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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)のデッキをおさらい! 前編(スタンダード)
先週末、2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)がラスベガスにて開催された。世界一有名な、エンターテイメントに満ちた眠らない街にふさわしい、賞金総額75万ドル・優勝賞金10万ドルを懸けた豪華極まりないトーナメントだ。
参加できるのはマジック・プロリーグのメンバーと、彼らに挑むために予選などで権利を得た挑戦者の計68名のみ。いつものミシックチャンピオンシップよりは規模は小さいものの、その分強者の密度は増していると考えれば、勝ち抜くのは大変に難しい。
また、トーナメントのすべてをMTGアリーナを用いて行うというのも、新時代の到来を予感させるものだった。詳しくはカバレージをご覧いただきたい。
アリーナで行われ、かつこれまでのミシックチャンピオンシップやプロツアーとは違う方式となった今トーナメント。開幕前には新時代のマジックを見ることになるだろうと世界中の人々が思ったに違いない。
そこに、旧き時代を知る伝説が「待った」をかけた。「俺を抜きにして新時代のチャンピオンを決めるのかい?」とは言っていないとは思うが、ともかくカイ・ブッディ/Kai buddeが参戦し、決勝ラウンドの日曜日にまで勝ち進む快進撃を見せたのだ。彼はミシックチャンピオンシップの前身であるプロツアーにおいて、並び立つ者のいない7回の優勝という記録を残している。競技シーンの象徴とでも呼ぶべき存在だ。彼はここ数年、プロツアーにぽつぽつと参加するくらいで最前線の戦いからは遠ざかっていたのだが、ここに来てその存在の大きさを今の世代の若いプレイヤーたちにも示したのだった。伝説のプレイヤーの復活は、長くマジックをプレイしているベテランにもグッとくるものだったに違いない。
その進撃を止める者は誰もいない、「ジャーマン・ジャガーノート」の異名を持つブッディが選択したデッキがこれだ!
1 《島》 1 《沼》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 -土地(26)- 4 《第1管区の勇士》 3 《精鋭護衛魔道士》 2 《人質取り》 -クリーチャー(9)- |
4 《思考消去》 3 《暴君の嘲笑》 2 《灯の燼滅》 3 《ケイヤの誓い》 1 《戦慄衆の指揮》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 1 《人知を超えるもの、ウギン》 -呪文(25)- |
2 《強迫》 2 《ドビンの拒否権》 2 《古呪》 1 《アルゲールの断血》 1 《灯の燼滅》 2 《肉儀場の叫び》 2 《ケイヤの怒り》 2 《永遠神の投入》 1 《戦慄衆の指揮》 -サイドボード(15)- |
エスパーと呼ばれる白青黒の3色からなるデッキで、キーカードは《第1管区の勇士》。
この2マナクリーチャーがいる状況で多色のさまざまな呪文を唱え、1/1トークンのボーナスを得て、その手数と支配力で勝負する、通称「エスパー・ヒーロー」だ。
そのカラーリングから、パーマネント除去・手札破壊・打ち消しのいずれをも備えており、あらゆるデッキを相手にできる王道とも呼べるデッキである。ブッディらしいチョイスだ。
2ターン目勇士からスタートできればパーフェクトなブン回りに期待が持てるが、そうでなくても十分に戦えるのがこのデッキの良いところ。
《思考消去》で、相手の2~3ターン目に唱えようとしているカードを落として出鼻をくじいたり《世界を揺るがす者、ニッサ》のような出されるだけでゲームが傾くレベルのカードを未然に処理するのも、十分に強いスタートだ(まあ勇士がいれば1/1がついてきて最高なんだけどな)。
《暴君の嘲笑》を使い、インスタント・タイミングで相手のクリーチャーを潰すのも良い。
そうやって、3ターン目《時を解す者、テフェリー》に繋げることができれば、それはもう正義/Justice。
相手がパーマネントを出していればそれを手札に戻して、そうでなければ[+1]しておいても良いし、とりあえず何も戻さずドローしてもOK。彼が突っ立っているだけでデカい方の彼、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を確実に戦場に送り出せるので、それだけで十分な仕事だ。
英雄テフェリーが戦場に出れば……もう横綱相撲の始まりだ。1枚引いて2枚土地を起こして《灯の燼滅》《暴君の嘲笑》を構えたり、解しテフェリーの補佐を得て相手のドローステップに《思考消去》を投げつけたり……とにかく相手が嫌がって「鬼!」と言い出しそうなことを追求していけば良い。そうすれば自ずと相手が投了してゲームが終わるだろう。ライフよりも先に心をへし折るタイプのデッキだ。
除去も豊富で、《ケイヤの誓い》《精鋭護衛魔道士》とライフ回復要素もバッチリ備えているので、クリーチャーが9枚と少ないながらも意外と殴り合いでも勝負ができる。
《第1管区の勇士》から出すトークンをブロックに回すべきか、殴り返す打点として運用するか? このあたりを慎重に考えながらゲームを進めれば、序盤はアグロデッキのラッシュに押されてもジワジワとまくり返すことができるはずだ。先に挙げた3点回復付きパーマネントは《時を解す者、テフェリー》で手札に戻して再使用できることを忘れずに。
ブッディと同じくトップ4に進出した、ブッディと入れ替わりで台頭して今では世界を代表するプレイヤーのひとりとなったブラッド・ネルソン/Brad Nelson。彼もこの「エスパー・ヒーロー」を使用し、しかもそのリストはブッディのものとメインサイド併せて74枚が同じ。唯一の違いはブッディの《人知を超えるもの、ウギン》を、ネルソンは《屈辱》にしていたという点。
カード1枚でのパワーではウギンが圧倒的に上回っているが、小回りが利くという点・多色なので勇士とシナジーがあるという点では《屈辱》が勝っている。どちらを使うかはプレイヤーの好み、君はどっち派かな? 僕はウギンが大好きなのでブッディのものをコピーして使ってみたが、いやぁ「エスパー・ヒーロー」強いです。変なデッキで負けまくっていたのがウソのように勝ててしまった(笑)。
このデッキ、果たして『基本セット2020』が加わったスタンダードでも今の地位を維持することになるだろうか。《静寂の神殿》が加わってマナ基盤はより盤石なものになるだろう。《秘本綴じのリッチ》でさらに地上を硬く守れるようになる? 《死体騎士》とトークン生成でライフを狙っていくタイプのデッキも組めるか? トークンでプレインズウォーカーを護るというコンセプトを1枚でひっくり返す《次元の浄化》の登場は脅威となるか? 変化は避けることはできない、実に楽しみだ!
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