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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント対立:トリックスターが対立のタネを撒く(レガシー)

岩SHOW

 2019年に「鹿」旋風を巻き起こした《王冠泥棒、オーコ》。彼の年内最後の大仕事の舞台となったのはレガシー。日本国内では東西両方で開催された年末の風物詩である「Eternal Party」、そしてフランスでは「エターナル・ウィークエンド」のヨーロッパ大会という形で、レガシーの大規模トーナメントが開催された。

 《Tropical Island》をはじめとするノーリスクの2色土地が使えるレガシーでは、他のフォーマットよりも簡単にオーコをデッキに迎え入れることが可能だ。そんなわけで、青か緑を使うデッキの多くにオーコが採用されることとなった。

 一例としては奇跡デッキが挙げられる。とりあえずヤバいクリーチャーやアーティファクトがあふれかえっているレガシーで、オーコは身を護るための手段として申し分のない選択肢である。

 彼はまた、何もない戦場に食物・トークンを生成し、次のターンにはこれを3/3の大鹿に変化させることで無からクリーチャーを生み出す創造主でもある。この側面に注目して組まれたデッキが件のエターナル・ウィークエンドにて準優勝。オーコと相性の良い1枚を採用しており、なるほどこれは使ってみたいと思わせる仕様であった。

 というわけで、レガシーではまだまだ快進撃を続けるであろうオーコを用いたデッキを紹介だ。

Gael Bailly Maitre - 「バント対立」
Eternal Weekend @ Magic Bazar (France) 準優勝 / レガシー (2019年12月21日)[MO]
3 《冠雪の森
2 《ドライアドの東屋
1 《冠雪の島
2 《Tropical Island
1 《Savannah
4 《霧深い雨林
2 《吹きさらしの荒野
2 《新緑の地下墓地
1 《樹木茂る山麓
2 《ガイアの揺籃の地
-土地(20)-

4 《貴族の教主
2 《金のガチョウ
4 《氷牙のコアトル
1 《漁る軟泥
1 《厚かましい借り手
1 《クルフィックスの狩猟者
1 《秋の騎士
1 《探索する獣
1 《武勇の場の執政官
1 《孔蹄のビヒモス
-クリーチャー(17)-
2 《アーカムの天測儀
4 《渦まく知識
2 《自然の秩序
2 《対立
4 《意志の力
4 《緑の太陽の頂点
3 《王冠泥棒、オーコ
2 《時を解す者、テフェリー
-呪文(23)-
1 《カラカス
1 《溜め込み屋のアウフ
1 《フェアリーの忌み者
3 《夏の帳
2 《花の絨毯
2 《剣を鍬に
2 《安らかなる眠り
1 《三なる宝球
1 《自然の秩序
1 《水没
-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)
 

 オーコとの相性の良さを感じさせる1枚、それは《対立》!

 スタンダードにいたころには一時代を築き上げ、歴代パワーカードがひしめき合うキューブドラフトでも最強のカードだと評されることの多いパワフルすぎるエンチャントだ。

 こちらのクリーチャーをタップすることでパーマネントを1つタップするというもので、どれだけ小さいクリーチャーでも自分よりはるかに巨大なものをサクッと寝かして無力化させてしまう。また、最も強力なのは土地をタップする戦略。対戦相手のアップキープに起動して土地を寝かせることで、メイン・フェイズでの行動を封じてしまうというものである。クリーチャーを展開して土地含むパーマネントをがばっとタップし、こちらだけが一方的に展開や戦闘を行う。そんな理想的なゲームへとあなたを誘う魅惑の1枚、それが《対立》だ。

 前述のように1人でクリーチャーの数を増やしていけるオーコは、《対立》のロックを確実に強固にしていく。食物や、併せて使うことが定番の《アーカムの天測儀》を大鹿に変えて相手の行動を縛り上げつつ、3/3で殴る。安全にゲームを終わらせることを求めるプレイヤーにとってはこの上なく好ましいゲームプランではないだろうか。

 もちろんオーコのみならず、そもそもクリーチャーをいろいろと採用してあるのでタップのタネには困らない。《対立》とオーコをいち早く戦場に出すためのマナクリーチャー《貴族の教主》と《金のガチョウ》は相性バッチリ。

 ガチョウはオーコの大鹿生産ペースをアップさせて、より安定したロックを実現してくれる点も素晴らしい。

 《霧深い雨林》などのフェッチランドでライブラリーから直接出てくる《ドライアドの東屋》も非常に便利だ。ドロー付きの《氷牙のコアトル》も接死を活かして、相手に殴らせてからキャッチしても良しと臨機応変。《探索する獣》で殴りつつ警戒を活かしてタップなんて状況に持ち込めたらもう勝ちは目の前だ。

 マナクリーチャーと《ガイアの揺籃の地》でマナをドカッと得ることも可能で、それを元手に大技も決めに行ける。《緑の太陽の頂点》と《自然の秩序》は状況に合わせたクリーチャーを引っ張ってきて、相手のアクションに対抗したり、あるいは勝負を決めるフィニッシャーを持ってくる便利な1枚だ。

 マナを注いで《孔蹄のビヒモス》での圧殺がゴールだが、《対立》ロックがうまく決まっている状況下であれば《武勇の場の執政官》もゲーム終了を告げる1枚になる。

 これの能力でインスタントを指定すれば、対戦相手はアップキープに瞬速を持っている何かしらしか唱えられない……実質ほぼ何もできないというハマりに陥る。この勝ち方は今日のレガシーでもなかなか上位に来る優越感に満ちたものだろう。

 ヨーロッパは日本に負けず劣らずレガシーの人気が高い地域であり、定期的に大規模なトーナメントが開催されている。そこでは昔から《対立》デッキが結果を残すことが多い。国民性とでも言おうか、同じレガシーでも日本とそれ以外の地域ではデッキの分布や人気には大きな違いがあるようだ。

 ただ共通しているのは、冒頭で触れた3つの大会いずれも上位にオーコを用いたデッキは存在するが、優勝は逃しているということ。あのパワーカードの化身も絶対的な支配者というわけではなく、数多あるレガシーの攻め手には対処しきれずに沈んでしまうこともあるってことだ。そう考えれば今のレガシーはバランスの良い環境ってことになるだろうか。

 『エルドレインの王権』のパックを剥いてオーコを手に入れたプレイヤーが、彼がリーガルであるモダンやレガシーに挑戦する良いきっかけであると受け止めてくれることを祈っている。

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