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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スノーミラクル(レガシー)

岩SHOW

 本格的に冬、到来って感じの朝晩の冷え込みになってきた。皆、風邪は引いていないかい? 個人的にマジックをやる上で最も大事なものは体力だと考えている。一にも二にも身体が資本、ランク戦を駆け上がったりグランプリのような長丁場を戦うには十分な体力が必要不可欠。常日頃から体調管理を行って、ここぞという時にしっかりと勝てる・楽しめるようにしたいものだ。寒さに負けないように、栄養と睡眠をしっかりとって、適度な運動も心がけよう!

 ……と、ここで終わってしまってもいいんだが、それじゃ何のコラムかわからなくなってしまうのでデッキ紹介も忘れずに。クリスマスも近づくこの時期、子どもであれば……まあ大人もかな、あるモノを期待して冬の朝を迎えることがあるはずだ。雪! 真っ白な雪が降り積もっている光景にワクワクしたものだ。寒い地方であればもう雪が降ったよというところもあるのだろう。

 マジックでも、今まさに雪をフィーチャーしたデッキが活躍中だ。その名も「スノーミラクル」。雪が起こす奇跡って、なんだかロマンチックな響きじゃないか。この冬にピッタリのデッキを紹介しよう。

Marc Vogt - 「スノーミラクル」
グランプリ・ボローニャ2019 優勝 / レガシー (2019年11月30日~12月1日)[MO] [ARENA]
5 《冠雪の島
1 《冠雪の平地
1 《冠雪の森
1 《Tundra
1 《Tropical Island
4 《溢れかえる岸辺
4 《霧深い雨林
1 《汚染された三角州
2 《神秘の聖域
-土地(20)-

3 《瞬唱の魔道士
2 《氷牙のコアトル
-クリーチャー(5)-
4 《アーカムの天測儀
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《剣を鍬に
2 《夏の帳
1 《対抗呪文
2 《否定の力
4 《意志の力
3 《終末
1 《天使への願い
3 《王冠泥棒、オーコ
1 《時を解す者、テフェリー
2 《精神を刻む者、ジェイス
-呪文(35)-
1 《Volcanic Island
1 《封じ込める僧侶
1 《僧院の導師
1 《外科的摘出
2 《紅蓮破
1 《赤霊破
1 《狼狽の嵐
1 《夏の帳
1 《花の絨毯
2 《自然への回帰
1 《天界の粛清
1 《安らかなる眠り
1 《終末
-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)
 

 《冠雪の島》を中心とした氷雪基本土地で固められているのが「スノー」の由来だ。基本土地をこれらに統一することで《アーカムの天測儀》を運用するのが狙い。

 ミラクルとは「奇跡」呪文を武器としたコントロールデッキのことで、レガシーにおいて伝統的なもの。

 《終末》と《天使への願い》、どちらも効果は大きいがコストが重たい呪文ではあるが、ターンの最初に引いたカードがこれだった場合、公開することで奇跡コストで唱えられる能力を持っており、かなりコストを抑えて運用することが可能だ。

 《渦まく知識》《思案》などの青のドロー操作でライブラリーを調整して任意のタイミングで奇跡を起こす、じっくり戦う長期戦向けデッキこそ「○○ミラクル」だ。

 その「ミラクル」の大半が、このデッキのように《Tundra》など基本でない土地の枚数を必要最低限に抑え、《不毛の大地》や《血染めの月》で土地を攻められてマナトラブルで敗北、という事態を避けられるように設計されている。

 多数採用する基本土地を氷雪マナが得られるものにすることで、《アーカムの天測儀》でむしろ複数の色マナが安定して得られるようになるという、ちょっと不思議なことになっている。天測儀は手札の枚数を失わないという点でも素晴らしく、レガシーでもこのように多色デッキを支えている。

 天測儀と氷雪基本土地のおかげで色を足すことは容易であり、だったら氷雪パーマネントとシナジーを形成する《氷牙のコアトル》を青白のミラクルにプラスした形になる。

 元来このデッキはクリーチャーの枚数は必要最低限に抑えており、アドバンテージが稼げる《瞬唱の魔道士》やフィニッシャーになる《僧院の導師》くらいしか用いない。コアトルはコストが軽く、カードが引けて、接死でブロックしたものを問答無用で倒せると、1:2交換を狙える良スペックなクリーチャーであり、《瞬唱の魔道士》と近い感覚で用いることが可能でデッキにも合っている。瞬速からのドローで相手のターンに奇跡能力を無理やり誘発させることも可能だ。

 そしてコアトルで緑を使うというのであれば、最新のセットからの刺客も自然と合流する……そう、《王冠泥棒、オーコ》だ。

 青と緑を用いるデッキであれば問答無用で入ると言っていいレベルで、レガシーでもよく見る1枚であり、このデッキでも盤面をコントロールしつつ勝ち手段になる優れた3マナ域として活躍する。《剣を鍬に》《終末》で盤面を掃除した後、《アーカムの天測儀》を3/3にして殴るのは強烈! あっという間に攻守のスイッチを切り替えることに成功してしまうだろう。食物を生産することでロングゲームになればライフも回復するのがありがたし。強いことは重々承知だったが、まさか「ミラクル」デッキにおいて《精神を刻む者、ジェイス》よりも優先して採用されるカードになるとは思わなかったなぁ。

 さらにさらに、緑を使うのであればッてことで投入されているのが《夏の帳》!

 《意志の力》《否定の力》《対抗呪文》に続いて、実質的な打ち消し呪文としてメインデッキから2枚も採用されている。オーコや奇跡呪文を巡っての打ち消し合戦において、スッと1マナで唱えられたこの1枚ドロー付きのアンチ打ち消し呪文は勝負を決めてしまう強さがある。《思考囲い》《トーラックへの賛歌》などに対しても効果的で、《虚空の杯》がX=2で置かれている状況で2マナの呪文を押し込むといった応用も利く、文句なくレガシー級のインスタントである。かつての《紅蓮破》がメインから飛び交っていたレガシーを思い出すが、1枚ドローがついている点ではそれよりも上かもね。

 《終末》でリセットし、2マナクリーチャーなどでアドバンテージを稼いで、《天使への願い》かオーコたちプレインズウォーカーで決める。目指す勝利への道筋はシンプルであるが、各カードの使い方ひとつで脆くもなるし鉄壁にもなる、プレイングが要求されるデッキでもある。

 《Tundra》《Tropical Island》などデュアルランドの要求枚数が少なく、現行セットのカードが主役ということでデッキを組むハードルは低めではあるので、思い切って組んでみて日々練習を積む……そういう過ごし方もこの冬にはもってこいかもしれない。《夏の帳》とかオーコの服装が時季外れってのは目をつぶってくれよな!

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