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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Esper & Taxes(レガシー)

岩SHOW

 マジックは情報戦でもある。環境に存在するデッキ、その構成をしっかりと把握しておくことは勝つ上では何もよりも大事なことである。対戦相手が使ってくるであろうデッキを予測してメインデッキを選択し、サイドボードの内容を決定するのだ。

 この情報戦を制するにはどうすればいいか? 知られていないデッキを使うのが手っ取り早い。全く新しいデッキを構築すれば、こちらだけが相手のデッキを知り、相手は知らないという一方的な状況に持ち込める。こちらは「こうすればこう動いてくるだろう」と確信を持って行動できるのに対して、対戦相手は「一体、何をしてくるんだ?」と常に疑問を抱きながらプレイすることになる。

 この優位性を狙って、オリジナルデッキを作るプレイヤーもいるが……しかしそうそう、簡単には強いデッキは作れないというもの。そこでよく取られるアプローチは、既存のデッキをベースにした亜種を作ってしまうという手法。カードプールが限られるスタンダードでは難しいかもしれないが、エターナル環境であればいくらでも好き放題、デッキ改造が行える。時折禍々しいリストが世に放たれるが、そういうものが新しい発明だったりするのだ。

 今日も一見既存のデッキに見えて、全く新しい構築に挑んでいるデッキを紹介しよう!

Peicong Dong - 「Esper & Taxes」
Legacy [Staples] @ Fire & Dice (Los Angeles, CA) ベスト4 / レガシー (2018年11月3日)[MO]
2 《平地
1 《
1 《
1 《Tundra
4 《Scrubland
2 《Underground Sea
4 《溢れかえる岸辺
1 《湿地の干潟
4 《汚染された三角州
4 《不毛の大地
-土地(24)-

4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《悪意の大梟
3 《幻影の像
1 《帆凧の掠め盗り
1 《レオニンの遺物囲い
3 《神聖なる魂の守り手
3 《護衛募集員
2 《ちらつき鬼火
2 《疫病造り師
1 《オルゾフの司教
1 《宮殿の看守
-クリーチャー(25)-
4 《霊気の薬瓶
4 《陰謀団式療法
3 《剣を鍬に
-呪文(11)-
2 《エーテル宣誓会の法学者
1 《封じ込める僧侶
2 《フェアリーの忌み者
1 《オルゾフの司教
2 《外科的摘出
1 《根絶
1 《ファイレクシア流再利用
1 《剣を鍬に
1 《思考囲い
1 《清浄の名誉
1 《梅澤の十手
1 《悪夢の織り手、アショク
-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)
 

 このエスパー(白青黒)カラーのデッキの元になっているのは「Death & Taxes」、白単色のクリーチャーデッキだ。軽いコストで展開でき、対戦相手に対して妨害となる能力を持ったクリーチャーを主戦力として用いる。

 パーツの自由度が高く、赤を足したりするなど、さまざまな亜種が作られているデッキではあるが……ここまで大胆に改造されたものはなかなか見ない。何せ、同デッキの顔である《スレイベンの守護者、サリア》と肩を並べる2マナクリーチャーは《悪意の大梟》!

 マナ拘束は厳しいがリターンの大きいこのカードを用いたくて組まれたデッキなのだろう。まあレガシーであれば、フェッチランドにデュアルランド、多色土地は何でもござれで、この程度であればどうとでもなる。やったもん勝ち、ってわけだ。

 非クリーチャー呪文にはサリアで足止めし、クリーチャーは大梟の接死で道連れにする、この鉄壁のラインを始めとするクリーチャーを《霊気の薬瓶》から展開していく。

 《帆凧の掠め盗り》《オルゾフの司教》《レオニンの遺物囲い》といった特定のデッキに刺さるクリーチャーは、《護衛募集員》からサーチしてこよう。

 これらは1枚しかなくとも《ちらつき鬼火》の能力で、戦場に出た際の能力を再誘発させ使いまわすこともできる。

 そして青を足しているからこそ使える《幻影の像》!

 これで2枚目以降に化けてしまうというのがこのデッキの狙いでもある。それぞれ複数枚採用するのは難しいカードだが、《幻影の像》でその枚数を実質4枚に伸ばしている構築はとても面白い。対戦相手の大型クリーチャーに化けても良いし、使い道に困ることは無いだろう。

 黒を足しているからこその手札破壊戦略もこのデッキの強み。クリーチャーをいっぱい使うデッキなので、それらをコストに《陰謀団式療法》をフラッシュバックで使って相手の手札をズタズタにしてやろう。

 このカードとサリアを同時に使うのはやや噛み合ってなさそうにも見えるが、元のコストが軽いので1マナ増えたところでさして運用は難しくなく、何よりリターンが大きいのだろう。これと相性の良い《神聖なる魂の守り手》が採用されているのもこのデッキの独自性の高い点だ。

 クリーチャーを生け贄に捧げればこのカードが生み出すトークンの数が増えるし、そもそもこれ自身をコストにして能動的にトークンを作るという手もある。とりあえず、実戦の場で見たことがないというプレイヤーの方が圧倒的に多いだろう。《霊気の薬瓶》から飛び出して攻撃クリーチャーをキャッチされたりするとたまらんなぁ。

 サイドボードにも《悪夢の織り手、アショク》や《ファイレクシア流再利用》など、とにかくシブいカードが多数。こういう野心的な構築で、マジックを楽しみたいなと……改めて、このゲームの醍醐味というものに気付かされたのであった。

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