READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アミュレット・タイタン:踏査と前兆、セットでどうぞ(モダン)

岩SHOW

 僕のような30代のマジックプレイヤーであれば、若い頃に憧れたカードの1つや2つぐらいあるはずだ。強力なカードが山盛りだった『ウルザズ・サーガ』ブロックなんか、憧れのカードのオンパレードだったなぁ。

 個人的には《踏査》に強いあこがれを抱いたもんだ。

 マジックの「1ターンに1枚しか土地を置けない」という絶対のルールを打ち破る! それも、たった1マナで。これを使って土地を置きまくり、大量のマナで暴れるコンセプトのデッキリストを羨望のまなざしで見ていたもんだ。後に『ウルザズ・サーガ』のスターターから引き当てた時にはそれはもう嬉しかったものである。が、たった1枚ではデッキを組もうにも組めず、結局のところコレクションとしてファイルにしまったのだけどもね……。

 この《踏査》が2020年に生まれ変わって帰ってくるとは思いもしなかった。しかももう1つ、土地に関する名エンチャントとのハイブリッドとなって……

 《イリーシア木立のドライアド》は1ターンに置ける土地の枚数を1つ増やし、かつすべての土地にすべての基本土地タイプを与える。《虹色の前兆》と同じ能力も持っているのだ。1マナの《踏査》と2マナの《虹色の前兆》、合計3マナとコストは同じながら2/4のクリーチャーになっていることで戦闘も可能になったのだから驚いた。まあその分、クリーチャー除去で破壊されてしまうのでそれぞれの先祖よりも対処はされやすくなったが……その欠点を差し置いても強力なクリーチャー・エンチャントである。

 今日はこのドライアドが加わったことでデッキパワーが増した、モダンの「アミュレット・タイタン」を紹介しよう!

Violent_Outburst - 「アミュレット・タイタン」
Magic Online Modern Premier #12090332 優勝 / モダン (2020年2月16日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《冠雪の森
2 《繁殖池
1 《樹木茂る山麓
4 《シミックの成長室
2 《ゴルガリの腐敗農場
1 《グルールの芝地
4 《ギャレンブリグ城
3 《トレイリア西部
1 《ボジューカの沼
2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート
2 《魂の洞窟
1 《ハンウィアーの要塞
1 《死者の原野
1 《光輝の泉
1 《幽霊街
1 《ヴェズーヴァ

-土地(31)-

4 《桜族の斥候
1 《樹上の草食獣
4 《イリーシア木立のドライアド
2 《迷える探求者、梓
4 《原始のタイタン

-クリーチャー(15)-
4 《召喚士の契約
1 《否定の契約
4 《精力の護符
4 《むかしむかし
1 《仕組まれた爆薬

-呪文(14)-
1 《死者の原野
1 《光輝の泉
1 《再利用の賢者
1 《不屈の追跡者
1 《墓掘りの檻
2 《霊気の疾風
4 《神秘の論争
3 《四肢切断
1 《内にいる獣

-サイドボード(15)-

 

 「アミュレット・タイタン」の名はキーカード2種から。《精力の護符》と《原始のタイタン》だ。

 タップ状態で戦場に出るパーマネントをアンタップするという能力を持った《精力の護符》。これとタップ状態で戦場に出る土地を組み合わせるのが狙いである。《シミックの成長室》のような2マナ出るがタップ状態で戦場に出て、また戦場に出た際に土地を1枚手札を戻さなければならないカードをメインエンジンとして用いる。

 護符がある時にこれらの土地が戦場に出ると、アンタップさせて2マナ出してから自身を手札に戻すという動きが可能になる。1ターンに置ける土地の枚数を増やす《迷える探求者、梓》や、手札から直接土地を出す《桜族の斥候》《樹上の草食獣》などを用いて、この戻ってきた土地を再度戦場に出してまた2マナ得る。こうして瞬間的にマナを得て、《原始のタイタン》を速いターンに叩きつける。

 タイタンは戦場に出た時に土地をタップ状態で2枚もライブラリーから戦場に出せるが、この能力で持ってきた土地も護符のおかげでアンタップ。《ハンウィアーの要塞》のようなクリーチャーに速攻を与える土地を持ってきて、タイタンで攻撃したらまた2枚サーチ……と、やりたい放題好きなだけ暴れ回るのである。

 このデッキの《迷える探求者、梓》などの枠に《イリーシア木立のドライアド》は採用されるようになった。梓ほどの爆発力はないが、伝説ではなくタフネスも4あるというのは利点だ。

 そして《イリーシア木立のドライアド》の参入により、このデッキにはかつては採用されなかった土地が勝ち手段として加わることになった。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》だ。

 このデッキには山タイプを持つ土地は1枚も入っていないが、イリーシアのおかげですべての土地が山である。タイタンでこれを2枚持ってきて、それぞれの能力が2回誘発して計12点。攻撃してさらに……と一瞬でライフを消し炭にできる。《虹色の前兆》と組み合わせた「オーメン・ヴァラクート」の動きを「アミュレット・タイタン」が完全に取り入れてしまったのである。《死者の原野》も絡めての多様な勝利の仕方は、コンボデッキとしては実に魅力的だ。

 最重要な2マナ土地や、土地を戦場に出すクリーチャー、そしてタイタンを見つけるための《むかしむかし》、4マナをタイタン召喚の6マナへと引き上げる《ギャレンブリグ城》など、ここのところデッキを強化するパーツを得続けているタイタン・デッキ。いま最もモダンで熱いデッキと言えるだろう。モダンのヴァラクート・デッキを所有している僕も、ちょっとこっちに鞍替えしたくなるくらい魅力的だ。《踏査》に憧れたあの思いを《イリーシア木立のドライアド》で叶えてもらおうかな?

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索