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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ラクドス・サクリファイス:欲深き故に(スタンダード)

岩SHOW

 欲深きこと悪魔のごとし。デッキ構築において、時に大事にしたい思想である。

 構築時に欲が浅いと、デッキは素直なものになることだろう。そういったデッキはクセがなく、すんなりと回ってくれるものだが、その分やれることに限りがあってデッキパワーはややダウンしてしまいがち。これを解決するために、とことん色を増やすことでやれないことをなくしてしまう、という欲に塗れた構築をやってみたことは誰にでもあるはずだ。上手くいくときもあれば、欲しい色マナが手に入らずに大失敗に終わった悲惨な夜もあったろう。

 大体そこで反省して、おとなしく綺麗にまとまったデッキをコピーして使うかとなるものだが……世の中には貪欲なデッキデザイナーがいるものだ。欲深いデッキリストを見てもらいながら話していこう。

Chayajom - 「ラクドス・サクリファイス」
Magic Online Standard League 5勝0敗 / スタンダード (2020年3月1日)[MO] [ARENA]
7 《
2 《
4 《血の墓所
4 《蒸気孔
3 《悪意の神殿
2 《ロークスワイン城
4 《寓話の小道

-土地(26)-

4 《大釜の使い魔
4 《嵐拳の聖戦士
4 《波乱の悪魔
4 《真夜中の死神
2 《残忍な騎士
4 《炎の騎兵
4 《永遠神バントゥ

-クリーチャー(26)-
4 《魔女のかまど
4 《創案の火

-呪文(8)-
3 《苦悶の悔恨
2 《溶岩コイル
2 《焦熱の竜火
2 《魔性
2 《煤の儀式
4 ???

-サイドボード(15)-

 

 一見すると、現スタンダードでそこそこ見かける「ラクドス・サクリファイス」や「赤黒猫かまど」と呼ばれるデッキである。

 猫かまどこと《大釜の使い魔》×《魔女のかまど》のコンボを軸にしており、相手の攻撃は使い魔でブロックし、ブロック指定後にかまどの能力で使い魔を生け贄に→食物を生成、これを生け贄に捧げて使い魔を戦場に戻してその能力で相手のライフを1点吸い取り……と、トランプルや飛行などの回避能力を持たない相手の攻撃を封じつつ、じわりじわりとライフを吸収していくのだ。まさに攻防一体、ターンを重ねるごとにこちらがどんどんと有利になっていくゲーム展開は悪魔的な楽しさにあふれている。

 《波乱の悪魔》がここに絡むと、使い魔を生け贄に捧げて1点・食物を生け贄に捧げて1点と、マシンガンのごとくダメージをばら撒ける。

 この能力で盤面を掃除しても良し、ライフをさらに削り取っても良し。その他、生け贄に関するカードをまとめることでサクリファイス(生け贄)デッキの完成だ。

 このデッキではこの手のデッキに最近、最後の一発として採用されている《永遠神バントゥ》を欲張りにも4枚フル投入している。隠し玉でもなんでもなく、コイツで勝負を決める気満々だ。

 戦場に出た際に自身以外のパーマネントを好きなだけ生け贄に捧げられるので、これですべて生け贄にしてしまおう。《波乱の悪魔》の能力がパーマネントの枚数分誘発し、7点とか10点とか……2体以上悪魔が並んでいれば20点ぶち込むのも夢じゃない。悪魔自身を生け贄に捧げても能力はしっかりと誘発するのでご安心を。ちゃんと計算して、撃ち漏らすことがないと確認したらバントゥon the fire!

 で、このバントゥ生け贄コンボの破壊力を高めようと採用されているのが《炎の騎兵》、これまた4枚フル投入だ。

 バントゥの能力で土地と一緒にこの騎兵を生け贄に捧げると、騎兵の能力で墓地の土地の枚数分対戦相手(とそのプレインズウォーカー)にダメージが飛ぶ。これと悪魔のマシンガンが合わされば、10点台のライフなんざ0と同義だ。悪魔がいなくても騎兵2体と土地をまとめて生け贄で14点!みたいなことが狙えるのも強みで、通常のサクリファイスデッキよりもよりコンボデッキにシフトしていると言える。

 このむちゃな組み合わせをサポートするために《創案の火》まで採用されている徹底っぷりだ。

 同一ターンに騎兵とバントゥでKABOOM! 各種「ファイアーズ」デッキのように、《創案の火》から騎兵を出して、その速攻付与能力を起動して殴りに行くプランでも勝ちに行けるのはよくできている。

 で、ここまではまあコンボに貪欲ではあるが、まあ無茶苦茶とかハチャメチャってわけでもないかなって範囲の欲の深さではある。このリストの問題点は……もう気付いている人もいるだろう。メインに4枚採用された《蒸気孔》の謎である。

 メインには1枚とて青いカード、青マナを要求するカードは入っていない。だったら一体、なぜ? 答えはまあご察しの通り、「???」と伏せられているサイドボードの4枚のカードのためなのだが……わかるかな?

 《否認》? いやぁ、わざわざそのためにここまでの構築をすることはないかな。では《龍神、ニコル・ボーラス》! それも貪欲には違いないが……そもそも、デッキ内の4枚の青いカードを唱えるのに青マナが出る土地が4枚だけってのはとてもじゃないが引けるものではない。ヒントは青であって青でないカードだ。

 もうわかったかな?

 答えは……


 
 

 《欲深い衝動》。相手の手札からカードを追放し、それを自分が唱えられるようになる。妨害とアドバンテージ獲得を兼ねたとことん欲深い1枚である。

 この青と黒の混成マナカードを唱えるための《蒸気孔》ってわけだ。騎兵のためにもある程度の赤マナは用意したいが、サイドボードにこれも採用したい、でも《ラクドスのギルド門》のようなタップインの土地はデッキに増やしたくない……そんな貪欲さが弾き出した答えが、騎兵のための赤マナと衝動のための青マナを供給する土地を入れるという……悪魔的解答ッッ! お上品なデッキリストに留まらないことが、次なる成功へのステップだったことかな。

 実際、《欲深い衝動》を唱えて《エルズペス、死に打ち勝つ》を奪った時には気持ちいいなんてもんじゃなかったな。節制している人も、時には欲に溺れてみようよ。マジック的チートデイ、アリです。

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