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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴルガリ・ミッドレンジ:グランプリ唯一の使用者(スタンダード)

岩SHOW

 オンリーワンという称号は良いものだ。マジックにおけるオンリーワン、その最たるものはやはり競技イベントでの優勝。どんなトーナメントでも最後に優勝するのはただ1人だ(あるいは1チーム)。

 そこまで大きな成果を得るにはプレイヤーとしてのスキルが求められるわけだが、そんな達人の域に到達していなくても狙えるオンリーワンと言えば、「トーナメントでこのカードを使っているのは自分だけ!」これでしょう。

 自分だけの武器を磨き上げてトーナメントに持ち込む。数百人、時に数千人のプレイヤーが集うグランプリのようなトーナメントで、たった1人、自分だけしか使用していないカードがあるって良いよね。

 先日開催されたグランプリ・ポートランド2019でもただ1人だけが持ち込んだカードがあった。Felix Slooが《力線をうろつくもの》を持ち込んだオンリーワンのプレイヤーとなった。

 個人的にも『灯争大戦』リリース時からデザインが好ましいと思っていたカードだったので、これを今のスタンダードで使おうという心意気には大変嬉しくなった。

 そしてSlooはそのオンリーワンなデッキで3位まで勝ち上がった。あと少しでオンリーワン中のオンリーワンになるところで惜しかったわけだが、グランプリ3位というのは素晴らしい戦績には違いない。

 それではそのリストを見ていただこう!

Felix Sloo - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
グランプリ・ポートランド2019 3位 / スタンダード (2019年12月21~22日)[MO] [ARENA]
9 《
7 《
4 《草むした墓
4 《疾病の神殿
1 《ロークスワイン城
1 《寓話の小道
-土地(26)-

4 《楽園のドルイド
4 《力線をうろつくもの
4 《残忍な騎士
3 《探索する獣
2 《虐殺少女
-クリーチャー(17)-
2 《壮大な破滅
2 《害悪な掌握
3 《戦争の犠牲
1 《採取 // 最終
2 《永遠の終焉
3 《アーク弓のレインジャー、ビビアン
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
3 《世界を揺るがす者、ニッサ
-呪文(17)-
3 《恋煩いの野獣
2 《変容するケラトプス
3 《強迫
2 《軍団の最期
2 《害悪な掌握
2 《自然への回帰
1 《魔術遠眼鏡
-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)
 

 《力線をうろつくもの》を4枚用いた「ゴルガリ・ミッドレンジ」だ。3マナ2/3で絆魂と接死持ちという地味ながらシブいスペックの持ち主で、どんな色のマナでも生み出せるマナクリーチャーとしても優秀である。黒緑の中速デッキにおいて《楽園のドルイド》が用いられるのは定番であるが、このデッキではこれに《力線をうろつくもの》を加えてマナクリーチャーを8枚体制にしている。それに加えて土地も少し多めの26枚だ。

 ここからわかることは、このデッキが少し重めのカードをしっかりと唱えて優位に立ちたいという意志だ。スタンダードには4マナ以上のマナ域にキラーカードが多数ひしめいている。マナが順調に伸びてこれらのカードをプレイできれば勝ちが近づくわけだが、逆に考えればそれらのプレイが遅れれば価値が遠のいていく。これだけは避けたい、その思いが《力線をうろつくもの》にたどり着かせたのかも。

 マナを伸ばしつつ《残忍な騎士》《害悪な掌握》といった除去で相手のアクションを捌いていく。《壮大な破滅》がメインから積まれているのも、重いカードで勝負する環境だということを実感させるものである。

 そして《永遠の終焉》。X=10のような大技を狙わずとも、X=2くらいでも最大で1対3交換が取れるナイスな1枚だ。《恋煩いの野獣》を運用するために《切なる想い》から生成された人間・トークンと《楽園のドルイド》をたった3マナでまとめて処理できるのも素晴らしい。

 黒でコントロールすれば、緑で圧を掛ける。《アーク弓のレインジャー、ビビアン》でこちらのクリーチャーをガシガシと強化して殴っていこう。素ではパワーが低くてあまり脅威にはならない《残忍な騎士》やこのデッキの主役《力線をうろつくもの》も彼女の加護を受ければ危険なフィニッシャーへと昇格だ。《力線をうろつくもの》の接死がビビアンの[-3]能力を必殺の除去に昇華するのも強いぞ。

 あとはやっぱりド定番の《世界を揺るがす者、ニッサ》、すべてが勝利へ直結するスタンダードの覇者である。彼女を安定して4ターン目には戦場に出したいというのも《力線をうろつくもの》採用の決め手であろう。ここから《戦争の犠牲》をぶっ放してゲームを終わらせよう。

 こうしてみると《力線をうろつくもの》はゴルガリにピッタリのカードで、この環境末期まで注目されなかったというのが不思議なようにすら思える。やりつくしたと思った環境にもまだまだ良いカードが潜んでいるものだ。

 君だけのオンリーワンを世に示す、そんな素敵な体験をするため、トーナメントに挑んでいこう!

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