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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤単アグロ Solidってなんだ?(ヒストリック)

岩SHOW

 最近はネットの発達により、世界中で起きていることがタイムラグなく伝わってくるようになった。マジックもこのネット社会の影響をかなり色濃く受けている。

 昔は、誰かが強いデッキを作ってもそれが伝わるのはその人がプレイするコミュニティ程度のもの。そのデッキが店舗大会からさらに大きい競技シーンへと出ていって注目を浴びて、そのような場に行かないプレイヤーには大会結果がまとめられた雑誌が発行されるまでは存在すら知りもしないというものだった。

 今ではプレイヤーが動画配信で披露したデッキがSNSであっという間に拡散する。プロプレイヤーはもちろんのこと、一般のプレイヤーのアイディアも国や言語を問わず簡単に知ることができるのだ。Twitterなどで海外のプレイヤーがアップしたデッキリストを見ることも増えただろう。

 その時に、ある単語をよく目にするんじゃないかな。「(カード名) is solid.」「solid deck」などなど、solidはデッキの説明に必ずと言っていいほどついてくる。solid、直訳すると固体。そのままで捉えるとなんのこっちゃというところだが、固体である=硬いというところから転じて「強い」とか「確かな」という意味でも用いられる。もっとくだければスゲー!とかカッコイイ!とかにもなるかな。つまりはsolid deckは確かな強さを持ったデッキってことだ。強くて手堅いデッキを追い求めているのであれば、solidとつぶやいているプレイヤーのリストを信じるのが良いだろう。

 今日はそんな「solid」なデッキとして紹介されていたリストを見てみよう!

Rafael Gaspar - 「赤単アグロ」
ヒストリック (2020年6月1日)[MO] [ARENA]
18 《
4 《エンバレス城
-土地(22)-

4 《狂信的扇動者
4 《熱烈な勇者
4 《炎樹族の使者
4 《義賊
4 《遁走する蒸気族
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス
4 《砕骨の巨人
4 《ゴブリンの鎖回し
-クリーチャー(32)-
3 《舞台照らし
3 《エンバレスの宝剣
-呪文(6)-
4 《解き放たれた狂戦士
4 《ゴブリンの廃墟飛ばし
4 《レッドキャップの乱闘
3 《溶岩コイル
-サイドボード(15)-
Rafael Gaspar氏のTwitter より引用)
 

 ヒストリックの赤単デッキだ。ブラジルのプレイヤーが公開したもので、彼はこのデッキで6月初頭にMTGアリーナの構築ランクで2位になり、その報告とこのリストをツイートしている。少し前までは遠い地球の裏側の人が使ったデッキとその感想をリアルタイムで知るなんて、想像もつかなかったね。さっそくその内容をじっくり見ていこう。

 ここ最近のスタンダードで活躍したカードが集合したという見た目ではあるが、それらの中で目を惹くのはヒストリックならではの1枚《炎樹族の使者》(『ヒストリック・アンソロジー1』に収録)。

 2マナ2/2とスペックは平凡ではあるが、戦場に出た際に2点のマナを生み出す、実質コストがゼロのカードである。こういった、唱えたらそのマナが返ってきたり、土地がアンタップしたりするカードを一般的にフリースペルと呼んだりする。

 2ターン目に《炎樹族の使者》、さらにそのマナから《炎樹族の使者》おかわり、そこからさらに2マナのアクションと動いたりすれば、2ターン目にして行動回数がとてつもないことになる。《義賊》を走らせる、《砕骨の巨人》で《踏みつけ》る。さらには2ターン目に《遁走する蒸気族》を出して3ターン目に炎樹族を連打して一気に+1/+1カウンターを3個置き、そこから3マナ出して……なんていうニトロのような爆発力で攻め立てることも可能だ。

 単純に早いターンにクリーチャーを複数展開できるので、《エンバレスの宝剣》でフィニッシュするターンもより早くなる。

 さらに炎樹族はコストに赤マナ・シンボルを2つも含むので、これが並べば《鍛冶で鍛えられしアナックス》は途轍もないものに。赤単との相性、抜群ってわけだ。

 《舞台照らし》でめくれた際には、めくった2枚ともを使いやすくなるのが嬉しかったりする。

 さらにヒストリックだからこその懐かしいカードとして、《ゴブリンの鎖回し》の存在も忘れちゃいけない。

 3マナ3/3先制攻撃という良スペックで、シンボルも3つとアナックスとの相性も良し。戦場に出たときに1点のダメージをばらまく能力はあらゆるクリーチャーデッキ、あるいはプレインズウォーカーに対しての良い除去となる。《狂信的扇動者》や《踏みつけ》と絡めてタフネス1以外にも除去できることを忘れずに。いざという時の防御にも優れる、とにかく使っていていい気分になれる名クリーチャーだ。

 シンプルにクリーチャーを展開して殴り勝つ構成のデッキ、スタンダードのカードと《炎樹族の使者》と《ゴブリンの鎖回し》が合流したことで生まれたsolidな逸品。しかしながらこれらの2枚はあまり相性が良くない点には注意だ。炎樹族が生み出すマナは{R}{R}ではなく{R}{G}、間違ってプレイできなかったなんてことがないように、それぞれのカードをプレイするターンをしっかりと区別して展開していこう。

 そこのところを気を付ければ、サクサクと勝ちを提供してくれる「solid」さを披露してくれるはずだ!

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