READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

High Tide(レガシー)

岩SHOW

 レガシーというフォーマットの良いところは、原則として自分のデッキが残り続けること。時折、支配的になりすぎたということでキーカードが禁止されることはあるが……スタンダードと違いローテーションの概念がないので、いつまでもいつまでも、自分の好きなデッキ・青春のカードをプレイし続けることができる。1つのデッキをいつまでも可愛がりたい。大事にしたいというプレイヤーにとってはありがたいフォーマットである。

 もちろん、時代の移り変わりとともにデッキの流行り廃りというものがあるが、流行っていないデッキはプレイしてはいけないなんてことはない。堂々と、自分が好きなデッキを心行くまで楽しんでほしいなと。

 今日はかつてレガシーでのベストコンボデッキとして君臨するも、時代の流れとともによりイージーなコンボデッキに世代交代し、忘れ去られつつあるデッキを紹介しよう。使用者が少ないといっても弱いわけでも魅力がないわけでもない。むしろ好きなプレイヤーにはたまらないデッキだろう。

 そのデッキの名は「High Tide」!!

Iwouldliketorespond - 「High Tide」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2018年10月12日)[MO] [ARENA]
10 《
4 《溢れかえる岸辺
2 《汚染された三角州
1 《沸騰する小湖
1 《霧深い雨林

-土地(18)-


-クリーチャー(0)-
4 《渦まく知識
4 《狼狽の嵐
4 《High Tide
4 《留意
4 《思考掃き
4 《蓄積した知識
4 《任務説明
4 《Reset
3 《狡猾な願い
3 《瞑想
4 《意志の力

-呪文(42)-
1 《真珠湖の古きもの
1 《否定の契約
1 《外科的摘出
1 《白鳥の歌
2 《思考停止
2 《断絶
1 《残響する真実
1 《ハーキルの召還術
2 《アズカンタの探索
1 《瞑想
1 《転換
1 《青の太陽の頂点

-サイドボード(15)-

 デッキ名が示す通り、キーカードは《High Tide》。

 このカードで《》が生み出す青マナを1つ増やし、多くのマナを得ながらドロー呪文を重ね、さらに《High Tide》を唱えて……呪文を連鎖させていくチェーン・コンボに分類されるデッキである。

 このデッキにおいて《High Tide》と同じくらい大事なのは、土地をアンタップするカードである。かつては《》を《Candelabra of Tawnos》でアンタップすることでマナを得たり、《時のらせん》で大量ドローを兼ねたりもしていた。このデッキではそれらを採用しておらず……より古き良きスタイルである《Reset》を用いている。

 このカードは対戦相手のアップキープにのみ唱えることができ、自身の土地をすべてアンタップするという……実にニッチな効果を誇るインスタントだ。すなわち、このデッキは相手のターンにコンボを決めて勝つのである。対戦相手が「ドローします」という前に、ちょっと待ってくれよとね。この《High Tide》×《Reset》デッキは、古くは「ソリダリティ(連帯の意)」などと呼ばれたりもしていた。

 序盤はドロー呪文を唱えて手札にキーパーツを集めつつ、しっかりと《》を設置していくことになる。対戦相手の動きは、手札破壊や《虚空の杯》などのプランを崩してくるものや決まると即終わるコンボなどには打ち消しで対処していくが、それ以外のものはスルーしても構わない。土地を置けないことが一番まずいので、そこを最優先にプレイしていこう。

 《蓄積した知識》は後半に活きてくるので、遠慮なく序盤に唱えてしまおう。

 ある程度……手札の内容にもよるが4枚ほど《》が並んで、手札に《High Tide》《Reset》そしてドロー呪文……最も嬉しいのは《瞑想》がある状態になったら、相手のアップキープに動き出そう。《High Tide》を唱えて、土地をすべてタップ。引き出したマナからドロー呪文と《Reset》を唱えて、また土地を全タップ。引いてきたドロー呪文連打後に《Reset》……という具合に、黙々と動いていく。

 途中、《狡猾な願い》でその状況に必要なカードをサイドボードから引っ張ってくる。

 対戦相手のパーマネントが邪魔なら各種バウンス呪文を、マナがストップしそうなら《転換》で土地を起こす、打ち消しを構えている相手ならばこちらも打ち消しを……と。そしてこのターンに唱えられた呪文の総数が十分な値であれば、《思考停止》を持ってきて対戦相手のライブラリーを削り落としてゲームを終わらせるのだ。《引き裂かれし永劫、エムラクール》でライブラリー修復される場合は《青の太陽の頂点》でライブラリーをすべて引かせるという作戦でも対処できるぞ(削り切ってからエムラクールの能力に対応して頂点で引かせる、というのがより現実的か)。

 このデッキを見て「そんなに繋がるの?」という疑問を持った方もおられることだろう。確かに《Reset》は4枚しかない。これで本当にマナが尽きずに回せるのか? その疑問への解答が《任務説明》だ。

 このカードで墓地の《Reset》や《High Tide》《瞑想》、時には《瞬間凍結》なんかを使いまわすことでコンボを成立させるのだ。このカードがあれば、墓地に特定のカードがあるとコンボが繋がるので、手札破壊への耐性が少し上昇するし、《留意》《思考掃き》がただのドローではなくチャンスを大いに広げる呪文となってくれる。『レジェンド』収録の《Reset》が2018年に最良の相方を得るに至るとは、これだからマジックは面白い。

 「High Tide」のように懐かしのデッキを大事している方、どうかそのデッキをいつまでも持ち続けてやってほしい。このデッキのように思わぬ新戦力でチャンスが訪れるかもしれないぞ。

 最後にこのリストを見て組みたくなった人に注意を。マナとストームのカウントだけはしっかりと自分で管理しよう。この値を間違えるようでは、自分にも相手にとっても良くない。それに相手のターンに動き、一度回り始めたらずっと一方的にプレイし続けるデッキでもあるので、正確にテンポよく回すことを強く意識したい。幸い、対戦相手を想定せずとも練習できるソリティア系のデッキだ。寝る前の一人回しを毎晩積み重ねて、習熟度を少しでも高めてトーナメントに臨みたいね!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索