3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
-クリーチャー(3)-
3 《選択
4 《霊気の疾風
4 《成長のらせん
2 《否認
3 《神秘の論争
4 《荒野の再生
4 《サメ台風
4 《発展 // 発破
1 《タッサの介入
-呪文(29)-
2 《厚かましい借り手
3 《夜群れの伏兵
3 《ショック
2 《焦熱の竜火
1 《否認
2 《薬術師の眼識
1 《アショクの消去
1 《終局の始まり
-サイドボード(15)-
magic.gg より)

 
村栄 龍司 - 「ティムール再生」
2020プレイヤーズツアー・オンライン2 優勝 / スタンダード (2020年6月13~14日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
1 《神秘の神殿
3 《踏み鳴らされる地
4 《蒸気孔
4 《ケトリアのトライオーム
2 《ヴァントレス城
2 《爆発域
4 《寓話の小道
-土地(29)-

3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
1 《厚かましい借り手
-クリーチャー(4)-
4 《成長のらせん
3 《焦熱の竜火
2 《否認
1 《霊気の疾風
3 《神秘の論争
2 《中和
1 《炎の一掃
4 《荒野の再生
3 《サメ台風
4 《発展 // 発破
-呪文(27)-
2 《砕骨の巨人
1 《厚かましい借り手
3 《夜群れの伏兵
2 《否認
1 《霊気の疾風
1 《萎れ
1 《炎の一掃
1 《神秘の論争
2 《終局の始まり
1 《サメ台風
-サイドボード(15)-
magic.gg より)

 
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